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2012年7月30日月曜日

グレージュ


去年ぐらいからでしょうか、グレージュと呼ばれる色のものがでてきました。
実際には、グレイッシュ・ベージュを誰かが略して呼んだものだと思いますが、
要するに、グレイがかった、ベージュということで、
イエローに黒を混ぜ、グレイッシュにした色全体のことを呼んでいます。

これは鞄や靴といった、皮革製品から広がったのではないかと思いますが、
今年になって、普通の布帛や、ニットといった、日常に着るものまで、
このグレージュのものが増えてきました。

通常ですが、
大体、アイテムをそろえるとき、黒系統、または茶系統に統一すると思います。
もちろん、茶も、黒も、ということもあり得ます。
そんなとき、このグレイがかったベージュはとても便利です。
というのも、茶にも、黒にも、どちらにも自由に合わせられるからです。

本当は、黒なら黒、茶なら茶と、カラースキームを統一して、色目を少なくするほうがエレガントです。
しかし、洋服は色だけでコーディネイトを作るわけではありません。
シルエットやバランス、気候による寒さや暑さ、どういった場面かなど、
考慮する点がたくさんあります。
そうなると、鞄や靴、小物など含めて、必ずしも黒だけ、茶だけでコーディネイトすることは難しくなります。
そんなとき、役に立つのがこのグレージュのものです。

グレイッシュなので、当然、グレーとのなじみもいいです。
ダークな黒や茶ではなく、ライトグレーからダークグレーにかけては、とても上品に見えます。
また、地の色はイエロー・ベースなので、
アジア人の肌にもよく似合います。
顔の近くに持っていっても、顔色がよく見える色です。
また、髪の毛をブラウンに染めている場合も、よく合うと思います。

今年あたりから、ニットやコートなど、このグレージュのものが多く出てくるでしょうから、
茶も黒もグレーも好きという方には、もってこいの色だと思います。
例えば、黒のブーツに、ライトグレーのニットとスカート、そしてグレージュのコートに、
アクセサリーはパールなら、華やかで上品、しかもカラースキームもそろっています。
また逆に、茶色のコートにも黒のコートにもあわせたい靴や鞄が欲しいとき、
グレージュを選べば、どちらにもコーディネイト可能です。

1つ注意点は、グレージュと呼ばれる色には、非常に幅があります。
黄色が強いもの、グレーが強いもの、明るいもの、暗いものなど、
名前だけで判断してしまうと、思ったものと違う場合もあります。
ですから、買う場合も、グレージュとついているから安心しないで、
きちんと自分が合わせたい色と合うかどうか確認しましょう。
繊細な色ですので、丁寧に選ばなければなりません。

色選びは楽しい半面、実はとても厳密なものです。
いつも言っているように、
あのブランドと、このブランドのグレージュは違います。
作る人の数ほど、色もあります。
その膨大な色の海から、自分にぴったりのグレージュを見つけるのは、
本当は、そんなに簡単な作業ではありません。
海も、砂浜も決して一色ではないように、服についた色も、すべて違います。
まずは自分が求めているのは、どんな具合の色なのかを突き止める。
そして、ぶれいない気持ちで、リラックスして、色の海からぴったりの色を見つける。
そうすれば、それだけでおしゃれに見えます。
それと、色のハーモニーというものは、心を落ち着かせるものです。
色がぐちゃぐちゃだと、心もぐちゃぐちゃになります。
色がぴたっと決まると、心も揺れることなく、ぴたっと止まります。
それは正しく使ったときの色の力です。

力はよくも、悪くも使えます。
どうせなら、よい方向に使いましょう。
色の魔法で、揺らがない心を手に入れたら、
どんな告白も交渉も可能です。
うまくいくことは、間違いありません。

