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2019年4月8日月曜日

素材と季節の関係

木綿、ウール、麻などの自然素材、
ポリエステル、ナイロン、レーヨンなどの化学繊維、
これらは季節に対応しているのかどうか、
また対応しているとしたらいつの季節、どの素材がふさわしいのかという
疑問をお持ちの方が多いようですので、
少し説明したいと思います。

基本的にこれらの繊維は、着たければいつ着ても構いません。
ウールに関しても、サマーウールというものがありますので、
夏だからウールはだめということはありません。
また、麻に関しても、木綿が日本に入ってくる以前は、
日本では1年じゅう、麻で作られた衣服が着られていたわけですので、
夏以外、着てはいけないということはありません。

ただし、それぞれの繊維にはそれぞれ特性がありますので、
その点を考慮すると、その季節に着るにはふさわしくない、
あるいは適さない素材というものはあります。

まずウールです。
ウールにはサマーウールと言われる夏向きのウールもありますので、
夏にウールを着るのは問題ありません。
ただし、夏用のウールは薄手のギャバジンやサージといった梳毛で、
ウール100パーセント、またはウールヴィスコース、ウールリネン、シルクウールなどの混紡のものとなります。
ですから、同じウールでも真冬に着る紡毛のツイードやシャギー、メルトン、フェルトなどは夏には着ません。
同じウールでも春および秋向け、夏向き、冬向きがあるということです。

綿はおおむね1年じゅう着られます。
しかしこれもウール同様、コーデュロイやフランネル、別珍など、
起毛した木綿は春夏には着ません。
また、コットンオーガンジーや綿ローンなども、繊維が薄いため、真冬には着ません。

麻に関しても、前述したように、着たければ1年じゅう着ても構わないのですが、
そのさらっとした風合い、また汗をよく吸う性質から、春先から夏がふさわしいとされる素材です。
例外的にウールリネンやビスコースリネンなどの混紡は、真冬以外は着ることができます。
またごくたまにあるリネンの起毛素材も秋冬にかけて着るのにふさわしい素材です。

シルクは1年じゅう着られる素材です。
インドやタイなど、暑い国では真夏にシルクの衣類を着ています。
シルクは真夏に着ても、汗を吸い取り、さらっとしているので、
洗えるシルクは真夏に着るのに適しています。
また冬は冬で、シルクは木綿や麻よりも暖かいので、インナーに適しています。
セーターやカーディガンの下にシルクのブラウスやキャミソールを着るといいでしょう。

最後に化学繊維です。
化学繊維も基本的に1年じゅう、着ても構いません。
ただし、機能性素材ではないポリエステルやナイロンは、
真夏に着るには暑すぎる素材です。
原材料は石油ですから、皮膚を油で覆うのと同じで、
非常に暑くなり、日本の真夏には適しません。
暑さに対応した透湿性や、汗を吸収するような素材はその限りではありません。

一方、レーヨンは木材から作られたパルプを原材料としているため、
真夏に着用しても暑くはありません。
ただし、「洗濯可」と書かれておらず、ドライクリーニング指定のものは、
自宅で洗濯することができません。
レーヨンは水洗いすると縮む性質がありますので、自宅で洗うことができません。
真夏に汗だらけになったレーヨンの衣類をいちいちドライクリーニングに出すのはどうでしょうか。
個人の判断によりますが、日常着には適さないと思います。

このように、いつどの素材を着るかについては、
単純にウールは冬、麻は夏などとは言えません。
使われている素材によって、それぞれ適した時期があります。

その素材の厚み、起毛しているかしていないか、
機能性素材なのかどうか、
自宅で洗濯できるのか、
ドライクリーニングのみなのかなどを勘案して、
自分で考えて選択するといいでしょう。


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