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2011年8月29日月曜日

セットアップのすすめ

その人の服装を見て、これはおしゃれだなとか、おしゃれでないなとか、判断する、
1つの大きな基準は、色です。
生地の質感よりも何よりも、私のようなファッションを勉強したり、
それを仕事にしていた人間は、まず色で判断します。
しかし、この色合わせが、実はとても難しいのです。

皆さんは想像できないかもしれませんが、
たとえば、メーカーでジャケットの縫い糸を決定するとき、
何十色もの色の中から1つを選んで決めます。
たとえば、紺色だったら、どの紺色がぴったり合うか、
糸見本からひとつひとつチェックして選ぶのです。
それでも、ぴったり同じ色ということは、めったにありません。

色のプロでもない人が、ごく普通に生活している上では、
それほど細かい色の差など、気にかけないと思うのですが、
やはり色になじんでいる側から見ると、
色が合っていない、ちぐはぐな感じがするスタイルは、
おしゃれに見えません。

色がよくわからなかったり、なかなか同じ色のものを探せない場合、
一般の方が手っ取り早く色合わせをする方法は、
まずセットアップのものがあったら、それを手に入れるということです。
ニットのツインセット、スーツ、コートとワンピース、ブラウスとスカートなど、
いろいろな場合が考えられますが、
もしそろって売っているのなら、買っておいたほうが、後で何かと便利ですし、
まず色で失敗する確率が低くなります。
コーディネイとに頭を悩ませることも、なくはなりませんが、少なくなります。

特に色に自信のない方には、セットアップで購入することをお勧めします。
おしゃれに見えるだけでなく、時間やお金も節約できることと思います。

2011年8月22日月曜日

大人のスニーカー



ファッションのカジュアル化が進み、以前はスニーカーなど、はかなかった年代の方でも、普通にはいて街を歩けるようになりました。
かなりの方が一足はスニーカーを持っているのではないかと思います。
また、そうでない方も、何かのときに「歩ける靴」として、スニーカーが必要と感じていらっしゃるのではないでしょうか。

大人のスニーカー選びは、なかなか難しいのではないかと思います。
スポーツシューズを扱う店では、あの過剰なデザインと色のコンビネーションにくらくらしますし、
かといって、デパートの靴売り場を見ると、歩きやすさが重視され、デザイン的にはいまひとつのものが多い感じがします。

そんな中、どういうものを選べば大人っぽく感じるかということですが、
まず1つは、デザインがシンプルなこと。色使いも3色以内におさめてあるもの、そしてできれば、革やサテンなど、少し高級な素材使いであることなど、考えられると思います。
デパートの靴売り場へ行くと、黒い革の、いかにも歩きよさそうなスニーカーを扱っています。
シンプルなのはよいのですが、ちょっと間違えると年寄りくさいデザインにもなりがちです。
そちらに傾いてしまうと、大人のおしゃれなスニーカーではなく、単なる歩くための靴に見えてしまいますので、選ぶときは注意してください。

もうひとつの提案として、色で遊ぶということ。
「おしゃれのルール」で、さし色としてサブカラーを決めておくことを提案していますが、
自分のサブカラーのスニーカーが売っていたら、ぜひ手に入れてください。
色優先の場合は、素材は布でも構わないと思います。
なかなか靴での色遊びは難しいものですが、自分のテーマカラーにぴったりのスニーカーをはくと、かなりおしゃれに見えます。
そして、それは大人がやるからこそかっこいいのです。

最後に注意点ですが、大人がスニーカーをきれいに見せるには、
あまりよれよれになったものははかないことです。
よれよれスニーカーは、若者こそがはくもので、それを大人がやったら、
単に貧乏くさいだけになります。
よれよれのTシャツとスニーカーは、大人が一番やってはいけない組み合わせです。
そこは気をつけること。

その点さえ注意すれば、スニーカーをはいて街を歩くということは、案外安上がりに、その上、歩きやすいという利点のついた、だれでも無理なく実行できるおしゃれのテクニックではないかと思います。