☆写真:マンセルのカラーチャートのイエローのページ。左2列の真ん中辺が、グレージュと呼ばれている色です。

2012年7月23日月曜日

ローゲージニット


暑くなってまいりました。
ということは、秋冬ものについて計画する季節の到来です。
実店舗はまだですが、雑誌などには、もう秋冬の情報が掲載されています。

さて、このブログをずっと読んでいらっしゃっる方々は、
今は流行の変わり目で、特にシルエットが大きく変化している時期だということはおわかりですね。
そのシルエットの変化というのは、スリムでリーンなシルエットからビッグなシルエットへというものです。
それも、ただビッグなシルエットというだけではなく、飾りのないリーンな形から、こんどはデコラティブの方向へ動いています。
新装飾主義のはじまりです。

スリムでクリーンなシルエットが席巻していた、2000年以降、
ニットはどんどんタイトにスリムに、そして糸はどんどん細く、ハイゲージが主流でした。
それは、ハイゲージでないと、スリムフィットにならないからです。
また、スリムにするために、編地もとにかくフラット、スムーズになり、
でこぼこしていたり、装飾はどんどん省かれていきました。
代表的なデザインは、ハイゲージで薄手のVネックやタートルネックのセーターでしょう。
その薄さはあたかもTシャツのようで、下着の上にすぐニットを着て、上にジャケットを着るというスタイルが定着しました。
 その流れが行きついてしまったのは2011年で、
今年はもう完全に折り返しています。
折り返し地点を通過したニットの行き先は、ビッグ、ラフ、デコラティブです。
そして、ローゲージニットの復活です。

ニットがローゲージになってくると、
ニットの表現の幅が広がります。
縄編みや、ポップコーン編みなどのような、ニットならではの飾りや、
カウチンセーターに代表されるような、編み込みによる模様の表現、
また、かぎ針編みの使用による装飾的なモチーフなど、
手作業による糸の装飾的表現を多用したセーターやカーディガンが出てきます。
一昔前だったら、古臭いと思われていた、
あの、おばあちゃんが作ってくれたニットのセーターが、再び洗練されて帰ってきます。
これはニットファンにとっては、大変喜ばしいことだと思います。
だって、今までのニットは、あまりに味気なかったですから。

そこで、私が予想しているのは、編み物ブームの復活です。
80年代にビッグシルエットが流行ったとき、
手編みニットが一時ブームになりました。
手編みのスタイルブックもどんどん発売され、
私も蒲田のユザワヤへ、毛糸選びに何度も足を運びました。
そして、パピーにしようか、それとも何だかよくわからないヨーロッパ製の糸にしようか、
2時間も、3時間も悩んで買って、太い編み針で自分のセーターも編みました。
(「装苑」を見て、誰だったか、デザイナーがデザインした、ピンクのメランジ糸使用のニットを一生懸命編んで、それを着ていったのがデヴィッド・ボウイのライブでした。今考えると、変かも?)

今、一部の方々の間で、手作りで自分の着るものを作ることがブームになっているそうなので、
編み物も、再びブームになるかもしれません。
何か自分で作りたいなと思っていて、編み物が得意な方は、ぜひこのブームの波に乗っていただきたい。
デザインは、80年代よりも、はるかに洗練されています。
そして、そんな手編みのためのスタイルブックも発売されるはずです。

一針一針、糸を編んでいく過程を経験することは、
ただ単に、着たいものを作るという経験ではないのです。
糸と編み針と自分の手という、最もシンプルな道具で、
何もないところから形を作っていく、その過程こそがクリエイティブな行為です。
だから、でき上がったものがうまくできたか、下手だったかは、どうでもいいのです。
何もないところから一つの形を作り上げた、その経験と時間こそが宝物です。

この夏の時期に、スタイルブックを買って、道具を買って、糸を買ってとりかかれば、
冬場には十分間に合います。
何を作ろうか楽しく選ぶこと、どの糸がいいか悩むこと、
その糸がどういうふうにでき上がるか想像してみること、
そしてそれを着てどこかへ行ってみること、
誰かと会っておしゃべりしてみること、
この一連の行為が、ニットがつむいだすてきな1つの物語です。
毎日同じ、繰り返しの、何の変哲もない毎日に、
新しい動きを自分から作るために必要なことは、
あなたが、よし作ると自分で決意すること、ただそれだけです。
本当に小さな一歩が、あなたの世界を変えるかもしれません。
やってみる価値は、十分あると思います。






