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2012年12月3日月曜日

ロック・テイスト


ロック・テイストを取り入れたファッションが、
かなり定着してきました。
これは、人気のある女性ロッカーではなく、
それを取り入れたファッションをしているケイト・モスや、ファッション関係者のおかげではないかと思います。

ロックといっても、グラム・ロックや、グランジ・ロック、オルタナティブ・ロックではなく、
ハード・ロックやヘビーメタルのテイスト、
つまり、黒革、ライダーズ・ジャケット、どくろ、びょう(スタッズ)などです。

本格的にファッション関係者がロック・テイストの、たとえばライダーズ・ジャケットを着るようになったのは、たぶん、80年代の終わりか、90年代に入ってからだと思いますが、
そのころはまだ、本当にロックの人たちが着るようなアイテムを買ってきて、
ワンピースとあわせて着てみたり、ジャケットのかわりに着てみたりしていました。
しかし、それから年月が経過し、
今ではロックといっても、スタッズが星やハートになっていたり、
必ずしも黒い革ではなくて、ピンクやブルーになっていたりと、
本気でロックをやるつもりのない、一般の女性向けのファッションまだ進化しました。

ただ、ロック・テイストは、まだまだ取り入れるのに抵抗がある方も多いようで、
日本では、特に年齢層が上がるほど、着用率は低いようです。
もちろん大人向けのロック・テイストのアイテムが必ずしも豊富にはないということも一因だとは思いますが。

では、もう十分、定着したと思われる、このロック・テイスト、
本気でロックバンドをやるつもりのない私たちは、どうやって取り入れればよいでしょうか。

まず、避けたほうがいいのは、
「まさかこれからロックやるの?」みたいな格好、
つまり上から下までロックンロールにしないことです。
大人がそれをやってしまうと、それは違う世界の人になってしまいますので、注意しましょう。
(まあ、いないとは思いますが)

お勧めなのは、
前に書いた、「はずし」アイテムとしてロック・テイストを取り入れる方法。
簡単なのは、フェミニンなドレスの上にライダーズ・ジャケットを羽織る方法。
これはおしゃれ上手な人たちがよくやるスタイルです。
ドレスをライダーズという、男っぽいアイテムではずします。

そのほか、やりやすいのは、スタッズのついたアイテムを一点投入する方法。
今、スタッズのついたバッグや靴など、多く出ています。
それを1つ取り入れるだけで、一気におしゃれ度が上がり、垢ぬけた感じになります。
ジミー・チュウで出しているような、スタッズつきのバレエ・シューズなどは、
それだけで2つの要素、つまりフェミニンとマスキュリンが入っています。
おしゃれに見える要素の、100パーセント同じにしないという法則を、靴のみで成立させることができますので、すぐれたデザインだと思います。

では、なぜ大人がロック・テイストを取り入れるとおしゃれに見えるのでしょうか。
ロックというのは普通(もちろん例外もあり)、若者の聞く音楽です。
それだけで若さの象徴です。
それは、年齢や見た目の若さではないのです。
精神的な若さです。
それを取り入れることができるということは、それだけ心が広く、理解があり、
心が若いということなのです。
昔、ロックは大人から嫌われていました。
エレキギターを持っているだけで、不良の烙印を押されました。
(もちろん、私はそんな時代、知らないです。噂で聞いた話)
ロックはレベル、つまり大人社会への反抗の音楽だったのです。

大人への反抗の印であるロックを、その大人が取り入れる。
それは、もうそれだけで、その人が古い常識に凝り固まっていないということ、
新しいものを取り入れることができるということ、
時代の流れを感じることができるということです。
これはまさにファッションと同じです。
ロックを理解できるということは、ファッションを理解できるということなのです。
だから、モデルやファッション誌のエディター、スタイリストたちがよく取り入れるのです。
そして、結果、それはおしゃれに見えるということになります。

ロック・テイストのアイテムには、小さいながらもレベル(反抗)というイメージがついています。
足もとに、スタッズつきの靴を持ってきたことによって、
あなたは世界に反抗を表明できます。
それは、このままではいけないという心の叫びをパンク・ロッカーが叫んだほど、
大きな声ではありません。
けれども、何もしないで黙っているというわけでもありません。

小さな反抗心を心に抱いて、
世界をよいものに変えるために、スタッズのついたバレエ・シューズで街を歩きましょう。
それは小さな一歩かもしれませんし、非力に見えるかもしれません。
けれども、その小さな一歩が集結すれば、世界を変える力となるでしょう。
いつでも始まりは、その小さな一歩です。

☆写真:ジョーン・ジェット。たぶん、最初に影響を与えたのは彼女とクリッシー・ハインド。かっこいいけど、このまま取り入れちゃだめよ。本気ロックの人になっちゃう。