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2010年12月24日金曜日

リメイク



 今回はリメイクについてですが、1度形になってしまったものを、また別の違う形に変えるということは、ただの平らな四角い生地から新しいものを作りあげるより、ずっと難しいことです。
私自身、服飾専門学校出身でありながら、ミシン縫いはとても苦手。
学生時代から下手でしたし、卒業してからも、凝ったものは作れません。
だけれども、どうしても、手放すのは忍びないという洋服もあります。
そこで、リメイクという手法が出てくるわけですが、私のおすすめはクッションカバーに変身させることです。
外国の雑誌などでは、大小さまざまな形のクッションがソファに置かれている写真がよく出てきます。
日本のおたくは、どちらかというと、同じ形や色のものを並べるおうちが多いようですが、
全体の雰囲気が統一さえできれば、素材、色、形など、さまざまなものが置かれているほうが、おしゃれ感が出ます。
また、形も四角形で直線縫いだけですし、後ろで重ね部分を多くすれば、ファスナーも必要ありません。
生地の大きさが足りなければ、パッチワークして大きくすることもできます。

上の写真は、95年ごろ、ロンドンのリバティで買ったベスト。リバティのオリジナルです。
よく見ると、ボタンが太陽の形で、素敵(すぎ)です。
生地もしっかりしていますし、型崩れもしていませんが、今着るという感じではありません。
ですので、小さな枕型のクッションにリメイクしました。
そのとき、しっかり、リバティのタグもとって、縫い付けました。
こうすれば、毎日、この生地と接することができます。
それは、タンスで眠っているより、ずっといいことではないかなと、思います。

2010年12月19日日曜日

グラマラスとか、セクシーとか

グラマラスとセクシーは、日本において、評価が低い、または無視されている分野だと、
ヨーロッパを旅行するたびに感じます。
ある特定の分野、たとえばグラビアなどでは、グラマラスとセクシーはもてはやされますが、
ごく一般の人々の服装については、ほとんど認められていないのではないかと思います。
ファッション誌などを見ても、ごく一般の人が見る雑誌では、セクシーより、
「かわいい」ファッションを数多く載せていますし、と同時に、ほとんどセクシーさを感じさせないような服やコーディネイトが多いです。
ここで言うセクシーは、決して露出部分が多いということを言っているわけではありません。
たとえば、着物における「うなじ」や、裾から見える襦袢の色なども、過度な露出こそはしてなくても、非常にセクシーです。
これはなぜなのかなと毎回考えるのですが、まだはっきりした答えは見つかっていません。
もちろん、セクシー過ぎるというのは危険です。
しかし、そこまでいかなくても、あのヨーロッパの街で感じる、女の人のセクシーさが、日本では受け入れられないのはなぜなのか。
1つは、やはり社会が、そういう女性像を一般の女性に望まないからなのでしょう。
セクシーであってはならないわけではないですが、セクシーであることは、あまり評価されないのです。
特に、既婚の女性は。
また、グラマラスなモデルは、グラビアには登場しても、ファッション雑誌では、見ることはあまりありません。みなスキニーです。
別に、だからヨーロッパに追いつかないといけないと言いたいわけではないのです。
問題なのは、日本には、グラマラスな体型の持ち主の方が、自分の体型を謳歌するような服がないということなんです。
やせている人たちのための服は、たくさんあります。
だけれども、日本製で、太っているのではなく、グラマラスな方たちのための服は、ほとんどありません。
社会が求めてないのだから作らないのだと言えばそれまでですが、
グラマラスな体型の人が、ダイエットでやせる、またはビッグシルエットで体型を隠すのでなしに、
自分の体型に誇りを持って、堂々といられるような、そんな服が日本にもあっていいのではないかと思います。
そして、そのためには、私たちがもっと、セクシーさや、グラマラスなことに対して、
心を開いて認めることが必要になるでしょう。
セクシーさをなかなか認められないということは、結局のところ、自分自身の問題なのですから。

2010年12月18日土曜日

日本のパターンについて その2

さて、パターンについていろいろ書いてきましたが、今日で最後です。

前回、日本人の立体感覚について書きました。
いきなり、西洋的な立体感覚を身につけるなど、無理な話だと。
では、と思いますね。
では、学べばいいではないかと。
そのとおりです。明治時代より、西洋画家を目指す若者はパリへ留学しました。
しかも国費で。
わからないなら、学べばいい、そして自分のものにすればいい。
これはまさにそのとおりです。
ではでは、現状はどうでしょうか。
残念な話ですが、日本におけるパターンナー(パターンを作る人です)の地位は、非常に低いです。
私が過去にいた、某一部上場アパレル企業においては、デザイナーこそ、パリへ視察などと称して、行ってましたが、パターンナーは、パリなどもってのほか、就業時間内に、街へ市場調査に行くことさえ許されてませんでした。
そればかりであらず、会社に置いてあるファッション雑誌を見ることさえも!
おまけに労働時間は長いですから、信じられないほど情報にうといです。
え、こんな服着てる人が作ってるの?と思うほど、妙な格好をしている人が会社に長く残っています。
残業しても残業代など出ませんから、着ている服は自分の会社で作った服。
当時はまだインターネットなど、整備されていませんでしたから、雑誌もだめ、外に行ってもだめとなると、こうなるしかありません。しかも、土曜日も休みでなし。日曜日は家で寝てるだけです。
当然のことながら、みんな30歳になる前にはどんどん会社を辞めていきます。
だって、こんな状態では、だれとも結婚できませんから!
まあ、これは大手の企業の話。
では、パリコレに出るレベルだったらどうでしょうか?
私は、ほんの一時期、この間、倒産してしまった某パリコレ参加デザイナーの下でチーフパタンナーとして働いていた人の代官山のオフィスでアルバイトしていたことがあります。
あら、素敵じゃないって、思いますよね。
まあ、確かに代官山のはずれですが、場所はふるーいアパートの一室。
その中に3人のパタンナーと2人のアルバイトがいて、場所がないものだから、アルバイトは部屋を出た外の廊下で仕事をさせられたりもしました。
しかも時期は12月。土曜日も休みではありません。
昼はもちろん、コンビニで買ってきたおにぎりです。
そこで働いているみなさんは、物質的にも、精神的にも貧しい暮らしをしていました。
絵や映画を見に行くとか、音楽を聴きに行くとか、読書とか、そういうものが彼女たちにはないのです。
1か月そこでバイトをしてみて、いただいた給料の額に、私はひっくり返りそうになりました。
たぶんマクドナルドでバイトしたほうが、数倍よい額でしょう。
代官山周辺のワンルームの家賃にさえならない金額です。
このときわかりました。
デザイナーブランドというシステムは、デザイナーにだけお金が集まるシステムなんだなと。
そのデザイナーの下で働いて20年たっても、こんなものなのだなと。
バイト代の安さもさることながら、社員旅行でハワイに行くからバイト代から旅行代を天引きすると、無理やり強要されたので、私は1カ月でそこをやめました。
なぜ、パリやロンドン、ニューヨークやミラノではなくてハワイ?
こんな感じですから、自分で学ぶ余裕もありません。

でもこれは、過去の話ですね。
今はもっとよくなってるかもしれないって、思いますよね。
最近、まだパターンナーとして働いている友達に現状はどうか聞いたところ、
今は企業内からパターンナーがどんどんいなくなっていて、全部下請に発注するそうです。
友達も独立して1人でやっています。
こう聞くと聞こえはいいですが、みんな1人でやってるので、だれかに教わるということは、もうないのです。
同時に、だれかに教えてあげるということもありません。
だれにも教わらない、だれにも教えない、こんな状況で、いいパターンができるわけ、ありません。

いつも言いますが、もちろんこれがすべてではありません。
いいところも、あるのでしょう。

もし、これを読んでいる方で、パターンで体型をカバーしたいわという方がいらっしゃったら、
迷わずインポートを選んでください。
日本の服の中から、そういうものを選ぶということは、砂の中から金を探すのと同等に、
いえ、それ以上に難しいことです。

2010年12月14日火曜日

おしゃれな人



本当はきのうアップしたかったのですが、歯と胃の痛みとで、ちょっと無理でした。はあ~。

久々のおしゃれな人は、着ものという分野においておしゃれなお方の幸田文様。
皆様お気づきだとは思うのですが、私はお年を召した方のほうが好き。
で、幸田文様なのですが、作家の幸田露伴の次女として東京向島に生まれた、江戸っ子です。
もうずいぶん前に読んだので、どこに書いてあったのか忘れてしまったのですが、
とある随筆の中に「始末する」ということについて書いてありました。
それはどういうことかというと、着物というものは、はじめ着るものとして生まれてくるけれども、いたんできたら、それを今で言うところのリメイクをして、(たとえば猫ちゃんのためのおざぶとんとか)、最終的に小さな布になって、雑巾として使うまで、使いきるということ、そのことを「始末する」と言うのだそうです。
 その文章を読んだ当時は、ふーん、そんな考え方もあるのだなぐらいにしか思わなかったのですが、
こういう考えこそ、今日本人が忘れてしまった考え方であり、今後再び思い出さなければならないものなのではないかと思います。
 私も、すべてにおいて、それは無理だとしても、できる範囲で「始末」していきたいなと思っています。

2010年12月10日金曜日

ジュエリー


Dさんより、ジュエリーについて書いてくださいというリクエストをいただきました。
Dさん、ありがとうございます。

さて、私がジュエリーについて提案したいことは、3つです。
・ユニーク、つまり1つしかないものを探しましょう。
・普段から身につけましょう。
・そのジュエリーを誰がどういう気持ちで作ったか、使われている宝石は、どうやってやってきたか、そこまで想像してみましょう。

 ベーシックを基本とするコーディネートをしていると、やはり小物の存在が大きくなります。
 別にジュエリーでなくてもよいのですが、小物の選択にオリジナル性を出すと、よりその人の個性が際立ってきます。ジュエリーもそのために利用できる、最適なアイテムと言えます。
 そのジュエリーを選択するときには、より自分らしさを表現するために、誰が見ても、あ、あそこで売ってる、あのジュエリーねとわかってしまうようなものでなく、この世に1つしかないような、かつ自分にふさわしいものを探してほしいのです。それは、アンティークかもしれません。あるいはまた、おばあさまから受け継がれてきた指輪かもしれません。そして、作家がひとつひとつ丁寧に心をこめてつくった一点モノかもしれません。とにかく、根気よく探していけば、必ず出会うはずです。
 特に、狙い目はまだ若い作家たちの作品です。
 上の写真は、うちのすぐ近くのギャラリーで行われた、uiさんというジュエリー作家の展覧会です。
 もちろんすべてオリジナルで一点モノ。また若い作家さんの場合、値段も4000円ぐらいからと、非常に安いです。シルバーにスワロスキーがついた指輪で1万2000円ほどでした。
 私も、ずっとものづくりにかかわってきたのでわかるのですが、デザインを考えて、完成品にするまで、1日では決して終わりません。若い作家たちは、自分たちがかけてきた時間を、本当に安い価格で提供しています。そんな作家の方々を応援する意味でも、ぜひお近くのショップやギャラリーで、このような展覧会があったら、チェックして、買っていただきたいなと思います。それは有名ブランド品を買うより、ずっと意味のあることです。
 
 次の点ですが、みなさんも、死蔵している、たとえばダイヤモンドの指輪やネックレスがあるのではないかと思います。どうせ、持っているのだったら、普段からどんどん身につけてしまいましょうというのが私の提案です。
 住んでいる地域にもよると思いますが、やはり日本では、よほど特殊な職業の方か、もしくは都会に住んでいる方以外、そんなにパーティーや、それにふさわしいシチュエーションというのはなかなかないと思うのです。そうすると、パーティーのときだけとか、結婚式に出席するときなどと、決めていると、ほとんどの時間、そのジュエリーは宝石箱に寝ているだけです。
 やはりそれではもったいない。だれかのためではなく、自分の気分を盛り上げるために、身につけてしまいましょう。それで、近所へお買いものに行ってもいいと思いますし、もしそれが恋人や、旦那様からのプレゼントされたジュエリーだとしたら、贈ったほうも喜んでくれると思います。

 そして、最後に、そのジュエリーはだれが制作したか、そしてその石はどうやってあなたの手元まで運ばれてきたか、思いをはせてみましょう。
 イギリスの中世のアーサー王の物語をご存じでしょうか。
 この物語で、少年のアーサーは、石から剣を取り出したことにより、王だと認められます。
 これは、石、つまり地中から、剣、当時では鉄や金を取り出したものこそが王という権力者だと認められたということを物語っています。
 中世の昔から、地中から貴金属や貴石を採掘するという行為は、常に権力と絡んでいました。
 現在でも、アフリカのダイヤモンドや、コロンビアのエメラルドなど、高価な石は、不当な扱いを受ける労働者と、それを搾取する権力などと、切っても切り離せない関係です。
 高価な石ではなくても、クリスタルであってもしかりです。
 地球の石は有限です。その石が、あなたまで届けられたという奇跡を胸に、このクリスマス前に、宝石箱から、そっとジュエリーを取り出しましょう。
 今のあなたにできることは、そのジュエリーがあなたのもとまでやってきた長い旅を想像してみてみること、大切にそのジュエリーを扱うこと、そして身につけることなのだと思います。

2010年12月7日火曜日

日本のパターンについて

パターンの話の続きです。

はっきり言って、日本の洋服のパターンは、西洋に追いついていません。
でも、それも無理のないことなんです。
歴史を振り返ってみましょう。
日本に洋服が入ってきたのは、明治時代でしょう。
鹿鳴館で、日本人が無理してドレスを着ていた時代、あれが最初なんです。
明治時代は1968年ですから、140年ぐらい前でしょうか。
けれども、実際に庶民が一般的に洋服を着るようになったのは、もっとずっと後です。
小津安二郎の映画なんかを見ても、年配の方はまだまだ着もの姿です。
それで、やっと第二次世界大戦後です。
まだ、60年ぐらいしかたっていません。
それまでずっと長い間、日本人は着ものを着ていました。
着ものは、凹凸がないので、たたむとフラットになります。
まるで折り紙のようです。
日本人の美意識というのは、このフラットな面に、どういう色合いをのせるかということに重点を置いていたのです。
はじめから、立体的な造形など、ないのです。
ずっとずっと、このフラットなものに何色の帯をのせるか、柄はどうするか、そればかり考えてきたのです。
そこへいきなり洋服がやってきました。
今度は、立体的でなければいけません。
しかし、その立体感覚は、なかなかつかむことができません。
毎日、ミケランジェロばりの彫像を見ている人たちと同じ立体感覚など、100年ばかりでは身に着くものではないんです。
80年代の半ばから90年にかけて、一躍、日本人デザイナーが世界に躍り出ました。
今、そのころの日本人デザイナーの服を客観的に見てみるとわかりますが、
やはり折り紙の延長です。
パターンは限りなく、フラットに近く、肉体の上に四角い布がかぶさる造形が基本です。
ビッグシルエットの流行とあいまって、世界的に通用するようになったのだと思います。
その証拠に、洋服のシルエットがずっとタイトになるにつれて、
昔ほど、日本人デザイナーの服は、もてはやされなくなりました。
その理由は、やはり日本のパターン力の弱さにあるのだと思います。