2012年7月16日月曜日

二の腕の見せ方



二の腕が、気になる季節になってきました。
半そでにするか、ノースリーブにするか、悩みどころです。

先日、タレントのYOUさんがラジオで、袖がついている服は着ないと、
その理由は、うっとうしいから、というようなお話をされていましたが、
理由は、それだけではなさそうです。

最初は、半そでの、あの途中でまっすぐ切ったような形がいけないのかなと思いました。
確かに、それも1つあります。
洋服の歴史を見てみると、
半そでが、なかったわけではありませんが、
あったとしても、パフスリーブや、フリルのような袖で、
今のように、ただ横に切っただけの袖、というのはありません。
五分そでにする場合も、必ずカフがついています。
カフのない袖というものが出てきて、
それが普段、着られるようになったのは、ごく最近です。
ですから、Tシャツや、半そでワイシャツの、ただ横に切って、
カフの処理をしていないデザインは、まさに効率化のために出てきた、
イレギュラーなもので、正式で、正当なものではありません。
だから、それは、カジュアルにしか見えないのです。
エレガントには、見えません。

それと同時に、二の腕の形の問題があります。
子供のころ、クラスの女の子の二の腕は、みな同じような太さ、形でした。
20代前半ぐらいまでは、自分の二の腕も、他人の二の腕も、特に気にも留めないでしょう。
しかし、30を過ぎたころから、
二の腕は、それぞれに発展していきます。
筋肉質の腕、ふくよかな腕、きゃしゃなままの腕など、
それぞれの二の腕が、それぞれの発展をしていきます。
そして、だんだんそれは自分らしくなっていき、他人とは、少し違うものになっていくのです。
一律に、誰もが白い半そでTシャツが似合わなくなってくるのは、たぶん、この頃です。

二の腕の形状は、人それぞれなので、
どの袖の形で、どの袖丈が一番おしゃれで、すてきに見えるかなど、
一言では言えません。
それぞれの人に、それぞれの似合う形、袖の長さがあります。

もちろん脚も、人それぞれ違います。
しかし、私たちは、他人の脚を、腕ほどには見てはいません。
なぜなら、コミュニケーションをとるとき、ほとんどの場合、上半身から下は、
目に入らないからです。
逆に言うと、二の腕というのは、案外、人の目がいくポイントなのです。

洋服の形の歴史と、自分の腕の発展が出会うとき、
自分に似合う袖丈が、難しくなってきます。

まずは、自分の二の腕はどんな形か、客観的に観察してみましょう。
そして、その次に、どう見せたいか、考えましょう。
そして、どの袖を選ぶか決めます。

エレガントに見えるのは長袖か、ノースリーブです。
横で切っただけのTシャツや、半そでシャツは、カジュアルです。
これは洋服の歴史から、そういうことになっています。
まず、それを決めます。

そして、もし半そでにしたい場合は、どの位置で切れるのが、
自分の二の腕が最も魅力的に見えるか、研究しましょう。
五分そでで隠したほうがいいのか、2分ぐらいの袖がいいのか。
1つ言えるのは、無造作に、二の腕の最も太いところでただ切っただけの袖は、
エレガントではないし、ふけて見えます。

これは、他人の目を気にして、そうしましょうという話ではありません。
決めるべきは、自分の見せ方です。
自分という素材のプレゼンテーションの仕方を、
自分の意思で決めましょうということです。
それによって、他人がどう受け止めるかは、

こちらがコントロールできる問題ではありません。
コントロールできない問題は、気にしても仕方ありません。

まずは自分がどう見せたいか。
この世はすべて舞台なのですから、
二の腕を通して、自分がどう見られたいか、
自分で演出しましょう。
それは、袖丈1つでできるのです。
自分が監督で、
自分が自分専属のスタイリスト、
どうやったら、自分という主人公が魅力的に見えるか、
自分という素材を研究して、工夫しましょう。
その1つの方法は、すべての袖を切り取ってしまうことかもしれませんし、
長袖をまくって、五分そでにする方法かもしれません。
そうやって少しずつ、奪い返すのです。
デザイナーや、流行や、マーケッティングが、あなたに押し付けてくる、
ステレオタイプの 、こういう年齢の、こういう年代の女性はこうすべきというイメージから、
決定権を取り戻しましょう。
いつだって、自分の人生を演出する権利は、自分にあるのですから。














