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2012年9月24日月曜日

カラーブロックと色のトーンについて


ここ最近、カラーブロックと呼ばれている、
2色構成のアイテムがいろいろ売られています。
スカート、ワンピース、コート、いろいろありますが、
最も多いのがニットでしょう。
特徴は単に2色を使うのではなく、どこかにラインが入って、
そこからぱっきり色が変わるということです。
ですから、今まであったような、
たとえば、黒いドレスで、襟と袖口だけが白、というようなものは、カラーブロックとは呼ばれていません。
あくまで色のブロックで構成されているアイテムをカラーブロックと呼んでいます。

大体のものは、シンプルな形に大胆なカラーブロックというデザインで、
今まであまり、こういうタイプのものはなかったことから、
市場にもたくさん出回るでしょうし、取り入れやすいアイテムではないかと思います。

では、このカラーブロック、どのように着こなせばよいでしょうか。
まず基本は、全体のコーディネイトを2色以内におさえるスタイル。
たとえば、紺とベージュのカラーブロックだったら、アクセサリーのゴールドやシルバーを除いて、
すべてこの2色以内で構成します。
コレクションなどで提案されているスタイルには、このやり方が多いです。
色見を最小限に抑えることによって、
シンプルなデザインでも、モードっぽく見えます。

次のスタイルは、3色以内に色をおさえるスタイル。
これがごく一般的でやりやすいスタイルではないかと思います。
鞄、靴、小物含めて、3色以内に抑えます。
いわゆる3色ルールの適用です。
この場合も、貴金属のシルバーとゴールドは除いても構いません。

さて、最後は上級者のためのスタイルです。
つまり、2色でもなく、3色でもなく、多色使いです。
もし、カラーブロックのニットなりワンピースなりを、3色以上のコーディネイトに落とし込むにはどうしたらよいか。
その答えは、使う色全体のトーンをそろえることです。
一般的にトーンは以下のようにわかれています。
ペール(うすい)
ライト(浅い)
ブライト(明るい)
ヴィヴィッド(鮮やか)
ライトグレイッシュ(明るい灰色がかった)
ソフト(やわらかい)
ストロング(強い)
ダル(鈍い)
ディープ(濃い)
グレイッシュ(灰色がかった)
ダーク(暗い)
ダークグレイッシュ(暗い灰色がかった)
(詳しく知りたい方はネットや、色見本帳などを調べてみてください)

もし、全体のコーディネイトを多色使いで構成したいなら、
すべての色のトーンを同じにすると、きれいにまとまります。
これは何もカラーブロックのアイテムを着るときだけに通用するものではなく、
ほかのどんなものの多色使いでも同じです。
柄物でもチェックでも、多色を使いたいなら、トーンを合わせると、
おしゃれに見えます。

しかし、これはとても難しいのです。
なぜなら、トーンがぴったり合わせられるのは、
同じブランドの同じシーズンのものぐらいであり、
ほかのものは全くばらばらだからです。
去年のもの、今年のもの、こちらのブランドのもの、あちらのブランドのもの、
同じブルー一つとってみても、すべてトーンが違います。
年代も違う、いろいろなブランドで、すべて同じトーンでワードローブをそろえるというのは、
至難の業です。
その結果、同ブランドの同シーズンもの以外で多色使いをしようとすると、
色のトーンが違ってしまい、印象が散漫になります。
それはごちゃごちゃしたイメージで、色のハーモニーがありません。
落ち着きない感じがして、美しさからは遠ざかります。
結果的に、おしゃれには見えなくなります。

黒ばかりの服が流行した時代、
色に対する感性はかなり落ちたと思います。
黒だけは、トーンの外側の色です。
もちろん黒も一色ではなく、
墨色のような黒とか、漆黒の黒など、あるわけですが、
ヴィヴィッドな黒やグレイッシュな黒はないのです。黒は黒でまとめれば事足りました。

今また、色に対する感性が問われています。
さぼった分、勉強しなおさなければなりません。
黒ばかり着ていた人が、
色ものを選んだ途端、全くおしゃれに見えなくなった例を何人も見ました。
黒ばかり選んでいる間に、
色を選ぶ眼力が落ちたのです。
いつまでも白黒映画を見ているような、そんな世界に、
いきなり鮮やかな色があらわれても、それにはついていけません。

服ばかり見ていたら、色の勉強にはなりません。
優れた美術やデザインを見て回るのもいいでしょう。
しかし、最も多彩で完璧な色合いをしているのは、自然界です。
自然ほど、完璧なトーンで構成された世界はないのです。

