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2024年1月12日金曜日

自分が何が好きかを見極めて

20世紀より明らかに、ファッション誌や女性誌もふえました。
また、インターネットの海原には、
インスタグラム、ピンタレスト、YouTubeその他、
膨大な参考ヴィジュアルがあり、
ディバイスとネット環境があれば、誰でもそれにアクセスできるようになりました。
同時に、インターネットの整備のおかげで、
ごく小さなブランドでも通販を通して人々の手に商品を届けることができるようになり、
以前よりもずっとブランドの数もふえました。

しかし、例えば新宿のような都会で、忙しく歩く人のスタイルを観察してみると、
どういうわけだか似たような格好の人が、20世紀より多いように感じます。
情報と物量の多さに反比例して、スタイルのバラエティが減りました。

さて、いつでも誰かと同じ格好を好む人は、それはそれでいいでしょう。
また、おしゃれに興味がなく、寒さ暑さを防ぐために衣類を着るという人も、
それはそれで構いません。
おしゃれなどしなくとも、私たちは生きていけます。

しかしそうではなく、なんとかして自分もおしゃれをして街を歩きたい、
と考えていて、なおかつ、
たくさん情報は摂取しているのに、
どうしたら自分の望むおしゃれができるかわからないと感じている人に、
一つ提案があります。

私がファッションレッスンをするときに、参加者の方に画像の切り抜きを作ってもらいます。
これはボード、あるいはマップと呼ばれるもので、
自分がなりたいスタイルの方向性を知るために作ります。

ここで注意点があります。
それは、自分とはあまりにかけ離れた画像は集めないように、ということです。
理由は、そのような画像を集めても、その理想に近づくことはないからです。

例えば、集めた画像のすべてがパリに住み、パリの街を歩く人たちだとします。
そればかりではなく、その画像にシャルロットやレアのような有名なモデルや役者も含まれています。
それを日本の片田舎に住むアジア人の私たちが集めたとしても、同じようにはならないのです。
まず第一に、風景(シーン)が違います。
来月からパリに引っ越すのでもない限り、同じ風景の中、自分が生活していることはありません。
また仮に本当にパリに引っ越すとしても、
背格好や目の色、髪の色、仕事や経済状況など、すべて違います。
よって、必要な衣服も、着ることができる衣服も決して同じにはならないのです。

実現できない夢を掲げると、やる気がなくなります。
ひどい場合は、他人に偽りの自分を見せ続け、その結果、消息不明になったりします。

そうはいっても、雑誌やインスタを見ていたのでは、そのような画像ばかりに目がいくでしょう。
ですから、ここでは雑誌やインスタを見るのはやめます。

かわりにやってほしいのは、
自分がおしゃれをしていきたいと思っている場所、あるいは街に行って、
そこを行きかう人々を眺めることです。
もちろんただ眺めるのではなく、自分がどんな人が素敵だと思うか、
そして、どんな格好を素敵だと思わないか、
それを見極めることです。

さすがに、街で他人の写真を撮ってはいけませんから、
メモをとりましょう。
通りに面したカフェの窓際にでも座って、
自分がいいなと思った人が通ったら、その人の何がいいと思ったのか、メモをとります。
また反対に、あの格好はよくないなと思ったら、それも書き取ります。

慣れないうちは、素敵な人が通っても、それのどこがいいのか自分でもわからないかもしれません。
その場合は、とりあえず着ていた服、はいていた靴、持っていたバッグがどんなものだったのか、書き取りましょう。
色や素材、シルエットなど、わかる範囲で構いません。
また服装だけではなく、その人のヘアスタイルやメイク、あるいは姿勢が素敵だと思うのなら、その点について、何がいいと思ったのか、書いておきましょう。

何回かそれを繰り返すうちに、
自分がどういうスタイルをしたいのか、そしてどういうスタイルは嫌なのか、
わかるようになります。
またそのスタイルは、自分がおしゃれをしたいと思っている場所で見たものですから、
全く実現不可能というものではないでしょう。
もちろん、全身ラグジュアリーブランドの人ばかりが目に付くという人もいるかもしれませんが、
今の日本でそのような人はめったにいないので、心配する必要はありません。

雑誌やスタイリスト、あるいはインスタグラマーやYouTuberがどう言ったかは、この際、どうでもいいのです。
彼らはあなたの周囲にはいないでしょうから、関係ありません。
あなたがおしゃれをしたい街や場所で、もう既にそれを実現している人、
その人こそが、自分がなりたいおしゃれの方向性を示してくれる人です。

やってみるとわかると思いますが、
自分は案外、自分がどうしたいのか、
何が好きなのか、わかっていないものです。
そしてそのためには何が必要なのかも理解しているわけではないでしょう。
今の自分のスタイルが納得いかないのなら、それが証拠です。

実現不可能な夢を夢見ているだけの自分は終わりにしましょう。
実現可能な目標に、着実に近づいていく自分になりましょう。

自分でやって、できるようになれば自己肯定感も高まります。
決してなれない存在へと志向させるよう仕向ける媒体はさめた目で見てください。

実現不可能な夢とか、
言っただけで守る気がない約束とか、
消費へ向かわせる脅しとか、
そんなものとは決別すると、今年は誓いましょう。

 