2012年7月9日月曜日

スカート+パンツはまだ続く



ここ数年、あるスタイルの発祥が日本である、ということがよく言われています。
たとえば、鞄や携帯にじゃらじゃらつけるあのストラップの飾り。
日本の中学生や高校生は、当たり前のように鞄に何かをつけていますが、
あれはどうやら日本だけだったよう。
しかし、最近では、有名なメゾンがご立派な何万円もするバッグ用の飾りを売り出し、
一般的になりました。

そしてもう一つ、日本発ではないかと言われているのが、
スカートの下にパンツをはくスタイル。
これは、よく女子中学生や高校生が冬場、寒いので制服のスカートの下にジャージーのズボンを
はいて家に帰っていた、あのあたりぐらいからではないかと思うのですが、
スカート+スパッツ(80年代のマドンナのスタイルね)はあっても、
スカート+ズボンはなかったように思います。

このスタイルも同様に、最近では、外国のストリートファションでも多く見受けられるようになり、
日本の高校生スタイルでなく、世界的に認められたスタイルにまでなりました。

そんなスカート+パンツのスタイルなのですが、
若い人たちのそういうスタイルはよく見かけますが、
ある年齢以上になると、そんなスタイルをしている方は激減します。
それはたぶん、大人の女性のための、より洗練されたスカート+パンツルックが
提案されてこなかったせいではないかと思います。

しかし、次の2012/13の秋冬シーズンでは、
プラダ、シャネル、ルイ・ヴィトンなど、そうそうたるメゾンが、こぞってこのスタイルを取り上げているのです。
しかもより洗練された、エレガントなスタイルに。
これだけ洗練されれば、もちろん大人の女性でもとりいれることができます。

これらのメゾンが提案したスカート+パンツスタイルの特徴なのですが、
どれもすべて、スカートとパンツが同じ素材です。
ほぼ、すべてです。
スカートとパンツを同素材で作ることによって、このスタイルの洗練度が増しました。
こうすると、エレガントに見えるのです。
プラダでは、柄物を使い、スカートとパンツを全く同じ生地で作って、それを重ね着しています。
この方法を取り入れれば、若い人たちとはまた違った、シックなスカート+パンツスタイルが楽しめます。

ただ、実際のところ、スカートとパンツ、同時期に買って、同素材のものを持っているということは、
なかなかないのではないかと思います。
そうするためには、新たに両方を買うか、自分で作るかになってしまうでしょう。
けれどっも、全く同じ素材は無理だとしても、同色で、似たような質感というのなら、
あるのではないでしょうか。
特に、同じブランドのものでしたら、色の系統は似ているので、黒や紺などでしたら、
可能ではないかと思います。
それでもまだ無理という場合は、手持ちのスカートと全く同じ色のレギンスを探しましょう。
最近は、レギンスのカラーバリエーションがふえているので、
スカートと同じ色のレギンスを探すのは、さほど難しくないと思います。

今回、これらのメゾンが提案しているスタイルの中には、
たとえば、ルイ・ヴィトンの、ロングスカート+パンタロン、
プラダのワンピース+パンツ、
シャネルのドレープスカート+パンツなど、
今までの、ミニ、またはひざ丈スカート+パンツ以上に、
いろいろなスタイルが提案されています。
若い人たちの、ミニ+パンツとは違うバランスで取り入れれば、
大人の女性にも十分可能で、しかもエレガントになると思います。

流行は確かに変わっていきます。
けれども、必ずしも、新しいものを買わなくても、
その新しいスタイルを作るのは、工夫次第で可能です。
そのためには、スカートの丈を少しつめたり、
大きすぎるパットをとったり、
または、袖をそのまま切ってしまったりと、
手を加えることが必要となってきます。
もちろん、お金を出せば何でも買えます。
でも、そうする前に、知恵と工夫で、古いものを新しく生まれ変わらせることも可能なのです。

