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2025年5月28日水曜日

若い人向けの服、若くない人向けの服、違いは何か

若い人向けの服と若くない人、ちがう言い方をしたら、いい年の大人向けの服
違いがないかと聞かれたら、違いはあると答えます。

ちょっと昔でしたら、デパートの2階の平場が「ヤング」売り場、
3階平場が「ミセス」売り場となっていました。
このデパート、あるいは大手アパレル界隈が「ミセス」という
既婚者に対しての総称を使って呼んでいたものが、
いい年の大人向け、具体的に言うと、大体40代以降の人向けの服になります。

では、いわゆる若い人向けと、そうでない人向け、
何が違うのでしょうか。

大きく違う点は2つあります。
それはパターンと素材です。
若い人向けのパターンは、標準的な工業用ボディを使って、
特に手を加えることなくそのままパターンを作っていきます。
一方、いい年の大人向けの場合、ボディをそのままでは使いません。
必要な箇所、それは例えば肩甲骨の上、あるいはウエスト、そして腰の上、
あたりに、ぐるぐるとシーチングと呼ぶところの生地を巻いて、
元から会ったボディを肉付けしたものを使用します。
それはひとえに、いい年の大人のボディが若者とは違うからです。

全員ではありませんが、多くの人は若いときよりも体重がふえ、
身体を保護するかのごとく、贅肉がつきます。
よって、その贅肉がついているところに過剰な生地を巻き付けるのです。

もともとの工業用のボディはお腹は真っ平。
背中にも、腰の上にも余計な贅肉はついていません。
しかし、そこに肉付けしたボディを使うことによって、
若者ではない人たちにふさわしいパターンができ上がります。

もしそのようなパターンを用いていない洋服を、若者とは違う肉体の大人が着たら、
背中、お腹、腰のあたりの素材が足りなくなり、
身体じゅう、あらゆるところに出てはいけない「横じわ」が走ることになるでしょう。

もちろん肉体の形状には個人差がありますので、
若いころのスタイルを維持している方、
あるいはもとから痩せている方はこの限りではありません。

次に素材です。
残念ながら、人間とて生物。
生まれたてのふっくら、つややかな皮膚は年とともに失われていきます。
生まれてから20年ほどしか経っていない輝いた皮膚の上に、
洗いざらしであるとか、ぺらぺらした安い素材がのったとしても、
さほど大したことはありません。
素材の弱さを皮膚が十分にカバーします。

しかし、この皮膚の輝きがなくなってきたとき、
若者に似合う、洗いざらしであるとか、ぺらぺらの安い素材を着たならば、
皮膚はよりいっそうみすぼらしく見えてしまうのです。
それは、年をとったのにもかかわらず、
若者が使う化粧水を使うのと同じこと。
コスメの場合、年齢にふさわしい機能を備えた基礎化粧品を使うのが普通です。

洋服も同じです。
皮膚の衰えをカバーするために、豪奢な素材が存在します。
素材自体に品のある艶があるものがそれに当たります。
コットンでも、リネンでも、ウールでも、
最上級の素材には皆、悪目立ちしない、ひそやかな艶があるのです。

また、年をとってひずみが出てきた骨格や姿勢を補正するために、
適度な弾力があり、崩れない素材が用いられるのもいい年の大人の服の特徴です。
Tシャツひとつとっても、大人用のものは、
ボディのラインを拾わず、シャツそのものの形を保つような素材が採用されます。
それは、若者向けのぺらぺらとして、心もとない素材とは対極にあるものです。

大きなものはこの2つですが、
もう一つ、外せないものがあります。
それは、いい年の大人にふさわしいデザインです。
特に多くの女性デザイナーは、年齢が上がった人にふさわしいデザインについて
腐心しています。
デザインとは、
全体のシルエット、
素材選び、
ステッチの種類と幅、
開きはどのようにするか、
身幅、スカート丈、パンツ丈の決定、
ダーツの処理の方法、
ポケットの有無と位置、
デザイン線はどこへ入れるか、
糸、ボタン、ファスナーの選定、
これらすべてです。

