今年、シルエットが変わってしまったことは、たびたび説明してきましたが、
変わったのはシルエットだけではありません。
最終的にでき上がる印象に、軽さが求められるようになりました。
軽さを表現するにはさまざまな方法があります。
まず1つは抜け感、
次に明るい色を使うこと、
そして、もう1つが、透け感のある素材を使う方法です。
ビッグ・シルエットで、しかも布の分量自体もふえてきた今年から、
軽さを表現するために、多くの透けている素材が使われるようになりました。
それは、
レース、
シフォン、
オーガンジー、
すかし編みのニットなどです。
布が分量がふえると、どうしても印象が重くなってきます。
実際、布自体がふえているのですから、着ているものも重くなるでしょう。
けれども、これからは、それがあたかも軽いかのような印象を与えるように見せることが重要になってきます。
そのために、全体のコーディネイトに何か1つ、透けている素材のものを投入するだけで、印象が軽くなり、今風になります。
それはブラウスでもスカートでもスカーフでも、何でも構いません。
ほんの少しの味付けで、全体の印象を変えることは可能です。
透け感のある素材は、同時にロマンチックも表現できます。
たとえば、トレンチコートもレースで作れば、ロマンチックです。
どんなものでも、ロマンチックにしてしまう力が透け素材にはあります。
軽さ、ロマンチック、どちらもこれからの時代にふさわしいものです。
例えば、透け感は黒一色のコーディネイトを作るときにも力を発揮します。
黒はそれ自体、重く見える色ですが、
ブラウスをオーガンジーにするだけで、軽くすることができます。
透ける素材というものは、肌そのものを見せません。
透けるのではなく、肌そのものを見せたら、もっと軽くなるのではないかと考えるかもしれませんが、
それは違います。
天女を思い出してください。
天女は羽衣があるからこそ、空を飛べるのであって、
裸では空を飛べません。
透けている素材を身につけることによって、軽くなり飛べるのです。
裸では、重すぎるのです。
そしてもう一つ、透けている素材のメリットは、
そこはかとなく色気を感じさせることができることです。
これも、やたらと肌を露出した、あからさまで即物的な色気とは違います。
隠しているからこそ、色気が出ます。
見えそうで見えない、その葛藤がセクシーなのです。
全部見せてしまったら、わかってしまったらだめなのです。
前から何度も書いてますが、ファッションで重要なのは印象です。
ですから、軽さと言っても、実際に体が軽い必要はありません。
いかに軽そうに見せるか、それだけの問題です。
体重が実際に重い方は、この透け感を大いに利用したらいいと思います。
西洋絵画に描かれた女神たちの実際の体重は、重いでしょう。
けれども、透けているドレープの衣装を身につけているからこそ、その体重を感じさせません。
これが、真っ黒で固いウールのコートだったら、本当に重く見えてしまいます。
見た目の軽さが重要です。
今風に見せるために、すべてのワードローブを総入れ替えする必要はありません。
そのときそのときでポイントがあります。
それをうまく取り入れていけば、それらしくなります。
その1つが透けている素材だということです。
来年の春夏あたりから、多くのアイテムが市場に出てくることでしょう。
そうすれば、今よりもっと自分にふさわしいものが選べるようになります。
ロマンチックで、そこはかとない色気、はかなく壊れそうな繊細さ、優しさ、
透けている素材には今まで私たちがあまり重要視していなかった魅力がたくさんあります。
決して、強い女性ではありません。
戦う女性でもありません。
けれども、そこには甘い夢と、癒しの力があります。
忘れてしまった夢を取り戻すように、レースを選んでみましょう。
オーガンジーのブラウスに袖を通してみましょう。
眠り姫が長い眠りから目覚めるように、
その夢は目覚めるかもしれません。
そして、それが夢ではなくて、現実になるのだと、再び確信できるかもしれません。
それは効率でも、実用でもありません。
何の役にも立ちません。
