本当のおしゃれな人が何を自慢するか知っていますか?
最新のものでしょうか?
違います。
ものすごく高価なものでしょうか?
それも違います。
たくさん持っているということでしょうか?
同じく違います。
本当におしゃれな人が自慢するのは、
どれだけ長くそれを着ているか、あるいは持ち続けているか、ということです。
なぜ長く着ている、あるいは持ち続けていることが自慢になるのでしょうか?
理由は2つあります。
まず1つは、それをとても大事に扱ってきたということ。
丁寧な洗濯とメンテナンスで汚れないように、
傷まないように長い間、着続けてきたということは、
ものを大切にするという精神のあらわれであり、
それだけでも自慢できることです。
20年、30年と1枚の服をメンテナンスして着続けることは、
なかなかできることではありません。
そしてもう一つは、
実はこれが最も重要なポイントなのですが、
その人がそれを買った当時から、目利きであったということです。
それは2つの意味で目が利いています。
一つは、自分がずっと好きでいられるものを見つけて手に入れたということ、
そしてもう一つは、
それが何年たってもすたれないクオリティとデザインであったと見抜いた、
ということです。
どんなに新しいものを買っても、
自分がずっと好きでいられないものであっては将来的に手放すことになるでしょう。
また、同様にどんなに高価なものを買っても、
2年もすれば、すたれたデザインになり、見るからに時代遅れになるものなら、
長く着続けることはできません。
本当におしゃれな人たちは、
自分の好みをよく知っています。
つまり、体型の癖や自分の趣味嗜好といった自分自身の特性をよく理解しています。
またそれだけではなく、よいものを見たり、さわったりする訓練を通して、
例えばヴィクトリア&アルバート美術館に飾ってある、
ディオールのニュールックのように、
50年以上たってもいまだに人々の心をとらえるデザインとはどんなものか、
深く理解し、美術館に飾られる前にそれを見抜く能力を持っています。
あたらしいものをたくさん買うことも、
高価なものを手に入れることも、
財力があれば簡単に解決できますが、
自分を知り、将来にわたって生き残るデザインを見抜く力は、
他人から借りることはできこそすれ、
財力があっても得ることはできませんし、
持っている人から奪うこともできません。
本当におしゃれな人が自慢するのは、
そのお金で買えない力なのです。
新しいものを買うときは、
それがどれぐらい長く着られるか、
モノとして、またデザインとして、
どれだけ長く持ち続けられるか考えてみるといいでしょう。
10年、20年、30年たってもデザイン的に優れているもの、
へたれないで着られるもの、
そんなものを集めましょう。
そうしてそれが集まった暁には、ちょっとだけ自慢しましょう。
「もう20年も着ているんだ!」という自慢話を聞いて嫌味を言うのは、
よほどの偏屈ぐらいなものです。
ほとんどの人は、あなたが10年、20年、30年と
素晴らしいクオリティとデザインを兼ね備えた服を持ち続けていると聞いて、
感嘆の声をあげるでしょう。