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2011年2月24日木曜日

半袖の袖丈

さきほど、とある1枚の写真のコーディネイトを見て、ふと、この組み合わせはいやだなと感じました。
白いリネンのストール、グレーのニット、パールのネックレスの組み合わせ。
それぞれ上質なものでしょうし、何の問題もないパーフェクトな合わせ方。
何だろう、このもぞもぞする気持ち。どこが自分に引っかかったのだろうかとよく観察すると、
なぜか、そのコーディネートを見ると、「老けている」と感じるのです。
どこだろうと自問自答しながら、改めて点検してみます。
すると、原因がわかりました。
グレーのごくごくシンプルなニットを着ているのですが、それが半そでのニットで、ちょうど二の腕の太いところで切れてる袖丈なのです。しかも、ぴたっとした袖口です。
この、二の腕の太いところに、袖口という閲覧者横のラインが入るという組み合わせが、何だかとても「老けて」見える原因でした。

二の腕の太さは、もちろん人それぞれだと思います。
細い人もいるでしょうし、肉づきのよい方もいるでしょう。
だいたい、若い方は、二の腕なんぞ、気にもなりませんが、年をとると、そうもいきません。
特にニットやカットソーでぴったりする袖口が、二の腕の太いところを強調するようなデザインは、誰が何と言おうと、老けて見えます。
これから、春夏に向かい、半そでのものを買おうとする場合は、ぜひ袖丈に注意してください。
そして、二の腕の一番太いところで終わり、ぴったりするようなものは避けること。
思い切って袖なしか、うんと短め、または長めの半そで、そうでなければ、袖口に向かってフレアが入って、広がっているものを選びましょう。
もちろん、「たくましいお母さん」を演じたいのであれば、二の腕ぴったりの半そででも構わないのです。
まあ、もしもの場合です。

2011年2月22日火曜日

手作りの愉しみ



ものの値段がどんどん下がって、どんなに手の込んだものでも安価に手に入れることができるようになりました。
私は学生のころから、お金がないから自分で作ったほうが安いという理由でいろいろ自分で作ってきましたが、(それは布関係に限らずですが)、今では自分で作ったほうが安いとは言えなくなりました。
また、これもやはり、むかしと違って今の日本ではありとあらゆるものが売られています。
選択肢の幅は大きく広がり、どうしてもほしいものが売っていないという飢餓状態も感じないようになりました。
けれども、自分で作るということにはそれ以上の意味があると思うのです。
自分がどういう「スタイル」をしたいか決める。
デザインを考える。
素材を考える。
素材を集める。
作り方を検討する。
作り始める。
完成する。
身につける。

こういった過程は実に楽しいものです。
私の場合、どういうものを作ろうか考えているときが一番楽しいのですが、それは人それぞれ違うでしょう。
中にはミシンを使っているときやアイロンをかけているときが好きな人もいるでしょう。
また、手作りといっても、その分野は様々です。
ミシンを使う、毛糸を編む、刺繍をする、ビーズを組み合わせるなど、いろいろ使う技術があります。
私自身、ミシンや編み物は非常に苦手なのですが、きっと探せば、好きな技術を使う手作りの分野があると思います。

手作りはお金も時間もかかります。苦手なことも、少しはやらなければならないでしょう。
それでもなお、自分で考えて自分で作る、この喜びはなにものにも変えがたいものではないかと思います。

☆写真は私が作ったキャスケット。色違いで2つ作りました。もう5年はかぶっていると思います。
帽子などは、パーツも小さいですし、たとえば、要らなくなったスカートやワンピースなどをリサイクルすることもできますので、手作り初心者の方にはお勧めです。

2011年2月16日水曜日

おしゃれな人



2007年にお亡くなりになりました、山口小夜子さん。
日本的な美しさを追求した、最初で最後のモデル。
この方の後には、真にオリジナルの美を表現している日本人モデルは出現していません。
同時に、山口さんを積極的にコレクションのモデルとして登用していたデザイナーがいた時代は、
まだデザイナーの心の中にも、新しい日本的な美の追求という野心がありましたが、
今では、そういうデザイナーもいなくなりました。
もちろんお若いときも美しいのですが、私はお亡くなりになるちょっと前に出演したテレビでの映像が忘れられません。
若くなくても、日本人で、こんなに美しくいることができるのだと、大変感動したのを覚えています。
そのころは、自分でデザインなさった洋服を着ていらっしゃったように思います。
晩年、雑誌やコレクションのモデル活動は、ほとんどしていらっしゃいませんでした。
およびがかからなかったのか、ご自分で拒否されたのか、どちらかはわかりません。
ダンスの舞台などには出演していらっしゃったので、人前に出なくなったわけではありませんでした。
洋服を着た日本人が、どうやったら美しく見えるのか、ずっと考えていらっしゃったんだろうと思います。
山口さんがこの世を去った今、私たちの美の羅針盤は、どこにも見当たりません。
たくさんの情報やモノという大海の中で、ただただ迷うばかりです。

2011年2月11日金曜日

年をとると似合う服がなくなる?