けれども、繊細な弱いものだけが持っている、はかない力をあなどってはいけません。
イマジネーションの力を馬鹿にしてはいけません。
なぜなら、それこそが、あなたを 夢見た場所へ連れて行ってくれるものだからです。
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2012年11月26日月曜日
2012年11月19日月曜日
コピー商品がコピーしきれないもの
ファッションの世界では、デザインをコピーしたものが多く出回っています。
服、バッグ、靴、すべてにおいてそうです。
実際、それはあまりにもあからさまな方法で行われます。
実は、私が以前、勤めていたアパレル企業(しかも一部上場企業)も、多くのコピー商品を作っていました。
やり方はこんなふうです。
まず、市場調査と称して、デザイナーやマーチャンダイザーと呼ばれる人たちが、有名デザイナーの服を買ってきます。
私がいたころは、わざわざパリまで行って買ってきていました。
そして、それを会社に持って帰ります。
そして、こう指示するわけです。
生地から、デザインから、何から何まで同じものを作れ、と。
彼らはそれをマーケッティングと呼びます。
これをほかの分野でやったら盗作です。
または、法律違反です。
どちらにしても、誇れるような行為ではありません。
恥ずべき行為です。
それを分別がありそうな、いい年の大人が堂々とやるわけです。
マーケッティングという名のもとにおいて。
では、なぜこんなことをするのでしょうか。
まず、無知だからです。
デザイン能力がないからです。
他人の権利に無頓着だからです。
恥という概念が欠如しているからです。
けれども、一番大きいのはこれです。
自分たちで苦労して一から何か作る努力をせずに、
楽して儲けたいからです。
彼らは、全く同じものを作れと下の者に指示を出します。
しかし、実のところ、全く同じものというわけにはいきません。
まずサイズの問題。
外国のパターンは、日本と違って、サイズに対する許容範囲が大きいらしく、
たとえば、日本の9号サイズを作ろうとしたら、
ウエストが細すぎたり、アームホールが小さすぎたりします。
そのままでは、日本の工業用ボディの9号に、どこもしわもなく、
ぴったり服にはならないのです。
ですから修正が入ります。
ウエストを大きくし、ダーツの位置を変えます。
アームホールも大きくするので、袖の太さも変わってしまいます。
つぎにコストの問題です。
たとえば、シルクのブラウスを買ってきて、そのまま作れと言ったとします。
けれども、実際、シルクはコストがかかりすぎるので、ポリエステルに変更します。
プリントの柄まで同じものにしろと指示があった場合、
生地屋さんにそのように発注するのですが、
シルクとポリエステルでは発色も違いますし、見た目も同じではありません。
上がってきた生地は、似てはいますが、同じものにはなりません。
その後、サンプルを作ります。
すると彼らは、それがたくさん売れるために、次々、修正を加えていきます。
ポケットがなかったら不便だと、ポケットを追加する、
ダーツが2本だと工賃が高くなるので、ダーツを1本に変える。
そうやって、最終的な商品ができ上がるわけですが、
その時点では、もうオリジナルのよかった点は消えています。
そのウエストのバランスが、
その2本のダーツが、
その生地の質感がよかったのに、
それが何一つ残っていません。
楽して儲けるために同じものを作ったつもりでも、結果的にできたものは、
つまらない、安っぽい服です。
なぜ、つまらなくなったのか。
それは、そこにデザイナーが服に込めた魂がなくなったからです。
魂を抜いた服に、新たに楽して儲けたいという気持ちを込めて作られた服が、
よい服なわけがありません。
そんな服を着ても、心が動くわけがありません。
もともと、コピー商品が多くなるようになったきっかけは、シャネルの発言だと言われています。
彼女が、私の服をコピーしてもかまわない、というようなことを言ったらしく、
それ以来、洋服のデザインをコピーして、誰かが訴えるなどということはありません。
それは黙認状態で、当たり前だと思われています。
