この時期になると、ベルベット素材のドレスやスカートが店頭に並び始めます。
ベルベットと一口に言っても、べロア、別珍、ベルベティーンなど、呼び名もさまざまですが、起毛して、独特の光沢のある素材全般のことです。
最高級品は絹のベルベットですが、現在ではほとんどないでしょう。アンティークなどで見かけることがあります。
高級な部類のものは主にレーヨンベルベット。その他、綿のものは別珍と読んだり、化繊のものをべロアと呼んだりします。大きく言えば、コーデュロイもこの仲間で、畝があるものです。ノーウエルというのコーデュロイは、畝がないという意味で、やはりこれも大きくはベルベットの仲間です。
ドレスや、ちょっとよそ行きのジャケットによく使われますね。
または、子どものピアノの発表会のときのドレスとか、コーラスの女性がはくスカートとか。
最近では、ベルベットのカジュアル化が進み、化繊のべロアが日常着として出回っています。
見た目は暖かそうですが、綿やレーヨンなので、特別暖かいということはありません。
ベルベットという素材ですが、その特徴として、布に方向性があるということが挙げられます。
動物の毛並みと同じように、下に向かう毛の方向と、逆毛とがあるのです。
これはベルベット素材を手でなでてみるとわかりますので、持っている方はやってみてください。
で、ベルベットの場合、必ず逆毛で裁断します。つまり、なでてみて、抵抗を感じる方向です。
猫を尻尾から頭に向かってなでている感じと言えばいいでしょうか。
なぜかというと、逆毛でないと、独特の深い光沢が出ないからなのです。
下に落ちる方向で裁断してしまうと、若干、白っぽく見えます。
特に黒いベルベットでは、それが顕著です。
今回、なぜベルベットを取り上げたかというと、実は、この裁断方法が間違っている商品が市場に出回っているのを発見したからです。某有名ファストファッションショップで売られていました。
これは、明らかに裁断の間違いですので、決して買わないでください。
間違った裁断の商品の特徴は、何となく白っぽいということ、そして何より、逆さにしてみたら、ちゃんと深い色に見えるということです。
買うときよくわからなかったら、とにかくさかさまにしてみてください。
それで、そちらのほうがいい色だなと思ったら、その商品の裁断は間違っています。
またベルベットにアイロンをかけるときは、そのままかけると、毛が寝てしまいます。
一番いいのは同じベルベットを当て布にすることです。
同じでなくても、とにかくベルベットやべロアを当て布に使わなくてはならないのですが、
ない場合は、自分で無理しないでクリーニングに出しましょう。
毛が寝てしまうと、戻すのは大変です。