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2016年4月19日火曜日

ラグジュアリー・スポーツウエア

スポーツウエアがファッションに取り入れられるようになって久しいですが、
ここへきて「ラグジュアリー・スポーツウエア」と呼ばれるカテゴリーがあらわれました。
「ラグジュアリー・スポーツウエア」とは何か。
言うならば、高級な素材を使った、主にハイブランドにより発表されたスポーツウエア、
つまり、本物のスポーツマン、スポーツウーマンのためのものではなく、
あくまでスポーツウエアのスタイル、デザイン、細部を取り入れた、
日常着としてのスポーツウエアのことです。

スポーツウエアのスタイルとは何か。
まず最初にジャージで作られていること、
そして袖口や襟に使われたニット素材、
パンツの脇や、袖山線のストライプ、
足元のスリットのファスナー、
ポロカラー、
ファスナーによる前あきなどの細部が取り入れられたものです。

ファッション全体のカジュアル化の流れの一環として出てきた、
この「ラグジュアリー・スポーツウエア」ですが、
取り入れ方は、いつものカジュアルをおしゃれ着として取り入れる方法と同じです。

よりおしゃれに見せるためには、素材が高級なものを選ぶこと、
または、そのほかのあわせるアイテムはスポーツ・ウエアとは程遠い、
例えばテイラードジャケットと、かっちりしたレースアップシューズ、
もしくはシルクやレースのランジェリースタイルのドレスときゃしゃなサンダルやハイヒールなどを、
あえてあわせるという方法です。

実際のところ、必ずしもスポーツウエアそのものがラグジュアリーである必要はありません。
スポーツ・ブランドが出しているデザイナーズのウエアでもちろん可。
アディダス、プーマ、ナイキなどのスポーツウエアのショップには、
スポーツには不向きと思えるおしゃれなウエアが売られています。
これなら、誰にでも手の届く値段で調達することができます。

唯一つ、注意点はあります。
スポーツウエアは、ほとんどがジャージと呼ばれるニット素材です。
ニット素材ですから、確かに楽ですし、リラックスできます。
しかし、逆に言うと、それだけ身体のラインが強調されますから、
身体のラインに自信がない人は取り入れ方に工夫が必要です。
全身をジャージやカットソーでかためるのを避け、
かっちりた布帛のジャケットなど、かたいものを必ずあわせてください。
間違っても、上下ジャージや、上下スウエットでは外出しないこと。
部活帰りの中学生ではないのですから、
同じことをしてはいけません。

ファッションとは、いつもこうなのです。
いつでも新しい何かを探しています。
それが今回はたまたまスポーツウエア、特に日本で「ジャージ」と呼ばれている、
あの白いストライプのセットアップなのです。
そしてそれを著名なデザイナーが、パリコレのランウェイで発表すれば、
今まで「ダサい」と呼ばれていたものが、次の日からは「おしゃれ」へと変化します。

ただしこれを「ダサい」と見るか、「おしゃれ」と見るかは、
その人の視点がどこにあるかによって変わってきます。
都会に住む、ファッションに詳しい人が見たら、それは「おしゃれ」であるでしょうが、
田舎に住む、ファッションとは無縁に生きている人から見たら、
それは相変わらず「ダサい」スタイルです。

提案されたスタイルが、すべての人の眼に「おしゃれ」に見えるようになるまでには、
それ相当の時間がかかります。
まず一部の人が認識し、それは「ファッション」になり、
次に多くの人が着始めて、それは「流行」になり、
すべての人に行きわたったときに、それは「流行遅れ」となります。
この上流から下流までの流れは、通常3年から4年かかります。
そしてそれをどこで誰が見るかによって、
それが「おしゃれ」かどうかは違ってくるのです。

「ラグジュアリー・スポーツウエア」を今の時点で取り入れているのは、
ごくごく少数派のおしゃれに敏感な人たちだけです。
それがすべての人に行きわたるのは、ざっと4年後。
どの時点で取り入れるかは、
その人の住んでいる地域、
ライフスタイル、
そして何よりも、人生のスタイルによって変わってくるでしょう。

流行とは、その字が示すとおり、まさに時間の流れです。
その流れのどこに立つか、いつを選ぶかは、
それぞれの選択に任されています。



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