シャネルの真意はわかりませんが、
たぶん、彼女は知っていたのでしょう。
いくらコピーしようとしても、自分の魂が入った服を他人が作れるわけがないということを。
もちろん、本当の意味で、服にオリジナルなどないです。
袖があって、身ごろがあって、ダーツをとってなど、
原型はもう既にあります。
しかし、デザイナーたちは、その原型の上に、
そのときの時代の気分を入れ込みます。
ウエストの1センチ、肩幅の5ミリ、ダーツの3ミリを細かく決定していきます。
そして、ぴったりバランスがとれるポイントを見つけるわけです。
それがデザインです。
今、自分がわくわくするような、魂がおどるようなポイントの発見、
それがデザインとなるのです。
当然のことながら、魂の入っていない服を着ても、素敵には見えません。
どんなに小さい規模でも、自分の心をこめて作っている服のほうが、
よっぽど人を素敵に見せます。
それは魂を抜かれて大量に作られた服には、できないことです。
服を選ぶときには、そのことに注意してください。
作られた意図を見抜くのです。
すべての作られたものには、意図があります。
それはあなたを利用して儲けようとするために作られたものなのか、
それとも、あなたを素敵に見せるために作られたものなのか、
見分ける目を、
かぎわける鼻を磨いてください。
それは訓練によってのみ、可能となります。
魂を抜かれた服には、独特の雰囲気があります。
デザインのポイントがはっきりしない、
シルエットにめりはりがない、
安っぽい、
何かが足りない感じがする、
生き生きとした感じがない。
それは、よく道端で売っている、名画をコピーした絵画と同じです。
見た目は似ているけれども、それを見ても感動はしません。
服に対しても、同じように見るのです。
この服は本当に感動するか、しないのか。
もし、買ってはみたけれども、着ても心が踊らない服ならば、
それは魂を抜かれた服かもしれません。
魂を抜かれた服は、こんど、あなたからエネルギーを吸い取ります。
そして、あなたは疲れていきます。
そんな服は選ばないように、
くれぐれも気を付けてください。
あなたにエネルギーを与える服だけが、あなたを輝かせるということは自明の理です。
服、バッグ、靴、すべてにおいてそうです。
実際、それはあまりにもあからさまな方法で行われます。
実は、私が以前、勤めていたアパレル企業(しかも一部上場企業)も、多くのコピー商品を作っていました。
やり方はこんなふうです。
まず、市場調査と称して、デザイナーやマーチャンダイザーと呼ばれる人たちが、有名デザイナーの服を買ってきます。
私がいたころは、わざわざパリまで行って買ってきていました。
そして、それを会社に持って帰ります。
そして、こう指示するわけです。
生地から、デザインから、何から何まで同じものを作れ、と。
彼らはそれをマーケッティングと呼びます。
これをほかの分野でやったら盗作です。
または、法律違反です。
どちらにしても、誇れるような行為ではありません。
恥ずべき行為です。
それを分別がありそうな、いい年の大人が堂々とやるわけです。
マーケッティングという名のもとにおいて。
では、なぜこんなことをするのでしょうか。
まず、無知だからです。
デザイン能力がないからです。
他人の権利に無頓着だからです。
恥という概念が欠如しているからです。
けれども、一番大きいのはこれです。
自分たちで苦労して一から何か作る努力をせずに、
楽して儲けたいからです。
彼らは、全く同じものを作れと下の者に指示を出します。
しかし、実のところ、全く同じものというわけにはいきません。
まずサイズの問題。
外国のパターンは、日本と違って、サイズに対する許容範囲が大きいらしく、
たとえば、日本の9号サイズを作ろうとしたら、
ウエストが細すぎたり、アームホールが小さすぎたりします。
そのままでは、日本の工業用ボディの9号に、どこもしわもなく、
ぴったり服にはならないのです。
ですから修正が入ります。
ウエストを大きくし、ダーツの位置を変えます。
アームホールも大きくするので、袖の太さも変わってしまいます。