これら、いい年の大人たちにふさわしいのは何なのか、
腐心したその答えが、彼女たちが考えた服のデザインとなります。
ココ・シャネル、ソニア・リキエル、マーガレット・ハウエル、アニエスb、
ミウッチャ・プラダ、日本ならば稲葉芳江、すべてそうです。

いい年の大人に一番似合うのがTシャツとジーンズであるならば、
デザイナーという職業は必要ありません。
しかし、この職業が長年廃れないのは、存在する価値があるからです。

年をとって何を着たらいいのかわからないときは、
年齢を経てみずからにふさわしい服を作ってきた
デザイナーの作品を参考にすればいいでしょう。
そこには洋服作りの素人が考えたのではない、
洋服作りのプロならではの答えがあります。

年をとってきたならば、
彼女たちが提案しているデザインを
採用しない手はないのです。

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2025年5月22日木曜日

ライフサイクル、流行サイクル

私たちが服、靴、バッグを買う場合、考えなければならない2つのサイクルがあります。
それがライフサイクルと流行サイクルです。

流行サイクルとは、流行の変遷です。
それは主にシルエットと色によって変化します。
タイトシルエット、ビッグシルエット、タイトとビッグの混合シルエット、
タイトでもビッグでもないバランスのとれたシルエット、
この繰り返しです。

それと一緒に色の流行があります。
黒、茶、白、ベージュなど洋服に使われるベーシックな色だけが流行る時代
ヴィヴィッドで、明度、彩度とも高い色が流行る時代、
天然にある色であるアースカラーが流行る時代、
最近まで続いた、すべてがグレイッシュな色の時代など、
その時代を表現する色があります。
どんな色が流行ったか知りたいときは、自分のアルバムを振り返ってみればわかります。
子供のころに着ていた服の色と今の服の色は違っていることが多いでしょう。

一方、そのサイクルとは別に個人のライフサイクルの変化もあります。
自分の稼いだお金で、自分自身の選択で服を買い、トライアルしていく20代
だんだんと自分の好みがわかってきて、取捨選択していく30代
それまで買わなかった、あるいは買えなかったクオリティの高いものを少しずつ貯めていく40代
徐々に流行に左右される分が減り、自分のスタイルが確立していく50代
これまで買い貯めたワードローブを中心に使って、
もうこれ以上ふやさないワードローブへとかえていく60代というように、
それぞれの年代でワードローブのテーマが変わっていきます。

また、一般的には、年齢が上がるほどクオリティが高いもの、
つまり価格(定価)が高いもののほうが似合うように服は作られているため、
年代によって使う予算も変わります。
20代以降ずっと同じように服、靴、バッグを買うというわけにはいきません。

自分のワードローブを構築するときは、
この2つのサイクルを考える必要があります。
流行サイクルがよくわからないまま新しいものを買ってしまうと、後々着なくなる可能性も出てきます。
例えば、もう次の流行はビッグシルエットだとなったときに、
タイトなシルエットの高価なトレンチコートを買ってしまった場合、
モノとしては何も傷んでいないのに、
そのコートが流行のシルエットではないために、
着て出かけるのがためらわれる場合もあるでしょう。

流行サイクルよりも大事なのは自分のライフサイクルです。
年代によって使える予算も違います。
また、着ることができる服も変わってきます。

この2つのサイクルのすり合わせに失敗すると、
年をとってからつらくなります。
日本の場合、年齢が上がるにつれ被服費に使える予算は少なくなっていきますので、
ふと気づいたときには着るものがないと同時に、
新しく買うことも困難になってしまうということが起こり得ます。
(実際に起こっている方を数名見かけました)

そうならないためにやるべきなのは、
ブランドのインスタやHP、店舗をチェックすることによる流行の定点観測、
そして、自分のワードローブプランを作ることです。

将来のことなど考えないでお買い物ができるのは20代まで。
それ以降、特に40代以降は、ただ買って捨ててを繰り返していたら、
50代以降、着るものがない、と感じる場面がふえていくでしょう。

