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2023年7月25日火曜日

新しい服を買わない時期を作ろう

インフレと円安で、服、靴、バッグの価格が上がってきました。
一方、日本人の可処分所得はこの30年間、減少しています。
モノやサービスの価格は上がっている。
昔と同じように働いているにもかかわらず、買えるものは減っている。
これを補うように、多くの人が1枚当たりの価格を下げて、買う量を維持してきました。

※ 参考資料 サステナブルファッション 環境省

しかしクオリティが低く、手軽に買える安い服は、大切に長く着る服にはなり得ません。
おのずとそれは買ってから短期間のうちに廃棄されます。
手放す、片づけるという言葉が流行り、それを実行した人も多かったでしょう。

しかしこのサイクルはもう既に限界です。
廃棄する場所も、もうありません。
それは環境に負荷をかけるばかりです。
同様に、新しい服をしまう場所もほとんど残っていないでしょう。
特に都会に住む方々は、服、靴、バッグのために家賃やローンを払い続けることになります。

そんなときは思い切って、
「新しいものを買わない月間」チャレンジをしてみたらいかがでしょうか。
別に誰かに向かって宣言する必要はありません。
自分でそう決めればいいだけです。

例えば日本の夏。
35度を超える猛暑日も多く、そうなると、おしゃれがどうとか言ってはいられません。
周囲の人も暑さをしのぐのに精いっぱいで、他人のことなどほとんど気にしていません。
(この傾向は、年を取れば取るほど強まります)

夏物はそうでなくてもバリエーションが少ないのです。
特に暑い地域での夏服はその傾向にあります。
暑くなればなるほど、洋服は不利な衣服です。

洋服の世界は、夏以外の季節のほうがおしゃれのしがいがあるようにできています。
コート、ジャケット、ブラウス、シャツ、セーターと重ねて着ることでおしゃれを作っていく洋服は、それができない夏には向いてはいないのです。

ではこの夏は、ある程度のものが揃っているならば、
もう新しいものは買わないと決めて過ごすのはどうでしょうか。
8月いっぱいまでと決めてもいいし、
猛暑日がなくなるまで、と決めてもいいでしょう。

それでも、もし何か新たに必要なものが出てきたならば、
リサイクルする、
リメイクする、
修理に出す、
誰かから借りる、
誰かと交換する、
それでもない場合は、新しいものではなくてセカンドハンドを買うという手段があります。

セカンドハンドを扱う店舗は全国に広がっています。
ロードサイドだけではなく、駅ビルにさえ古着を扱う店があるでしょう。
もちろんネットを通しても今では簡単に手に入れることができるので、
ほとんどの人が買える状況にあります。

新しい服を買わないことで得られることがあります。
買わなくていいという安堵感、
探さなくてもいいという解放感、
サーキュラーファッションを実行しているという自負、
お金が減ることを心配しなくていい安心感など、
実際にやってみればわかりますが、想像以上のメリットがあります。

もし他人が気になる場合は、実際に他人があなたに対してどのような態度をとったのか、
チャレンジをやり終わってみてから検証してみてください。
たぶん、あなたが思うよりも、他人はあなたのことを気にしてはいないでしょう。
この暑さですから、他人を気にする余裕がある人はほとんどいません。

またここで「新しいものを着ていないからおしゃれではない」と感じたなら、
新しいものを使わないおしゃれについて考えてみるといいでしょう。
それは工夫が必要ですが、できないわけではありません。
また新しい服ではなくても、髪型やメイク、ネイルに凝ってみたり、
いつもは使わないジュエリーを身に着けてみたりと、
新しい服なしでもできることはたくさんあります。

自分の過去10年を振り返ってみてください。
幾らを被服費に使ったでしょうか?
何枚買って、どれぐらいを手放して、どれぐらいが残っているでしょうか?
要らないのにお勧めされて買ってしまったものはありませんか?
本当に好きだったものは何でしたか?
これらを検証してみて、自分にとってのちょうどいいバランスを見つけましょう。
それはあなたの過去が現在のあなたに教えてくれます。

これからの時代、ファッションにおいて誇れるようになるのは、
ワードローブには、長く着続けているものがどれだけあるか、
そしてどれだけセカンドハンドを取り入れているか、です。