つぎにコストの問題です。
たとえば、シルクのブラウスを買ってきて、そのまま作れと言ったとします。
けれども、実際、シルクはコストがかかりすぎるので、ポリエステルに変更します。
プリントの柄まで同じものにしろと指示があった場合、
生地屋さんにそのように発注するのですが、
シルクとポリエステルでは発色も違いますし、見た目も同じではありません。
上がってきた生地は、似てはいますが、同じものにはなりません。
その後、サンプルを作ります。
すると彼らは、それがたくさん売れるために、次々、修正を加えていきます。
ポケットがなかったら不便だと、ポケットを追加する、
ダーツが2本だと工賃が高くなるので、ダーツを1本に変える。
そうやって、最終的な商品ができ上がるわけですが、
その時点では、もうオリジナルのよかった点は消えています。
そのウエストのバランスが、
その2本のダーツが、
その生地の質感がよかったのに、
それが何一つ残っていません。
楽して儲けるために同じものを作ったつもりでも、結果的にできたものは、
つまらない、安っぽい服です。
なぜ、つまらなくなったのか。
それは、そこにデザイナーが服に込めた魂がなくなったからです。
魂を抜いた服に、新たに楽して儲けたいという気持ちを込めて作られた服が、
よい服なわけがありません。
そんな服を着ても、心が動くわけがありません。
もともと、コピー商品が多くなるようになったきっかけは、シャネルの発言だと言われています。
彼女が、私の服をコピーしてもかまわない、というようなことを言ったらしく、
それ以来、洋服のデザインをコピーして、誰かが訴えるなどということはありません。
それは黙認状態で、当たり前だと思われています。
シャネルの真意はわかりませんが、
たぶん、彼女は知っていたのでしょう。
いくらコピーしようとしても、自分の魂が入った服を他人が作れるわけがないということを。
もちろん、本当の意味で、服にオリジナルなどないです。
袖があって、身ごろがあって、ダーツをとってなど、
原型はもう既にあります。
しかし、デザイナーたちは、その原型の上に、
そのときの時代の気分を入れ込みます。
ウエストの1センチ、肩幅の5ミリ、ダーツの3ミリを細かく決定していきます。
そして、ぴったりバランスがとれるポイントを見つけるわけです。
それがデザインです。
今、自分がわくわくするような、魂がおどるようなポイントの発見、
それがデザインとなるのです。
当然のことながら、魂の入っていない服を着ても、素敵には見えません。
どんなに小さい規模でも、自分の心をこめて作っている服のほうが、
よっぽど人を素敵に見せます。
それは魂を抜かれて大量に作られた服には、できないことです。
服を選ぶときには、そのことに注意してください。
作られた意図を見抜くのです。
すべての作られたものには、意図があります。
それはあなたを利用して儲けようとするために作られたものなのか、
それとも、あなたを素敵に見せるために作られたものなのか、
見分ける目を、
かぎわける鼻を磨いてください。
それは訓練によってのみ、可能となります。
魂を抜かれた服には、独特の雰囲気があります。
デザインのポイントがはっきりしない、
シルエットにめりはりがない、
安っぽい、
何かが足りない感じがする、
生き生きとした感じがない。
それは、よく道端で売っている、名画をコピーした絵画と同じです。
見た目は似ているけれども、それを見ても感動はしません。
服に対しても、同じように見るのです。
この服は本当に感動するか、しないのか。
もし、買ってはみたけれども、着ても心が踊らない服ならば、
それは魂を抜かれた服かもしれません。
魂を抜かれた服は、こんど、あなたからエネルギーを吸い取ります。
そして、あなたは疲れていきます。
そんな服は選ばないように、
くれぐれも気を付けてください。
あなたにエネルギーを与える服だけが、あなたを輝かせるということは自明の理です。
2012年11月12日月曜日
今の時代のシルエット
今日はシルエットについてのレクチャーです。
流行にはいろいろな要素があります。
流行りの色、流行りのアイテム、流行りのブランドなど。
