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2011年11月7日月曜日
ロマンチックをひとさじ
久々に、所用で表参道へ行きました。
雑誌のインタビューで、外国から来たデザイナーが、青山は昔ほどおしゃれな街ではなくなった、というようなことを言っていましたが、それは私も感じます。
私が表参道あたりで働いていた、90年代は、それこそ、全身、最新流行ファッションに身を包んだ大人たちが、あたかもそこが映画の1シーンであるかのごとく、颯爽と歩く街でした。
しかし、日本の不景気とともに、そのパワーはだんだんと弱まり、
現在は、よく言えば力の抜けた、悪く言えばパワーのない、外国ブランドの豪華な建築のショップと観光客ばかりが目につく街になりました。
しかし、それでもなお、表参道は日本のファッションの中心地であることには変わりなく、トップレベルのおしゃれな人々に、そこに行けば出会えます。
今回、行ったのはプラダブティックの周辺でしたが、なぜか目立つのはスーツ姿のおじさまたちの集団と、ほかの街とさほど変わらない下校途中の小学生で、昔たくさんいた、おしゃれな働く大人たちには出会えませんでした。また、昔のように、はっと目を引くおしゃれな人もいませんでした。
そんな中、それでもなんとか、現在の東京のファッションのトレンドを知りたいと思い、働いている若い人や、町を歩く人を観察したところ、私の目にとまったのは、ひとさじのロマンチックでした。
ここのところ、私は、次はロマンチックが来るよ、来るよと言いながら、
じゃあ、どこに来てるの、具体的になんなのよということを書いていませんでしたが、
さすが、表参道、もうロマンチックを取り入れている人たちがいました。
私が最も注目したのは、ひざ下丈のオーガンジーやチュール素材のギャザースカートです。
(わからない方は、バレエの「ジゼル」でジゼルがはいているスカートを思い出してください。あのひざ丈バージョンです)
このスカートをはいている人を2人見ました。
(2人は十分多いのです)
オーガンジーのような透ける素材、そしてふんわりした、バレリーナを連想させるギャザースカートはロマンチックファッションを代表するアイテムです。
このスカートがとあるブランドから売り出されているのは知っていましたが、
街で実際に着ている人は初めてみました。
しかも、それはパーティーといった特殊なシチュエーションではなく、ごく普通の普段着としてです。
そのほかにも多く目に着いたのは、ひざ丈までのふんわりしたスカートです。
シフォン素材でふんわりした感じのひざ丈スカートを多く見ました。
これも、ロマンチックです。
私が言うところの、仕事には向かない洋服です。
これからこういった、オーガンジー、シフォン、それからレースなど、およそ女性しか身につけない素材の、ふわふわしたスカートやブラウスなど、市場にどんどん出てくると思います。
では、今現在、それをどうやって取り入れましょうか。
簡単です。
例えば、ダッフルコートにレースのスカート、
トレンチコートにオーガンジーのギャザースカートなど、
今まで着ていた、どちらかというと、働くスタイルの服に、ひとさじのロマンチックアイテムを付け加えていけばいいのです。
それだけで、次の時代の気分の先取りです。
色も、パステルや、グレイッシュ、スモーキーを選べば、もっと気分は高まります。
流行は、ある日突然、いっせいのせ、で変わるわけではありません。
じわじわと水が浸食して岩の形が変形するように、これからはロマンチックの波が、
硬くて、四角くて、冷たく機能的な服を壊していくでしょう。
その甘美な浸食は、もう既に始まっているのです。
☆写真はオーガンジーとレース。ロマンチックの重要素材です。
★ちなみに、バレリーナスカートは作るのが簡単です。だいたいがウエストゴムですから、
ありもののギャザースカートのパターンを利用して、素材をチュール、またはオーガンジ―にするだけです。あとは裏をつけるだけ。作れる人は作ってみてはいかが?