パターンについてはまだ続きます。

2010年12月4日土曜日

スローファッション

最近、辻信一先生の、スローライフに関する本を多く読んでいます。
そこで提唱されているのは、お金では換算できない幸せということ。
大量消費して、まだ着られるのに捨てなければならない、あの何とも言えない申し訳ない感じ。
めまぐるしく追ってくる流行は、私たちを決して幸せにはしないでしょう。
本当に、心も満たされて、幸せになるおしゃれというのは、お金という価値観から超えたものの中にしか、見出せないのかもしれません。
ヨーロッパの服飾博物館で見られる、丁寧に刺繍されて、きっと大事にされたであろうドレス。
何年たっても、見る人に、素敵だなと思わせる、あのドレスを着る感覚、
それを取り戻すためには、私たちも、もっとスローにならなければいけないのだと思います。
おしゃれをすることによって、心が貧しくなるのではなく、豊かに、幸せになる。
そのためには、大量に流されてくる情報をうのみにするのではなく、
少し知恵をつけて、自分にふさわしい選択をひとつひとつ行っていくことが必要でしょう。
多分、もう少しで大量消費の時代は終わります。
どこでどういう人が、どういう気持ちで作った服なのか、
作っている人は幸せなのか、
売っている人は、本当にお勧めしているのか、
そして、買った私たちも、本当にそれを着れば幸せになるのか、
それを見分ける目を養うことが、結局は、幸せなおしゃれへの近道ではないかと思います。

2010年12月1日水曜日

立体裁断とは何か

たとえば、補正下着の説明で、誇らしげに「立体裁断です」などと書いてあります。
立体裁断についてよく知らない場合、何だかそれが、たいそうすばらしいことのように感じられます。
では、立体裁断とはどういうものなのでしょうか。
立体裁断と対になる言葉として、平面裁断というものがあります。
これは言葉どおり、平面上で裁断、つまり、建築の地図のように、洋服のパターンを机に置いた紙で作成し、それをトワルといって、シーチングという生なり色の生地に写し、1度組み立ててみて修正していくやり方です。
裁断というのは、カットということで、パターンのことをカッティングなどと表現することもあります。
立体とは、そのカットを、紙の上ではなく、ボディ(洋裁で使う人体模型)の上に直接シーチングをのせて作っていく方法です。
平面裁断の場合は、原型という人の体のプロトタイプの型を使い、その原型の上にゆるみなどを計算してのせていきながら形を作りますが、立体裁断の場合は、計算はせず、パターンを作る人の感覚で、これぐらいでどうだろうかと決めながら造形していきます。

こうやって書くと、いかにも、立体裁断のほうが人体にフィットしていそうだと感じるかもしれませんが、日本の企業のやり方は、1度立体裁断で作ったパターンを、必ず平面で修正していきますので、感覚だけでパターンができるというわけではありません。
また同様に、平面裁断の場合も、組み立ててみたものを、やはりボディの上で修正していきますので、最終的には、その両者とも、さほど変わりがないものになります。

日本の既製服の多くは、細かいサイズ設定がなされていて、たとえばバストのゆるみは何センチ以上、アームホールの大きさは何センチなどと決められています。ですので、自由に立体裁断でパターンを作ったとしても、最終的には、そのプロトタイプに合うように、修正をかけられます。

ですから、立体裁断と書いてあるからいいパターンだとか、平面だからだめだとか、そんなことはないのです。実は、問題はもっと違うところにあるというのが、日本のパターンです。
 日本のパターンについては、次回に続きます。

2010年11月26日金曜日

ベルベット

この時期になると、ベルベット素材のドレスやスカートが店頭に並び始めます。
ベルベットと一口に言っても、べロア、別珍、ベルベティーンなど、呼び名もさまざまですが、起毛して、独特の光沢のある素材全般のことです。
最高級品は絹のベルベットですが、現在ではほとんどないでしょう。アンティークなどで見かけることがあります。
高級な部類のものは主にレーヨンベルベット。その他、綿のものは別珍と読んだり、化繊のものをべロアと呼んだりします。大きく言えば、コーデュロイもこの仲間で、畝があるものです。ノーウエルというのコーデュロイは、畝がないという意味で、やはりこれも大きくはベルベットの仲間です。
ドレスや、ちょっとよそ行きのジャケットによく使われますね。
または、子どものピアノの発表会のときのドレスとか、コーラスの女性がはくスカートとか。
最近では、ベルベットのカジュアル化が進み、化繊のべロアが日常着として出回っています。
見た目は暖かそうですが、綿やレーヨンなので、特別暖かいということはありません。

ベルベットという素材ですが、その特徴として、布に方向性があるということが挙げられます。
動物の毛並みと同じように、下に向かう毛の方向と、逆毛とがあるのです。
これはベルベット素材を手でなでてみるとわかりますので、持っている方はやってみてください。
で、ベルベットの場合、必ず逆毛で裁断します。つまり、なでてみて、抵抗を感じる方向です。
猫を尻尾から頭に向かってなでている感じと言えばいいでしょうか。
なぜかというと、逆毛でないと、独特の深い光沢が出ないからなのです。
下に落ちる方向で裁断してしまうと、若干、白っぽく見えます。
特に黒いベルベットでは、それが顕著です。

今回、なぜベルベットを取り上げたかというと、実は、この裁断方法が間違っている商品が市場に出回っているのを発見したからです。某有名ファストファッションショップで売られていました。
これは、明らかに裁断の間違いですので、決して買わないでください。
間違った裁断の商品の特徴は、何となく白っぽいということ、そして何より、逆さにしてみたら、ちゃんと深い色に見えるということです。
買うときよくわからなかったら、とにかくさかさまにしてみてください。
それで、そちらのほうがいい色だなと思ったら、その商品の裁断は間違っています。

またベルベットにアイロンをかけるときは、そのままかけると、毛が寝てしまいます。
一番いいのは同じベルベットを当て布にすることです。
同じでなくても、とにかくベルベットやべロアを当て布に使わなくてはならないのですが、
ない場合は、自分で無理しないでクリーニングに出しましょう。
毛が寝てしまうと、戻すのは大変です。

2010年11月25日木曜日

衣装がすてきな映画



なかなか実際の参考になる映画が思いつかないので、今回は、普通に衣装が素敵な映画をご紹介。
衣装デザイナーはサンディ・パウエル。この方は、「恋に落ちたシェイクスピア」のほか、「アビエイター」などで、3度のアカデミー賞受賞、そしてノミネートも何回もしている実力派です。
日本では、あまり名前は知られていませんが、どの映画も、品のある衣装が多いです。
この映画に代表されるような、どちらかといえば、時代劇の衣装が多いのですが、色遣いなど、なるほどねえというところが多いので、衣装デザイナーのところにサンディの名前が出てきたら、要チェックです。
ご本人も、アカデミー賞にはいつも素敵な衣装でご出席。
「恋に落ちたシェイクスピア」は、内容もなかなかよいので、どなたにもお勧めです。
男装したグウィネス・パルトロウのショートヘアも珍しいし、かわいいです。

2010年11月23日火曜日

再びポリウレタンに注意!

さて、12月も近づいてまいりました。
ちらほら、セールも始まっていますね。
以前にも書いたのですが、今回、再びポリウレタンについて取り上げます。

ポリウレタンという素材が混紡されている洋服を、みなさんも1つはお持ちではないかと思います。
その代表例がスキニ―ジーンズですし、そのほか、ストレッチのカットソーなど、ほぼすべてといっていいほど入っていると思います。
前にも書きましたが、このポリウレタン、製造されたときから劣化が始ります。
どんどん素材が分解されて、最後には崩壊するのです。

調べてみたところ、以下のような用途で使われていることが分かりました。
・ストレッチ
・接着
・コーティング
・合成皮革

使われているアイテムとしては、
・ストレッチのカットソー
・合成皮革で作られたもの全般(バッグなども)
・アウトドアウエアの防水コーティング
・時計のバンド
・スニーカーや登山靴のソール

 これらのうち、洋服の場合はラベルに表示があるのですが、時計や靴となると、表示がありません。ですから、知らないうちに購入して、あるときいきなり崩壊するということがあり得ます。
 有名なのは、登山靴が登山中にいきなり崩壊して、ソールがはがれおちるという現象。山道を歩いていると、あちこちに落ちたソールがそのまま残されていることも過去あったそう。
 昔流行った、厚底ブーツのソールもポリウレタンだそうで、去年のブーツをはいて出かけたら、歩いてる途中で厚底が崩壊し始めたというマンガもありました。
 意外と知られていないのが時計のバンド。これもいきなり崩れていきます。

 また、ポリウレタンが使われているかどうかは、値段やブランドなど、関係ありません。
 どんなに高価なものでも、使われているものには使われているし、高いからといって、長持ちするわけではありません。
 特にこれからのシーズン、セール品がたくさん出てきますが、それが何年に製造されたものかまで、素人ではわかりません。
 購入する際は、ぜひポリウレタンが入ってるかどうかチェックして、用途を考えて、選択していってください。

☆これも前にも書きましたが、ストレッチのLYCRAという素材はブランド素材で、通常、ポリウレタンより5倍から10倍長持ちすると言われています。値段も少し高いですし、製品にはLYCRAのタグがついているので、すぐにわかると思います。

2010年11月20日土曜日

流行とは、否定

流行とは、否定です。
新しいということは、いつでも、それ以前のものを古いと認定します。
古いというだけではなく、もう遅れている、すなわち否定します。
問題なのは、否定されたものは、流行という観点から見れば否定されるべきものかもしれませんが、
モノそれ自体は、何らいたんだところはなく、十分生きているという点です。

最先端の流行は、一番早く時代遅れになると言われています。
そういうものをアイテムに取り入れれば取り入れるほど、否定されることになるのです。
これは気分の問題です。
モノとしてはいたんでいない、だけれども、着て外に出ていくと、何だか肩身の狭い思いがするのは、このためです。

すべての流行を否定するわけではありませんが、すべてを流行のものにしてしまうと、否定される部分が大きくなってしまいます。気分をよくするためには、すべて入れ替えなければなりません。
すると、モノとしていたんではいないのに、捨てなければならなくなります。

モノはただではありません。
貴重な時間を、お金というものにかえて、そして手に入れたものです。
その結果、すぐ捨てるものを買うということは、貴重な時間を大切にできなかったということにつながります。
そのモノを手に入れるため、あなたはどれだけの時間を使ったでしょうか。
(あなたでないのなら、あるいはほかの人が)

そこまで考えてお買いものをすれば、おのずと、自分が買うべきものが見えてくると思います。

2010年11月16日火曜日

ブラックフォーマルについて考える

ブラックフォーマルはどうすべきでしょうかというご質問を先日いただきました。
この場合、フォーマルといっても、お祝い事ではなく、お通夜やお葬式の場合だと思います。
で、答えですが、残念ながら、これですというものはありません。
お葬式の席での装いは、
喪主なのか、弔問客なのか、
都会なのか、地方なのか、
どの年代か、
その親族はどういうしきたりか、
などによって、大きく変わります。
ですから、一概にこうですとは言えないのです。
ただ、1つ言えることは、ブラックフォーマルとして売られているものとて、
流行の影響からは逃れられません。
長く持っていると、必ず流行遅れになる日がきます。
ですから、何かの場合に備えて、持っていなきゃいけないというのは、
あまり賢い選択とは言えないと考えています。
では、どうするか。
着用が必要になった場合に際して、以下のような備えをしておけばいいでしょう。
・すぐ購入できる場所の確認。
・借りられるなら、借りることができる相手の確認。
・手持ちの黒い服の確認。

ちなみに、私も過去、数回、親族のお葬式に出席しましたが、
すべて手持ちの黒い上下ですませることができました。
特別にブラックフォーマル用に買ったものではありません。
東京都品川区でのお葬式ばかりでしたが、やはり都会の場合、あまり形式にはこだわらないようです。

というわけで、ブラックフォーマルに関しては、みなさんの立場、地方、しきなりなどを考慮して、
対策を立てておくのがよいのではないかと思います。

2010年11月13日土曜日

おしゃれ参考文献




スタイリストの菊池京子さんのスタイルブック。
こういう本が出て、売れているということは、まさにスタイリストの時代ですね。
菊池京子さんのスタイリングはあくまでベーシックアイテムが基本です。
ですから、5年ぐらい前のものでも、全く古臭さは感じません。
先へ行きすぎないおしゃれとでもいうのでしょうか。
もっと簡単に表現すると、むかしの写真を見ても、自分の着こなしが恥ずかしくない!
流行の最先端は、流行遅れになるのも早いのです。
参考になる部分は、たくさんあると思います。

菊池京子のTOKYOBASIC
単行本: 128ページ
出版社: 小学館 (2009/10/1)
ISBN-10: 4093423784
ISBN-13: 978-4093423786
発売日: 2009/10/1

2010年11月10日水曜日

アウトレットでの賢いお買いものについて

数年前から、各地にアウトレットモールができて、
だれでも簡単にお買い得品を手に入れることができるようになりました。
それ以前は、ファミリーセールなどへ行く以外、あれほどの値引き率で洋服を買うことは不可能でしたから、
これは大変よいことです。
だって、あれだけ値引きしても、利益は出るということですから、本当に、洋服の原価って、低いのです。

さて、そんなアウトレットでの賢い買いものの仕方を1つ提案します。
まず、アウトレットモールに到着したら、最初に、そのモールの中で最高級の洋服を扱っているお店に行きましょう。
私がたまに利用するのは御殿場なのですが、御殿場のアウトレットだとしたら、まず最初にプラダに入ります。
別に、今日はプラダでお買いものしようなんて、思って来たわけでなくてもいいのです。
とにかく、まずは入る。
そして、気に入ったものをどんどん試着していきましょう。
ジャケットやコートなど、大物がおすすめ。
生地の風合いを確かめたり、どれだけ着やすいか、体感していきましょう。
アウトレットのショップは、敷居が低いので、どんな服装で入ろうと、どんどん試着しようと、気おくれすることはありません。
ひととおり着てみて満足したら、お店を出ましょう。
店員さんに何か言われたら、「ちょっと考えます。どうもありがとう。」と言えば、何も問題なし。
それから、その日、自分が本当に買おうと思っていたアイテムを探しにほかのお店を見に行きます。
そうすると、どうでしょう。
不思議なことに、ほとんどのものが、どうでもいいもののように見えてきます。
どの品質にも満足できなくなった自分がいます。
もうただ安いというだけでは、買う気が起こらなくなるのです。
この気持ちのまま買い物をすると、選ぶ目も厳しくなりますし、何より無駄なものを買おうという気が起こりません。
結果的には、ほんの少しのお買いもの、もしくは何にも買わないということになるでしょう。
でも、それでいいのです。
最初によいものを見ておいて、自分の中に選択の基準を作りましょう。
そうやって、吟味しつくして買ったものこそ、本当に自分に必要なものなのですから。

2010年11月7日日曜日

おしゃれ映画


おしゃれで、参考になる映画を紹介しようといつも考えるのですが、これがなかなか難しい。
いくらおしゃれであっても、後味がどうにも悪いものは紹介できないし。
すごく素敵であっても、時代物で、あまりに参考にならないものもどうかと思うし。
「プラダを着た悪魔」のアン・ハザウェイの着こなしもいいと思うけど、
あのメリル・ストリープ演じる鬼編集長が、ファッション業界の嫌なおばさんをリアルに演じて、
私は二度と見たくないのです。
で、今回、「グロリア」ですが、これも、実はあんまり参考にはなりません。
ジーナ・ローランズが演じる姉御が、ウンガロのスーツとハイヒールで、ニューヨークを駆け回ります。
すごく格好いい!
私も大人になったら、ああやって、ハイヒールで走れるのかなと思っていたのですが、いまだにできません!
(マノロ・ブラニクのハイヒールだったらできるのかな)
こんな感じの人、日本人ではほぼいません。
年齢とか、仕事とか、ルックスとか、全部関係なく、ただ存在自体が格好よくておしゃれ。
そういう女性は、うーんと年下の男にも愛されるのだということを、この映画は教えてくれます。
最後のシーンは、本当に心温まります。おすすめです。
(間違って、シャロン・ストーン主演の「グロリア」を見ないように。リメイクですが、オリジナルをこえられるわけありません。)