けれども、その中でも一番大きな要素はシルエットです。
その時代のシルエットというものがあり、
そこから外れると、流行遅れに見えます。
そして、そのシルエットは、色、アイテム、ブランドよりは長く続くものです。
流行のメインストリームと言えます。
さて、2012年になって、大きくシルエットが変わりました。
単に、ビッグシルエットと呼ばれていますが、
そんな簡単なものではありません。
ビッグシルエットというと、80年代から90年代に流行りましたが、
今年から始まったビッグシルエットは、それとは明らかに違います。
流行にはいろいろな要素があります。
流行りの色、流行りのアイテム、流行りのブランドなど。
けれども、その中でも一番大きな要素はシルエットです。
その時代のシルエットというものがあり、
そこから外れると、流行遅れに見えます。
そして、そのシルエットは、色、アイテム、ブランドよりは長く続くものです。
流行のメインストリームと言えます。
さて、2012年になって、大きくシルエットが変わりました。
単に、ビッグシルエットと呼ばれていますが、
そんな簡単なものではありません。
ビッグシルエットというと、80年代から90年代に流行りましたが、
今年から始まったビッグシルエットは、それとは明らかに違います。
そこで上の図をごらんください。
一番左が1984年~1998年ごろまでのシルエット。
真ん中が1999年~2011年までのシルエット。
そして、一番右が 2012年から、たぶん、2025年ごろまで続くであろうシルエットです。
まず、80年代中ごろから90年代にかけてのシルエットですが、
これが当時、ビッグシルエットと呼ばれたものです。
特徴は、とにかく全体のシルエットが四角くなること。
そのために肩パッドも入れましたし、コートはロングで、重く裾広がりでした。
全体の雰囲気はマスキュリン、つまり男性的です。
次は、1999年ごろから、去年までです。
シルエットは縦に長く細くのびていきました。
上半身も下半身もタイト。ぴちぴちのTシャツにスキニ―ジーンズ、スーパーハイヒールがこの時代の象徴的なスタイルでしょう。
ケイト・モスが注目され始めたのもこのころからです。
どちらかというと、男性でも女性でもない、中性的なイメージでした。
そして、2012年は一番右になります。
これからのビッグシルエットは、この絵のように楕円形です。
ビッグではあっても、上と下は小さく、丸くします。
そのために、いかつい肩パッドは抜きますし、
足もとをクロップトにしたり、ボトムのすそを短くします。
コートだったら、コクーンシルエットにしますし、
ポンチョやケープといった、体の真ん中あたりにボリュームが出るシルエットのものが流行ります。
全体の雰囲気はフェミニンでロマンチックです。
もう一度、図をごらんください。
左側に矢印を入れてあります。
これは、そのシルエットが指向する重心のポイントです。
80年代から 90年代は、全体の重心を下へ下へと持っていきました。
地上志向とでもいうのでしょうか。
目に見える、実質的な価値というものを大事にした時代です。
お金、キャリア、ブランドなどが重要視されました。
そのため、まさに地に足のついた感じのする、重厚な靴で全体のバランスをとりました。
黒くてごついメンズライクのフラットシューズがその代表です。
2000年代から去年まで、重心は、その前の流れの反動で、上と下に引っ張られました。
だから、ヒールはどんどん高くなっていきました。
上も同時に目指していましたので、髪の色が一気にブラウンになりました。
ブラックでは重すぎたのです。
金髪に近い髪の色とスーパーハイヒール、これがこの時代の特徴です。
ただし、全身のバランスの重心ポイントは分散されて、どこかを強調するということはありませんでした。
最後に2012年以降ですが、重心のポイントは上方向だけになります。
とにかく上を目指します。
それ以前の、上下に引っ張られて、重心のない、まっすぐなラインから、
どこか上の部分が強調されるような重心のポイントに変わります。
そのラインは体のほぼ真ん中、あるいはその上です。