これから、多色使いのスタイルがどんどん提案されていくことと思います。
それに追いつくためにも、今からでも遅くはないので、
色について学びましょう。
色についての理解を深めれば深めるほど、
あなた自身の住む世界の色も多彩になります。

今までは虹を3色でしか認識しない世界に住んでいました。
しかし、これからははっきり7色に見えるよう、目を鍛えましょう。
虹がはっきり7色に見えるようになれば、
虹のふもとにあると言われている黄金の壺が見つかるでしょう。
それは、あなたが世界にどれだけの色を発見するか、
その一点だけにかかっています。
虹の向こうにいかなくても、
あなたの世界は色づいて、かがやき始めるでしょう。

☆写真:Garnet Hillのカタログより、カラーブロックのニット。







2012年9月17日月曜日

ダウンコート、ダウンジャケット

スポーツ・ウエアから始まったダウンジャケットやダウンコートは、
小さな子どもからお年寄りまで、幅広い年代が着用するアイテムとなりました。
まず第一に暖かい、そして軽いというのが、これだけ広がった原因だと思います。
どんなに分厚いウールのコートを着ても実現することのなかった暖かさが、
ダウンを着ることにより、簡単に手に入れることができました。

最初にダウンジャケットをモードに進化させたのは、
私の記憶するところによると、90年代のヨウジ・ヤマモトだと思います。
ウールギャバで作られた、
その彫刻的なダウンジャケットは、今までのスポーツウエアのダウンジャケットの概念を覆すような、
そして、確かにそれまでは存在しなかった、新しいモードでした。
なぜそのことをはっきり覚えているかというと、
私の友達が、その紺色のウールギャバのダウンジャケットを、大枚はたいて買ったからです。
(もちろん、彼女のお給料の半分以上の額でした!)

90年代、いきなりモードの世界にあらわれたダウンジャケットでしたが、
なかなかその追随はあらわれませんでした。
そのため、多くの人は、モードの側に近づいたスポーツウエアとしてのダウンジャケットを着始めたと思います。
それから20年近くたって、やっと最近、おしゃれとしてのダウンジャケットやコートが出てくるようになりました。

しかし、それでもダウンジャケットやダウンコートをおしゃれに着るのは難しいです。
その一番の理由は、あのボリューム感。
まず、やせて見える、などということはありません。
また、コートの場合、ボリュームはすそのほうまで続くので、全体のバランスがとてもとりにくい。
ちょっと失敗すると、寝袋を着て歩いているようになってしまいます。
そしてもう一つの点は、誰もが似てしまうということ。
黒い腰下までのダウンジャケットなど、後ろ姿は男も女も変わりません。
では、どうしたらよいでしょうか。

私も、冬になり、街に出ると、
誰か素敵なダウンコートやダウンジャケットを着ていないかなと、
周りをチェックしながら歩くのですが、なかなか、これはというデザインのものに出会ったことがありません。
もともと、優れたデザインのダウンコートもジャケットもとても少ないのです。
けれども、あの軽さと暖かさは、一度知ってしまったら、手放せない。
そこで考えたのは、以下のとおりです。

まず最初に、優先順位を決めましょう。
防寒なのか、おしゃれ着なのか。
まず、防寒のためと割り切ったら、おしゃれには目をつぶる。
あたり一面の雪の中やスキー場、
誰もいない真夜中の街のようなところで、
おしゃれを最優先させることはありませんから、
その場合は、防寒第一に考えて、ダウンジャケットやコートを選ぶ。
そして、「暖かさ」が第一と決めたなら、その点は妥協しない。
そんなふうにして選ぶといいと思います。

次に、ダウンだけど、おしゃれに見えるためと決めたなら、
多少の機能性はあきらめる。
この丈だと、背中がちょっと寒いとか、ダウンの量が少ないとか、
おしゃれに見せるために、いろいろ欠点が出てきます。
けれども、「おしゃれに見せる」を最優先させるなら、そこはこだわらない。
この2つをどちらも望むと、結局、中途半端なものを買うことになってしまいます。

ダウンジャケットやコートをおしゃれに見せるために、まず気をつけるべきことは、
自分の身長とのバランスです。
日本の既製服の設定身長は163センチぐらいだと思います。
しかし、多くのダウンコートは、163センチの人がヒールの靴をはいて、初めてよいバランスがとれるようにデザインされているように思います。
そうなると、それより小さい身長で、フラットの靴をはくとなると、
もうそれだけでバランスは崩れます。
まず、試着するときは、冬用の靴とコートのバランスをチェックしましょう。
そのとき、下のほうにボリュームが出て、
何となく重たく感じるものは、あまりおしゃれには見えません。
いくらコートが軽くても、それだけで太って、重たそうに見えます。
特に、背の低い方は注意です。