2011年8月16日火曜日

自分のために作られたものだわ、と思える服を手に入れる

プレタポルテ、英語であれば、レディ・トゥー・ウエア、日本語だったら、既製服といった、着るばかりの状態にある服が登場してから、その人だけのためにあつらえた服というのは手に入れる機会が少なくなりました。
それを手に入れるためには、オーダーメイドのお店へ行くか、自分で作るか、はたまたお母さんが作るか、でもしなければなりません。
現在は、そういったあつらえた服のかわりに、大量に並ぶ既製服の中から1枚を選ぶことが通常です。

服を選ぶ基準はいろいろあります。
値段、流行、それが必要などなど。人間は服を着なければ生きていけませんから、妥協が必要なのは百も承知です。
それでもなお、まさにこれは自分のために作られた服だわ、と思える服を探す努力を怠ってはいけません。
それはまるで、恋に落ちてしまったかのような、
その服のことを考えるとドキドキしてしまう、
その服を着た自分を想像するだけで、楽しくなってしまう、
モノクロームの日常が、いきなりカラー映画になってしまうような、
そんな服です。

そういった服は、あなたを応援してくれ、励ましてくれます。
落ち込んだ気分を上げてくれます。
いつでもあなたの味方です。

そうでない服、つまり、別にこれは私のために作られたって感じじゃないけど、値段もちょうどいいし、いま買わなきゃいけないし、ちょっと流行ってるみたいだから、というふうに買った服を着ると、
時には、街で同じ服の人とすれ違って嫌な気分になり、
どうにもこうにも着心地が悪くて、イライラしたり、
なんだか急にみじめな気分になったりします。
これでは、そんな服はあなたの味方になるどころか、足を引っ張るだけの、単なる障害物です。

あなたのワードローブの中に、こんな障害物はどれだけあるでしょうか?
こんなつまらない障害に足を取られて、途中で四苦八苦することはありません。
体育祭の競技ではないのですから、自分で取り除ける障害物は、取り去ってしまうに限ります。

いつでも、これはまさに自分のために作られたものだわ、と思える服を探しましょう。
あなたのためだけに作られたものが、そう簡単に見つかるわけはないです。
1万点の服を見て、1点であるかどうかです。
だから、それを探し続ける根気と努力が必要です。

しかし、それをたくさん見つけることができたら、あなたの人生も軽やかになるでしょう。
足元にまとわりつくような、ずるずるした布でできた障害物が少なくなるわけですから。

本当に、あなたのためだけに作られた服は、あなたに勇気を与えてくれます。
それは、永遠に裏切らない、最強の恋人です。

2011年8月8日月曜日

おしゃれの筋トレ

今日は少し趣向を変えて、どうしたらおしゃれ力がつくのか書いてみたいと思います。
しかも、基本的な筋力トレーニングの方法です。

洋服は、どんな小さな町へ行っても売られている、
ありふれた日常のものです。
あまりにありふれているので、それは当たり前すぎて、特段、何の感慨も抱きません。
しかし、その中から、自分がほしい、自分に似合う、服としてよいものを選ぶには、
それを選ぶ筋力が必要となります。
洋服ですから、それは見る力や、さわって判断する力です。
これがないと、結局、それ以外の価値基準で買うことになってしまいます。
たとえば、値段とか、ただ単に流行っているとか。
では、洋服を選ぶための基礎的な力はどうやって身につけたらいいでしょうか。