☆以前紹介した「フォロー・ミー」ですが、まだDVDが出てませんでした。11月末に出るそうです。
ぜひぜひごらんあれ。

2010年11月5日金曜日

スタイリストの時代

長い間、デザイナー、もしくはブランドの時代が続いていましたが、
ここへきて、スタイリストの時代がきたように感じています。
私が学生だったときから、数多くのデザイナーがデビューしましたが、
ずっと同じスタンスで活動できている人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
中には、倒産してしまったブランドさえあります。
それに引き換え、スタイリストさんの寿命はずっと長いようです。
私が20代だったころから活躍している方で、まだまだ現役で人気がある方は数多くいらっしゃいます。
あの当時、まさか、こんな時代がくるとは思っていませんでした。

1人のデザイナー、もしく1つのはブランドのものだけで身を固めていればおしゃれに見える時代は、
とうの昔に終わってしまいました。
今、そういう格好をしている人を見ると、どこかのお店の販売員さんのように見えてしまいます。
もちろんシャネルやルイ・ヴィトンなど、ハイエンドブランドはまだまだ健在ですが、
それとて、すべてそのブランドなどというのは一部のお金持ちだけですから、
普通に生活している私(たち)には、あまり関係のないこと。
今、断然おしゃれに見えるのは、いろいろなものをうまくスタイリングできている人なのです。
同時に、そういう着こなしの提案ができるスタイリストさんが人気なのも、大いにうなづける話です。

いろいろなものをスタイリングするためには、1つのアイテムが必要以上に目立ってはいけません。
ですから、自分の主張ばかりが目立つデザイナーの服は、使えないアイテムになってしまいました。
だれかが一目見て、ぱっと覚えてしまうような服は、スタイリングの邪魔なのです。
ベーシックな服を、いかに自分らしく、普通でなく見せるか、この点が問われています。
ということはつまり、むかしよりずっとおしゃれの難易度が上がったということ。
もうデザイナーが提案するルックスをそのまま着ていればおしゃれなんて、だれも思ってません。
ベーシックなアイテムをひとつずつ見直し、選択し、常に自分はどういうスタイルでいたいかを自分自身に問いかけていく、そういった地道な作業こそ、今の時代、おしゃれに見えるための早道なのだと思います。

2010年11月2日火曜日

迷ったらグラデーション

おしゃれに見える最大のポイントは色遣いだと思います。
けれども、同時に、色ほど難しいものはありません。
世の中に出回っている洋服の色は、実にさまざまです。
たとえば、Aというブランドのブルーと、Bというブランドのブルーは、決して同じではありません。
彩度や明度まで見ていくと、同じということはないのです。
洋服をコーディネートするとしても、1つのブランドだけで構築するという手法は少々古臭く、
いろいろなブランドをミックスするというのが今の主流だと思います。
そうなると、明度と彩度まで合わせるのは不可能です。

そこで、お勧めなのがグラデーションでまとめる方法。
たとえば、ブルー系統だったら、藍色、青、水色というように、色のグラデーションだけでコーディネートを完成させます。
黒だったら、白からグレー、黒まで。
これなら、色選びに自信がない人もわかりやすいのではないかと思います。
このやり方は、他人から見ると、おしゃれに見えるのですが、自分で鏡を見ると、ちょっと退屈に見えるかもしれません。
そんなときは、全体の5パーセントぐらいの割合でさし色を足してください。
しかも、はっきりコントラストのついた色を。
それはそれで、はっとするほど素敵です。

2010年10月29日金曜日

大人のタートルネック


以前、タートルネックより、Vネックのほうが、大人にはお似合いであるということを書きました。
でも、やっぱりタートルネックも着たいですよね。
こう寒いと、首元は寒いですし、タートルネックというデザインがすばらしいことも確かです。
ただ、わたくしたちは女優じゃございませんから、いつも誰かが下からライトで顔を照らしてくれるわけではありません。
では、どうするか。
いくつか方法があります。
まず1つ目、タートルネックの上からパールのネックレスや、ダイヤモンドのペンダントをする。こうすることによって、足りない輝きを足します。もし死蔵しているパールのネックレスがあるのなら、積極的に活用しましょう。
同様に、やはり輝きのある素材のスカーフをまくのもよいでしょう。
2つ目、暗い色のタートルネックでなしに、白や、パールグレーのような、輝く素材のものを着る。これは一番簡単です。
3つ目として、タートルネックの上から、明るい色のシャツを着る。
明るい色の面積をふやすことによって、顔色の輝きをカバーします。
これらの手法を駆使していけば、いくつになってもタートルネックを着て、しかも顔色を老けさせないことは可能です。

2010年10月26日火曜日

着やせのポイント

コートの季節がやってきました。
ということは、着膨れの季節がやってきたということですね。
ただ漫然と上から上へ重ね着していったら、太って見えますので、
今日は着やせのポイントです。

一言で言ってしまえば、目の錯覚を利用すればいいわけです。
よく、横長線を何本か書いたものと、縦長專を書いたものの比較がありますよね。
で、あれは、当然、縦長線が何本か書いたもののほうが幅が狭く見えるわけです。
縦ボーダーの服のほうが、横ボーダーのものより細く見えるということ。
この目の錯覚を利用します。

とにかく、縦線を強調していきます。
そうすることによって、壁のようになった面を縦に区切っていくのです。
ロングのストールを首からかける。
ロングのネックレスをする。
シャツの前ボタンを深くあける、
深いVネックのニットを着る。
ジャケットもぴったり前をしめないで、ウエストのみひとつボタンをかける。
また、最近、スタイリストさんが盛んに紹介している方法で、
コートやジャケットの前を完全にしめないで、あけておいて、ウエストをベルトでしめるという方法。
これも、ベルトで横線が1本できますが、縦長がかなり強調されます。
(ただ、この着方は寒いので、真冬はちょっと厳しいです)
もちろん、これらを駆使すると同時に、色も引き締める色を使っていけば、かなりすっきり見えます。

同時に、自分が太いと思っている部分については、「なかったことにする」色を使います。
「なかったことにする」色の代表は黒です。
日本では昔から黒子という考え方があって、あれは、見えても見えなかったことにするという暗黙の了解のルールです。
つまり、「黒」というのは、さほど人の視線をくぎ付けにするような色ではないということ。
ですから、足を目立たせたくないなら、黒いタイツ、下腹部が嫌なら、黒いスカート、二の腕が嫌なら黒いニットと、あまり見せたくないところに黒、またはそれに準ずるような、濃くて、目立たない色を持っていきます。
間違っても、自分の目立たせたくないところに、花柄など持っていかないように。
自然と人の視線はそこにいきます。
また、目立たせたくない色を使うと同時に、目立つ色や柄を使って、視線をそらすという方法も実施するとなお効果的です。
黒いタイトスカートに黒いタイツ、だけど、首元には華やかな色のスカーフなどをすれば、
人は、下半身より、そのスカーフを見るわけです。

こうやって、錯覚を利用することによって、いくらでもやせて見せることは可能です。

2010年10月23日土曜日

おしゃれ映画


ソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」。
本当は、現代劇である「ロスト・イン・トランスレーション」のほうがよければいいのですが、
あの映画、透けてるパンツ以外の衣装について、あまり印象がないです。
ほかにも何か、最近のもので、おしゃれでお手本になるやつないかなと思ったのですが、
私が最近たくさん見ていないせいもあって、思いつかない。
でも、やっぱりソフィアは外せないので、これです。
もちろん、コーディネートなど、全く参考にはなりませんが、
ラデュレのマカロン色の配色は、一見の価値ありです。
たまには、こういう甘い色もいいですね。

2010年10月20日水曜日

コートのサイズについて

さて、冬ものコートを着る時期がやってきました。
最近、ダウンコートがはやってきて、あまりサイズのことを考えなくても、着られるようになりましたが、
ウールでできた、正統派のいわゆる昔ながらのコートを着るときは、サイズのことを考えなくてはなりません。

コートのサイズも、トップスのサイズ同様に、バストで決められています。
しかし、実際、コートを着るとき、もっとも重要な点は肩と首なのです。
皆さんも、デザインが気に入って買ったはいいものの、やけに重くて、結局、そのコートを着なくなってしまったという経験が一度ぐらいはあるのではないかと思います。
これは、コートの重心点が、自分の 肩と首にきちんと乗らなかったためです。
腕、肩と上がってきて、首に続くラインがありますね。
その肩と首のちょうどつなぎの部分に、重いものが乗っても、あまり感じなくなる点があります。
リュックの背負い方を想像していただければいいと思いますが、背負うひもの部分が外側にいったり、後ろに引っ張られたりすると、必要以上に荷物が重く感じられます。
コートもこれと同じで、重心が外へと流れていくと、重くて、肩がこることになるのです。
私は昔よく、こういうコートのことを、背後霊が後ろに乗ってるみたいとか言ってました。
背後霊が乗ってると、ものすごく疲れます!

この場合、考えられるのは、自分の肩と首にコートの寸法が合ってないということ、
また、パターンが悪くて、どうにもならないということです。

結局、重くて肩の凝るコートは着なくなってしまいますから、
デザインがよいという理由で重い点を妥協せずに、自分に合ったコートを選びましょう。

2010年10月18日月曜日

ボトムのサイズについて

ボトムのサイズはウエストとヒップの寸法によってきめられています。
けれども、通常は、ウエスト寸法のみが表示されているので、ウエストで選択することとなります。
ウエストとヒップの差が大きい、グラマーな体型の方は、ウエストで選んでしまうと、
ヒップがおさまらないということがあるでしょう。
日本のサイズは、どちらかというと寸胴です。
ですから、ウエストとヒップの差はひかえめになっています。
また、ボトムについては特に、年齢設定がされていて、たとえばミセス向きのボトムは、
パターンを作るとき、下腹部やウエストからヒップにかけての背中側によりゆとりが入るようになっています。
これはたとえば、フレアスカートなどの場合にはあまり関係がないのですが、
タイトスカートやタイトなドレス、スキニーパンツなど、ウエストから腰まわりにかけてタイトなアイテムを選ぶときには、重要です。
トップスと同様、これも、不必要な「しわ」によって、自分に合ってるか合っていないかわかります。
ヒップの寸法が足りない場合は、スカートがずりあがってきて、横に「しわ」が出てくるでしょうし、
一方、ヒップ寸法が余ってしまっている場合には、その余分な布が縦の「しわ」となり、
シルエットを崩すでしょう。
ウエストとヒップの寸法の微妙なバランスは、ブランドによって、実にさまざまですので、
タイトなボトムスを購入するときは、自分の体型に合ったバランスでパターンを作っているメーカーなり、ブランドを根気よく探しましょう。

2010年10月17日日曜日

トップスのサイズについて

現在、サイズ表記として、7号、9号とか、S、Mとか、またはそのほか36とか、いろいろあると思いますが、トップスのサイズの基準値はバストの寸法です。
ですから、どんなに細い体型の方でも、バストがある方は、決して7号にはなりません。
やせているか、やせていないかでなく、すべてバストが基準で決められています。
ですので、自分に合ったサイズかどうかを見るところは、バストということになります。
最近、多いなと気付いたのは、バストがあるのに小さめのサイズを着ている方です。
自分に適したサイズより小さいサイズを着てしまうと、必ず「しわ」ができます。
その「しわ」の位置ですが、バストの上側、ちょうど脇の下、または袖つけ位置から、
水平にまっすぐ、「しわ」があらわれます。
これは、バストの寸法が足りないがためにあらわれる「しわ」です。
ブラウス、シャツ、ジャケット、そしてニットにも、サイズが合っていないと、
すべてこの「しわ」があらわれます。
再度、鏡の前に立ってみて、自分と服のサイズが合っているかどうか調べてみてください。
案外、勘違いされている方が多いのではないかと思います。

2010年10月13日水曜日

高い服はいい服なの?

「高い服って、いい服なの?」と友達に聞かれました。
うーん、これは返答に困ります。
どうして定価が高いのか、考えられるのは以下のような点です。
1小ロットの生産。つまり、1つの型に対して販売枚数が少ない。
2原価が高い。(生地とか、毛皮とか)
3中間に業者がたくさん入る。
4何となくこんな感じじゃない、とか言って、値段をつけている。
で、今回の考察では、パリコレとかで発表しているハイブランドは除きます。
また、インポートものも、内部事情までわからないので、これものぞきます。
普通に売られている国内のブランドについて考えてみましょう。

まず1について、別に生地が高くなくても、デザインがよくなくても、パターンが悪くても、
小ロットというだけで、値段は高くなります。
2について、確かに高い生地というのはあります。当然、売値も高くなります。
3について、ここで何度か紹介している問題。商社や問屋など、たくさん入れば入るほど、高くなっていきます。この場合、原価と売値の高さは関係ありません。
4について、これ、笑っちゃいますけど、私が過去にいた会社の人は、こんな感じで値段を決めていました。
だから、こういう値段の決め方もあるのです。で、意味なく高くつける。

洋服全体を見ていきますと、もちろん、ハイブランドの商品は、それなりに品質、デザインとも優れていると思います。
で、問題なのは、ごく普通に売られている高いもの。
生地の原価が高い場合は、それなりの値段になるでしょう。
これは、生地のよしあしがわかるようになってくれば、だんだん見分けられます。
問題はパターンなんです。
いい服の絶対条件として、いいパターンであることが挙げられますが、
ただ、高いからといって、いいパターンだというわけでは決してないのです。
(外国の商品についてはこの限りでありませんので除きます。)
いいパターンの服は、それこそ、着るだけで体型補正できます。
だけれども、日本におけるパターンを引く人の地位は、著しく低いのです。
これは過去の話ですが、私の知っている、パリコレに出ていた世界的に有名なブランドのパターンナーの方は、妻子がいたのですが、給料が安く、節約するために、おひるごはんを青山学院大学の学食で食べていました。
こんな調子なので、みんなどんどんやめていきます。
そして最近、パターンナーの友達に聞いたところによると、会社という組織内に、どんどんパターンを引く人がいなくなって、パターンは内部でなく、外部に発注するようになってきているのだそうです。
こうなると、いいパターンに当たるかどうかなど、宝くじに当たる確率と同じようなもの。
ですから、値段にいいパターンかどうか、全く反映されていないというのが今の日本の現状です。
日本にいいパターンを引く人がいないとは言いませんが、そうでなくても、立体に弱い日本人ですので、本当に少ないのです。

で、結論ですが、とにかく値段だけに惑わされないということ。
安くてもいいものはあるし、高くてもよくないものもある。
結局のところ、自分が好きかどうか、着ていて心地いいかどうか、そうやって丹念にチェックしていくしか、
いいものを見つける方法はなさそうです。

2010年10月9日土曜日

カシミア

パーソナルレッスンにいらしてくださった方々に、冬のワードローブとして、
カシミアのニットをお勧めすると、みなさん、「ええーっ」と言います。
この「ええーっ」は、カシミア嫌いの「ええーっ」でなく、
カシミアが高いがための「ええーっ」だと思います。
たしかに、カシミアのニットは高いです。
けれども、カシミアほど、大人の女性にふさわしい素材はないのではないかと、私は思います。
肌触りやつやなど、ほかのウール素材より、一歩も二歩も抜きん出ている素材です。
ほかのウール素材と同様、カシミアにもランクがあり、値段もさまざまです。
でも、ここで注意していただきたいのは、値段が高いからいいというわけではないということ。
同様に、値段が安いから悪いというわけでもないのです。
前にも説明しましたが、アパレルの複雑な流通がその原因です。
いつだったか、有名デパートのカシミアが、実は偽物だったという事件がありました。
まさに、あれはアパレルの流通の問題点を象徴している事件だと思います。
では、どうすればいいか。
前から言っているように、まずはいい素材を知っておくこと。
だけれども、これを読んでいる方には、近くにデパートもアウトレットもないし、
いい素材なんて、わかんないわよ、きーっとなっている方もいらっしゃると思います。
ですので、つぎのヒント。
問題は複雑な流通にあります。
ですから、なるべく中間の流通をはぶいた商品ほど、安く、品質が高いわけです。
おすすめなのは、
・直接買いつけをうたっているもの。
・デパートだったら、オリジナル商品。
・通販などの、店舗を持たないブランドのオリジナル、または直接買い付けた商品。
とにかく、中間の商社をはぶいてしまっているもののほうが、値段は安く、品質は高いです。
内部を知ってしまえば、あの有名ブランドのニットより、こちらの有名ファストファッションのニットの品質のほうがいいなんて、そんなこと、ざらにある世界なのです。
今年の冬はぜひ、こういった知恵をいかして、カシミアニットに身を包んでください。
一度着てしまったら、もうほかのものは着られませんから。