今の時代、自分で手をかけるより、買ったほうが安いものもたくさんあります。
しかし、その安さに足を取られている間に、
何か大事なものを失います。
もうずいぶん、長い間、
ゆっくり時間と手間をかけてやることより、
何でも早くやることのほうがよいとされてきました。

ゆっくりと時間をかけて、考えながら作り上げていく。
本当の服作りは、きっと、そちらの方法です。
早く作ったものは早く飽きられ、長い時間をかけて作ったものは、長く愛されるのです。




2012年7月2日月曜日

縦ストライプ


ここ何年か、ボーダーは継続的に流行していて、
常に新しいスタイルが提案され続けていましたが、
その一方、縦ストライプは、全くなくなったわけではないにせよ、
以前よりずっと存在感がなくなっていました。
しかし、その縦ストライプですが、今期より復活です。

これには理由があります。
特に2000年以降、服がタイトに、細くなり、
その細さを作るため、
使われるのはストレッチ素材、ストレッチではない場合は、ダーツを多く、または深くとり、
そのシルエットを作ってきました。
そして、服作りがそうなるにつれて、縦ストライプは消えていきました。
なぜかといいますと、
ダーツをたくさんとると、ストライプが崩れてしまうからなんです。
同様に、ストレッチ素材で、脇線だけぐーっと、内側にカーブを入れても、
縦のストライプは途中で切れることになり、
柄がおかしなことになります。
こうして縦ストライプ、特に太いストライプは使われなくなってしまいました。

しかし、ここへきてシルエットの変化です。
必要以上にタイトな服が、流行りではなくなります。
そうすると、縦ストライプの復活です。

縦ストライプのいい点は、
何といっても、縦線の強調。
ここのところ、着やせコーディネイトの特集をよく雑誌で見かけましたが、
あれはどうにも着やせの難しいアイテムばかりとなってしまった結果、
どうしたものかと、みんなが悩んだことから生まれた企画だったのですね。
だって、どう考えたって、ボーダーでは着やせしませんもの。

また、縦ストライプは、上の写真を見てもわかるように、
なぜか「はいから」に見えます。
ボーダーがカジュアルの代表ならば、
それを縦にしたストライプは、その上をいくおしゃれ感があります。
そんな復活した縦ストライプ、ワードローブに取りいれない手はありません。

さて、縦ストライプの着こなしですが、
太いほど、おしゃれ度は高くなります。
(ってことは、食いだおれ人形は相当のしゃれものかもよ)
また、縦線強調の効果も大きいです。
大柄な方は、特に太めのストライプがお勧め。
ゆったりしたリラックスパンツや、たっぷりしたギャザースカート、
そして、ボリューム感のあるワンピースもいいと思います。
ただ今の時点では、まだまだ市場にたくさんは出回っていません。
着やせコーディネートに悩むよりは、こちらを取り入れるほうが手っ取り早いです。

さて、おしゃれで、すっきり見える縦ストライプですが、
欠点があります。
それはとても印象的である、ということ。
ですから、こういう印象的なストライプは、他人の記憶にも残りやすいです。
他人の目が気になるという方は、ボトムだけに取りいれましょう。
そんなの気にしないわという方は、大胆な柄のワンピースなど挑戦してみてください。

最近、ボーダーを着ている人はもてないなどという都市伝説が聞かれますが、
実際はどうなんでしょうか。
もてるか、もてないかはわかりませんが、
ボーダーの作る印象が、ある一定方向に向かっていることは確かです。
それは、とりあえずボーダー着ておけばおしゃれに見えて安心という、その安心感でしょう。
でも、縦ストライプには、その安心感はありません。
そこに見えるのは冒険心です。
チャレンジする姿勢です。
縦ストライプの女性が、もてないはず、ありません!
(今思いだせる、縦ストライプのパンツの素敵だった人はマドンナとカヒミ・カリィさん。)
  