また、ダウンジャケットやコートは、そのデザインをステッチをかけることで表現しています。
ステッチの入れ方によって、印象を変えているのです。
ステッチを入れることによって、ウエストを高くし、しぼることにより、
全体でAラインのシルエットを作っているものもあります。
そういったステッチの入っているものは、全体的にすっきり見えますし、
バランスもとりやすいでしょう。
ステッチがない場合でも、ウエストにベルトがついているものもあります。
ベルトつきダウンも、ボリュームを減らしますので、こちらもお勧めです。

最後に素材ですが、おしゃれ用として着るなら、
表地の素材の光り方にも注意してください。
サテンのような美しい輝きならよいですが、
ビニールのようだと、安っぽく見えます。
光り過ぎない適度な光沢のものを選びましょう。
その中でも、ウール素材(またはウールに似せたものなど)は、ダウンの中でも、都会的でおしゃれに見えるものです。
自分の身長にぴったり合うものが見つかったら、そちらを買うとよいでしょう。
割合、どこに着ていってもおかしくない、ウールのコートに劣らない品があるアウターだと思います。

着こなしですが、ダウンのボリュームが大きいほど、そのほかのインナーやボトムはコンパクトにしましょう。
逆に、ダウンベストや小さめのジャケットだったら、ボトムにボリュームスカートを持ってくることもできます。
とにかく、全体で一定のボリューム以上は作らないようにすること。
ある限度をこえると、とたんに太ってみえるので、注意してください。

実際のところ、ダウンジャケットやコートは、まだ発展する余地があると思います。
シルエットが大きいものに変化していくこの時期から、
デザインのバリエーションも広がっていくことでしょう。
まだまだ過渡期なので、今は練習段階です。
そしてもう少しデザインが洗練されていったら、それこそイブニングにもふさわしいような、
ゴージャスなダウンコートがあらわれるのではないかと思います。

軽さ、暖かさ、快適さ、
これらは人をリラックスさせます。
自分にぴったりのバランス、ボリューム、素材感のダウンが手に入ったら、
そのリラックス感も手に入れられるのです。
重いコートを引きずって、冷たいアスファルトの上を、
ぎりぎりの体力で、歯を食いしばって歩く時代は終了しました。
無理をすることがファッションだと教えられてきましたが、
きっと、そうではない道があるのです。

深夜近くの満員電車、
蛍光灯の光に照らされた、疲れ切った顔が正面の窓ガラスに写っていました。
そこには、リラックスなど、ありませんでした。
そうでないといけないと信じこまされてきたけれど、本当はそうでなかったのです。
太陽の下、明るい顔で、冬の冷たさなど、あたかもないかのように、
重いコートの重圧から解放されて、
軽やかに冬の街を歩きましょう。
ダウンコート、ダウンジャケットは、そんなときにうってつけのアウターです。

2012年9月10日月曜日

ボーイフレンド・スタイル

服全体のシルエットが大きくなってくると、
ボーイフレンド・スタイルが復活してきます。
ボーイフレンド・パンツ、
ボーイフレンド・シャツ、
ボーイフレンド・ジャケット、
ボーイフレンド・セーターなどなど、
あたかもボーイフレンドから借りたような、
自分のサイズよりは大き目の服のことを、こう呼びます。
では、なぜ単なるビッグパンツでも、ビッグシャツでもなく、
「ボーイフレンド」なのでしょうか。

勘違いしないでほしいのは、
ボーイフレンド・スタイルは、女らしさを感じさせないようにする、
あたかも少年っぽく見せるスタイルではないということです。
ボーイフレンド・スタイルだから女っぽく見えない、
ボーイフレンド・スタイルだから男の子っぽい、
そうではないのです。
その逆に、ボーイフレンド・スタイルは、女らしさを際立たせるために用いる、
ファッション独特の手法です。

おしゃれに見えるスタイルは、常にバランスがとれています。
色のバランス、
分量のバランス、
古さと新しさといった、具体的に目に見えるバランス。
それと同時に、フェミニン、マスキュリンといった、何となく、そんな雰囲気というような感性のバランスも、常に崩れないようにします。
そんなとき、行き過ぎた女らしさや、男のようなスタイルは、好まれません。
女らしさだけを強調するスタイル、
たとえば胸を必要以上に強調したり、
くっきりボディラインを見せたり、
スカートを短くするようにといったスタイルは、
女性の体の強調であり、見せつけではあっても、
それを「おしゃれ」とは呼びません。
それらが意図するものは、ただ1つのことであり、
おしゃれとは違うものだからです。
そして、即物的な、そのやり方を、おしゃれな人々は嫌います。
なぜなら、そこには想像する余地がないからです。
ミステリアスではない、そんな、これ見よがしの、もの欲しげなスタイルでは、
相手を魅了することはできません。