どこに住んでいるのか、
どこの場面でおしゃれをしたいのか、
最終的にはどういう状態になりたいのか、
それを確認し、知ることができるのは自分自身だけです。

ずっと同じように買い物はできません。
自分自身も変わっていきます。
その変化を前提に、自分のワードローブを構築しましょう。
受け身ではなく、能動的に自分に必要なものを選択してください。
選択権を決して他人に渡さないように。

 

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「♯セカンドハンド」というハッシュタグをつけて探してきたセカンドハンド品を
それぞれの楽天ROOMにアップしています。こちらもご参考にどうぞ。



 

2025年5月4日日曜日

ネクストレベル

実はごく一部、
わたしの周囲のセカンドハンドを取り入れている人たちだけの話なのですが、
おしゃれのレベルがネクストレベルへに進む段階の人たちがふえてきました。

多くの人が使い捨ての衣服を買っては捨てをしている間に、
また、ミニマリズムを志向して、
デザインも色もシンプルなものだけを選んでいる間に、
プレタポルテの何十年のアーカイブの中から
セカンドハンド品として手に入れられるものをせっせと集めていったら、
素材、デザイン、縫製ともクオリティの高い服ばかりの
ワードローブの人たちがあらわれ始めたのです。

実際にお会いしてたいそう驚きました。
ほんの数年前までは、特別おしゃれというわけではない、
ごく普通の、ありふれたワードローブをお持ちの方々が、
ひとっとびに誰もが目を見張るであろう姿になって
この世という舞台に登場するようになったのです。
今時、こんなにきれいな格好をしている人はなかなか見かけません。

セカンドハンドは宝の山なので、
そこからお宝を丹念に見つけて集めていけば、
誰の目にも明らかなおしゃれな人ができ上がるのでした。

しかし、上には上があるのです。
まだまだいける次のレベルがあります。

それが何かというと、
最近多くの人が身に付けなくなった
スカーフ、ストール、
アクセサリーとしてのイヤリング、ネックレス、
ブレスレットやブローチ、
ベルトを上手に取り入れることです。

世界のコレクションのルックをよく観察すると、
これらの小物やアクセサリーも含めて、
びしっとルックを作っていることがわかります。
例えばシャネルであれば、
バッグ、靴、帽子、ネックレス、ブレスレット、ベルト、ブローチと、
トータルでルックを作っています。
ネクストレベルのおしゃれは、ミニマリズムではないのです。

もちろんそれはどこかへお出かけするときや、
おしゃれをするときのための装いです。
近所のスーパーへお買い物に行くときにする格好ではありません。

日常と非日常、
ハレとケ、
おしゃれをするときとしないとき、
その「非日常」「ハレ」「おしゃれをするとき」のルックができるようになることが
ネクストレベルのおしゃれです。

そのための小物やアクセサリーは
多くの人が「もう要らない」と捨て去ったものの中から見つけることが可能です。

セカンドハンドのショップをのぞけばわかるように、
夥しい数のスカーフやストール、ベルトやブレスレット、ネックレスやイヤリング、
帽子やリボンが売られています。

それらすべて、誰かが「要らない」と判断したものです。
なんと、多くのエルメスのスカーフが売られていることでしょう!
皆さん、その美しいスカーフにときめかなくなったそうなのです。

その中から自分のテーマを決めて集めていけば、
少ない予算でも、ネクストレベルへ近づけます。

ただし、少ない予算で何かをするときの常として、
集めるための時間と労力はかかります。
「お金で解決」しないのなら、
そのかわりの何かを差し出す必要があるのです。

セカンドハンドを利用して、
ある程度、クオリティの高い服が集まってきた人は、
ネクストレベルを目指しましょう。

相変わらず、誰かが手放したり、捨てたりしています。
捨てられたものは膨大です。
もちろんクオリティの低いものも含まれています。
わざわざゴミにお金を使うことはありません。
玉石混交の中から美しい玉だけを選んでください。
ネクストレベルに移行するのに必要不可欠なのは、
もう既に持っている、美しいワードローブにふさわしいものだけです。

 

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