年をとるとどんどん似合う服がなくなっていくという声をちらほら聞きます。
私が学生のころ、ずっと「装苑」で洋服についての連載を持っていた中野翠さんも、そのようなことをインタビューで答えていらっしゃいましたし、事実、中野さんの最近のお写真はいつも着物姿です。
また、ずっとイラストの世界で第一線で活躍していた大橋歩さんも、最近は似合うものがなくなったということでご自分でブランドを作って自分の着たい服をデザインしていらっしゃいます。
年をとったら似合うものがなくなってしまうというのは私たちの側の問題でしょうか。
それとも作る側の問題でしょうか。
私は、ここに日本の服飾業界の未成熟さを見てとります。
誰でも年をとるのに、そうなったときにすてきに見える服がない。
デパートは相変わらず、若者向きのブランドに力を入れている。
「ミセス」や「マダム」という雑誌だって、表紙は30代の女性。
大人かわいいもいいのですが、決してだれにでも似合うコンセプトではないし、50歳、60歳、70歳になってまで、そんな格好をするのかどうか、大いに疑問です。
日本の服飾業界は、年齢を重ねた日本人の女性に似合う服の提案を、してこなかったのです。
有名なデザイナーたちも、その問題に向き合っていません。
既成のものを壊すことで成立したアバンギャルドも、自分の芸術表現の手段としての洋服も、
この問題に対する答えにはならないのです。
そうなったときにどうするか。
大手スーパーの売り場に並ぶ、あのくすんだ色合いの服を選ばなければならないのか。
無理してでも、若者用の服を着るのか。
それとも、いっそ着物を選ぶのか。
まだ、そのことについての答えはありません。
自分のスタイルを構築すると同時に、そうなっていくとき、どういう自分でいたいのか、
常に考える必要があるでしょう。
なぜなら、ワードローブの構築とは今だけの点の問題ではなく、未来へ続く道だからです。

☆大橋歩さんのブランド、エードットはこちら。

2011年2月9日水曜日

ポリウレタンに注意:補足

今日、たまたまクリーニング屋さんの前を通ったら、
ポリウレタンに注意のポスターが貼ってあるのを発見しました。
そこには、ポリウレタンは、製造してから3年で劣化すること、
そして、その劣化は空気にふれることで起こること、
ポリウレタンコーティングの場合、劣化すると、表面がべたつくことなど、
かなり細かく記されていました。
で、今日、知ったことなのですが、ポリウレタンが入っている製品で、
ドライクリーニングを指定しているにもかかわらず、クリーニングできない製品があるそうです。
3年でだめになる、しかもクリーニングできないかもしれない・・・。
ポリウレタンが混紡されている製品を購入するときは、本当に注意が必要です。

その他の注意点
☆ポリウレタンコーティングの衣類やカバンなどは、はがれおちたコーティングが、ほかのものにうつります。ポリウレタンコーティングの衣類やかばんは、独立して保存したほうが賢明。
☆某有名ブランドの高級財布も、内側のコーティングはポリウレタンです。
長年使用してきて、中がべたついてきたら、劣化している証拠です。
☆コーティングははがれますが、繊維の場合、突然、切れることもあります。ジーンズでさえ、破れることがあるそうです。
☆突然崩壊する危険性のあるものは、スニーカーのソール、ラバー素材の腕時計のバンドなど。

ストレッチでも、耐久性のあるもの(もちろん永遠ではありませんが)
☆LYCRA(ライクラ)
☆DOW-XLA(ポリオレフィン系弾性繊維)

最後にもう一つ注意点。
ポリウレタン使用は、高級ブランドであるとか、値段が高いものであったら使用していないというわけではありません。どんなに高級品であっても、使用されているものは多数あります。
 

2011年2月3日木曜日

立春を過ぎたら

さて、明日は立春です。
暦の上では春です。
正確に言うと、春分点まで、あと1カ月と半分ということになり、いまはプレ春というような季節の始まりです。
「春物をどうするか」でも書きましたが、この時期から大きく変わっていくのは、太陽の日差しの角度の変化による、色の感じ方です。
もちろん気温も徐々に上がっていきますが、まだまだ寒い日もありますし、雪が降っているところもあるでしょう。
しかし、どんなに寒い日でも、太陽は春分に向かって、どんどん上がってきているのです。
とても微妙な光の加減なのですが、私たちはそれを察知して、春を感じます。
前の項目で、春を表現するには、色を使いましょうと書きました。
けれども、もっと手っ取り早く、しかもお金も全くかからない方法があります。
それは、肌を見せる部分を作ること、です。
タートルネックのニットを着ていたのなら、Vネックに変える。
シャツやジャケットの袖を少しまくる。
厚手のタイツをやめて、足首だけ、肌色が見えるようにするなど、
今まで覆っていた部分を、少しずつ出していきます。
もちろん、まだまだ外は寒いです。寒いですが、それを承知の上で、肌を出すと、
それだけで春らしく、しかも若々しく見えます。
かといって、寒い日の女子高生の制服のミニスカートからのぞく真っ赤な膝上の素肌のように、
無理にしている、しかもだれかに見せたいという欲望が見えてはいけません。
あくまでもさりげなく、寒くなんかなさそうに見せるのが粋というもの。
今まで隠されていた部分が、ほんの少し見えるというのは、この上なくセクシーです。
もっと輝かせたい人は、素肌が生えるジュエリーを首元や手首に添うようにつけ足せば、
大人の余裕というものが表現できるでしょう。