そのために、フラットシューズをはくにしても、80年代のような地上志向の靴ではありません。
それは、まさにバレエシューズに代表される、
軽やかさを持ったフラットシューズということになります。
ちなみに、ここまでの分析は私がしたものです。
ほかの誰も言っていませんし、書いてもいません。
私がシルエットの推移を観察した結果、見つけたものです。
では、具体的にこの2012 年からの気分のシルエット、どうやって取り入れたらいいでしょうか。
まず、上の図にあるように、全体のシルエットを楕円形の卵型になるように作りましょう。
そのためには、いかつい肩パッドは抜く必要がありますし、
あまりに裾が重たく広がっているものも避けなければなりません。
足もとはボトムをクロップトにしてみたり、コクーンやバルーンにしたり、
軽く、小さくなるようにします。
そしてもう一つ、シルエット全体に軽やかさが必要です。
たとえば、同じ布の分量でも、黒と白では軽さが違います。
黒い、四角い、分量が多いだと80年代になりますが、
白い、丸い、分量が多いだったら、2012年以降の気分になります。
分量が多いとしても、オーガンジーやチュール、レース、
または明るい色だったら、大丈夫です。
そして、重心のポイントは体の真ん中より上になります。
だから、ミニのボトムが流行ります。
ボトムをミニにすれば、全体の重心は上がります。
黒いタイツと靴だとしても、ミニ丈ならば、重心を上にあげ、
軽く見せることができるからです。
また、さきに挙げた、ケープ、ポンチョ類、そしてテントシルエットなど、
体の真ん中部分を大きくして、そこに重心を持ってくるシルエットのアイテムは、
これからも続きます。
大判のストールをまく場合でも、下に広げないで、首元でまとめるのが今の気分です。
帽子も大き目になってくるかもしれません。
全体としてイメージがわかない人は、バレリーナの衣装を思い浮かべてください。
あのバランスこそ、今の時代の気分です。
地上ではなく、天上を目指します。
地を這うようには歩きません。
80年代から90年代にかけて、ワンランク上などの、強固なブランド志向がありました。
しかし、その後、ワンランク上の幻想は崩れ、ファーストで横並びの、皆同じファッションが主流となりました。
そして今、目に見えない、そしてお金では買えない価値観を追及する時代に入りました。
やさしさや思いやり、夢や希望など、
お金にはならない、食えないものであると同時に、
お金で買おうとしても買えません。
あなたのやさしさや思いやりは、お金にはならないかもしれないし、
効率も悪いし、全くの役立たずかもしれない。
けれども、人間は、それなしでは生きていけません。
これからのファッションは、それらのことを表現することになります。
もちろん、この天上志向も、行き過ぎた暁には戻ることになります。
せめてそれまでの間、今の気分を楽しみましょう。
お金にはならないと否定され続けたものを、再び生き返らせましょう。
そしてそのほとんどを担うのは、やはり人間のフェミニンの部分なのです。
笑顔も、あいさつも、気配りも、非効率も、
レースも、フリルも、オーガンジーも、何の役にも立ちませんし、お金に換算することはできません。
役には立たないものでも、力はあります。その力を、今、よみがえらせましょう。
世界は、もう既に、それなしでは成り立たなくなっているのですから。
2012年11月5日月曜日
巻きもの
マフラー、ストール、スカーフなど、
今では一年中を通して身につけますが、
なんといっても出番が多いのは、
実用的な目的も兼ねた、秋冬ではないかと思います。
ワードローブがシンプルになればなるほど、
また、定番と言われているもので構成されればされるほど、
小物の重要度は高くなります。
なぜなら、小物こそが、あなたらしさを表現する道具となるからです。
マフラー、ストール、スカーフなどの巻きものを選ぶ場合の基準は、
色、
大きさ、
素材となると思います。
やはり一番目につくのは色です。
巻きもので使う色は、
全体のコーディネイトの要となります。
ここで妥協してしまうと、すべてがだめになります。