ファッションで冒険してみたところ、死ぬわけではありません。
日本人には、縦ストライプはなじみやすいと思います。
だって、着ものの柄で縦縞は多いでしょう?
あれだって、すごく粋な感じがします。

自分の体を呪ってないで、
おしゃれの冒険で、自分の体型がどうだったかなんて、忘れてしまいましょう。
人が最初にキャッチするのは、その人の体の周囲にある、見えない雰囲気です。
縦ストライプを着て、あ、自分のスタイルは素敵だって心底思えたら、
他人だって、あなたのことをそう見ます。
その逆だったら、そうなります。
他人が見ているのは、あなたの実際の実像の姿だけではないのです。
忘れないでください。
おしゃれは実際の体型やスタイルではないのです。
その印象です。

☆写真は1780年代のフランスのドレス。1989年の「華麗な革命 ロココと新古典の衣裳展」の図録より。これ、見に行ったんです。素敵だったわ。



2012年6月25日月曜日

貫頭衣リバイバル






洋服全体のシルエットが変わって、次の流れはドレープだなと踏んでいた私ですが、
なんとその前に貫頭衣がやってきました。
しかも、急速な勢いで広がっています。

貫頭衣というものは、服飾史で最初に出てくる衣服で、
文字どおり、四角い布の頭の部分だけくりぬき、脇を縫い合わせた、
ごくごく簡単な服です。
それこそ、弥生時代から着られていたような、原始的な衣装のことです。

その服の原型とも言える貫頭衣が、今ブレイクしています。

貫頭衣の布の分量が増え、洗練されたドレープを作るには、
技術と、美意識が必要となりますが、
あたかも歴史を再現するかのように、まずは貫頭衣がリバイバルしています。

この貫頭衣、たしかに最近の外国のコレクションの写真などを見ても、
出て きていないことはないですが、これほどの勢いは日本独特のものではないでしょうか。
(調べようがないので、断言はできませんが)

なぜこんなにも貫頭衣が日本でこれほどまで受けているのでしょう。
答えは簡単です。
私たち日本人は、結局のところ、平面を着用するのが好きだし、安心するからです。

貫頭衣から始まり、大陸から唐風様式が取り入れられ、着ものに発展していった
日本服飾史の流れは、明治維新をきっかけに洋装が取り入れられるまで、
ずっと平面から構成される衣服でした。
現代になり、いくら体格が向上し、変化していったとしても、
それでもやはり私たちの血には、この平面文化が流れているのです。
貫頭衣は、最新のファッションではなく、何万年も古代までさかのぼる、
「なつかしい」ファッションなのです。

流行が変わり、いつも新しいスタイルが提案されますが、
まったく誰も見たことのない、真新しいスタイルの衣服など、存在しません。
いつでもそれは、過去の焼き直し、繰り返しです。
なぜなら、人間の五体は、何万年も変化していないからです。
クリエーションというものは、神のみの行う行為で、
人間がやるのは、いつでもどんなときでも、既に知っているものの再現なのです。

それでも、誰も見たことのない新しいものを作ったなどと、デザイナーがのたまうとき、
たとえば袖が3本ついていたり、奇妙で不必要な人体とはかけ離れた立体物だったりするだけで、とどのつまり、それは服なんかではなく、撮影用の衣装か博物館行きのオブジェです。
生活している人にとって、そんなものに、それ以上の意味はありません。

さて、この貫頭衣、おしゃれに着こなす方法は次のとおりです。

貫頭衣は、うまく使えば体型カバーとなるわけですが、
失敗すると、逆に体型の強調になります。
スタイルのいい人、ボディをちゃんと鍛えている方たちには、
シンプルな無地の、ドレープのでやすい生地で作られたスタイルが最も似合うと思います。
では、そうでない人は?
体型カバー目的で着たい場合、無地は避けましょう。
そして、なるべく視線を惑わす大胆なプリントやブロックチェックなどを選びましょう。
そうすることによって、目くらまし効果で、体型は気にならなくなります。
また、そうした柄物を着る場合、ほかのボトムや上に羽織るものは目立たない無地にすること。
柄に目が釘付けになるように、ほかの部分はあたかも背景のように扱いましょう。
そうすれば、体型に目がいきません。
柄の色も、ヴィヴィッドなコントラストのはっきりしたものが向いています。
地の色と柄の色のはっきりしない、小花柄などは、この場合、向きません。

