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2021年11月17日水曜日

あなたが迷う、その理由

 時々「おしゃれ迷子」という言葉を日本の女性誌で見つけます。
これはモード系の雑誌や、海外のファッション誌では見られない言葉であり、表現です。
また同様に、10代、20代といった、若い人向けの雑誌でも見られません。

どうやら迷うのは若い人ではなく、30代後半、あるいは40代以上のようです。

この人たちはどこでどう迷ったのでしょうか。

10代に女の子たちには憧れのアイドル、アーチストがいたりして、自分もそうなりたいと願っている人も多いです。
また誰かへの憧れはなくても、自分もこうだったらいいなという、好きなドラマや映画、マンガはあるでしょう。
あの主人公のような格好で、ああいう感情を経験したいという思いが彼女たちの服を選ぶときの動機になります。

20代から30代前半までは、恋愛、仕事、結婚が主なテーマになるでしょう。
恋愛のための衣装、仕事を得るための衣装、結婚相手を見つけるまでの衣装、
それぞれ雑誌に提示されています。
20代から30代前半までの、モード誌を買うような服が趣味な人たち以外は、こういった目的に従って、服選びをすることが多くなります。
彼女たちのほとんどには達成したい目的があります。
仕事を見つけたい人、結婚したい人、恋愛したい人、
その目的がある人たちは、服選びに迷うことはほとんどありません(絶対とは言いませんが)。

さて、30代も後半になってくると、だんだんと目的を達成したか、あるいはあきらめたかが決まってくるでしょう。
また、人によっては「母」「妻」「キャリアウーマン」といったものに自分自身を一致させているかもしれません。
こういう人は、服を選ぶのに迷うことも少ないでしょう。
なぜなら母らしい服、妻らしい、服、キャリアウーマンらしい服は、それを演じるドラマの役者のように、ある程度はパターン化されているからです。

問題は、こういった自分を定義するもの、あるいは人生の目的が漠然としている人です。

自分がどういう者なのかもはっきりしない、また若いころのように「仕事につきたい」あるいは「恋愛したい」あるいは「結婚したい」という動機もないとき、その人は服選びに迷うでしょう。

何を着るかが決まったら、目的も後からついてくるのではありません。
目的があって、その後に何を着るかが決まります。
目的が決まらない限り、何を着るかも決まりません。

ではどうしたらいいでしょうか。

あなたの目的はあなたしか知ることができません。
あなたが自分の目的がわからなくても、誰かがそれを教えることはできません。
あなたを動かすものが何なのか、わからないでしょうか?

わからないのなら、探すしかありません。
以前のように、恋愛も結婚も、あなたを動かさないでしょう。
では何があなたを動かすのか?

その目的は、見つけてもらうためにどこかに隠れています。
探してもらうまで、隠れ続けるつもりでいます。
かくれんぼのように、誰かに見つけてもらうのを待っています。
だけれども、このかくれんぼの参加者はあなただけなのです。
鬼はあなたの分身です。

見つからないなら、そのまま迷うことになるでしょう。
あなたの分身である鬼だけが、あなたが何を着たらいいかを知っています。

見つけるも、見つけないも、あなた次第です。
迷子のまま生きるか、鬼のふりした明るい光を見つけて生きるか、
どちらでも、選べます。

見つけたら、もう迷子ではありません。
光を頼りに、歩いていけばいいだけです。



2021年11月3日水曜日

おしゃれをしない権利もある

 おしゃれをする権利があるのと同様に、おしゃれをしない権利もあります。
おしゃれに価値を置かない、
あえておしゃれに見えないようにする、
わかっているけれども、今はできないからおしゃれはしない、
そういう権利は誰にでもあります。

服を着ないで、あるいは下着のまま街を歩けば、
それはとがめられますが、
おしゃれでないからといって、誰かから何かを言われる筋合いはありません。
それは、誰かがおしゃれであることを選択したように、
おしゃれでないことを選択した結果にすぎません。
この選択は自由なのです。

新しいものを買えないとき、
服を買うお金がないとき、
病気のとき、
おしゃれする気分ではないとき、
家庭の事情でおしゃれができないとき、
またはおしゃれであることに全く意味を見出せない、
おしゃれであることは邪魔である、
あるいはおしゃれであることが嫌な場合など、
おしゃれをしない理由はさまざまです。
人にはそれぞれ違う事情があります。

その事情を知ろうともせず、
誰かが誰かにおしゃれであることを強制することはできません。

おしゃれがどんなにか素敵で、どんなにか楽しいことであったとしても、
それをやるかやらないかは、その人自身の選択の問題なのです。

おしゃれでなくてもいい人はたくさんいます。
おしゃれであっても、最低の人間もたくさんいます。
おしゃれは人生の優先順位の一番ではありません。

おしゃれをしない権利もあることを覚えておいてください。
そしてそれを自分、もしくは他人が行使しているときは、
批判したり、邪魔をしたり、
あるいは「女たるものおしゃれをするべき」などと言って脅迫しないように。
それは本当にはた迷惑な行為なのです。