同じブルーを選ぶにしても、
何種類ものブルーがあります。
自分に一番必要な色はどの色なのか、慎重に見極めましょう。
色の選択が成功すれば、半分は成功したのと同じです。
次に大きさです。
大きさは、全体のコーディネイトのバランスの中で決まります。
マフラーの幅と長さ、
スカーフの四角の一辺の長さ、
ストールの全体の分量など、
必ず全身がうつる鏡でチェックしてください。
ふさわしい大きさは身長によっても変わりますし、
もちろん髪型によっても違いますし、
選んだ色によっても違います。
単純に、身長が高いから大きいもの、長いものがよいという話ではありません。
たとえば、全身黒のスタイルに赤を持ってくるとします。
その場合、赤がどれだけの分量見えるのが一番いいかは、
人それぞれ違います。
もちろん、ほかのアイテム、たとえば靴やバッグとの兼ね合いもあります。
必ず全体のバランスをチェックしましょう。
最後は素材です。
これは案外見落とされがちではないかと思います。
もちろん、肌触りのよさのみを重視して、巻きものを選択するということもあります。
しかし、素材の質感によって、
色や重量感が全く違って見えてきますので、そこは注意が必要です。
同じブルーでもシルクのブルーと、ウールのブルー、ナイロンのブルーは違うのです。
これは光の反射具合が違うところからきています。
そして、素材の違いによって、品のよさも変わってきます。
ある程度、大人でしたら、あまりに安い素材のものは、お勧めできません。
特に黒は危険です。
ウールの黒は、いい素材と悪い素材で、全く色の出方が違います。
これは店頭の照明だとわかりにくいのですが、
太陽光の下にさらされると、てきめんにあらわれます。
安いものは、安い光り方をするのです。
注意してください。
逆に、柄物は、黒ほどはっきりと素材感がわかりません。
これらすべて、自分で試行錯誤していろいろ実験してみないと、
どこがいいポイントなのかわかりません。
自分、ワードローブ、巻きもの、そして自分のまわりの世界、
これらをじっくり観察してみないことには、
ストライクゾーンを発見することはできません。
そして、そのストライクゾーンは、少しずつですが、日々変化します。
それは、そのときの流行であったり、自分の気持ちの変化であったり、
あるいはお天気であったりと、いろいろな理由からです。
たとえば、今年らしいバランスとはどんなものかを知るためには、
自分のまわりの世界の観察が必須です。
自分が気分よくなる色を知るためには、
自分の気持ちの観察が必須です。
誰かが1度アドバイスをして、確かにそのときはそれがよかったとします。
けれども、それだって、永遠ではありません。
いつでも、そのポイントは変化しているのです。
たぶん、去年の冬と今年の冬では違います。
去年と違う髪型だったら、今年はもう違います。
去年と違うチークを選んだとしても、もうそれだけで違います。
その変化を見極めるには、毎日、丁寧に自分やまわりの世界を観察していく以外、
方法はありません。
それは、毎日、天気予報をチェックするのと同じように、
常にチェックしなければなりません。
毎日の変化をとらえて、
それにあわせて変えていく。
去年と同じマフラーをするにしても、
今年らしい色のバランスで、
今年らしい巻き方で、
今年らしい気分で、
少しずつ変えていく。
そうやって見つけたポイントが、あなたらしさになります。
その努力は無駄ではありません。
誰かに素敵だね、と言わなくても、
それは続けてください。
その変化に気づいているのがあなただけだとしても、
世界が変わっているようには全く見えなくても、
明らかに、あなたは進歩します。
住む世界が変わります。
そして、そうした努力を積み重ねていけば、
誰だって、おしゃれになれるのです。
今では一年中を通して身につけますが、
なんといっても出番が多いのは、
実用的な目的も兼ねた、秋冬ではないかと思います。
ワードローブがシンプルになればなるほど、
また、定番と言われているもので構成されればされるほど、
小物の重要度は高くなります。
