最近、インポートの服をたくさん試着してみたり、また、ファッション・レッスンを受けてくださった方のなかから、サイズについてのご質問を多々いただきましたので、今回は、サイズ全般について書きたいと思います。
日本のアパレル業界においては、標準サイズというものが厳格に定められており、たとえば9号サイズではバスト何センチ、ウエスト何センチ、ヒップセンチ、袖丈何センチなどというように、標準的な寸法は決まっています。これは何年かおきに見直しされるようですが、そんなにしょっちゅう変わるものでもないので、1度決まったら、当分変わりません。
標準的な最低寸法が決まっているため、大手アパレルでは、その寸法以下になるものは基本的に作りません。ヌード寸法+緩みの計算をして、それ以下になる場合は、デザインを変更してでも大きくします。
日本のアパレルのサイズ表示は、7号、9号、11号などとされますが、最近、6,8,10などのアメリカ式、また36,38などのヨーロッパ式で表示されているものも出てきました。しかし、それでも大手アパレルの場合は、日本の標準寸法に合わせて計算しますので、標準以下の寸法ででき上がるということは、ほぼないと見ていいでしょう。
これらはどれもサイズが一定なので、自分のサイズを把握し、それに合うサイズのものを買えば、まったく外れるということはありません。
それに対して、デザイン優先のブランドや、インポートでは、サイズのとらえ方に大きな違いがあります。
特に、インポートものは、サイズ表示はあるものの、デザインによって、大きさは全く一定していません。このブランドなら、このサイズと思っていても、アイテムによっては、まったく違うサイズのほうが合うということが、実際に多くあります。
特にデザイナーの名前を冠したブランドは、この傾向が顕著で、こちらのアイテムの38と、そちらのアイテムの38では、まったく違うサイズ感になるなんていうことはざらです。
大きい分には着られないということがないので問題ないのですが、注意しなければならないのは、ウエストなど、細い部分です。またタイトな服だと、それだけサイズ感が大事になってきますので、自分に合ったものを買うには試着してみる以外、方法はありません。
またシーズンによっても、サイズ感が違ってきます。先シーズンはこのサイズでぴったりだったのに、今期のものは合わないということもよくあります。
またデザインによっては、いつもと違うサイズ上げたり下げたりしてみたほうが似合うということもあります。
デザイナーズブランドは、定番の白いシャツやTシャツなど、シーズンごとに微妙ですが、ボディに対する緩み分を変えていきます。これは以前書いた、身体に対する空気のデザイン部分です。去年の白いTシャツと、今年の白いTシャツ、まったく同じでないことこそが、デザイナーズブランドの存在意義です。
いつもサイズが一定でないとメーカー側に文句を言っている方がいましたが、文句を言ったところで、この性質は変わりません。
通販で買う場合など、試着できない場合は、この点を考慮しましょう。また、返品できるかどうかも確認しておいたほうがいいでしょう。
いつもサイズが一定のものを作るブランドは安心感や安定感はありますが、面白さや、楽しさがあるのは、サイズ感など無視したブランドであるというのも事実です。