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2026年7月23日木曜日

「おしゃれは趣味」の時代到来

さて、2026年、円の購買力は40年前の半分になりました。
80年から90年にかけて、世界トップクラスの収入を誇った日本ではありますが、
まるでロックスターのrise and fallのように、
日本は経済的トップ地位から転落しました。

服飾史を振り返ってみればわかることですが、
経済的な繁栄に付随して、その国のファッションの繁栄は訪れます。
貧しい国のファッション産業は、工賃の安い生産国でしかありません。
世界のファッションをリードするデザイナーやブランドを生み出すような国は、
そこに住む人たちが豊かであり、
ある程度のお金を使って服、靴、バッグを買うのでなければ実現できないのです。

経済的に貧しい国では、衣服は暑さ寒さを防ぐため、
そして社会生活を円滑に営むための道具という位置づけになります。
機能と効率だけが求められ、「おしゃれ」などという無駄なものは省かれます。
同じようなものを選ぶ人がふえ、デザイン性が高いものは排除されます。

それでもおしゃれを追求したい人たちは、
「おしゃれは趣味」の人たちになるでしょう。
あまたある趣味の中、わざわざそれを選んでお金と時間と情熱を費やす人。
このまま日本の経済が転落したままならば、
日本においておしゃれをする人は一部となり、おしゃれは趣味の一つと考えられるようになるでしょう。

しかし嘆くことはありません。
貧しい国なのにおしゃれな人たちにはもう既に先輩がいます。

それはコンゴ共和国、コンゴ民主共和国で90年以上の歴史を持つ 「SAPEUR」・サプール(男性)、サプーズ(女性)です。※Wikipediaより

サプールとは、内戦で荒廃し、一年じゅう気温が高い中、少ない所得から被服費をねん出して、おしゃれを楽しむ紳士淑女たちのことです。

https://sapeurjp.com/ 

貧しい国であったとしても、平和でなければおしゃれは楽しめません。
お金をかけずとも工夫をすればおしゃれはできますが、
平和 がなければ、おしゃれはいつでもおびやかされます。

貧しい国であってもなおもおしゃれを続けたい趣味人たちは、
この国、また世界の平和がおびやかされないように気を付けなければなりません。

すべての戦争はおしゃれの敵です。

平和憲法を持っている国に住む我々には、
それができるはずです。
そしてそれが「おしゃれは趣味」な我々の義務なのです。 

サプール、サプーズのように、我々もまた「世界一おしゃれな平和主義者」になりましょう。 

 

 

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2026年7月8日水曜日

素材に凝る

日本経済はこの30年ずっと下り坂でした。
しかも単に下るだけではなく、次々と周囲の国に抜かれていき、
個人の収入の面ではかなり差がついてしまいました。

家計に占める被服費の低下とともに、
安い素材を使った衣服が大量に出回るようになりました。
定価が安い、いわゆるファストファッションで売られている衣服は、
素材、工賃ともに安いものが使われています。
その結果もたらされたのが素材の平板化です。

安い素材の代表はまず機能性素材でもなく、かつ特殊な技術を使って作られたものではないポリエステル、そして、特に高級な素材ではないカットソー素材です。

もちろん中にはポリエステルをはじめとする化学繊維の中にも高級なものはあります。
コットンにしても海島綿と呼ばれる高級コットンもあります。
特殊な原材料、あるいは製造の技術のもと作られたものは素材としてもすぐれています。

例えばプラダの2024年SSコレクションで使われたスーパーオーガンザは同じポリエステルでも特殊なポリエステルです。
こういった素材を使ったものは決して安くは売られていません。

ここで話題にしたいのはこういった特に優れた素材ではなく、
一般的に安い素材です。

安い素材の特徴は平面的で、これといった特徴がないこと。
細い糸で編まれたカットソーはそのままでは平面的な素材のままであり、
つるりとしたポリエステルもそのままでは、滑りはよいものの、特に特徴のない素材です。

定価が安いから安く手に入るという理由でこれらフラットな素材のものだけを集めていくと、ワードローブが平坦なもの、退屈なものになります。
理由は素材のテクスチャーがどれも同じで変化がないからです。

シャツもパンツもジャケットもコートも、
どれも平坦で特徴のない素材で作られたアイテムだけで全体をスタイリングすると、素材による影が表面に生まれないため、どうしても立体感の乏しい印象になります。

それが身体から離れたビッグシルエットであるものならば、
衣服はまるで壁のように見えるでしょう。

たくみなスタイリングをするためには、素材感を変えていく必要があります。
つるつるやふわふわ、
深い影、あるいは透け感、
畝や凹凸、
こういったものを組み合わせることにより、身体にも立体感とリズムが生まれ、
スタイリングは退屈で平凡なものから目を見張るような非凡なものへと変化します。

自分が選んだ服を着てみて、
なんとなくのっぺりとした印象があると感じるのなら、
凝った素材のものを一点投入してみてください。

透けるオーガンジーならより軽く、
凹凸のあるレースなら、より立体的に、
畝のあるコーデュロイなら温かみが、
艶めく光るサテンならほどよい冷たさが、
ルック全体に足されるでしょう。

テクスチャーにこだわった高級な素材は、それなりに定価も高くなります。
だからこそ、これらはセカンドハンドで手に入れるのが一番です。
無理しない範囲で付け足していきましょう。

平凡な日常を切り取られたドラマの一場面のように変えるためには、
素材の魔法が必要です。

オーガンジーとヴェルヴェットで、つまらない日常を特別なものに変えましょう。 

 

 

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