2010年10月6日水曜日

初めてごらんになる方へ

きのうからカウンターの数字がやけにふえているなと思ったら、
以前、私のワークショップに参加してくださった方がご紹介してくださっていたのですね。
どうもありがとうございます。

さて、ここへ来られた方のほとんどはミクシィの断捨離コミュニティをお読みになっている方々だと思いますが、このブログの最初の部分は、以前、私が同コミュニティの雑談欄に勝手に連載したものを加筆、訂正したものです。
だんだん断捨離とは離れていってしまったので、コミュニティ内の書き込みは消してあります。

このブログのコアな部分は、最初の「おしゃれのルール」のところでまとめられています。
そこを読めば、洋服の減らし方、厳選の仕方など、おわかりになるかと思います。
できれば、そこからお読みください。
「おしゃれチップス」は、もっと細部についての内容となっていますが、あまり細かいラベル分けはしておりません。また、「おしゃれのルール」を読んであるという前提で書いていますので、途中から読むと、意味がわからないかもしれません。
お時間のない方は、「おしゃれのルール」部分のみ読んでいただければ十分かと思います。

では、皆様にこのブログがお役に立てましたら幸いです。

2010年10月5日火曜日

リサイクルショップ

先日、遅まきながら、初めてリサイクルショップへ行きました。
近くにショップがなかったのと、売るほどの服を持っていなかったので、今まで行ったことがありませんでした。
今回、売りたいと思ったメインのものは、2003年ぐらいに個人輸入で買ったアバクロンビー・アンド・フィッチの秋冬のキルティングのミリタリージャケット。価格は送料も含めて1万5000円ぐらいだったと思います。
かなり着こんでいたものだったので、もう捨てる予定だったのですが、もしや売れるかもと思い、持っていくことにいたしました。
持っていったのは、チェーン店のリサイクルショップだったのですが、売る人、買う人で大変にぎわっていました。そのため、査定に1時間はかかると言われたので、その間、ショップをリサーチすることに。
売られている大半のものには800円とか1000円といった値段がつけられています。
それらは、無名ブランドの古着たち。
しかし、よく見ると、通の間でも知られているブランドものも混ざっていたりします。けれども、売値は決して高くないです。ということは、つまり、買い取り価格も安かったはずです。
また、未使用品でも、有名ブランドでないと、必ずしもいい値段はついていません。つまり、これも買い取り価格は安かったはず。
次は、どういったものが高く売買されているのかと思い、その辺をチェックしてみました。
すると、そのお店に限って言えば、高く売られていたのは2つのブランドだけでした。
1つは、バーバリー。
かなり古い型でも、またバーバリーブルーレーベルでも、3000円以上で売られています。
つまり、そこそこいい買い取り価格であったはずです。
そしてもう一つは、パタゴニア。
これが驚いたことに、未使用品でなくても、どれもみな1万5000円前後の値段がついています。
ということは、かなりの高い価格で買い取りされたはず。
バーバリーというのは、定価も非常に高い商品ですが、パタゴニアは、アウトドア用品の中では高額な部類とはいえ、バーバリーほど高額なものではありません。それなのに、非常に高い値段で売られています。
つまり、需要があるということですね。
結局のところ、リサイクルショップでは、いくら高い値段で買った無名ブランドのものよりも、需要のあるブランドのほうを高く買い取りしてくれるということのようです。
この点は、自分のワードローブをふやすときの参考になります。

さて、問題の私のアバクロのジャケットですが、1000円という買い取り価格でした。
これがいくらで店頭に並ぶのかは知りませんが、定価が安いこと、かなり着こんでいること、そして古いことを考えたら、なかなかいい価格ではないでしょうか。
人気のある商品だったら、定価に関係なくそこそこの値段で買い取ってくれる。
この点を考慮して、リサイクルショップを賢く活用しましょう。

2010年10月3日日曜日

おしゃれ映画



おしゃれ映画としてツィッギーの「ボーイフレンド」を紹介しようと思ったら、
なんと、日本版のDVDはありませんでした。
監督もケン・ラッセルという、結構有名な人なのに。
ただ、ごくたまーに、NHKのBSで放送されることがあるので、もしやったらぜひ見てください。
内容はほとんどないに等しいですが、つぎからつぎへといろいろな衣装で出てくるツィッギーが、
すごくかわいいです。
で、かわりといっては何ですが、見られるのはこちらのミア・ファローの「フォロー・ミー」
こちらはファッションもさることながら、内容もかわいい。
もうすぐDVDで発売されます。
で、なぜ今この2点を紹介するかというと、マーク・ジェイコブスなんかが本格的に70年代ファッションをコレクションで発表しているからです。
やっぱり次にくるのは、70年代リバイバルかなあ。

☆それにしても、「ボーイフレンド」の写真が小さすぎ・・・。

2010年9月30日木曜日

秋物をどうするか

長く暑い夏が終わり、やっと涼しくなったと思ったら、もう冬かしら、というぐらいの寒さ。
ここ数年の傾向ですが、こうなると、困るのが秋物の洋服をどうするかということ。
たぶん、この感じだと、秋物として売られている上着を着られるのは、10月いっぱいぐらいでしょう。
ジャケットやコートのインナーに着るものは全く問題なのですが、
やっかいなのは秋専用の上着。
特に、綿のコーデュロイやベルベットなど、見た感じは秋や冬だけど、
着ると、綿なので全然暖かくないという上着は、出番がうんと少なくなってしまうでしょう。
私もベルベットという素材が大好きなので、上着を1枚まだ持っているのですが、
出番が本当に少ないです。
たとえば、いつも車で移動するであるとか、その素材がとても好きという以外は、
あまりお勧めできないアイテムとなってしまいました。
またこれらの素材は、同じぐらいの気温の春先に着ると、やはり季節にそぐわないです。
おしゃれに見える1つポイントとして、季節の先取りというのがあります。
ですからこの季節、ちょっと寒くなったら、もう冬のジャケットを着て、ブーツをはいてしまうほうが正解。
暑くなったら脱ぐか、または最初からごく薄手のインナーをあわせておけば大丈夫。
そうしてしまったほうが、ずっとおしゃれに見えます。
くれぐれも、この季節にしか着られないものは、ふやさないようにご注意を。

2010年9月26日日曜日

「必要」には要注意

「必要」だからという理由で洋服を買うときには注意が必要です。
まず買う前に、
だれかに借りることはできないのか、
何かほかのもので代用できないのか、
買った後、ほかにもらってくれる人がいないか、
もし買ったとしても、自分が日常的に使えるか、
など、よく検討してみましょう。
一番みじめなのは、使用回数が1度や2度のまま、ずっとワードローブにしまいっぱなしになること。
「必要」という理由から買ったので、好きでもないし、ほかに着る機会もない、
かといって、捨てるほど古くない、そしてまたワードローブの奥のほうへ戻してしまう・・・、
これを繰り返すことです。
結局のところ、愛着がないものに、出番は回ってきません。
「必要」には気を付けましょう。

2010年9月24日金曜日

洋服もたまにファスティングを

こんなふうに気温が急激に下がって、季節がひとつぬかされたような感じになると、
本当に着るものに困りますね。

さて、今日はファスティング、つまり断食について。
といっても、これは洋服についての情報の断食。
季節が急に変わって、着るものがない!と思い、
お店にすぐ向かえば、新しい魅力的な品々のにぎやかな森。
目だけはお腹がすいているので、すぐに飛びつきたくなるけれど、ここでちょっとストップしてみて。
たまに断食をやると、自分に必要な食べる量や、食べ物がわかるようになります。
同じように、洋服についても、少し情報をたってみて、本当に自分に必要なのは何か考える時間をとりましょう。
今、流行っているからでなく、
これが似合うってだれかに言われたからでなく、
お金が足りないから、これでしょうがないでなく、
本当は好きでないけど、これしかないからでなく、
ママだから、これを着なきゃでなく、
男受けがいいから、かわいい服にしておこうでもなく、
実用的だからでもなく、
機能的だからでもなく、
OLだからでもなく、
田舎だから、この程度でいい、でもなく、
そんな情報を遮断して、次のことを考えてみましょう。
本当に、本当に自分が着たいのは何?
もし余命1年だとしたら、それでも着たいものって何?
これをしてから、買いものに行けば、
本当に自分にぴったりのものは、そうたくさん売っていないと気付くでしょう。

2010年9月21日火曜日

衣替え

季節がかわる前に衣替えをしなくてはなりません。
現在、実にさまざまな繊維が登場して、ラベルを見ると、
ドライクリーニングとなっているものも多いです。
しかし、本当のところ、表示はドライとなっていても、かなりのものが自分で洗えます。
中には、テイラードジャケットなどもご自分で洗ってしまう方がいますが、
仕上げのアイロンが大変なので、そこまでは真似しなくてもいいでしょう。
特殊なコーティング(たとえば防水加工とか)、レーヨンとシルクのヴェルベットなど、
表面に特徴のあるものはやめたほうがいいでしょう。
けれども、セーターやライトダウンジャケット、シルクのブラウスなど自分で洗えるものは自分で洗うといいでしょう。
ドライだと、石油系の溶剤を使うので、何となくすっきりしない感じがするのですが、
自分で、水洗いしてしまえば、繊維に入り込んだ汗や汚れはすっきりします。
何よりも、経済的に節約になりますので、自分で責任を持って、トライしてみてください。
洗剤メーカーのHPに洗い方が出ています。

2010年9月18日土曜日

ベーシックとしてのミリタリー

数年前から、ミリタリーテイストの服が市場に出回り始めましたが、
今年はさらにそれがヒートアップする兆しです。
ミリタリーとは軍のためのもの、つまり戦うために考えられた、機能的で動きやすい服。
そして、何年もかかって洗練されてきたデザインは、洋服の歴史の中でベーシックとしての地位を確立しています。
代表的なものをあげると、
Pコート:
オランダ語のラシャという生地からできたコートであるとか、海軍のパシフィックのPからとったといわれているコート。トラッドの定番です。
トレンチコート:
第一次世界大戦中、イギリス軍が使った、塹壕に由来するトレンチという名前からきているコート。
バーバリーが有名です。
チノ:
綿の生地が中国で作られていたということからきた名前。GI用に作られていました。
ダッフルコート:
ダッフルとは、ベルギーの都市の名前の英語読み。これもやはりイギリス海軍が使用。
カーゴパンツ:
カーゴとは貨物船のこと。荷物を運ぶときに使用していました。

ここら辺が今年の流行りとして多く出てきています。
どれもみな、ベーシックですので、長く着られるアイテムです。
よく吟味して、選んで、上手に取り入れましょう。
ただ、私のように全身、カーキにしてしまって、
今から出動!みたいにならないように注意してください!
※ちなみに、カーキとは、サンスクリット語で、大地という意味。
インドに行ったイギリス軍が、チノパンツのことを、カーキと呼んでいたそうです。

2010年9月16日木曜日

一軍の選手をそろえましょう

皆さんの実際のワードローブを拝見させていただいて感じることは、まず、
そんなにたくさん必要ないですよ、ということです。
次には、
二軍の選手が多すぎます、ということです。
二軍の選手ばかりでは、いざというとき、試合に勝てません。
わざわざ二軍の選手を集めないで、一軍の選手がだめになったら、二軍に回せばいいのです。
また、二軍ならまだしも、三軍の選手ばかりの方もいます。
残念ながら、旬を過ぎた三軍選手の出番なんて、もうありません。
二軍の選手ばかりで試合をする人生はもう終わりにしましょう。
自分にふさわしい、一軍の選手を集めましょう。
そうすれば、いざというとき勝てるでしょう。

※選手というのはお洋服という意味です。

2010年9月12日日曜日

素材のON AND OFF


オンのときに使われる素材と、オフ向きの素材とが、やはり存在します。
その区別は明確というわけではありませんが、ないというわけでもありません。
簡単に言うと、光沢感があるかないか。
オン、つまり、公の場や、いわゆる一般の会社へ行くときなどに適している素材は、
梳毛などの、つやと光沢感のあるウール。
ウールでローゲージ、つまり細い糸で編まれたニット。
ポリエステルなどの化学繊維素材。
シルク。
など、いわゆるコンサバと呼ばれているテイストに多様される素材です。
化学繊維は、多分、最初、絹の代用品として開発されたため、
オフィシャル向きと考えられるのだと思います。
それに対して、オフ向き、つまりカジュアルな普段着向きの素材は、
コットン全般。
モヘアやバルキーなど、つやのない、ラフな仕上げのウール。
洗い加工したものすべて、です。
コットンも、例外的には、海島綿など、光沢のあるものは、ある程度、オンにも着られると思います。
麻素材も、光沢があるものはオン、ラフな仕上げのものはオフと考えればいいでしょう。
この服で会社みたいなところに行ってもいいかなと迷ったときは、これを参考にしてください。
言葉ではぴんとこない方は、いわゆるOL向きの、コンサバスタイルに使われている素材を思い浮かべればいいと思います。ほとんどのデパートで、コンサバのスタイリングは見ることができます。

2010年9月9日木曜日

チュニックのON AND OFF

もうずいぶん長い間、チュニックが流行っています。
今年の冬もまだまだ続きます。
ボトムがスキニーやレギンスである限り、続くでしょう。
さて、このチュニック、どうやったらオンとオフで着分けすることができるのか、
先日、ワークショップに来てくださった方から質問があり、私も何となく漠然と考えていたことを
言葉に変換してみました。
まず、オフ、つまりオフィシャルな場でない、お休みの日などのためのチュニックは、
素材がコットンなどカジュアルなもの。
丈が長い。
ボリュームがある。
派手な柄や色。
こんな感じです。
それに対して、オンでも着られるチュニックとは、
素材がニット、またはポリエステルなど化学繊維。
丈が短め。
ボリュームが小さい。
ベーシックな色。
と、こんなふうに分けられます。
では、オフのものをオンでも着用したい場合はどうするか。
まずは色はベーシックにしておく。
ボリュームがあったり、丈が長い場合は、ベルトを使って、丈を短く、ボリュームを小さく見せる。
そして上からノーカラーやテーラードカラーのジャケットを着ればいいでしょう。
プラスして、今はやりのロングネックレスなどで縦の線を強調して、ボリュームを目立たなくするという方法もあります。
過剰なボリューム、派手な色、過剰な装飾、これらはみなオンには使えないということですね。