ボーイフレンド・スタイルとは、女性らしさを表現するための、
わざと反対のベクトルを使うおしゃれのテクニックの1つです。
ボーイフレンドのようになるのではなく、
ボーイフレンドのアイテムを使って、女性らしさを作ります。

ここまで書いたら、具体的な取り入れ方はもうおわかりでしょう。
ボーイフレンド・スタイルを取り入れるときは、
決して、ボーイフレンドのように、少年のように、男のように、ならないこと。
大きめなシルエットの中で、きゃしゃな体が泳いでいる、
その姿がかわいらしく他人の目には映ります。
ボディラインがわからないから、ボディラインを想像させることができます。
男っぽいものを着ているからこそ、女らしさを感じさせます。
女らしさと、着ているものの男っぽさ、そのギャップこそ、
おしゃれに見えるポイントです。
だから、すべてを男仕立てにして、
振る舞いや言動まで、男のようだったら、
ボーイフレンド・スタイルは台無しです。
ボーイフレンドアイテムを1点取り入れる。
そして、必ずどこかに女性しか身につけないようなものを入れる。
たとえば、ピンヒールだったり、
パールのピアスだったり、
真っ赤な口紅だったり、
わざとボーイフレンドとは一番遠いものを持ってきます。
そして全体のバランスをとり、女性らしさを演出します。

おしゃれとは、一種の頭脳ゲームです。
他人にどう見られるか、ではなく、
他人にどう見せるか。

主導権はいつも自分が握ってなければいけません。
よくしつけられた犬のように、
あなたは服に着られるのではなく、
服を手なずけなければなりません。

そのために必要なのは訓練だけ。
毎日の訓練の繰り返しをすれば、
思い通りに行動する犬のように、
洋服は、あなたの忠実なしもべになるでしょう。
リードするのは、いつでもあなた自身です。

☆写真:ボーイフレンド・スタイルとはちょっと違うけど、ユニセックスな着こなしのジェーン・バーキン。
ポイントはかごバッグ。




2012年9月3日月曜日

抜け感

雑誌のスタイリングを見ていると、
「抜け感」という表現が出てきます。
これは、肌の露出が多い春夏にはあまり出てこない言葉なのですが、
秋を過ぎたあたりから、急激に言われ始めます。
この「抜け感」とは何でしょうか。
どこにも正確には定義されていないでしょうし、
感覚的なものなのですが、簡単に言うと、
ずっとつながっている部分からの「隙間」というような意味です。
「抜け感」のスタイリングですが、基本は、首、手首、足首を少し出すことを言います。
たとえば、首だったら、タートルネックではなくVネック、
袖は七分丈、
パンツはクロップトパンツなど、
隠してもいい部分、本当だったら覆われている部分をあえて出す、そのことを「抜け感」 と呼んでいます。
そのほかの部分でも可能なところもあります。
例えば、半そでに長い手袋など。
ただし、「抜け感」とは呼ばないものがあります。
それは、あいている胸元、ダメージジーンズから透けて見える肌、ミニスカートとニーハイソックスの間、これらは「抜け感」とは呼びません。
エロを感じさせたら、「抜け感」ではないので、そこは勘違いしないようにしましょう。

ではこの「抜け感」、なぜ必要なのでしょうか?
「抜け感」が表現するのは女性らしさの一種です。
その証拠に、男性のスタイルで、「抜け感」は要りません。
短い袖に短い丈のパンツだったら、ミスター・ビーンになってしまいます。

「抜け感」を取り入れると、
女性の無防備な感じが表現できます。
つまり、そういった、一つ抜いた感じがないと、そのスタイルは無防備とは逆の、防衛的スタイルに見えるのです。
たとえば、体型を隠したいがために、全身くまなく布で隠してしまう、
または寒いから、 とにかく全身をくるむ、
それはいろいろな意味で防御のためのスタイルです。
そこに隙はありません。
その隙のなさが、かたくなに見えます。
かたくなな女性には、かわいさはありません。
一方、どこか肌が出ていると、見ているほうは、防衛心が感じられず、
リラックスして、ほっとします。
「抜け感」は、相手が安心して話しかけてもいいような雰囲気を作りだすためのテクニックです。

