服を着るのが何のためかと言えば、
まずは寒さ暑さをしのぐため、
そして、何かしらの目的を達成するためです。
何かしらの目的のほとんどは、嬉しい、楽しいといったポジティブな感情を得ることです。
寒さ暑さ、あるいは暴風雨や雪から身を守るため以外に何を着るかを選ぶとき、
最終的に自分がポジティブな感情を得られるかどうかが、
何を着るべきかを決めるときの指針になります。
例えば就職活動です。
最近の就職活動の様子を見てみると、女子のほとんどは黒いスカートとジャケットのスーツにストッキングにパンプスといういで立ちです。
そこには、自分に似合う色も、自分が好きなスタイルもありません。
似合うも好きもすべて放り出し、最終的に、
就職試験に合格して「嬉しい」という感情を得るために、そのルックは選ばれます。
資本主義経済の世界で生きるためにはお金が必要です。
そのお金を得るための職を得るということが就職活動中の学生の目標であり、
黒いスカートとジャケットのスーツとパンプスでその試験に臨むことにより、
合格の確率が上がるとされているのなら、学生たちがそのルックを選ぶのは当然です。
どんな服装をするかは、目的のための手段にすぎません。
いつも目的達成するためには、手段は固定的ではなく、いつでも可変なものにする必要があるのです。
それ以外の場面でも、最終的にポジティブな感情を得たいという目的は変わらないでしょう。
お出かけでも、通勤でも、観劇でも、同窓会でも、
自分が得たい感情のために手段である服装を決めなければなりません。
自分の気分をよくすることによって得られる楽しいという感情が大事なら、一番のお気に入りを着ればいいでしょう。
一日中その気分のまま過ごせるのなら、何ら問題はありません。
しかし感情は時間によって変化します。
例えば結婚の挨拶に相手のご両親に会うときです。
いつもはカジュアルなジーンズとTシャツが好きだとします。
自分らしくいれると感じるし、自分でも似合うと思うし、
他人からも「お似合い」と言われます。
しかし、ご挨拶にうかがうとき、ジーンズとTシャツよりも、コンサバなワンピースのほうが相手に好かれそうだなと考えるとしましょう。
その場合、ワンピースを着てみたら、気恥ずかしかったり、違和感を感じるかもしれません。
またそれは「全然似合っていない」と思うかもしれません。
けれども思い出してください。
最終的に欲しい感情は何でしょうか。
この場合だったら、結婚によって得られる「安心」や「喜び」ではないでしょうか。
目的はそちらです。
相手に安心の感情を持ってもらうことが自分の望む結果を導くのなら、
相手の視点に立って、自分の着るべき服装を考えます。
このときに達成したい目的を忘れてはいけないのです。
目的達成のためには手段としての服装はいくらでも変えていいし、変えるべきなのです。
わざわざ嫌な思い、悲しい思いをしたい人はほとんどいないでしょう。
何を着ていくかで、そのネガティブな感情を経験することが避けられるなら、
積極的に、ポジティブな感情が得られるほうの服装を選べばいいのです。
ただしこれをするには条件があります。
まず一つ目は、自分の感情がはっきりと認識できていること。
そして次には、自分の目標がしっかり定まっていることです。
まず確認すべきなのはこの2つのポイントであり、
何を着るかを決めるのは、その後のことになります。
おしゃれなどというものは、目的達成のための手段にすぎないのです。
いずれにしても、自分の感情も目標も他人にはわかりません。
嬉しいと感じているのか、悲しいと感じているのか、
他人からは見ただけではわからない。
そしてその人が何を人生の目標として生きているのかという心のうちも、
多くの場合、他人が知り得ないことです。
自分の感情も目標も、自分に聞いてみてください。
それがわかったら、
今日は何を着ていくべきか、それに基づいて決定してください。
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