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2012年1月16日月曜日
若さって、色かも
お正月、道行く人々がどんな服を着ているのか、ずっとながめていました。
今年は、上着としてのダウンが大流行で、本当に老若男女、皆、ダウン、ダウン、ダウンジャケット、またはコートですね。
お正月でダウンですから、服のカジュアル化は一層進んでいます。
また、その色も黒、グレーが圧倒的に多い。続いてベージュ、シルバーなど。
まだまだ大人用のダウンの色展開は豊富とは言えませんから、どうしても同じような色になってしまいます。また、ダウンジャケット特有の縫い目も、それほど違いがありませんから、今年の冬は、男女の差、年齢の差が、著しく縮まった年ではないかと思います。
そんな中、はっとさせられるのは、子供、または20代そこそこの若い方たちの、ぱっと目を引く明るい色。真っ白いコートだったり、ピンクのマフラーだったり、自由に明るい色を取り入れているのは、やはり若い方たちです。
そうでなくても、若いまぶしさがあるのに、その上、発光するような色のものを着るわけですから、より一層、「若さ」が目立ちます。
若いということは、色なのだ、とつくづく思います。
一方で、これは80年代、黒一色のブームがきてからだと思いますが、大人たちの着る色は、どれも暗いものばかり。これにはいろいろな理由があると思います。無難だから、これしか売ってなかったから、そして最後に、おしゃれそうに見えるから。
「おしゃれそうに見えるから」というのは、確かにそうなのです。
先日、VOGUEの写真ばかりを並べた、タンブラーのサイトを端から見ていったのですが、シックや、洗練と言われるコーディネイトは、本当にダークな色合いが多いです。
しかも、それが例えば黒一色、黒と白、黒とベージュなど、極端に少ない色で構成されています。以前、「3色ルール」という題で記事を書きましたが、洋服のコーディネイトで美しいとされるのは、ぎりぎりまでストイックに色を絞った装いであるらしいのです。
もちろん、そうでない場合もあります。
しかしそれらは、例えばエスニック(最近はトライブとも言います)であったり、ポップであったりと、決して主流ではありません。
ここら辺、昔は色彩豊かな着ものを着ていた、エスニックの側にいる日本人にとって、なかなか習得することが難しい点かもしれません。
それでもやはり、若さを表現したかったら、色だなと思います。
残念ながら、もう既に若くない人が黒一色の格好をしてみたところ、若さやはつらつさは感じられません。
では、どのようにしたら、シックで洗練されて、色を取り入れることができるでしょうか。
これはずばり、色数を絞ること、そして、派手な色合いの割合を9割程度、多くても8割ぐらいに抑えることでしょう。
全身黒にしたならば、その1割のスカーフやバッグをベージュピンクにするなど。
取り入れる若々しい色を主役と考えて、残りの部分を背景にします。
主役は舞台に1人でいいわけですから、決して増やしてはいけません。
たくさん色を混ぜてしまうと、とっちらかった感じがして、おしゃれには見えません。
間違っても、黒いニットだからといって、サイケプリントのパンツなど、はかないように。
若い人と違って、いい年の大人がこれをやると、シック、おしゃれをずっと通り越して、単なる下品です。
いろいろな色を、似合おうが、似合うまいが、色の組み合わせがめちゃめちゃだろうが、それが許されるのが若いということ。それを無視した大人は、今風に言えば、若い者と競って若づくりしようとしている「痛い」大人です。
色を味方につけたなら、おしゃれに見えることは確実です。
しかし、それを敵に回したら、あなたの品が疑われます。
派手な色をどんどん上へ重ねて集めていくやり方は欲望の表現です。
行き過ぎた欲望は、いつでも下品です。
品のいい大人は、少ない色で満足できるということを知っているはずです。
☆写真は、派手な色のものをシックに見せる好例。靴やタイツまで同系色にして、さし色の割合を少なく、全体を2色にまとめています。この色の割合がポイントです。