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2017年8月17日木曜日

買っても買っても満足できないあなたへ

いつでもあなたは探していました。
どこへでも連れていってくれる靴を。
誰もが認めるバッグを。
幸せになるドレスを。

あなたはその人の言葉を信じていました。
その靴はどこへでも連れていってくれると。
そのバッグを持てば、誰からも認められると。
そのドレスさえ着れば、幸せになれると。

そうしてあなたは買いました。
その靴を履いてどこへでも好きなところへ行けるだろうと。
そのバッグを持てば、誰からも称賛されるだろうと。
そのドレスを着れば、幸せになるだろうと。

そう信じているにもかかわらず、
あなたはまた落ち込むのです。
昼間あんなに輝いて見えた靴も、
夜、自分の部屋へ戻って、蛍光灯の下で見たときは、
もう既に魔法が解けて、何の変哲もない普通の靴になっています。

きっとこれは何かの間違いだと、
どこかで自分が勘違いしたのだと、
あなたは自分を責めます。
なぜなら、あの人の言うことは正しいのだから、
間違うはずは、ないのだから。

けれども、余りにもそんなことが続くと、
次は、信じるその人をかえてみます。
付き合った恋人が悪かったため、自分が不幸せになった、
あのときと同じように、
信じる相手をかえれば、何もかもうまくいくと考えます。
こんどこそきっとうまくいくと。
次は絶対に失敗しないと。

しかし、何枚買っても、何足買っても、一向に欲しいものは得られません。
気分の上昇は、同じだけの落ち込みをもたらします。
何度もそれを繰り返すうちに、もはやそこには何の喜びも感じられません。
ひどい落ち込みと罪悪感と、頭の中の止まらない自分を責める声。

そのうちに思い出すのです。
小さいころ、あなたがお気に入りのドレスを着て踊っていたとき、
お母さんがあなたに向けた冷たい視線を。
または、「お姉ちゃんはかわいいのに、あなたはかわいくないね」と言った、
あの言葉を。
そしてそれを聞いたお父さんは、何も言ってくれなかったことを。
お父さんが、かわいいねと、言ってくれなかったあのときのことを。

もう自分ではわかりません。
何を着たら、お父さんがかわいいと言ってくれるか、全くわかりません。
そして、ずっとわからないまま、あなたは大人になりました。

だからそれを教えてくれるあの人を信じたのです。
あの人がお勧めする、そのドレスさえ着れば、幸せになれると信じたのです。
けれども、その試みは失敗しました。
得られたのは見たくもない請求書とレシート。
そして、終わらない悪夢。

買ったたくさんの靴とバッグとドレスを見ても、
あなたは何も感じません。
どうしていいかもわかりません。
そしてあなたは途方に暮れました。
まるで、氷の道の上に立っているようです。
どこまでも続く、暗く、冷たく、かたい道を歩くような毎日。

あなたが本当に欲しかったのは靴でも、バッグでも、ドレスでもありませんでした。
あなたが本当に欲しかったのは、
お父さんに「かわいいね」って言われることでした。
あなたがどんな靴を履いていても、どんなバッグを持っていても、どんなドレスを着ていても、
それでもかわいいねと言ってくれる、お父さんの言葉でした。

あなたの本当のお父さんはそう言ってくれなかったので、
あなたは、そのドレスさえ着れば、誰かがそう言ってくれると信じたのです。
だけれども、そんな人はそう簡単にあらわれないのでした。
買っても買っても、そんな人はあらわれませんでした。
そうしてあなたは今日も、その渇望感で死にそうです。
どうしたらいいのでしょうか?
何かいい方法は、あるのでしょうか?

誰も言ってくれないのならば、あなたがあなたに言えばいいのです。
大人のあなたが小さなあなたに、
どんな靴を履いていても、どんなバッグを持っていても、どんなドレスを着ていても、
あなたはいつでもかわいいと、言ってあげればいい。
かけっこが遅くても、成績が悪くても、
あなたはいつでもかわいいと言ってあげればいい。
泣いていても、笑っていても、怒っていても、いつでもかわいいって、
自分で自分に言ってあげればいいのです。

そんなにたくさん買わなくていいのです。
どんな靴でも、どんなバッグでも、どんなドレスでもいいのです。
だってあなたはかわいいから。
誰も認めてくれなくったって(本当はそんなことありませんが)、
あなたは十分にかわいいから。
それは誰とも比べられないから。
そして、それは永遠に続くから。
疑いようもなく、それは真実だから。

※男子はドレスを「シャツ」に、かわいいを「かっこいい」にかえて読んでみてね!