取り入れ方ですが、
基本は、首元を見せる、手首を見せる、足首を見せるです。
もちろん素肌のほうが、より「抜け感」がありますが、
真冬の寒いときなど、足もとだけシアーなストッキングをはくだけでも、かなり違います。
また、首はVネックで、その上からスカーフをまき、
小さく三角形に素肌が見えているだけでも、十分抜けた感じになります。

「抜け感」は、同時に垢ぬけた感じを出します。
おしゃれを知っているな、
よく研究しているな、
ただ、服を着ているだけではないな、
という感じを相手に与えます。
ほんのちょっとの工夫ですが、相手に与えるイメージをコントロールできます。

今年(2012年)の秋冬は、足首を見せるクロップト丈のパンツのバラエティが豊かです。
一番簡単に取り入れられるのが、パンツだと思います。
もちろん、自分で長いパンツを丈詰めしてしまっても構いません。
鏡の前で、必ずはく靴のヒール丈にあわせて、
くるぶしがどのように見えるのが一番よいか、研究してから切ってください。
フラットな靴とヒール靴では、切る位置が違ってきます。

おしゃれのコツは、知ってしまえば、何ていうことはありません。
本当に「たったそれだけ」のことなんです。
それを知らないがために、うまくいかないだけのこと。
だけれども、知ってしまったら簡単でしょう?
いつでも、知っているだけで、実践しなかったら、それは知らないと同じことで、意味がありません。

ここでこうしてブログを読んでいるだけではなく、
明日から早速取り入れてみてください。
知識を実際に実践してみたこと、それがあなたのおしゃれ力になります。

2012年8月27日月曜日

季節感

 


おしゃれに見せる大事なポイントの1つに、「季節感を早めに取り入れる」という暗黙のルールがあります。
おしゃれと感じさせる人たちは、季節をいつも先取りして取り入れるのです。
その逆に、おしゃれにはあまり関心がないのだろうなという感じの人たちは、季節感がありません。
春なのに、いつまでも重いコートを着ていたり、秋なのに、トロピカルプリントのサンドレスを着ていたら、そのコートやドレスがいかに素敵なものであっても、おしゃれには見えないのです。

特に日本では四季を大切にします。
だから寒くても春の、暑くても秋の服装にかえることを好みます。
多分、このルールは着ものの世界のほうがもっと厳しいでしょう。
季節ごとに花や柄が決まっていて、その季節とは違う時期にその柄を着ては、いけないことになっています。

そうはいっても、最近の長い夏や、遅めの春には、9月だからすぐ秋に、3月だからすぐ春にと、着るものを変えられないのが現状です。
9月1日が過ぎても、まだまだ残暑は厳しいですし、4月1日を過ぎても、ストーブをつけたい日はたくさんあります。
ちょっと昔は、それでも、早めに衣替えしてしまって、やせ我慢をして、気温にあわない服装をしていました。特におしゃれな人たちは、率先して、季節を先取りしていました。
けれども、さすがに最近は、それも無理なほどの気温の高さ、気温の低さです。
では、どうしましょうか。

今までの季節感というものは、主に素材で表現されてきました。
春夏はコットン、麻など涼しげな素材、秋冬はウールなど、暖かい素材。
つまり、衣替えとは、素材の変化でした。
素材の変化は、主に季節の気温の変化に対応するものです。
しかし、気温が変化しない今、素材を変更して季節感を表現するのは無理があります。

素材がだめなのですから、できるのははシルエットや形、または色ということになります。

まず、シルエットや形ですが、
春から冬にかけてだと、コートの形が変化します。4月を過ぎてもダッフルコートはおかしいです。

トレンチコートやステンカラーのコート、そしてピーコートも素材違いなら、春向けになります。
それ以外のインナーやボトムスのシルエットは、冬と春では変わらないので、そのままでいいでしょう。

夏から秋にかけてですが、
ここでは若干のシルエットの変化があります。
夏にコートは着ないので、コートは問題ありませんが、半そでやノースリーブ、またはサンドレスや、リゾート向けのドレスは、やはり夏をイメージさせます。
(リトルブラックドレスやニットのツインセットの半そで、ノースリーブはこの限りではありません)
どこが線引きかわからない場合は、リゾートに似合いそうとか、海辺の町に似合いそうというものは、夏のシルエットということです。

最後に残ったのは色です。
一番簡単なのは、春なら春色を、秋なら秋色を取り入れることだと思います。
その場合、素材は前の季節のものをそのまま引きずっても構いません。
4月に入ってもまだ寒いのだったら、ウールでもかまいませんし、 9月に入っても、暑い日々が続くようだったら、コットン、麻でもいいのです。
特に最近の麻は、昔と違って通年着られる素材になってきましたので、気にすることはないでしょう。