2010年9月7日火曜日

大人かわいい

最近、雑誌でよく「大人かわいい」という言葉を目にします。
実は私、この言葉って、具体的に何のことを言ってるのか、ずっとわからないでいました。
しかしちょっと前、まだ私の家にテレビがあったころ、NHKのインタビューに答えて、吉川ひなのちゃんが説明をしているのを聞いて、やっと意味がわかりました。
ひなのちゃんいわく、
年齢が上がるにつれて、フリルとか、リボンとかついた服は子供っぽいから、そうじゃない服(多分、コンサバデザインの服だと思われます)を着るように要求されたの、
でも私はそんな服、着るのはいや、
大好きなリボンやフリルのある服を着ていたい、
だから、そういうお洋服を着ていたら、みんなに支持されるようになったの、
大人になったって、そういう服を着てもいいよねって、みんなに言いたいの、
というような内容だったと思います。
ファッションを勉強したものにとって、フリルやリボンが子供向きのデザインだ、なんてことはありません。
今は亡き天才デザイナーのジャン・フランコ・フェレも、よく大きなリボンのついた黒いドレスを発表していましたし、ソニア・リキエルだって、大人のために、(しかもかなりの大人のために)、いつもフリルのついたニットを発表しています。
フリルやリボンが子供のためのデザインというのは日本の、しかもごく一部の人たちのあいだにだけあるルールなのではないかと思います。
ですから、大人になったから、フリルやリボンがだめなどと、私は全く思いません。
ただ、子供っぽいフリルや、リボンのデザインがあるというのは確かです。
ひとつはいつも言っている素材感。それから、過剰すぎるかどうかなど、注意点は何点かあります。
だけれども、それをクリアすれば、全く問題ないと思います。
あなたがフリルの服を着ていたって、だれかを傷つけることはありません。
リボンやフリルなんて、なんの武器にもなりません。
だから、そういうデザインの服が着たいのであれば、どんどん着ていきましょう。
だって、死ぬ時に、「ああ、あのとき私はリボンのついた服を着たかった!」なんて、
後悔したくありませんから。

2010年9月5日日曜日

おしゃれ映画


今日はおしゃれ映画です。
誰もが一度は見たことがある「ローマの休日」。
衣装デザイナーはアカデミー賞を何度も受賞しているイーディス・ヘッドです。
この映画、よーく見てほしいのですが、
オードリー演じる王女は、最初、ブラウスのボタンをきっちりしめ、袖も長袖を長くそのまま着ています。
しかし、時間が経過して、だんだん活動的になっていくとともに、
前のボタンはあけられ、袖もどんどんまくっていくのです。
写真はもうかなり最後の姿。首にチーフもまいています。
この映画が教えてくれるのは、おしゃれとは、印象をどんどん変えていけばいいということ。
そのためにたくさんワードローブが必要なわけでもなく、
ちょっとした小物(この場合だとチーフですね)と、着こなしに変化をつければよいということです。

2010年9月3日金曜日

3色ルール

ずっと昔、私が子供のころ、うちにあった「暮らしの手帳」に、
それはそれはとてもおしゃれなパリの女の子の普段着の写真が載っていました。
何枚かあったと思いますが、どれもすばらしいコーディネートなのです。
もちろん女の子なので、服を買うのはお母さん。
そのお母さんの洋服を買うときのポリシーはこうでした。
「赤、青、白のトリコロール以外の服は買わないこと」
確かによく写真を見てみると、服だけでなく、カバンやマフラーなども、すべてこの3色で構成されています。
そして、これこそが、もっとも簡単におしゃれに見える秘訣なのです。
どこのだれかが言ったわけでもなく、別に学校で習ったわけでもないのですが、
服をコーディネートするときには、3色以内にすべしというルールが存在します。
つまり、全部の色を3色以内におさえるということ。
もちろん、ファッションですから、いつでも例外はありますが、
おしゃれに自信のない人ほど、このルールを実行すると、
見違えるようにおしゃれに見えるようになります。
そして、どんなハイブランドでも、このルールを守ったコーディネートを発表しているところが非常に多いです。
とにかく、わからなくなったら3色以内にする。
まずはこれを実践してみてください。

2010年9月1日水曜日

黒の色

9月になりましたが、まだまだ暑い日が続いています。
昔は9月になったら、秋物をというイメージでしたが、こう暑いとそうもいきません。
とりあえず、秋分の日までは晩夏ということで過ごしていますが、いまだにいい方法は見つけていません。
この時期は、本当に難しいです。

さて、今日は黒という色についてです。
黒一色のコーディネートは今でも根強い人気がありますが、そのときに注意しなければならない点があります。それは、黒という色の幅です。
同じ黒でも、
コットンの黒、
ウールの黒、
ベルベットの黒、
革の黒、
化学繊維の黒、
全部、色が違います。
黒一色で、異素材を組み合わせたコーディネートをすると、この色の違いが目立ってきます。
特に注意が必要なのが、安っぽい黒の色です。
アセテートの黒や、安い合成皮革の黒は、なんとも品がありません。
また、ベルベットでも、綿ベルベットとレーヨンベルベットでは全く色合いが違います。
何度も書いていることですが、ある程度、年齢を重ねたら、
安く、薄っぺらい光を放つ黒い素材の服を身につけるのはやめましょう。
また、色あせたTシャツも、あまり美しくありません。
上質な黒には、色に深みがあります。
その深みを利用して、品のいい大人らしさを演出しましょう。

2010年8月30日月曜日

涼しげに見せる

本当に暑い日が続きますね。
もうすぐ9月だというのに、ファッション的にはどうしたらいいか、困る時期です。
さて、今回ご紹介する方法は、私が考案したものではなく、とある占星術の先生からうかがったものですが、なるほどなと思うところがありましたので、シェアしたいと思います。
ずばり、暑い夏に涼しげに見せる方法です。
(あくまで、涼しげなので、涼しくはないです・・・)
まず、その1.まとめること。
なるべく内側に向けて小さく見せること。髪型も、洋服のシルエットも、横に広がっていかないように注意。
その2、色は単色、または北欧系の色。
当たり前と言えば当たり前ですが、ブルーなどの寒色のほうが涼しく見えます。
その3.かざり過ぎないこと。
メイクもアクセサリーもほどほどに。決して暑苦しくならないように。
と、こんな感じです。
これは、大人の色気を感じさせる方法としてご紹介されてました。
晩夏ともいえるこの季節、大人の色気を演出してみたいときには使ってみてください。
まわりの人は、何となく感じてるはずです。(あくまで、たぶんです)

☆お知らせ
題名の下の欄に、パーソナルレッスンについての詳細をアップしました。
ご興味のある方はごらんください。

2010年8月27日金曜日

ブランドにも流行がある

よく、化粧の仕方がその人の全盛期(だと思っている)のときのまま止まっている人がいると言いますが、ファッションにもそれが言えると思います。
最近でも、ごつめのフラットシューズに、体にフィットしないルーズなシルエットで、真っ黒い装いの人を見ると、ああ、80年代が青春時代だったのだなと思います。
残念ながら、ブランドにおいても流行というものがあって、ずっと旬のままというのは大変難しいようです。
前述の黒い装いの人も、自分がファンになったブランドがあって、今でもそこの服を着ているのでしょう。
それは決して、古いものではないと思うのです。
そこのブランドの最新のものだと思います。
けれども、そのブランド自体が時代遅れになってしまうと、どんなに今年の新作を着ても、やはり一昔前の人に見えてしまいます。
洋服を作っているメーカーの人が常に時代の新しさをキャッチしているというわけでもなく、ただ単に、そこのメーカーのデザイナーが自分の好みだけで服を作り続けていると、やがてそれは時代遅れとなってしまうのです。
全身、最新の流行に身を包む必要は全くありませんが、かといって、あまりに時代とは関係ない服を着るというのも、たとえそれがどんなに有名なブランドのものだとしても、おしゃれには見えない要因の1つだと思います。
そして、何より古臭く、老けて見えてしまいます。
若く見えるというのは、若い人用のデザインを着るということではなく、
今の時代の風を感じて、それを表現している服を自分のワードローブの中に取り入れていく、
そんな行為ではないかと思います。

2010年8月26日木曜日

ベルト

ベルトはパンツのベルト通しに通すだけのものではありません。
コート、
ジャケット、
ニット、
ブラウス、
ほぼどのアイテムの上からもベルトをすることができます。
特に、コート、ジャケットなどは、少し流行から外れて、
ウエストのラインが今とは違うものを修正するのに役立ちます。
また、おしゃれ度も上がりますので、ぜひ鏡の前で試してみてください。
またボリュームのあるニットやブラウスなども、ベルトありとなし、2通りの着こなしが楽しめます。
こういうときに使用するベルトは、全体のルックスのポイントになりますので、
特におしゃれで、オリジナルなものを選ぶようにしましょう。
ただし、ベルトはいいものがあまり売っていないアイテムの1つ。
セレクトショップに行ったときなどは、こまめにチェックして、これだと思うものを見つけましょう。
かなり長くお付き合いすることになるアイテムなので、妥協しないように。
また、コート、ジャケットの上からベルトをすると、脱いだときに忘れそうになります。
その点は、ご油断なきように、気をつけてください。

2010年8月24日火曜日

スポーツウエア

前述した「チープ・シック」という本に、取り入れるべきベーシックなデザインとして、
制服とスポーツ・ウエアが取り上げられています。
制服とは、ミリタリーに象徴されるような、Pコート、ダッフルコート、トレンチコートなどのことです。
この本で取り上げられているスポーツウエアはレオタードなので、ちょっとそれは今の時代はないでしょうという感じですが、スポーツウエアのファッションにおいて占める割合は、90年代にプラダがスポーツウエアテイストのコレクションを発表して以後、ますます大きくなっています。
では、スポーツウエアを取り入れるを日常着に取り入れるとき、何を注意したらよいでしょうか。
これもやはりテイストのミックスになるので、全身スポーツウエアにしないことが1つです。
(全身スポーツウエアにしたら、普通の運動する人です)
それから、色を厳選すること。
自分のテーマカラーと同じ色、または黒、紺、白など、シックな色合いを選ぶこと。
(クレイジーカラーのウエアもはやっていますが、それは少し若い人向けのように感じます。ですので、それはお好みで)
 それさえ注意すれば、今の時代、どんな服装にスポーツウエアをそのまま合わせても、だれもおかしいとは思わないでしょう。
 

チープ・シック


ファストファッションや、プチプライスという言葉が雑誌でよく取り上げられる今日このごろ、
チープ・シックという言葉はあまり聞かれなくなりました。
それでもなお、1977年に発売されたこの本は、まだ多くのことを教えてくれます。
チープであってもいいが、シックでなければいけない、この本では、ずっとそのことが書いてあり、
サンローランのインタビューもあります。
繰り返されるのは、ベーシック、クラッシックというものの重要性、そしてファッション産業の餌食になるなということ。
「安上がりにしかもシックに着こなすには、服にかけるおカネと時間をできる限り節約することなのです。それを忘れないように。」
という言葉は、お金がなければおしゃれじゃない、流行のファッションを追いかけなければシックじゃないと、何度も何度も繰り返し言われ続けた言葉が、決して本当のものではないということを教えてくれます。
ただ、膨大に消費するだけがよしとされた時代が終わりに近づく現在において、
やはりこのことは重要です。
服に時間とお金を大量にかけないでおしゃれになる方法を身につけることは、エコであると同時に、それよりももっと大切なことにエネルギーを注ぐための、ささやかな助けになるのではないかと思います。
洋服はしょせん、モノです。
でも自分自身はモノではありません。
私の大嫌いな言葉に「人材」という言葉がありますが、人間は材料なんかじゃないです。
ずっと消えて無くならない、モノではない自分自身のために、モノ、つまり洋服の奴隷から解放されて、もっともっと大切なことに、エネルギーを使いましょう。



「チープ・シック  お金をかけないでシックに着こなす法」
カテリーヌ・ミリネア+キャロル・トロイ  片岡義男訳
1977年 草思社  絶版

2010年8月19日木曜日

ミックス

テイストをミックスするという手法があります。
よく、甘辛コーディネートとか書いてありますね。
たとえば、フェミニンとマスキュリンをミックスする場合は、
花柄のワンピースに革のライダースジャケットを、
スポーティーとエレガントの場合は、フリルのついたシルクのブラウスの上着として、
いきなりアウトドア仕様のウィンドブレイカーをあわせるなどです。
この場合、あわせるときのポイントとして、半分半分の割合であわせるより、
メインとサブという感じでコーディネートするほうが、よりおしゃれに見えます。
上の場合だと、花柄のワンピースがメインで、そのサブとしてライダースジャケットです。
まさに、甘いのを引き立てるために、少し塩を足すというような、そんな具合です。
ここのところ、こういった相反するテイストをミックスするスタイルがずっと流行しているので、
どの組み合わせがよく見えるか、ぜひ実験してみてください。

さて、このミックスなのですが、ほかのコーディネートをするときも使います。
たとえば、
安いものと高いもの、
古いものと新しいもの、などです。
古いものを着るときは、どこかに新しいものを付け加えておきましょう。この場合はどの部分でも構いません。Tシャツだけが新しくてもOKです。
そうすることで、全体のバランスがこなれた感じがして、古いことを感じさせません。
逆に、すべて新しいものも、どこか借り物のようで、しっくりなじまないでしょう。
何かしら、いつものアイテムを付け加えたほうが、よりあなたらしくなります。
そのほかにも、すべてかっちりしたスタイルに、どこかファニーなものを加えるとか、
上から下まで高級なものなのに、どこかわざと気を抜いたアイテムを足して、「抜け感」を出したりという手法もあります。
ファッションは、このように、すべて完ぺきに整えるよりも、一部分ちょっと崩すほうがおしゃれに見えたりします。
どの場合も、メインとサブ、または「隠し味としての塩」ぐらいの取り入れ方が、失敗しない秘訣です。

2010年8月18日水曜日

流行は繰り返すけど

そろそろ今年の秋冬ものが店頭に並び始めました。
今年の流行の特徴として、トラッドの復活がまず挙げられると思います。
Pコート、テーラードジャケットのスーツなど、トラッドを代表するアイテムが数多く出てきました。
ここのところ影を潜めていた、かちっとしたスタイルの復活です。
(もちろん、今現在までも、細々とは展開されてましたけどね)
最近、流行のサイクルが前よりも短くなったような気がいたします。

pコートなんて、この前流行ってたばっかりじゃないと思ってしまいますが、この前、流行していたときと、今年のコート、もちろん全く同じということはありません。
前にも書きましたが、シルエットが違います。たぶん、大きな点は肩幅と肩パッドでしょう。
ざっとパリコレの写真などを見た感じだと、ウエストのシェイプ加減も違うと思います。
そういうわけで、ファッションの世界に永遠なんて、存在しません。
スタイルは同じでも、らせん状に進化しつつ変化していきます。
ですから、10年前に買ったテーラードジャケットを引っ張り出してみたとしても、今年っぽくはならないのです。
もしそれを着るのだとしたら、一工夫しなければならないでしょう。
(たとえば、ウエストにベルトをしてみるとか)
けれども、思い出していただきたいのです。
10年前のあなたと今のあなた、全く同じでしょうか?
必ず、どこかしらが、成長していませんか?
(贅肉が成長したとか言わないの)
成長して変わった部分と、それでもなお、ゆるぎなく変わらない部分、両方があるのではないかと思います。
主人公は、成長するのです。
物語は、いいほうへ進むのです。
「魔女の宅急便」のキキだって、10年もたてば、違う衣装を着ているでしょう。
スタイルは同じかもしれませんが、素材がグレードアップしているかもしれません。
ウエストもシェイプされて、女らしいシルエットになってるでしょう。
だけれども、きっと、あのほうきはまだ大事に使っているのではないでしょうか。
ファッションも同じと考えましょう。
変わった部分と、変わらない部分、この両方を表現するために使うのです。
ファッションのヴィクテム(犠牲者)になるのではなく、ファッションのユーザー(使うもの)になりましょう。
そして、それを利用して、成長したあなたを表現しましょう。
さて、あなたは10年前から、どこが成長して、何が変わらずゆるぎなく持っているものでしょうか。
今日はちょっとだけ、その点について考えてくださいね。

