日本の夏がだんだん亜熱帯地域のものと変わらなくなり数年が経過しました。
西洋の夏のための衣服は、はっきり言って、今の日本の気候には適しません。
気候は変わってしまった、けれども衣服はそれに追いついていない、
というのが現在の状況だと思います。
熱中症になるほどの暑い夏を過ごすには、
何かしら対策が必要です。
一つは、速乾性や冷感性を伴った機能性素材を使った衣服を選択すること。
暑さ対策にふさわしい素材を使ったアイテムは年々ふえてきていますから、
積極的にそれらを選ぶといいでしょう。
過去にはスポーツウエア、アウトドアウエアではよく使われていた素材も、
現在はごく一般的なウエアに使用されるようになりました。
もう一つ考えられるのは、暑い国や地域の衣服を取り入れることです。
インド、アフリカ、中南米など、地球上には暑い国や地域がたくさんあります。
そしてそれらの国や地域には、そのエリア特有の衣装があり、
そこに住む人たちはそれらを着ることによって、
暑さをしのいで生活しています。
暑い国や地域に住む人たちの知恵と工夫が詰まった衣服の取り入れは、
今後、ますます進むであろう地球温暖化ともあいまって、
ファッションの世界でも重要性を増してくるだろうと推察します。
ヨーロッパ以外の国や地域の衣服を、
エスニックスタイル、またはエスニックファッションと呼びます。
エスニックとはエスニシティの形容詞。
エスニシティとはアイデンティティ、歴史や文化の共有を示す人類学や社会学で使われる用語で、通常、日本語では民族性と訳されます。
エスニシティといったとき、特に東南アジアやインドをさすわけではなく、
広い意味での民族性がエスニシティです。
ですから、ヒスパニックというスペイン系をさすときもエスニシティは使われます。
ただし、ファッションの世界では、エスニックスタイルといったときはヨーロッパやアメリカ以外の民族性をさすことが多く、通常はアジア、中東、インドなどの国や地域の民族衣装をこう呼びます。
また最近では、特にアフリカ地域に限っては、トライブという言葉が使われたりしています。
ファッションの世界では現在、例えばトルコの衣装のカフタンや、インドのサリーなどをデザインソースにした、その国や地域の民族衣装のデザインを取り入れたもの、
もしくは、デザインはヨーロッパ、アメリカ、日本でなされて、インドその他、アジアやアフリカ地域で生産されたものの2種類があります。
この中で取り入れやすいのは後者のほうになります。
いろいろなブランドで、もう既にそういったアイテムが販売されているので、好みのものを取り入れればいいでしょう。
これらを着こなすときの注意点は、こちらのライフスタイルに引き寄せることです。
インドならインドのスタイルそのままだと、それはインドの風景にはよく似合いますが、
日本の日常生活には合いません。
全身をそのままにするのではなく、いつも着ているもの、例えばワンピースの下にジーンズやカーゴパンツをはいたり、靴はスニーカーにするなどするといいでしょう。
デザインがそれぞれ違うので、何をどうすればいいと、
ここにはっきり書くことはできませんが、とにかく自分がいつも着ていたり、はいたりしているものと合わせれば大丈夫です。
今年はヨーロッパ各地でも気温が40度を超えたとのこと。
暑い夏は今後もまだまだ続きそうです。
エスニックスタイルの衣服はあまり流行に影響されません。
毎年少しずつそろえていけば、自分なりの真夏のエスニックスタイルができ上がるでしょう。
今からちょっとずつエスニックスタイルの衣服を買いそろえて、
これからも続くであろう暑い夏に備えましょう。
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