春の場合は、ダークだった色合いが明るくなります。
秋の場合は、その逆に、明るい色合いがダークになります。
もちろん、全身すべて色合いを変えれば、一気に季節が変化したようで、すごくおしゃれに見えますが、なかなかそれは難しいので、まずは小物、アクセサリー、靴、鞄など、小さい面積から季節感のある色を取り入れていくといいでしょう。
たとえば、9月に入って、今までジーンズに白いTシャツをあわせていたのを、ダークな茶色や紫など、秋を思わせる色に変えるだけで、全体の雰囲気は変わります。
そしてもう少し涼しくなったら、足もとをブーツにかえれば、同じジーンズでも、それは秋冬モードに早変わりです。
持っているアイテムを、自分がもういいかなと思う時期より、気持ち早く取り入れる、
そうすると、それは人々の目にも新鮮にうつり、結果的におしゃれに見えます。

おしゃれとは、印象の操作です。
同じコットンでも水色だったら夏っぽく見えるし、ダークブラウンだったら、秋っぽく見えるのです。
その操作の仕方を知っていればいいだけの話です。
そのために必要なのは、いつだって、知恵と工夫です。
どんな高価な服を持っていてっも、
どんなにたくさんの服を持っていても、
その知恵と工夫には負けるのです。

本当の安心は、たくさん持つことではなく、
知恵を身につけ、工夫することを怠らない努力から生まれます。
それはお金では買えません。
お金で買えないものは、他人から奪われたり、壊されたりしません。
それは形としては見えないけれど、
見えないナイトのように、
ずっとあなたを支え続けてくれます。
そして、それはものを抱え込むよりも、ずっと安心なことなのです。



2012年8月20日月曜日

ヴィンテージ


ヴィンテージ、またはヴィンテージ風のものが最近、流行しています。
ヴィンテージを取り入れることによって、いろいろな効果が生まれます。
まず1つは、オリジナルということ。
ヴィンテージは、ほぼ1点ものです。
ですから、ほかの人とかぶるということがありません。
現在のような、大量に同じ品物が出回る時代において、手軽に1点ものを取り入れられるということは、着る人のオリジナル性を出すのに役立ちます。
次に、その風合いです。
新しいものと違って、ヴィンテージには年代を経たものが持つ、独特の親しみやすさがあります。
また、大事に着続けられてきたものだけが持つ、一種のはかない輝きも、特徴ではないかと思います。
ノスタルジックなはかなさが、着る人のセンスのよさをあらわします。
それはぴかぴかした新品の服にはないものです。
人は、すべてが真新しい空間にいるときに、何かそわそわしてしまうように、
新しいものだけのスタイルも、ほんの少しですが、居心地が悪いのです。
ヴィンテージを取り入れたスタイルは、なじみのカフェでくつろぐような、
リラックスした雰囲気を着る人に与えてくれるので、誰からみても親しみやすくなるでしょう。

また、いつも書いていることですが、
洋服のスタイリングはバランスが最も重要です。
新しいものだけではなく、古いものも取り入れないと、全体のバランスが悪いのです。
ですから、その全体のバランスをとるためにも、ヴィンテージは使われます。

ただ、ここで問題があります。
ヴィンテージを選ぶのは、とてもとても難しいのです。
私もロンドンなどに行ったとき、必ずヴィンテージショップへ行って、見てはみるのですが、
今まで一度も買ったことがありません。
ずいぶんと丁寧に、スカーフの一枚一枚までも吟味するのですが、これがなかなか買えないのです。
なぜかというと、そのヴィンテージの服や小物が持つ、目には見えない歴史の部分が感じられて、
おいそれと自分のものにしたいとは、思えなくなってしまうからです。

人には五感があります。
目に見えるもの、
さわる感触、
香り、
聞こえるもの、
味覚。
このうち、洋服を選ぶときに主に使うのは見た目と、感触でしょう。
(少しばかり、においというものもあります)
だけれども、ヴィンテージを選ぶときは、この五感をこえた、目に見えない、
さわってもわからない、その服が持っている歴史、層、レイヤーも重要なのです。
それは見えないし、さわってもわからない。
けれども、たしかにそこにある、それ以上の情報。
ここのショップに来る前に、
あの小高い丘の貴族の館に住んでいた、
美しい貴婦人が、
いつも散歩をしていたときにかぶっていたしゃれた帽子。
その貴婦人は、貴族の末裔ではあったけれども、
つつましく暮らしていて、つい最近、ひっそりとこの世を去っていった。
そのとき、婦人の部屋のクローゼットに大事にケースに入れられてしまってあった、その帽子。
それが今、このショップにあり、私が目で見て、手で触っているもの。
これは、ただの古い帽子ではない。
あの美しい貴婦人が大好きだった帽子。
こんなふうに、ヴィンテージには、その背景に物語があるのです。