その答えは、簡単です。
「いいものを見続けること」
これだけです。

ここで言うところのいいものとは、もちろん洋服に関してもそうですが、それだけではありません。
絵画、音楽、デザイン、インテリアなどなど。
とにかく、いいものを見続けることが重要です。
この場合、そのものを所有しなくてもかまいません。
いい絵を見る、いい音楽を聴く、いいデザインのものを見に行く、いいインテリアの空間に入ってみる、
そういったことを経験するだけで十分です。
服でいえば、多分買わないであろう、いい服に袖を通してみることです。
これをとにかく繰り返します。
いままで、こういう習慣がなかった人は、なおさら多く経験してみます。
このとき、自分が買うか、買わないかとか、値段はいくらなど、そういうことは一切手放してください。
これをある程度、続けてみたら、今度は自分の服を買うために町へ出てみましょう。
驚くことが起こります。
ほとんどのものは、自分にとって、無意味になります。
いままでカラフルに、均一な意味を持って目に飛び込んできていたものが、
いきなりトーンが下がり、白黒映画の世界に迷い込んだようになります。
そのモノトーンの世界の中を歩き、一点だけ、光ってヴィヴィッドに色がついて見えるもの、
それこそが、あなたの探していたものです。
そのほかは、自分にとってはどうでもいいものだということがわかります。

本当は、こういう基礎体力は、若いころからつけていたほうがいいのですが、
いまからでも遅くありません。
どうしてだか、いつも変なものばっかり選んでしまうという方は、いまから始めてみてください。

筋力ですから、一日でつけるのは無理です。
けれども、このようにして筋力がついたあかつきには、あなたは洋服ばかりでなく、ほかの分野においても、的確にものを選ぶ力がついたことに気づくでしょう。
この力をもって世界を歩いたら、見える景色が違ってくることは、明らかです。

2011年8月1日月曜日

ブリティッシュテイスト

ヨーロッパのコレクションを見る限りにおいて、久々にブリティッシュテイストが戻ってきました。
ただし、最近、日本では、パリコレなどで発表された服が、そのまま流行するというわけではなくなってきています。
逆に、日本からの流れもあるくらいで(たとえばバッグにつけるチャームや、スカートの下にズボンなど)、ヨーロッパの流行と、日本の流れが別物であるという傾向は顕著です。
それでも、今度の秋冬に展開されるブリティッシュテイストは、要注目なのではないかなと思います。
なぜなら、私たち日本人は、ブリティッシュテイストになじみが深いし、好きだからです。
また、流行に左右されないアイテムやシルエットが多くあるというのも、大きな特徴です。

ブリティッシュといえば、タータンチェック、ツイード、金ボタンのブレザー、ダッフルコートなど、
どんなものでも、違和感なく日本人が取り入れることができるものばかりです。
皆さんも、たんすの中に何かしらタータンチェックのアイテムを持っていらっしゃるのではないでしょうか。
もしマフラーなどの小物をお持ちでしたら、今年はぜひ引っ張り出してきて使いましょう。
小物でしたら、違和感なく取り入れられると思います。
しかし、ジャケットなどのたぐいのものは要注意。シルエットは、前回のものとかなりちがっていますので、そのまま着ると、何だかおかしいものもあるでしょう。
着て外に出る前に、鏡の前で確認してください。
一方、ダッフルコート、特にイギリスのメーカーのものはさほどシルエットの変更がありませんから、たぶん、そのまま着用が可能だと思います。
その他、いわゆるイギリスの老舗メーカーの品々も、流行とは一線を画すものが多いので、それらも大丈夫でしょう。
何も持っていないけれど、取り入れてみたい方は、やはり小物がお勧めです。
気軽に雰囲気を楽しめます。

また、ブリティッシュテイストの復活とともに、戻ってきたのがプリーツスカートです。
プリーツスカートといえば、最近では女子高生ルックでしか見なくなりましたが、昔はだれもが1枚は持っていましたね。
プリーツスカートも、シルエットを変えようがないアイテムなので、たぶん昔のものでも着られるのではないかと思います。
似合わない人のいないアイテムですので、新しいものを見つけてもいいですし、古いものを着てみるのもいいでしょう。

ブリティッシュテイストはトラッド、つまりトラディショナルです。
伝統は、いわば安心です。
安心で、戻るところがあるからこそ、私たちは冒険できます。
伝統や安心は、つまらないと言えば、それまでです。
この、つまらなさの否定としてアバンギャルドは出てきましたが、
それとて、戻るところ、壊すべきものがあればこそできただけ。
洋服というものがどういうものかわからなくなったら、伝統から学びましょう。
それを知った上でしか、私たちは遠くまで行けないのです。