2010年8月17日火曜日

エターナルなデザインを探して

もちろん、永遠なんて、存在しません。
だけれども、ものを作ってる人たちの中には、それに近いものを目指している人たちがいます。
n100(エヌ・ワンハンドレッド)というニットが中心のブランドのデザイナー、大井さんと橋本さんは、「100年着たい服」という意味を込めて、ブランド名にしています。
また、eb・a・gos(エバゴス)というかごバッグのブランドの曽我部さんも、「200年残るものづくり」を目指していると言っています。
日本の中にも、ただ流行を発信しているブランドと、そうでない、もっと長い目で見たスパンでのモノづくりをしているブランドと、2種類存在しています。
ただ、エターナルなデザインを目指しているブランドのものは、大量生産ではないですし、丁寧なモノづくりをしているので、それなりの値段はしますし、どこにでも売っているわけではありません。
だいたいが小さい規模でやっているブランドです。
そして、そういう小さいながらも確かなモノづくりをしているブランドは、日本中にたくさんあると思うのです。
でも、高いといっても、ヨーロッパの有名ブランドほどではありません。
本当にオリジナルなおしゃれを目指すなら、
世界の大都市に行けばどこにでも売っていて、情報として流通してしまっているがために、だれが見てもわかってしまう、いわゆるブランド物を持つより、こういうローカル、つまり日本で作られたものを持っているほうがずっとおしゃれなのではないかと、私は思います。
あまり多くの人には知られていない、けれども、ちゃんとしたモノづくりをしている、自分のお気に入りのブランドを探してみてください。
ネットを検索してみつかるかもしれませんし、旅先で出会うかもしれません。
そうして、見つけたら、そこのものを身につけてみてください。
きっと、そういうものたちは、あなたという主人公を輝かせてくれる衣装であり、小物であり、小道具となるでしょう。

2010年8月16日月曜日

どこの場面が重要か

テイストを決めて、テーマカラ―を決めても、
ただ漫然と買い物をしていたら、どんどんワードローブは膨らんでいってしまいます。
そこでもう一つ、新たな視点を取り入れる必要性が出てきます。
それは、どの場面が自分にとって一番重要か、そしてそれに必要なワードローブとは何かということです。
一番重要な場面ですから、一番素敵に見えなくてはいけません。
物語の中で一番主人公が生き生きとして、輝く画面です。
限りある予算の中で、一番お金をかけるべき場面のための衣装です。
それはどういう場面でしょうか。
少しの間、考えてみてください。

例えば、私の場合ですと、「ロンドンのプチホテルに泊まりに行ったとき、よい待遇を受けられるための衣装」です。
ですから、何か重要なアイテムを買うときには、必ずこの視点から考えます。
このコートは、この靴は、この旅行鞄は、この帽子は、ロンドンのプチホテルの受付で、いいお部屋に案内してもらえるだろうか、と。
この設定は人によってさまざまです。
山登りのとき輝きたいのだったら、そのときのルックスに力を入れましょう。
習い事をしていて、それをしているときが一番輝く自分だとしたら、そのための服装をそろえましょう。
家にいてリラックスしているときが自分にとって一番重要だったら、カシミアのニットを部屋着にしてしまいましょう。
そして、そうやってそろえた衣装からワードローブ全体を構築していきます。
もちろん一番重要な場面でだけ、それらを着るわけではありません。
ほかの場面においても、そうやってそろえた服や小物を上手に組み合わせればいいわけです。
何かを選んだら、何かを切り捨てる。
この2つの作業は、いつもセットで行わなければなりません。
限られた予算と時間の中では、全部を選ぶことはできないのです。
そしてそのことによって、だらだらと買うくせを防ぐことができるようになってきます。
さて、あなたの選んだ場面はどういう場面でしょうか?

2010年8月11日水曜日

タートルネック、Vネック

若いころと、そうでなくなったときとの肌の見え方の違いに書いたのでもう一つ。
冬になると、寒くなりますので、タートルネックのインナーなど着たくなります。
確かに、首元をきっちり覆うと、寒さはかなり防げます。
ここ最近は、着ているだけで暖かくなる素材のタートルネック、しかも、ただのタートルでなく、
首元がくしゅくしゅとなるほど長めのタートルネックのインナーが流行っていて、
そういったインナーにセーターやチュニックをあわせる着こなしの人が多くなりました。
ただ、ここで想像してみてください。
こういうスタイルをもうあまり若くない人がした場合、その人は若々しく見えてましたか?
どうぞ、去年の光景を思い出してください。
くしゅくしゅしたあったか素材のカットソーのインナーに、だぼっとしたチュニックを上から着ているスタイルって、そんなに素敵に見えましたか?
実は、首をどんどん覆って、見える肌が少なくなるほど、顔色はくすんで見えるようになります。
逆に、寒くても潔くVネックのセーターを着ると、首から下の肌まで見えて、
それがレフ板と同じ効果になり、顔色はぐっと明るく、そして何より若く見えます。
このケースも、素材感の場合と同様で、若い人がどんなに首をくしゅくしゅにしていても別に老けて見えません。
確かに冬のVネックは寒いです。ですから、時と場合を選んで服装を考えましょう。
とにかく寒いから防寒というときはタートルネックでも構いません。
けれども、ここぞというとき、自分が若々しく、華やいで見られたいときは、
首元をぐっと出しましょう。
そうすると、顔色がぱっと明るく見えて、ぐっと印象が変わります。

2010年8月10日火曜日

素材感

服の素材を見るときのポイントとして、繊維や色のほかに素材感というものがあります。
ポリエステル等の化学繊維はどんなものでも似たような素材感ですが、
ウールやコットンといった自然素材には、そのグレードによって、素材感がさまざまです。
たとえば、非常に安いコットンのTシャツと、スーピマコットンなどでは、
さわった感じや、見た目の光沢など、非常に差があります。
ウールもまた、値段の安いウールと、カシミアなどでは、手触りから何からすべて違います。
この素材感なのですが、年齢が若いときにはあまり気になりません。
輝く肌の上には、どんなものをのせても美しいからです。
しかし、年をとってきて、肌自体の輝きが薄れてくるにつれて、
手触りも悪く、光沢のない素材がだんだん似合わなくなってきます。
そういうものを着ると、何となくふけて見えるのです。
よく年齢がそこそこなのに、若い人のための服を着ている人がいますが、そういう人たちが何となく素敵に見えないのはそのためです。
若い肌のために作られた服と、そうでない服では、使われている素材が違うのです。
ですから、ある程度の年齢がいったならば、触って心地よいもの、そして何より素材自体が控えめに輝くような光沢のあるものを選ぶようにしましょう。
ウールでいえばカシミアですし、コットンでいえばスーピマコットンや、海島綿などです。
しかし、これは前にも書きましたが、必ずしも値段と比例してよい素材が使われているとは限りません。
ものの値段は流通経路によって変わりますので、値段が安くても、いい素材のものはあります。
ですからこれも、日頃からいい素材というものを知っておくことが大事ということになるわけです。
ただ知識として知っていることと、実際に素材をさわったり見たりして知ることとは、大きく違います。
前にも書きましたが、お勧めは、アウトレットなどの高級店などで試着してみること。
試着するのはただですから。
そして、お店を出るときは、笑顔で「どうもありがとう。ちょっと考えます」と言えば、何の問題もありません。

2010年8月8日日曜日

カラーパレット


テーマカラーを決めて、それに対してさし色を入れましょうと言われても、
よくわからない方が多いのではないかと思います。
よほど美術やデザインの勉強でもしない限り、色の組み合わせなど、習うことはないですからね。
では、よくわからない人はどうしたらいいか、説明します。
まず、上の写真を見てください。
リバティの生地の柄のサンプルです。
このようにまず自分が好きだなと思える色合いの柄物を見つけます。
生地でなくても構いません。紙に印刷されたものでももちろん結構です。
この中では、Mirabelleを選ぶとします。
生なりやエクリュを中心にコーディネートする場合、この生地に使われている色と同じ色をさし色として使えば、全体のコーディネートがしっくりきます。
この場合でしたら、生なりに対して濃い赤紫や濃い青、くすんだ緑などです。
なんせ、色のプロが選んだ色合いですから、失敗はありません。
自分で色についてどうもわからないという方は、まずお気に入りの柄物を見つけてきてください。
最近はリバティやキャス・キッドソンなど、かわいい柄物がたくさん出回っています。
そして、そこで使われている色を参考に、さし色として使っていきましょう。
自分が考えただけでは思いつかなかったような、はっとするような色合わせの、
素敵なコーディネートになるはずです。

2010年8月6日金曜日

リサイクル


90年代半ば、私はアパレル業界で働いていました。
当時、日本のファッションはまだ元気で、たくさんの有名なデザイナーがパリコレなどで活躍していました。
あるとき、非常に有名なデザイナーの青山にあるショップに行き、商品をいろいろ見ていました。
すると、裾がハサミで切りっぱなしたようなデザインのロングスカートが売られていました。
私は、どんな仕立てになっているのかと思い、スカートの裾をめくってみました。
裾をめくった瞬間、私は、非常に驚きました。
なんと、切りっぱなしの裾は、実は1度普通のスカートのようにわざわざ裾上げをして、そしてそこを再びハサミで切っていたのです。
切りっぱなしのデザインというのは、裾は2つに折ってあげなければならないという既成概念を壊すためにやってあると思ったのに、そうではなく、わざわざ2つに折って、その2枚の裾の部分を切っていたのでした。
あまりの無駄さ加減に、私はこんなことをしていたら、ファッション業界なんて続かないと、そのとき思いました。
ちょうどそのころ、『BIES』という庭の雑誌で、パタゴニアというブランドがあり、そこは作った製品すべてを回収して、リサイクルしているという記事を読みました。
まだまだエコとかリサイクルという概念は、特にファッション業界では見られなく、膨大な無駄を繰り返しているときだったので、そういう企業があるということに衝撃を受けるとともに、きっと未来の方向性とは、パタゴニアのような企業だろうと確信しました。
そして、現在、パタゴニアはだれもが知るブランドになりました。
もちろん今でもリサイクルしています。

21世紀を生きる私たちがファッションを楽しむためには、こういった視点が必ず必要だと思います。
また、ブランド物のバッグなど、特に必要だとは思わない私ですが、リサイクルという点から考えると、
絶対に質屋さんで買い取ってくれるバッグというのは、大きな価値があります。
皆さんも何かを購入するときは、リサイクルという観点も少し入れてみてください。
そして、これからもっと多くの企業が、リサイクルに力を入れていってほしいなと願っています。

2010年8月5日木曜日

ハイヒールはく?はかない?


「SATC2」はごらんになりましたか?
私も、パトリシア・フィールドのスタイリング大変勉強になるので、映画館で見ました。
あり得ないシチュエーションに、あり得ないファッションですごかったですね。
ただ、衣装はどんどんハイブランドばかりになって、私のような一般人には、テレビシリーズのスタイルのほうが参考になります。今でも時々、最終シリーズのDVDを見たりします。
それにしても、ヒール、高かったですね。
キャリーが初めてニューヨークに来たときはスニーカーをはいていて、それが今ではスーパーハイヒールに変わったというシーンはとても印象的でした。
では、何でこんなにヒールが高くなったのでしょう?
流行ってるから?
もちろん、それもそうなのですが、実はそれだけではないのです。
古いファッション誌はずいぶん捨ててしまいましたが、90年代に買ったイタリアンヴォーグだけはとってあります。
今見ても、古びれないスタイリングと写真のセンスなのですが、ヒールは今よりずっと低いです。
でもただ、ヒールが低いというわけではありません。
90年代と今とでは、洋服のシルエットが全く違うのです。
すべての服が今ほどタイトではなく、全体的にゆったりしたものが多い。
だから、それに合うように、ヒールも高くする必要がなかったのです。
それに比べて、今の服はずっと細く長いシルエットになりました。その流れはここ最近ずっと続いています。
そして、それにつれて、ヒールの高さがどんどん高くなっていきました。
つまり、細くてタイトなシルエットの服には、高いヒールでないと似合わないのです。
ボディコンの服を想像していただければよいと思いますが、あれにぺたんこ靴は似合いませんね。
現在の服は、私たちにある程度のヒールのある靴をはくことを要求しているのです。
とはいっても、高いヒールの靴は足や腰が痛くなるし、疲れます。
ではどうしましょう。
1つは、あまりタイトな服を選ばないこと。最近はやりのナチュラルテイストの服などは、ヒールのない靴でも十分いけるシルエットです。
もう1つは、歩きやすいヒールの靴を選ぶこと。
最近はやりのウエッジソールや、またプラットフォームといって、靴のつま先側にも1センチほどの厚みのある靴は、ヒールが高くても歩きやすいです。
これらすべて全体のバランスの問題です。できれば、靴をはいた状態で全身をチェックしてみてくださいね。

2010年8月4日水曜日

帽子の効用

皆さんは、帽子をよくかぶりますか。
帽子は、夏は日光をさえぎり、冬は暖かく、
そして何となくおしゃれ度がアップしたように見える、とっても便利なアイテムなのですが、
実はもう一つ、効用があります。
それは何かというと、若く、かわいく見えるということです。
人は、頭に対する目の位置によって、その人の若さを認識すると言われています。
つまりどういうことかというと、若ければ若いほど、目の位置が、頭の縦線の真ん中にくるのです。
赤ちゃんなんかはその典型で、頭に対して、目がかぎりなく真ん中にありますね。
マンガの表現においても、赤ちゃんの目はずっと下の位置に描かれます。
つまり、それは若く、かわいく見えるからなのです。
昨今、流行の盛り髪も、同じ効果をねらったもので、
頭部のトップを高くすれば高くするほど、若くなります。
帽子もそれと同じ効果があります。
頭に載せるわけですから、それだけ、頭のトップに高さが出ます。
だから、それだけ帽子をしてないときより、若く、かわいく見えるわけですね。
最近は、帽子屋さんもふえて、手軽な値段でおしゃれな帽子が手に入ります。
量販店などの値段の安いものでも、リボンを付け加えたりすれば、ぐっとよく見えます。
まだ帽子をあまりかぶらない方は、ぜひトライしてみてください。
ちなみに、室内において、つばのある帽子はとらなければいけないが、
つばがないもの(ベレー帽など)はとらなくていいということを、
文化服装学院の先生から教わりました。ご参考までに。

2010年8月3日火曜日

ダンサーのための服

服の中には、あたかもダンサーのために作られたかのような服が混ざっているのをご存じでしたか。
厳密にいうと、ダンサーのごとく、整ったプロポーションの人が着て初めて美しく見える服です。
このような服は、実は、かなりの割合で普通の服の中に混入しています。
特徴としては、ハンガーにかけてあったときはきれいなのに、着てみると、何かのっぺりした感じであること、そして、たたむときは、ぴったり折り重なるので、たたみやすいということです。
これはパターンの問題なのですが、体の立体をあまり考慮されていないパターンの服がたくさん売っています。
こういった服は、ダンサーのような肉体の持ち主には大変美しく見えるのですが、
そうでない人が着ると悲惨です。
自分の肉体の欠点をよけい目立つようにします。
しかし、逆に、体型をカバーしてくれるようなパターンの服もあります。
特徴は、着てみると、驚くほどスタイルがよく見えること、
そして、たたもうとすると、凹凸があって、うまくたためないことです。
実は、日本の服はパターン力が非常に弱いです。
(それは日本の企業が真剣にパターンナーを育てず、
ただただ「使い捨て」にするからです)
ですから、平面的な服がまだまだたくさん売っています。
そういう服を着てしまうと、まるで着映えということがありません。
それに引き換え、やはりヨーロッパの服づくりは、立体的で、ちょっと体型が悪くても、
カバーしてしまいます。
もちろん日本の服の中にもいいパターンのものがありますが、見分けるには試着してみるしか方法がありません。
どんな感じかわからない方は、1度、アウトレットへ行って、ヨーロッパのブランドショップで何か試着してみてください。着たときの独特の軽い感じや、体型がカバーされる感覚がつかめると思います。
体型コンプレックスがある方は、これからジャケットやコートを買うとき、この点も考慮しましょう。
ダイエットするより簡単に、やせて美しく見えます。