私たちはサイキックではないので、さわっただけで、この情報のすべてを感じとるわけではありません。
けれども、何かがわかるのです。
このものが持っている、感情や思いが。
それは誰にでもある経験だと思います。

だから、ヴィンテージのものはなかなか買えません。
手に撮った瞬間、うん、大丈夫だ、いい気分がすると断言できるものでないと、
自分のたんすに入れるわけにはいきません。

では実際、どうやってヴィンテージを選んだらいいでしょうか。
まずは、信頼できるショップをみつけること。
信頼できるオーナーを見つけて、その人が選んだものなら大丈夫と思えるものを選ぶこと。
そういったショップは、余り規模が大きくないですから、少数精鋭の品ぞろえでしょう。
その中から、何度も通って選ぶこと。
そして、ほんのちょっとでも、何か違うかも、と思ったら、決して買わないこと。

また、なるべく先によいものを見ておくこと。
外国に行ったら、服飾博物館を訪れて、展示品を数多く見ておくこと。
ある程度、目が肥えてから、実際に買いに行くとよいでしょう。

次、もう本物のヴィンテージを買うのはあきらめて、
ヴィンテージ風のものを選ぶ。
新品ではあるけれど、古い感じが出ているものは、それだけでリラックス感があります。
そういうものを1つ取り入れると、全体として、スタイルがしっくりくるでしょう。

見えたり、触ったりしたものの先に、見えない、触われない情報がある。
これは、何もヴィンテージに限ったことではありません。
本当はどんな新品の服にも、見えない情報があります。
誰が、どこで、どんな環境で、どんな気持ちで作ったか。
生産されたものは、すべてこの情報を持っています。
プレタポルテという、既製服がこの世に出てから、
この情報は限りなく買う側から遠ざけられて、わからなくなりました。
大量消費時代になった現在、隠されている情報はたくさんあります。

見えるもの、さわれるものに惑わされないで、
それ以上の情報を探索してみましょう。
どんなものにもそれがあります。
それは人でも同じです。
見た目、
語られた言葉、
つけている香り、
それらは、いとも簡単に人をだまします。
そろそろ私たちは、それ以上の情報を知る能力を開発したほうがよさそうです。
ヴィンテージを選ぶとき、あなたも試してみてください。
見えないものが、そこにあると感じるかどうかを。
そしてそれがわかる自分であるかどうかを。

☆写真:これは私のヴィンテージ。70年代のウンガロ(日本製)のヴェルヴェットジャケットと、70年代のグッチの鞄。名づけて銀座ルック。都会に行くときしか使いません。ジャケットは母が着ていたもの、グッチは父がヨーロッパから買ってきたもの。本当はこれにエルメスのスカーフもあるけど、恥ずかしくて身に付けたことがないです。お店で買わなくたって、家にだってヴィンテージのものがあるはず。それをうまく使うのが、本当は一番のお勧めです。


2012年8月6日月曜日

ビッグ・シルエット

今の季節、雑誌はもう既に秋物の特集ですし、店頭にもちらほら秋物が並び始めました。
2012年の春を境にシルエットが変わってしまったわけですが、
秋冬に向かって、その変化は加速し、どんどん形が大きくなってきました。
タイトなシルエットからビッグ・シルエットへの移行です。
もちろんすべてのアイテムがビッグになるわけではありませんが、
コートを中心としたアウターは間違いなく大きくなるでしょう。

さて、ビッグ・シルエットの流行は80年代半ばから90年代にかけてもありました。
あの時代、シャツ、パンツ、スカート、コート、すべてのアイテムが大き目に作られていました。
(このおかげか、今ほどダイエットがブームではなかったと思います)
「大きいことがかっこいい」、そんなふうに見えるのが80年代、90年代でした。
では、この80年代のビッグ・シルエットとこれからやってくるビッグ・シルエットは同じなのでしょうか。
答えは、違います。
今年から始まるビッグ・シルエットは決して80年代と同じではありません。
よって、80年代、90年代のコートを掘り出してきて、そのまま着ても、今風には見えません。
ではどこが違うのでしょう。