私たちは立体が不得意なのではなく、平面が得意な存在です。
今こそ、その能力を目覚めさせましょう。
洋服では使わないような柄を使うのです。
そして、そのヒントは、もちろん着ものにあります。
あの組み合わせのセンスが、これから大いに役立ちます。

自分以外のものにあこがれても、決してなれません。
いつもなれないだれかにあこがれた時代は、もう終わりにしましょう。
私たちは、パリジェンヌなんかではありません。

バラはバラに、ユリはユリに、椿は椿に。
私たちは、日本という大地に美しく咲き誇る花になればよいのです。

誰かにならなければならないという呪縛から解かれましょう。
私たちは、悪い魔女に魔法をかけられました。
呪いを解く呪文は簡単です。
「私は私が好き。私は日本が好き」
そう唱えるだけです。
そうすれば、あなたにかかった悪い魔法は解かれます。
眠っていた遺伝子が目を覚まします。
その後は、あなたの感性に従いましょう。
それが、あなたという花が美しく咲く、唯一の方法です。

☆写真は「 月井良子のかんたん、かわいいまっすぐソーイング」 高橋書店。
パターンは限りなく四角く、縫うところも少ないので、ソーイング初心者にはうってつけ。
気にいった生地を見つけたら、自分で作ってみるのもお勧めです。






2012年6月18日月曜日

靴 実践編






今日は実践編です。

長いあいだ、靴と鞄の色は揃えるもの、というのが靴の基本ルールでしたが、
洋服のカジュアル化に伴い、そのルールも崩れてきました。
けれども、きちんとした印象を与えたいときは、靴の色と鞄の色をそろえるというルールは、
今でも通用します。
ですから、改まった席では靴と鞄の色をそろえる、というのはよいと思います。

ただ、靴や鞄のデザインのバラエティがふえたこと、
また、洋服全体のカジュアルな流れの中では、
おしゃれに見せたいときに靴と鞄の色をあわせるということは、必ずしも必要ではありません。

逆に、靴の色使いがよいと、おしゃれな感じがぐっと増します。
これはたとえば、カラフルなサンダルが主流となる夏などではあまり感じないのですが、
真冬の、ほとんどの人が黒いブーツをはいているとき、
紫のスエードのロングブーツをはき、その紫がマフラーと同じ色だったりすると、
私など、おぬし、なかなかやるな、と感じます。
そして、おしゃれに見える人ほど、ほかの人があまりはいていないような靴をはいているのも事実です。
特に、デザイン性のあまりない、シンプルなスタイルのとき、靴だけは凝ったものをはいているというのはよい方法だと思います。

それで、その方法ですが、要は簡単で、靴に使った色を全体のスタイルのどこかほかの部分とそろえる、または靴のみポイントカラーとして投入する、これだけです。
これは、ワードローブを構築する際に、しっかりと自分の色を決めてさえいれば、難なくできます。
問題は、その決めた色と同じ色の靴が売っているかどうか、ということだけです。

さて、洋服と同様、靴にも流行があります。
靴は服を着たときの全体のシルエットの要にもなるので、
洋服のシルエットが変わると、それに引きずられて変わってしまうのです。
一番変わってしまうのはヒールの高さ、太さ、形です。
トウの形も丸かったり、四角かったり、とがったりしますが、ヒールほどではないでしょう。
前にも書きましたが、今は洋服のシルエットが変わる時期なので、靴の形も変わっていく時期です。
しかし、その変化は、洋服ほどには早くありません。
例えば今期だと、シャネルのParis-Bonbay11/12コレクションでは、ドレープにフラットブーツやフラットなサンダルをあわせています。
これはあくまで流行の最先端ですから、それが下ってくるのには少し時間がかかるでしょう。
ずっと流行っていたスーパーハイヒールは、少し影をひそめるのではないかと思います。
(なくなりはしないと思いますが)