★zoomを使ってのファッションレッスンを始めました!
20代から60代の男女に受けていただいています。
・たくさん持っているのに着るものがない、おしゃれに見えないと感じる方
・被服費を節約したい方
・簡単におしゃれに見える方法を知りたい方
・服の枚数を減らしたい方
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こんな方々に最適です。

 これまでファッションレッスンを受けた方々の感想としては、
・毎日のスタイリングが楽になった。
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などです。

 詳細はこちらにあります。

2024年1月6日土曜日

脅しに屈するべからず、またはそんなことはできなくて当たり前

何の気なしにYouTubeやInstagramを見ていると、
多くの「お勧め動画」や「お勧め投稿」が出てきます。
そのほとんどはスルーするのですが、ほんのちょっとの好奇心で見てしまうと、
そこには地獄が待っています。

世界中にパーソナルスタイリストその他を名乗る多くの人たちが、
「ダメ出し」動画や投稿を作っています。
中身をのぞいてみると、
「グレーとベージュを合わせてはだめ」
「50代以上はペイズリーは着てはだめ。かわりにボーダーを」
「バッグを持つときは、身体の内側から腕を入れてはだめ。外側から入れなくてはいけない」
など、どうやって導き出したのかわからない謎のルールが勢ぞろい。
疑問に思ったときは、彼女たちのプロフィールを見るのですが、
どこで勉強したか、どの学校を出たかも、
どこで仕事をしていたのか、どの会社に所属していたか等の経歴は一切ありません。

確かに彼女たちの言い分には正しいものもあります。
色の組み合わせは「補色同士がベスト」など、セオリーどうりです。
しかしたとえそれがセオリーどおりだとしても、
紙の上の絵具ではない、布を染めた色で、そのセオリーどうりの色出しを、
様々なブランドで買った時期も違うものからなるワードローブでは、
作り出すことはできません。

面白いことに声高に他人に「ダメ出し」をしているのは、洋服を作る側の人たちではないということ。
私は作るための学校へ行き、作る側で働いていたのでよく知っていますが、
作る側の人たちは、こういうことは言わないのです。
なぜなら、セオリーどうりの色出しなど、生地屋からもう既に染めてある中から選んで製品を作るブランドにさえ、できるわけではないと重々承知しているから。
布は紙ではありません。
絵具で自由に色を使って絵をかくように、色を染めることは不可能です。

また多くの人が知っているように、流行色というものがあります。
それに沿って、生地屋は色を染めます。
そのため色には、70年代っぽい色、90年代っぽい色など生まれます。
すべてのいつでもどこでも世界堂の絵具売り場のウィンザー&ニュートンの絵具のように、
すべての色が常時揃っているわけではありません。
それに、これはコレクションを見ればわかることですが、
「赤に対して緑」のような補色を使って必ずルックを作るところなど、むしろ少数派でしょう。
プラダもセリーヌもサンローランも「赤に対して緑」の補色ルックは提案しません。

セオリーどうりの色出し、またカラーコーディネートができると思い込んでいる人たちは、
作る現場にいたことがないからこそ、こんな理想論で誰かに「ダメ出し」するのでしょう。

これらセオリーは確かにそのとおりですが、完璧にはできないのが現実です。
それができていないからといって、「ダメ出し」するほうがおかしいのです。

また中には、エトロ社やRATTI社を敵に回すような、
「50代以上はペイズリーを着てはだめ」などという、
謎の理論を振りかざすものもいます。
ほんとうにそう考えているのなら、エトロ社に行って、
50代には売らないように訴えてもらいたい。
エトロもRATTIも、大人のためのすばらしいペイズリーのプリントを作っています。
また、バッグの持ち方にいいも悪いもありません。

その人たちはなぜ「ダメ出し」をするのでしょうか。
その人たちの正体を見てください。
「ダメ出し」をしておいて、最終的には自分のサービスに誘導してはいませんか。
その「ダメ出し」の目的は、そこにあるのではないでしょうか。

疑ったら、まず経歴を見てみること。
きちんとした学校を出ていなかったり、アパレル業界で働いた経歴がないようなら、
その人は信用するに値しません。
なぜなら、専門的な教育を受けたり、実際の現場にいたことがないと、
正確な知識を身に着けることは不可能だからです。

誰かに「ダメ出し」をして、再生回数を稼いだり、アクセスをふやしたりしようとする人が一定数います。
浅はかでいい加減で浅い知識でこちらを脅してきます。
そして、そのいい加減な知識でこちらのいい気分を台無しにしていきます。
そんな脅しに屈する必要はありません。
「ダメ出し」を受け入れれば受け入れるほど、
私たちは「大量消費、大量廃棄」せざるを得なくなります。

聞くべきなのは、
教育を受けた経験やアパレルのモノづくりの働いた経歴がある人たち、
あるいは洋服作りを知り尽くしている作る側の人たちの言葉です。
その点を間違わないようにね。


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20代から60代の男女に受けていただいています。
・たくさん持っているのに着るものがない、おしゃれに見えないと感じる方
・被服費を節約したい方
・簡単におしゃれに見える方法を知りたい方
・服の枚数を減らしたい方
・過去の自分に決別したい方
こんな方々に最適です。

 これまでファッションレッスンを受けた方々の感想としては、
・毎日のスタイリングが楽になった。
・被服費が減った。
・いろいろ値上がりしている中、本当に助かっている。
・おしゃれな人認定された。
・もっと早く知っておけば被服費が節約できたのにと後悔。
などです。

 詳細はこちらにあります。