皆さんは、80年代、90年代のファッションを覚えていらっしゃいますか?
80年代生まれだったら、覚えてないかもしれませんね。
けれども、それより前だったら、まだ記憶があるはずです。
あのころ、日本人デザイナーたちが一世風靡したそのシルエットは確かにビッグでした。
ビッグで、黒く、そして四角いものでした。
この形のバリエーションが80年代に流行した日本発のファッションです。
ポイントは「四角」です。
四角いシルエットを作るために、パターンからは曲線が消え、肩線は丸みを消すために、
分厚いパッドが入れられました。

私がちょうどアパレルで働いていた90年代は、まだまだ肩パッド全盛期で、
パッドなしのジャケットやコートなど、考えられない時代でした。
肩が丸いラグランスリーブにさえ、無理やり肩パッドが入れられました。
ふわふわのワンピースでさえ肩パッド入りでした。
とにかく、シルエットが四角くなければだめだったのです。

あの頃のデザイナーたちは何を目指していたのでしょう。
黒く、四角く、骨ばって、ノーメイクで、平らな靴。
あのころ、強調されたのは、こういった女性のマスキュリンのサイドでした。
四角い服や、固い肩パッドは、女性の丸みを消すためのもの。
パステルカラーは封印され、黒や紺といった、影のような、そして制服のような色がよいとされました。
そこには、スイートのかけらもありません。
甘いものなど忘れて、ハードさが求められました。
それを象徴しているかのように、最も流行った日本のブランド名は、
「少年のように」でした。

けれども、今年から始まるビッグ・シルエットは違います。
誰も、少年のようになれなどと、言いません。
あのときから閉じ込められた、女性的な体が復活します。
今回のビッグ・シルエットは、女性の体を隠すためのものではなく、
その体をより美しく見せるためのものなのです。

実際の大きな違いは、まず肩パッドでしょう。
似たようなビッグ・シルエットのコートでも、2センチもするような肩パッドは入ってないはずです。
入っていたとしても、ごく薄いものでしょう。
ジャケットも同様です。
もう2センチ肩パッドのいかり肩には戻りません。
つまり、もう四角ではないのです。
丸い曲線が入ります。

またただのビッグではなく、装飾的にも大きくなるでしょう。
ドレープ、フリル、タックなど、布をたくさん使い、たたむことによってシルエットを作ります。
80年代の、北風に負けないための壁のような衣服ではなく、
風が吹いたら、それに揺れる服です。
それは女性の肉体をより美しく見せるためのものです。

また、80年代はビッグ・シルエットに必ずマニッシュな靴をあわせましたが、
今回は、そうはならないでしょう。
もちろん、シルエットが大きくなった分、スーパー・ハイヒールをあわせる必要もなくなったわけですが、だからといって、ヒールの靴はなくなりません。
これからのビッグ・シルエットは、最後のバランスをヒールの靴を合わせることによって完成させるものが数多くあります。
ヒールの靴というものは、やはり洋服にとっては、女性性の象徴なのです。
ですから、その象徴はこれからも使われます。

確かに、女性が男性のような服装をすると、魅力的に見えることもあります。
シェイクスピアの芝居の中の、
「ヴェニスの商人」のポーシャも、「十二夜」のヴァイオラも男装していました。
けれども、それは物語の中の困難を乗り越えるためにとりいれたもので、
最終的な目的ではありません。
ポーシャもヴァイオラも、最終幕の最後の場面では、ドレスを着てでてきます。
彼女たちは、男性のように生きるために男装したのではなく、
女性として、女性らしく生きるために、その手段として途中で男装しただけです。
決して、男のようになりたかったわけではありません。

裸になって、深い海に潜って、意識の中から捨てたものを拾ってきて、
海面に浮かびあがったら、
まるでボッティチェルリの「ヴィーナスの誕生」のように女神が生まれるのです。
今、私たちがそれぞれやる作業は、まさにそのことです。
捨てろと言われた、
捨てるのが格好いいと言われた、
捨てなければいけないと思わされた、
その捨てたものを拾ってきて、再び思い出すときです。
それをしないと、深い海の底から、死んだと思っていた、自分の一部が暴れ出し、
嵐をおこして、あなた自身に復讐します。
なぜなら、それは決して死なないから。

本当に今年からの数年間、あらわれるファッションは楽しみです。
やっといろいろな呪縛から解放されます。
その呪いは人それぞれだと思いますが、
何より一番大きなものは、あなた以外のものにならなければいけないという呪いでしょう。
もう自分以外のものになるための努力はやめましょう。
もうそんなことをしても無駄だって、わかったはずです。
そして、ファッションを利用しましょう。
少年のようになるためにではなく、
自分自身になるために。