自分の精神の安定のためにも、
そしてこれ以上、環境破壊に加担しないためにも、
新しい服を買わない時期を作って、
いつも新しい服を買わないでもおしゃれでいられる
バージョンアップした自分を作り上げていきましょう。



 


2023年7月13日木曜日

猛暑対策いろいろ

年々、暑さが激しくなってきています。
よって、猛暑対策のアップデートが必要です。
しかし暑くなる夏を追いかけるように、
猛暑時に適した冷感、放湿、速乾機能を持つ機能性素材の服や下着もふえ、
以前よりも、選択肢は広がりました。
それらを試してみた方も多いでしょう。

暑さに対しては、
その人の暑さへの耐性、
住んでいる地域、
住んでいる環境、働いている環境、
年齢や体質等により感じ方は違います。
ですから、一概に誰にとってもこれがいいというものはないと考えたほうがいいでしょう。

ただ言えるのは、西洋の衣服、つまり洋服というものは、
35度以上の暑い日には対応しているとは言い難い衣服である、ということです。
ある程度以上、気温が高くなったときには同じように気温の高い、
アジア、アフリカ、インド等の衣服を参考にしたほうがいいと考えます。

暑さとは体感なので、絶対にそうだとは言えませんけれども、
私の体感では、35度を超えるような日は、シルクやリネン、ヘンプなど、天然素材のほうが適しているようです。
また、30度前後でしたら、コットンやウールも、機能性がある化学繊維よりもいいのではないか、と感じます。
また、暑い国の人々の暮らしを見ればわかるように、
日差しが強い日は日よけにもなる帽子、日傘、サングラス、そして長袖といった、
日光をよけるスタイルのほうが暑さによる疲れも防げるように感じます。
下半身は上半身ほど暑くは感じないので、
少なくともインナーも含めたトップスはシルク、リネン、ヘンプ、またはそれがないのならコットンをうまく重ねて、外出時は日光をよけるのがいいでしょう。
シルクやウールは抗菌作用もあり、バクテリアの発生を防ぐため、汗臭さを防止します。

言うまでもありませんが、
最も暑いのは、何の機能性もないポリエステル、ナイロン、アクリルです。
どんなに透けていても、サテンのようにさらっとしていても、
何の機能性もないポリエステルを真夏に着ていて、暑くないということはないでしょう。
レーヨンやリヨセル、キュプラは天然素材由来のパルプが原材料なので、石油由来の素材のように暑くはなりません。

前述したとおり、
暑さをどのように、どれぐらい感じるかは人それぞれです。
他人がどう感じるかはお互いにわかりません。
自分ができるのは、そして自分しかできないのは自分の体感する暑さのコントロールです。

これからより一層猛暑が進めば、ファンが内臓された空調服が必須の職場も出てきたり、
その他、「着るクーラー」のような家電も必要になってくるかもしれません。

暑さに対する自己防衛をしつつ、
地球温暖化対策として、これ以上、アパレル商品の大量消費をしないためにも、
1枚を長く着る、リメイクする、リサイクルする、シェアする、借りるなど、
サーキュラーファッションにつながるよう行動する必要があります。

気候も環境も変わりました。
売られている服の素材も変わりました。
以前と同じ行動では、通用しません。
私たちも、行動を変える必要があるのです。



2023年7月3日月曜日

私が考えるメンズのワードローブ (メンズのワードローブ構築例)

さて、少人数ではありますが、私のクライアントさんの中にはメンズの方がいらっしゃいます。
しかも20代と30代の皆様です。(みんな、ありがとう!)
そんなわけなので、メンズのコレクションを見たり、ワードローブ構築についてもしばし考えたりします。

そこで今日は「もし私が男物でワードローブを作るなら、どんなふうにワードローブを作るか」
考えてみました。
以下のように考えます。

ワードローブの骨格
アウトドアウエア
スポーツウエア
トラッド
この3本柱

色はネイビー系、白、グレー、黒系、ベージュ、ブラウン系の中から2系統選択

仕事で特にスーツが必要なく、通勤はカジュアルなスタイルでもOKなら、
アウトドアウエアとスポーツウエア+トラッドで組み立てます。
アウトドア、スポーツウエア、そしてトラッドを選ぶ理由は何か。
もちろん好きなテイストであるということもありますが、もうひとつ
これらはデザイン、シルエット、色のどれをとってもトレンドに影響されにくく、
長く着られるものが多いからです。
例えば、ゴアテックスのレインジャケットは、少々値は張りますが、デザインを選べば、街着としても、もちろんアウトドアでも、そして災害対策にもなり、かつデザイン的にも、物質的にも長く着られます。

