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2021年7月22日木曜日

ボディコンシャス、ボディポジティブ

 1980年代、アズディン・アライアの登場によって多くの人に知れ渡るようになったボディ・コンシャス。
それは、伸縮性のある素材が身体にぴったりフィットし、
あたかも第二の皮膚のように身体を覆い、
ボディラインをはっきり見せるデザインでした。

(日本ではこれを「ボディコン」と呼びました)

実際に流行したのは、アライアほどのテクニックをもったデザイナーが作った
高度な技術を駆使して、フィットしつつ構築的に見せるスタイルのものではなく、
小さ目の服の中にぎゅっと身体を押し込んで、どこかしらフィットしているような、
コンシャス、つまり意識的というよりは、ボディを強調するような服でした。

あれから40年近くになろうかという2020年代、
同じように身体を意識する、しかし今回はボディポジティブと呼ばれる、
身体を肯定的にとらえるスタイルが復活しました。

1980年代との相違点はいくつかあります。

まず一つが、どのような身体でもポジティブにとらえる、ということです。
1980年代のそれは、スーパーモデルに代表される理想の体型というものがあり、
それに寄せていくことがよしとされましたが、今回のものは違います。
モデル体型だけが理想ではありません。
それぞれがそれぞれの身体を肯定的にとらえ、
それをさらすことを躊躇しない、というスタイルです。
背が高いくても低くても、やせてても太っていても、
それぞれにそれぞれのボディポジティブがあります。

もう一つの違いは、必ずしも全身にぴったりフィットしたものを着る、
という形で表現されない、ということです。
どういうことかというと、ボディポジティブは、
例えばボディスーツのような形をとることもあれば、
お腹を出したり、腕や背中、脚を出したりと、
部分的に露出させるという方法をとることもあるということ。
とにかくその人の身体を感じさせる部分があるのなら、
そこに衣服があってもなくてもよいのです。
表現方法は多岐にわたるので、好きな方法を選べます。

さて、このボディポジティブの流れは、ますます加速するだろうと予測されます。
身体そのものの「生(なま)」の感じを表現すればするほど、
新しい時代の空気を人はそこに読み取るでしょう。

表現方法としては、
ミニスカート、ショートパンツ、ベアトップ、オフショルダー、
クロップトトップス、ブラトップのように身体の一部を見せる方法、
そしてもう一つ、
ボディスーツやぴったりしたニットのセーターやパンツなど、
伸縮性のある素材で身体にぴったりフィットさせる方法です。

身体の重要性とは、すなわち「生き生きとした若々しさ」の強調です。
必ずしも若くある必要はありませんが、
閉じ込められた人工的な雰囲気よりも、
自然を感じさせる生っぽさのほうが重要になります。

それぞれの身体がそれぞれ肯定的に自分の身体をとらえるボディポジティブ。
どんな方法でそれができるか、それぞれ考えてみるといいでしょう。

自分の身体の好きなところ、どこでもいいのでさらしてみることを選択してみる。
他人の評価ではなく、自分が愛でている自分だけのボディを、
自分自身で見つめてみる。
そうすれば、
今まで忘れ去れてきたその部分が、はっとするほど美しく変容していくでしょう。