そんな中、長くはける靴はないのかというと、そんなこともありません。
靴においても、やはりトラッドは余りスタイルが変わらないので、長くはけると考えていいと思います。
また有名なブランドの、いわゆる名品と言われる靴は、大事にはけば10年は使えるでしょう。
例を挙げるとすると、
サルトルの乗馬ブーツ
ブッテロのウエスタンブーツ
フェラガモのヴァラ
ダンスコのサボ
レペットのバレエシューズ
マノロ・ブラニクの黒いパンプス。
(ちなみに黒いパンプスは、15年ぐらい前だったら、ブルーノ・マリでしたね。)
ほかにもいろいろあると思います。
これらのブランドの靴は、値段もそれ相応にしますが、やはり名品ですので、流行を超えています。また、大事にはけば、中には10年はもつものもあります。

最後に、靴を語る上で最も重要な点。それは、はきやすさです。
このところ、ずっとヒールが高くないと全体のバランスがとれないファッションが続いたので、
80年代、90年代の、ぺったんこ靴が流行った時代を謳歌した人たちは苦労したか、もしくは、あきらめてずっと同じフラットな靴をはき続けたか、どちらかだったと思います。
私も、歩きやすさをうたっている国産メーカーの靴を何度か試しましたが、
どれも1日の外出に耐えられるほどのものではなく、なかなかこれといったものが見つけられませんでした。
靴は売り場ではいただけでは決して本当のはき心地がわからないので、困ったものです。

また、いろいろはいてみてわかったですが、
必ずしもヒールが低ければ歩きやすいわけではなく、
高くても重心がしっかり乗れば、問題なく歩けるということです。
ここら辺、皆さん、それぞれ足の形も違うと思うので、地道に自分に合う靴を探してみてください。

女性が洋服を着るということは、
ヒールの高い靴をはくことを暗に要求してきたり、
見た目だけで歩きにくい靴をはくことが素敵とされたり、
何とまあ、苦労の多いことです。
それに比べて、男性の靴のシンプルなこと。
すべての男性に1日女装して、新宿や原宿でお買いものにでも出かけてみてほしいくらい。
1日で音を上げるに決まっていますから。

それでも、洋装を選んでしまった私たちは、自由に歩ける靴を探し続けなければいけません。
ぴったりの靴をはけば、運命の輪が回り出します。
シンデレラの物語は、そのことをあらわしています。

あきらめずに自分にぴったりの靴を探しましょう。
自分にふさわしくない靴は拒否しましょう。
いつものスニーカーでどこまでも行けるのなら、それでいいのです。
自分がどんな靴をはけば遠くまで行けるのか、それを知っているのも、また自分です。
ヘルメスのように翼をもつ靴を見つけたら、それはどんなことでも可能だということ。
あきらめないで探しましょう、自分だけの翼のはえた靴を。

☆写真は、去年の冬、私がはいていた靴3足。ほとんどこれだけで過ごしました。
これにあと、ちゃんとした黒いパンプスがあれば十分です。

で、これは私の場合なのですが、「8センチヒールでも1日外出しても大丈夫な靴」として去年たどり着いた答えがカンペールでした。(写真、真ん中のブーツ)
このブーツ、ヒールが8センチありますが、1日、江ノ島、鎌倉を回っても大丈夫でした。
すべての人の足に合うかどうかはわかりませんが、体重の重心がかかる位置とヒールの位置がぴったり合っているので、立っているときにぐらつきがなく、安定感があり、長時間歩いても疲れにくいです。
デザインも最近では、ヴェロニク・ブランキーノやシビラなどもデザインチームに参加していて、思ったよりバラエティがあります。
ただ、難点は中国製なこと。(なぜこの値段で中国製なんでしょう?そこは納得できない)
本当は日本人デザイナーのブランドで歩ける靴があればよいのですが・・・。

ちなみに、右のロートルショーズのブーツもヒールは8センチほどで、前がプラットホームなので、傾斜や緩いのですが、1日は無理でした。本当に難しいです。