なぜなら、小物こそが、あなたらしさを表現する道具となるからです。
マフラー、ストール、スカーフなどの巻きものを選ぶ場合の基準は、
色、
大きさ、
素材となると思います。
やはり一番目につくのは色です。
巻きもので使う色は、
全体のコーディネイトの要となります。
ここで妥協してしまうと、すべてがだめになります。
同じブルーを選ぶにしても、
何種類ものブルーがあります。
自分に一番必要な色はどの色なのか、慎重に見極めましょう。
色の選択が成功すれば、半分は成功したのと同じです。
次に大きさです。
大きさは、全体のコーディネイトのバランスの中で決まります。
マフラーの幅と長さ、
スカーフの四角の一辺の長さ、
ストールの全体の分量など、
必ず全身がうつる鏡でチェックしてください。
ふさわしい大きさは身長によっても変わりますし、
もちろん髪型によっても違いますし、
選んだ色によっても違います。
単純に、身長が高いから大きいもの、長いものがよいという話ではありません。
たとえば、全身黒のスタイルに赤を持ってくるとします。
その場合、赤がどれだけの分量見えるのが一番いいかは、
人それぞれ違います。
もちろん、ほかのアイテム、たとえば靴やバッグとの兼ね合いもあります。
必ず全体のバランスをチェックしましょう。
最後は素材です。
これは案外見落とされがちではないかと思います。
もちろん、肌触りのよさのみを重視して、巻きものを選択するということもあります。
しかし、素材の質感によって、
色や重量感が全く違って見えてきますので、そこは注意が必要です。
同じブルーでもシルクのブルーと、ウールのブルー、ナイロンのブルーは違うのです。
これは光の反射具合が違うところからきています。
そして、素材の違いによって、品のよさも変わってきます。
ある程度、大人でしたら、あまりに安い素材のものは、お勧めできません。
特に黒は危険です。
ウールの黒は、いい素材と悪い素材で、全く色の出方が違います。
これは店頭の照明だとわかりにくいのですが、
太陽光の下にさらされると、てきめんにあらわれます。
安いものは、安い光り方をするのです。
注意してください。
逆に、柄物は、黒ほどはっきりと素材感がわかりません。
これらすべて、自分で試行錯誤していろいろ実験してみないと、
どこがいいポイントなのかわかりません。
自分、ワードローブ、巻きもの、そして自分のまわりの世界、
これらをじっくり観察してみないことには、
ストライクゾーンを発見することはできません。
そして、そのストライクゾーンは、少しずつですが、日々変化します。
それは、そのときの流行であったり、自分の気持ちの変化であったり、
あるいはお天気であったりと、いろいろな理由からです。
たとえば、今年らしいバランスとはどんなものかを知るためには、
自分のまわりの世界の観察が必須です。
自分が気分よくなる色を知るためには、
自分の気持ちの観察が必須です。
誰かが1度アドバイスをして、確かにそのときはそれがよかったとします。
けれども、それだって、永遠ではありません。
いつでも、そのポイントは変化しているのです。
たぶん、去年の冬と今年の冬では違います。
去年と違う髪型だったら、今年はもう違います。
去年と違うチークを選んだとしても、もうそれだけで違います。
その変化を見極めるには、毎日、丁寧に自分やまわりの世界を観察していく以外、
方法はありません。
それは、毎日、天気予報をチェックするのと同じように、
常にチェックしなければなりません。
毎日の変化をとらえて、
それにあわせて変えていく。
去年と同じマフラーをするにしても、
今年らしい色のバランスで、
今年らしい巻き方で、
今年らしい気分で、
少しずつ変えていく。
そうやって見つけたポイントが、あなたらしさになります。
その努力は無駄ではありません。
誰かに素敵だね、と言わなくても、
それは続けてください。
その変化に気づいているのがあなただけだとしても、
世界が変わっているようには全く見えなくても、
明らかに、あなたは進歩します。
住む世界が変わります。
そして、そうした努力を積み重ねていけば、
誰だって、おしゃれになれるのです。