2010年8月1日日曜日

短い春、長い夏

本当に今年の夏は暑いですね。
しかも、ここ例年、夏が長くなっているように感じます。
で、ここではファッションについてのお話なので、気象について論じるつもりはありませんが、
でもやっぱり、長い夏というのは、ファッションに影響してきます。
みなさんも感じていると思いますが、夏が長くなったため、
秋物の出番がめっきり少なくなりました。
同様に、春物もあまり出番がありません。
ですから、梳毛のウール(薄いウールです)の裏つきジャケットや薄い素材のコートなど、着る出番がめっきり減ってしまいました。
もちろんファッション業界は毎年、春物、夏物を提案してきます。
ですから店頭には春物、夏物が並ぶわけですが、何となく買ってしまうと、
ものすごく出番が少なくて、すぐにたんすのこやしになってしまうということになります。
しかし、そういうアイテムがあるということは、1年のほとんどの期間、着ているアイテムもあるということです。
たとえば、ジャケットの下に着られるような薄いウールのセーター、木綿や化学繊維のブラウスやシャツ、また、麻のシャツなども、実は1年中、着られるアイテムです。
あと、長袖、半そでのTシャツ、そしてジーンズも休む暇がないほど活用できます。
ですから、新しいものを買いたすときは、そのことを考慮して選びましょう。
それぞれ予算もあるでしょうし、ライフスタイルも違いますから、こうでなければいけないということは言えません。
ただ、1年間のうち、このアイテムは何カ月着用するだろうか、そのことを念頭に置いて、
お買いものをするのが賢い買いものの仕方だと思います。

2010年7月23日金曜日

心を満たすお洋服

前回、心が満たされる服を持ちましょうと提案しました。
私は、心だけでなく、魂をも満たされる服が、あるのではないかと思っています。
そんな服に出会えたならば、あなたは、どんなこともできるような勇気を得ることになるでしょう。
私の言い方で言えば、主人公を助ける服です。
もちろん、それは簡単に手に入るものではないでしょう。

古い中国の書物によると、服とは、病をいやすために用いられたものだそうです。
そして、その名残として、今でも薬を飲むということを、「服用」と言います。
昔の人々は、服が、体や心をいやすことを知っていたのでしょう。
そして、今の時代よりずっとたくさんの服が、そういう役割を果たしたのでしょう。

どういう服がそういう服なのでしょうか。
それはデザイナーの思いかもしれませんが、それだけではだめだと、私は思います。
一つ一つの作る工程にかかわった人すべてが幸せかどうか。
不当な扱いを受けていたり、嫌な思いをしながら作業させられている人が作った服が、
だれかの心をいやす力を持っているわけはありません。
小さいころ、お母さんが作ってくれた服や、ちょっとした小物のように、
きっと着る人への思いがこもったものこそが、そういう力を持つのだと思います。

おしゃれであるかどうかとは関係なく、そういう服と出会えたなら、
主人公であるあなたは、服からたくさんのパワーをもらって、
間違いなく、堂々と舞台に立てるのだと思います。

2010年7月22日木曜日

ダイエットの後で

おしゃれのルールのほとんどで、いかにワードローブをしぼるのか説明してきました。
本当にこれを実行すると、かなり枚数が少なくなるのではないかと思います。

けれども、ふらっとセールをのぞいたりすると、なんだかどうでもいいような服を買おうとしているあなたがいませんか。
実は、これはダイエットと同じなのです。
カロリーだけを低くすることを目指すと、心がやせてしまいます。
満たされません。
そうすると、ジャンクなものがほしくなる。
洋服も食べ物と似ているところがあります。
つまり、心を満たす洋服と、そうでない洋服があるのです。
もしあなたが、どうでもいい服を買いそうになってしまったのだとしたら、
それは心が満たされてない証拠。
栄養のない服ばかりだと、心が疲れてしまいます。
1枚だけでいいので、自分の心が本当に喜ぶ服を自分に買ってあげましょう。
そうしたら、あなたの心の飢えはおさまります。
ジャンクなものをほしがらなくなります。
心の飢えを置き去りにしてダイエットをすると失敗するのと同じように、
心が満たされない服ばかりでは、少ないワードローブ計画は失敗します。
そのことを忘れずに。

2010年7月21日水曜日

ジャッジするのに使わないで

何人の方がこのブログを読んでくださっているかわかりませんが、
これから、このブログを通して、私が知っている、おしゃれに関する知識や知恵をお伝えしていきたいと思います。
それでなのですが、だんだんおしゃれのやり方がわかってくると、おしゃれでない人が目についてくると思います。
そこでお願いなのですが、だれかをジャッジするために、おしゃれの知恵を使わないでほしいのです。
洋服をうまく着こなしたり、おしゃれに見えたりすることは、半分以上がテクニックの問題です。
それができてない人は、ただ、それを知らなかっただけにすぎません。
いわば、おしゃれとは、泳ぎで言えばバタフライのようなもの。
習わなければできないのは当然です。
ですから、おしゃれでないからといって、その人を裁くようなことはしてほしくないのです。
そして、最終的にはわかってきます。
バタフライができない人が人間的に劣ってるわけではないように、
おしゃれと人間性には、何の関係もないということが。
だれかをジャッジするのにおしゃれの知恵を使わない、
これを守った上で、どんどん使っていってくださいね。

2010年7月20日火曜日

本当のおしゃれって何?その2

私はロンドンが好きで、その後、何度か訪れました。
2000年代に入り、イギリス経済も回復してきたころ、再びロンドンを訪れました。
するとなんと、私が雑誌で見続けていたおしゃれスナップに出てきた人たちがいたのです。
やっぱり、雑誌は正しかったのか、と一瞬思いました。
が、町をよく見ると、そのときはちょうどロンドンファッションウィークだということがわかりました。
また、私が泊っていたホテルの近くに大きな会場があり、そこを目指していろいろなファッションピープルたちが、集合していたため、たまたまそういう集団に出くわしたということもわかりました。
そして、一歩その地域を離れてしまえば、またもとのきらびやかではない、普通の人々がいたのです。

またその次の年はパリに1週間滞在しました。
地下鉄に乗って、ふと前に座っている女の子を見ると、大きな眼鏡に、地味な洋服、そして今どき珍しい、ゴールドのコインのペンダントをしていました。
私は、そのとき新鮮な驚きを覚えました。
このパリでさえ、全くおしゃれなどとは関係ない若い女の子がいるのです。
まあ、よく考えたら当たり前なのですが。
そして、コンテンポラリーダンスを見るために、オペラ座へ向かっていたとき、衝撃的な光景に出会いました。
目の前の大通りを、上から下まで真っ黒のドレスで、髪の毛を小さくまとめた小柄な女性が堂々と道を渡っていきました。
そのドレスは、ヴィクトリア朝のようなスタイルで、まるで映画「ピアノレッスン」の主人公のドレスのようでした。
その彼女が道を渡る姿が、映画のワンシーンのように、私の目に焼きつきました。
流行など全く関係ありません。
もちろんブランド物でもありません。
ヴィンテージか、あるいは自作のドレスでしょう。
彼女は、自分の行く先しか見ていません。こそこそした感じなど全くないのです。
まるで、彼女にとって、パリは舞台装置で、自分は主役として、道を横断しているかのようでした。
そのとき、すべてがわかりました。
本当のおしゃれとは、こういうものなのだと。
主人公である自分が引き立つためにのみ存在している服、
それを身につけ、堂々と、舞台の主役のように歩くこと、
それこそが、目指すべきおしゃれであると、私はそのとき確信したのです。

2010年7月19日月曜日

本当のおしゃれって何?

さて、ここまで読んでいただいて、みなさんの中には、
何だか、聞いたことのない話ばかりだわ、と思われた方も多いのではないかと思います。
私も書きながら、こんなこと書いてある文章なんて、読んだことないなと自分で思いました。
で、なぜこういう考えにいたったかを、少し書いておきたいと思います。

私が最初にロンドンに行ったのは、20代のときでした。
初めての外国でしたし、ファッションの専門学校を卒業していた身としては、
よく雑誌のおしゃれスナップに出ているような人がぞろぞろいるに違いないと思いこんでいました。
しかし、初めてのロンドンでの感想は、
おしゃれスナップに出てた人なんて、どこにもいない・・・でした。
また、私が最初に行った90年代半ばは、ブランド物のバッグを持つ人など、ロンドンでは皆無でした。
そればかりでなく、上から下まで新しい流行の服でかためている人など、全く見当たらないのでした。
そのとき、何かがおかしいと思いました。

その次の年もイギリスに行きました。
そのときはロンドンだけでなく、地方も回りましたが、
ロンドン以上に、おしゃれスナップに出てたような人などいません。
ただ、よく見ると、おしゃれでないかといえば、そうではないのです。
みなそれぞれ自分なりのおしゃれをしています。
だけど、それは上から下まで新しい流行のもので飾られた、ぎらぎらするような感じとは違うのです。
もっと控えめで、だけれども、印象に残る。
だんだん目がなれてくると、そういうおしゃれな人たちが目につくようになりました。
その後、パリにも行きましたが、やはりロンドンと状況はさほど変わりませんでした。
はっと目を引くおしゃれな人は、ブランド物のバッグを持ってるわけでもないし、
全身、流行の服に身をつつんでいるわけではありませんでした。

つまり、私が雑誌で見ていたおしゃれスナップに出てくる人は、ごくごく一部のファッション関係者で、
普通の人たちは、もっと違う方法でおしゃれをしていたのです。
だけれども、日本でただ雑誌を見ているだけだった私は、そのことを知りませんでした。
そして、雑誌に出てくるような人たちこそが、おしゃれな人だと信じ込んでいたのです。
だけど、実際は違うのでした。
(つづく)

2010年7月17日土曜日

おしゃれのルール 最終回であり始まり 主人公のためのワードローブ

“すべてこの世は舞台”

シェイクスピアの「お気に召すまま」に出てくるセリフ。
「すべてこの世は舞台、そして私たちは単なる役者」。
だったら、主人公を演じましょう。
私がここで提案したいのは、主人公のためのワードローブです。
主役はあなた。
監督もあなた。
だけれども、舞台装置とその他の役者は変えられません。
よって、友達も旦那さんも子供も、そのままです。

でも、主人公のワードローブは自分で決められます。
昼間は太陽が、そして夜は月や星が、
あなたを照らしています。ちゃんと照明が当たっているのですよ。
主人公にふさわしい洋服を着せてあげましょう。

ただ、この世界には、あなたを主人公から引きずり降ろそうとする勢力がたくさんいることも確か。
油断すると、あなたは誰かや、何かをアピールする道具にされたり、
脇役に追いやられたりしてしまいます。
ですから、しっかり主役を演じましょう。
脇役に似合いそうなワードローブは捨ててしまいましょう。

ここでいったん、おしゃれのルールとして書いてきたものは終わりにして、
続いては、ここから始まる、おしゃれの胆の部分について書いていきたいと思います。

2010年7月16日金曜日

おしゃれのルール 第九回目 フレイバー

今まで数回にわたって、ワードローブのしぼり方のヒントをお伝えしてきました。
もしあなたがこれをこのとおりに実行したら、今ごろ、相当に整理されたワードローブが残っているのではないかと思います。
でも何かが足りません。
そうです、あなたのフレイバーが足りません。
そこで、全体をあなたフレイバーにするために、アクセサリー、帽子、スカーフといった小物を使いましょう。
小物というのは、身につけていても、自分の目に入りやすいものです。
ですから、選ぶときは、自分のなりたいイメージにもっともふさわしいものを選んでください。
これを積み重ねていくことによって、あなたらしいおしゃれができ上がっていきます。
いっぺんに完成させようとするのではなくて、ゆっくりと、あなたにふさわしいものを探していってください。
きっと、そういう小物は、そう簡単には見つからないはずです。
だって、そうでしょう。
あなた自身を表現するものが、大量生産されて、1000円やそこらで売られているものではないはずです。
そして、あなた自身も、自分を見つけるのに長い時間かけてきたはず。
あるいはまだ、発見途上かもしれません。
だから、そう簡単には見つからないのです。
それは旅先で見つけたアンティークかもしれません。
または、作家の一点物。
それとも、一生懸命作ってる、小さなブランドの品。
それとも、自分で作ったものということだってあり得ます。
世界で1人しかいないあなたが身につけるにふさわしいもの。
それをじっくり探していくのです。
そうやって見つけたものは、毎日、身につけてもいいのです。
それは、あ、また同じ、という感覚を人に与えるのではなく、
それを身につけることによって、あなたらしさをさらに強めるのです。
物語やアニメの主人公が、いつも同じ小物を持っているように、
それによって、あなたというキャラクターが完成して、他人に対してもアピールしていきます。
だから、簡単に見つかるはずなど、ないのです。
楽しみながら、ゆっくりと、でも確実に、自分のおしゃれを完成させていきましょう。

2010年7月14日水曜日

おしゃれのルール 第八回基本ワードローブ数

先日、教育テレビで、アメリカのファッション講座のテレビ番組が放映されて、必要なワードローブとして、テイラードジャケット、カシミアセーター、リトルブラックドレスなど、何点か挙げられていました。
確かに一理あるとは思いました。思いましたが、やはり私たちはアメリカ人ではないので、ちょっと日本とは違うなとも思いました。
みなさん、生活も仕事も住んでいる地域もさまざまです。
またお仕事をしていたとしても、制服のある会社だったり、または農家の方だったり、必ずテイラードジャケットが必要というわけでもないと思います。
だから現代の日本において、これが基本のワードローブです!持ってなきゃだめです!なんて、言えないと思うのです。

ですから、ここからは1つの私の提案です。
だいたい皆さんが恐れているのは、人からいつも同じ格好に見られやしないかということだと思うのですが、そうならないためのワードローブ数ってどれぐらいなのだろうかということです。
それは1週間単位で考えればいいということになります。
だいたい、人は1週間がすぎれば、その服をまた次の週着ていても、あ、また同じとは思いません。なぜか記憶がリセットされます。雑誌でもよく1週間の着まわしを紹介してますね。
ですから、最低ワードローブ数は「1週間、毎日、違うコーディネートができる数」です。それが春夏、秋冬と、大きく分けて2つのシーズンあればいいということになります。
もちろん冬のコートなど、毎日違うものを着用する必要などありません。
コーディネートですから、もちろん着まわします。月曜日と金曜日、同じセーターでも構いません。全体として違うコーディネートが完成していればいいのです。
ヒントとしては、トップスよりも、ボトムのほうが、人の注目度は低いです。
ですから、毎日とっかえひっかえ、2本のジーンズをはいても、ほぼ大丈夫です。

それプラス、特別な場合のための服があればいいのではないかと思います。
たとえば、山登りに行く人はそのための服装、海に行く人はまた違うでしょう。それは人それぞれ違うでしょう。もちろん、特別な場合などないわ、という人もいるでしょう。
というわけで、ここら辺は、はっきり何が何枚とは言えません。
とにかく覚えておいてもらいたいのは、1週間コーディネートできれば、それで十分だよということです。

2010年7月12日月曜日

おしゃれのルール 第七回目 情報操作はどうやってする?