トラッドの基本アイテムは、もともと軍服や制服だったものがほとんどです。
トレンチコート、ブレザー、Pコート、サファリジャケット、チノパンツにカーゴパンツ、どれも軍服オリジナル。
これらはデザインも変わりませんし、いつの時代にも通用します。
そして、カントリーサイドに住むイングリッシュジェントルマンを真似るなら、
セーターの肘が抜けたらパッチを当てる、または繕うなど、
少々へたれても、ほころびても、それでも堂々と着ていられるのがトラッド。
そして高級なレストランでも、銀行や商工会議所でも、ブレザーを着ればどこでも許される、それがトラッドの威力です。

たくさんのアイテムを持たないで過ごすためにはなるだけ汎用性のあるアイテムを集めることが重要です。
毎日のコーディネートやメンテナスに労力をかけたくありませんから。
都会と郊外、あるいは田舎、徒歩と電車、あるいは車での移動、
春夏秋冬、台風と雪、キャンプ場からしゃれたイタリアンレストランまで、
どこにでも行きたい場合、アウトドア、スポーツウエア+トラッドならそれも可能となります。

ミニマムで、かつ誰の目にもきれいに映るルックを作りたいので、
全体のルックの色は2色、あるいは3色、
もしくは、黒、グレー、白のように1系統でグラデーションを作ります。
都会に住んでいるのだったら、黒、グレー、白でいきますが、
カントリーサイドや海の近くに住むと全身黒のルックが浮いてしまうので、
海の近くに住むのが好きな私は、
ネイビー系統とオフホワイト、ベージュ、ブラウンの2系統で統一。
ほかの色はアクセントとしてオレンジをほんの少しプラス。
彩度の高いヴィヴィッドな色を少しだけプラスすることで、
生き生きとした若々しい感じを視覚的に作り出します。
選ぶ香りもオレンジ系の、例えばアクアディパルマのブルーメディテラネオのシリーズを。
視覚と香りでオレンジ強化です。

選ぶブランドは、
例えばアウトドアウエアなら、ノースフェイスがスタイリッシュで格好いいですが、
かなり流行っているので、誰かとかぶる率も高い。
だからエーグルか、あるいはバブアーを選択。
トラッドはバーバリーが好きですけれども、現在、とても高額なので、
セカンドハンドや中古で集めます。
ハットや手袋、マフラーも抜かりなく。
ネイビー系統のタータンチェックか、オレンジのカシミヤのマフラーを買います。

シャツ、パンツ(チノパンツ、カーゴパンツ、ウールフラノのパンツ)、セーターを基本に、Tシャツ少々と、ジャケット、コート(レインジャケット、ステンカラーのコート、ウールのコート)があれば1年過ごせるでしょう。

靴にはお金をかけて、手入れすれば長くはけるものを。
バッグは機能性を重視して。ノートパソコンを持って歩くし。
お休みの日はトートバッグで。
余裕があるなら、長く使えそうなハイブランドのものを一つ買って。

私が男で、今の日本を生きているなら、こんな感じでいくでしょう。

今の時代、着るもので知性を感じさせたいのなら、
否、知的であり続けたいならば、
いいものを長く着る、
環境に配慮したものを選択する、
古着やセカンドハンドを取り入れる、
この3つを外すことはできません。
知性がないと、このことは全く理解できない。
そして理解だけでは足りません。
行動を伴ってこその知性です。

おしゃれよりも、きれいであること。
私がメンズだったら、その点に最も気を付けるでしょう。

これは私の好みなので、誰にでもお勧めです、というわけではありません。
だって、住んでいるところも仕事も、
好きなことも、嫌いなことも、
人生の目的も全部違うでしょう?
だからこれは私なら、こうします、という話です。

それでもなお、得るろこがあるのなら、どうぞご利用ください。
喜んで差し上げます!