さて、前回、「今のあなた」以外の情報を与える服は選ぶべきでないという話をしました。
ここで勘違いしていただきたくないのは、私は、ブランドバッグを持つなとか、
安い服はいけないと言っているわけではありません。
そうではなくて、「今のあなた」より前に出ていこうとするものを選ばないで、と言っているのです。
それはまるで、主役を食う脇役なようなもの。あなたという舞台が台無しになります。
また、必ずしも安い服だから品質が悪い、または高い服だからいい品質というわけではないというのが現状です。
これはアパレル業界にいたからわかることなのですが、製造元から販売されるまで、たくさんの商社や問屋が入れば入るほど、最終的な小売価格は高くなります。
そしてこの中間に入る業者をぬかして安く売るシステムが最初に始まったのがアメリカで、ギャップやバナナリパブリックなどは、そういう企業の代表でした。

ですから安いものだから、安い品質というわけではないのです。
ただ、やはり大量生産ではあるので、数はたくさん市場に出回っています。

ではそういった安いものを取り入れるにはどうしたらいいか。
方法は同じです。
「今のあなた」より前に出ていくような情報のものを、取り入れなければいいのです。

たとえば銀座を歩くと、ルイヴィトンのモノグラム柄のバッグを持っている人にたくさん出会います。
でもだれも、ルイヴィトンかぶりだから嫌だなんて、言いませんね。
つまり、本当に嫌なのはデザインがかぶるからじゃなくて、値段が安いとばれるからなのではないでしょうか。
ならば、どうするか。なるべく情報が流通してないもの、またはまったくわからないものを選べばいいわけです。つまり、今週の期間限定といって、チラシに値段やデザインが大きく出ているものは、だれが見ても値段がわかってしまうのでなるべくさけます。
けれども、シンプルな白いTシャツは、たとえ1万円のものをデパートで買ったとしても、素人にはそれほど差がわかりません。ましてや、インナーとして着たら、もっとわかりません。ですから、そういうものは選びます。
また「安い」という情報が流通してないもの、たとえばネットや限られた店舗でしか販売してないような商品は、どこのもので、値段はいくらという情報がわからないので、選ぶ対象となります。
こうやって、他人が見て、すぐ値段やブランドがわかってしまう情報の商品を避ければいいのです。
主役はあくまであなた、値段が高かろうが、安かろうが、自分よりでしゃばろうとする服は、取り入れないことです。

2010年7月10日土曜日

おしゃれのルール 第六回目 ファッションとは情報って何?

ファッションとは情報であるということを前回、お伝えしました。
もし、ファッションが情報だとしたら、あなたはどういう情報を他人に与えたいでしょうか。
また、他人はどういう情報を受け取っているでしょうか。

ここで1つ例をあげます。
ある人が、全身しまむらのお洋服でコーディネートして、一点豪華主義で、ルイヴィトンのモノグラムのバッグを持っていたとします。
その人としては、
「見て見て!私のヴィトンのバッグおしゃれでしょう。ハワイに行った友達にお願いして、買ってきてもらっちゃった♪ほら、みんな、私のこと見てる。やっぱり、ブランドもののバッグを持ってると違うよねー」
ぐらいに思っています。
しかし、他人はどうでしょうか。
だいたいほかの人はこのように見ています。
「ねえ、あの人、見て?洋服はあんなに安っぽいのに、何でヴィトンのバッグ持ってるの?
あれって、パリだと○○○ユーロだけど、日本だと14万で、質屋だったら、10万ぐらいでしょ!
それとも何?今はやりのブランドもののレンタルで借りたのかしら?
何だか、とっても無理してるよね。」
と、こんな感じです。
わかっていただけでしょうか。
ファッションは情報です。よって、あなたが選ぶものによって、他人に伝わる情報が変わります。
それは必ずしも、あなたの意図するものと一致しないのです。
その場合、決しておしゃれな人には見えません。
では、どうしたらいいのか。
あなたが他人に本当に伝えたいのは、「今のあなた」という情報だけです。
そして、それができている人がおしゃれに見えます。
「今のあなた」以外の情報を与える洋服を、着なければいいわけです。

かつで、デザイナーの山本耀司さんが、本当におしゃれな人とはどんな人かと聞かれて、
こう答えていました。
「席を立って、いなくなった後、何を着ていたか思い出せない人」
デザイナーたちは、おしゃれの本質を知っています。
だからほとんどの人は、何気ない格好をしています。(もちろん一部を除いて!)
あなたが他人に伝えるべきなのは、あなたという情報のみで十分なのです。

2010年7月9日金曜日

おしゃれのルール 第五回目 いつも同じ服を着てるって思われない?

さて、自分のテイストが決まって、テーマカラ―も決まった服だけが残ったら、 着まわしというのは割と簡単にできるのではないかと思います。 

コーディネートに迷ったら、テーマカラ―を大きな面積に、さし色を1色、小さい面積に持ってくれば、それなりにおしゃれに見えることと思います。

 さて、今回のテーマ、他人からいつも同じ服を着ている人に思われないかどうかということです。

 答えは、イエスの場合もあり、ノ―の場合もある、ということです。 たとえば、あなたはジーンズを2本持っていて、それを交互に1カ月はき続けたとしましょう。

 この場合、たいていの人の目には、同じ服を着ているようにはうつりません。 

ただ単に、ジーンズが好きな人、ぐらいなものです。 ですから、この場合は、他人から同じ服ばかり着ているとは思われません。 

ところが、もしあなたが、派手な柄のワンピース、もしくは奇抜なデザインの服を1カ月に2回だけ着て、だれかの前にあらわれたらどうでしょう。 

あなたは間違いなく、あ、また同じ服を着てると思われます。 つまりこういうことです。 ベーシックで印象のうすい服を着ている分には、毎日同じだったとしても、 他人からは、同じ服ばかりとは思われません。 

しかし、インパクトの強い服、たとえば印象的な柄とか凝ったデザインのもの、 こういう服は、たとえ着ている回数が少なくとも、同じ服だわ、と思われるのです。 

これはなぜなんでしょうか。 

なぜなら、ファッションとは情報だからです。 

衝撃的な情報はよく記憶される、だけれども、そうでない、日常的でベーシックなものは記憶されないのです。 

そしてその情報の意味は、人それぞれ受け取り方が違います。 

ほとんどの人が気づいてないと思いますが、あなたが他人に与える情報と、 あなたが意図していたものとは、必ずしも一致しないのです。 

あなたにとっての意味と、他人にとっての意味のずれ、 これがあると、おしゃれな人に見えなくなります。 

ではこのことについて、次回に続きます。

 ☆写真はジーンズは2本しか持っていないと公言していたシャルロット・ゲンズブール。 デビュー作の「なまいきシャルロット」のときの写真です。 シャルロットの映画はたくさんあるけど、私はこの映画が一番好きかな。 夏休みにみるのにぴったりの作品です。

2010年7月8日木曜日

おしゃれのルール 第四回目 ワードローブが少なくてもおしゃれに見えるの?


前回までは、自分が持っているワードローブを見直す作業について、おもに語ってきました。
ここからは、厳選されたワードローブでいかにおしゃれに見えるかについてお伝えしたいと思います。

たんすの中に余裕が残るぐらいのワードローブ数でおしゃれをするとなると、
それは必然的に、毎日、とっかえひっかえ違う洋服を着るおしゃれとは異なるものになるでしょう。
つまり、少ないワードローブ数でいかにおしゃれに見せるか。
これがポイントになります。
でもそうだとすると、みなさんには疑問が出てくると思います。
それで、本当におしゃれに見えるの?
それが見えるのです。
では、ここで例を紹介しましょう。
まず、おしゃれ女王の代表、ジェーン・バーキン。
年を重ねても、素敵です。そして、おしゃれです。
でも、よーく彼女のスタイルを見てください。
だいたいが、ジーンズかコーデュロイのパンツ、Vネックか丸首のセーター、そして靴はコンバースのハイカットスニーカー、そしていつものバーキンのバッグ。これだけですよ。
(上の写真を参照)
彼女の娘のシャルロット・ゲンズブールも、以前、フィガロのインタビューで、ジーンズは2本しか持っていないと発言していました。
でも、ジェーン・バーキンではちょっと年上すぎるわというあなたに、
映画監督で、しかも今でも大人気のミルクフェドを率いるソフィア・コッポラはどうでしょうか?
彼女のスタイルもよーく見てください。(すみません、今回はいい写真が見つかりませんでした。)
やはりジーンズにセーター、またはパンツにシャツなど、めちゃくちゃシンプルです。でも、彼女もだれもが認めるおしゃれな人なのです。
もちろん実際に彼女たちのワードローブを見たことがあるわけではありませんから、たくさんの洋服を持っているのかもしれません。でも、アイテムは決して多くないと思うのです。
つまり、ワードローブが少なくても、おしゃれに見えるということは可能なのです。
しかも、世界基準ですよ。ただ、ちょっとしたこつはあるんです。
それはこれから徐々にお伝えしていきます。

おしゃれのルール 第三回目 化学繊維

今回は、前回で取り上げなかった化学繊維についてちょっとお伝えしたいと思います。
最近はいろいろな化学繊維の生地がありますが、
こちらは天然素材と違って、洗っても生地は傷みませんし、色落ちもしません。
ナイロンやポリエステルなどは、まるで永遠に生き続けるかのようです。
レーヨンなど、ものによっては、毛玉が出るものもありますが、
それでも天然繊維より寿命は長いでしょう。
ですので、これらの服を買うときは、注意が必要です。
その中で、1つだけ気をつけていただきたい化学繊維があります。
その名はポリウレタン。
みなさんも、スキニ―ジーンズやストレッチのTシャツなど、1つはお持ちではないでしょうか。
非常にストレッチ性の高い素材です。だいたい綿との混紡で使われています。
実は、このポリウレタンという素材は経年劣化します。
つまり、洗ってなくても、着てなくても、あるときストレッチ性が失われて、
伸びたら伸びたっきりになるのです。
みなさんも、去年ぴったりだったスキニ―ジーンズ、なんか今年は全然違うぞ?
と思ったことはないですか。
それはあなたがやせたのではありません。生地が伸びたのです。
ポリウレタンは約2~3年でだめになります。
これは完全に壊れたも同様です。大切にとっておいても無駄です。
ポリウレタンが入ったものを買うときは、そのことを覚えておきましょう。
(ただし、同じストレッチでも、ライクラというブランドのストレッチ素材は長持ちです。少し高い商品などには入っていることがあります)

2010年7月7日水曜日

おしゃれのルール 第二回目 お洋服の賞味期限

さて、2回目に入る前にお断りしておきますね。
このルールは絶対というわけではありません。いつでも例外があります。
ファッションは自由であるべきです。
だから、自分でいいなと思ったところは取り入れて、関係ないところはスルーしてくださいね。

で、今回のテーマは「お洋服の賞味期限」についてです。
洋服が捨てられない理由って、家電と違って壊れるわけでもないし、
食べ物と違って腐るわけでもない。だからよけいわかりにくいんじゃないかと思います。けれども、やっぱり洋服にも賞味期限があるのです。

まず、 綿、麻、ウールなどの天然素材は、洗濯するたびに傷んでいきます。
肉眼で見ただけではわからないのですが、洗濯するたびに、これらの繊維は傷んでいます。
とくに最近のよく落ちる洗剤は、汚れを落とすために繊維自体も破壊しています。ですから、洗えば洗うほど傷んでいる、つまり家電で言えば壊れていっているのです。
このことは繊維を顕微鏡で見れば明らかです。また、以前、下着メーカーが行った実験によると、傷んだ繊維のものを着用すると、肌の不快感が一気に上がるそうです。つまり、もう賞味期限は切れた状態だということ。
傷んだものを着ていると、なんだかくたびれて見えます。去年のTシャツを着ても何だかさえないのはこのためです。
傷んでいるものは、おしゃれに見えなくなってくるのです。
一方、余り洗わない冬物のコートやジャケットは傷みません。
では、3年前のブレザーと、今年のブレザー、デザインは同じでも、まったく同じものかというと、これが全く違うものなのです。
デザインというのは、体に対してどれぐらいの空気を入れるかということなのです。
だから、厳密にいえば、去年と今年のブレザーの肩幅、身幅、着丈、肩パッドや芯の厚さ、全部違います。
これが古いブレザーを着ても、何だか変な感じがする理由です。つまり、これも賞味期限が切れているということ。
しかし、これらはどちらも賞味期限です。つまり、期限が切れても着用は可能です。
それでどうするかは自分で判断しましょう。自分がよいならば、まったく問題ないと思います。
また、流行に関係のないエターナルなデザインの服があるというのも事実です。
ベーシックなものほど流行の影響は受けにくいので、スタイルの変化もゆっくりです。
しかし、一番最先端の流行のものは、一番早く古びていきます。
そういうことがあるということを踏まえて、捨てたり、選んだりしてください。

おしゃれのルール  第一回目 仕分け

ここからおしゃれのルールの説明を始めます。
第一回目のテーマは仕分けです。

仕分けその1 自分のテイストを決める。

自分はナチュラルテイストなのか、それともモード派、はたまた森ガール? まずはそこを決めてください。もちろん自分軸で!他人の意見も流行も関係ありません。 またお勤めのときはOL風だけど、お休みのときは違うという方は、スタイルが2つあっても構いません。
そのときぜひやっていただきたいのがマップ作り。 要らない雑誌やカタログから、自分の好きなスタイルの服をどんどん切り抜いて、新聞紙ぐらいの大きさの紙に張り付けていきます。 頭で考えるだけではくて、目で見える形にすると、イメージがはっきりしてわかりやすくなります。 できましたら、よくながめてください。このイメージに当てはまらない服はあなたにとって必要のない服です。

仕分けその2 自分のカラーを決める
今度は、自分のワードロープの中心となる色を決めます。 通常二、三色ですが、これも自分で決めてください。 ただし、多ければ多いほど、服の数もふえてしまいます。 この色はコート、ジャケット、パンツ、スカートなど、割と大きな面積のお洋服に使う色です。 自分が好きな色、なじむ色を決めましょう。 そしてこれも、色紙や、またはその色の布、または色鉛筆など、実際に色のついたものを持っておくと、 後でいろいろ判断しやすくなります。 そして、この色から外れた色の洋服も必要のない服です。
柄物やチェックなどは、この中の1色があれば、よしとしましょう。 またブラウスやベスト、Tシャツなどは、メインの色と並べてみて、なじむ色だったら残しましょう。 だいたい、おしゃれに見えないのは、アイテムの色がばらばらだからです。 色音痴だわという方は、このときばかりは他人の意見を取り入れてみましょう。

まずはこの2つから始めてみてください。
このとき、自分のテイストが何なのかわからない方は、まず嫌いなものから排除していきましょう。
それでもわからない場合、あなたは最近のファッションとは違うところを目指しているのかもしれません。だとしたら、好きな絵画やイラスト、映画の中にそのスタイルを見つけるとか、あるいは自分でデザイン画をかいてみるとか、そんな方法も試してみてください。
色のほうも同様に、自分でよくわからない場合、パーソナルカラー診断を受けて自分に似合う色を探してはみるとか、または色鉛筆でお絵かきをして、どうしても自分が使ってしまう色を見つけるとか、いろいろ方法はあると思います。
でもここが出発点であることには変わりありませんので、まずはここをきちんと決めておきましょう。

はじめまして

はじめまして。

私は大学卒業後、ファッションの仕事がしたくて文化服装学院に入り、アパレル会社に就職しましたが、あまりに過酷な労働環境のため、体をこわし、現在はファッションとは無関係の仕事をしています。 

そんな中で、ファッション業界の内部にいてわかったこと、また洋服を着るという歴史のずっと古いロンドン、パリ、フィレンツェなどを旅して感じてきた、本当のおしゃれとはどういうことなのかということを、つづっていきたいと思います。 

しかしそれは、最近の雑誌にのっているようなセレブファッションでも、流行の最先端ファッションでもありません。それぞれの人が、自分の人生という舞台の主役にふさわしい衣装を身につける、これこそが本当のおしゃれだと、思っています。 ですからみなさま、どうぞご安心を。

あなたがあなたの人生の主役になるためのおしゃれ、私が提案するのは、そのためのおしゃれのルールです。 

☆初めてごらんになる方へ。 できたら、最初から読み進んでいってください。 特に骨となる、方法論ははじめのほうで書いています。 後にいくにつれて、細かい内容となります。