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2024年7月22日月曜日

おしゃれになるために必要な力、修正力

「自分の目、他人の目」の投稿で、
「役者の視点を持てるようになろう」と書きました。
自分を高い視点から客観的に見る能力です。
メタ認知と似ていますが、役者の場合、自分だけではなく、
客席についても認識する必要があります。

自分の演技と観客の反応、これを同時に認識できるようになったら、
次に必要なのは修正です。
演技ならいい演技のために修正する、
演奏ならいい演奏のため、
作品なら、いい作品を作るための修正です。

そこで必要なのは修正する力になります。

それぞれの分野でそれぞれ必要な修正力が必要になりますが、
その力をつけるために共通して必要なのは、
「いい」とされる基準を知ることです。
いい演技なら「いい演技」とされるものを見る、
いい演奏なら「いい演奏」とされるものを聞く、
いい作品なら「いい作品」とされるものを見たり、読んだり、聞いたりする、です。

では、おしゃれやファッションの場合はどうでしょうか。
これもまた同じです。
いいものを見る、いいものをさわる、いいものを着る、
いいものとは、いいデザイン、いいパターン、いい素材、いい縫製です。
この要素を持っているものに繰り返し接して、五感に記憶することで修正する力がついていきます。

ただし、おしゃれやファッションに関してはもう一つ付け加えなければならないものがあります。
それがトレンドです。
トレンドは若く、都会生活者であるほど影響を受けます。
影響を受けるということは、トレンド感があるほうが素敵に見える、ということです。
年をとればとるほど、田舎に近づけば近づくほど、
トレンドは遠ざかりますので、それほど必要ありません。
自分をどこに設定するのかは、その人の状況と環境によります。

さて、ではまだまだ若く、あるいは都会生活者である場合、
どのようにしてトレンドを知ればいいでしょうか。
それが「定点観測」です。

ファッションやおしゃれにおける定点観測は、
決めたブランド、あるいは店舗を観察し続け、
どのように変化していくか、流れ(トレンド)を把握することを意味します。
ひとつのものをいつも見続けることによって、
おのずと変化がわかるようになります。
その変化とは、シルエットと色、そしてスタイリングの変化です。
今だったら、インスタグラムやYouTubeを利用すれば簡単です。
好きなブランドがあったら、コレクションをチェックする、
インスタをフォローするなどすればいいでしょう。

(※注 インフルエンサーやスタイリストは除外します。
トレンドの発信元である作り手が基本です)

ファッションとおしゃれのための修正力は、
いいものにふれること、そして定点観測によってトレンドを把握することによって
可能となります。

役者の視点と修正力、
この二つがあれば、他人に頼らずとも、自分でよい方向に修正することができます。
そしてこのことはつまり、おしゃれの力がつく、
畢竟、おしゃれに見えるようになる、ということです。

この二つが身についていなかったら、
いくら自分の持っている服を次々捨てたところで
おしゃれに見えるようにはなりません。

洋服を着る、それは毎日のルーチンです。
だからこそ、自分でできるようになる必要があります。

必要なのは自分の実力をつけ、判断できるようになることです。
嘘つきがたくさんいるファッションの世界でだまされないためにも、
それは必要なことなのです。





2024年7月18日木曜日

自分を喜ばすためにおしゃれしよう

何のためにおしゃれをするのかは、
人それぞれだと思います。
中には自分以外の誰かを喜ばせるためという方もいるでしょう。
自分以外の誰かを喜ばせることが、
その人にとっての喜びなのかもしれません。

しかし、いずれそれは不毛な試みであると気づくでしょう。
自分以外の誰かすべてが喜ぶおしゃれなど、この世には存在しないのです。

どんなにおしゃれをしたところで、その姿をを見たことにより促される感情は、
それぞれ違うのです。
おしゃれであるがゆえに、気分を害する人もいるかもしれません。
おしゃれをすることが必ずしも他人を喜ばせたり、気に入られたりする要因ではないということは、各種校則や、ファッションポリスの謎規制を見ればわかるでしょう。

他人の感情を完全にコントロールすることは不可能です。
そのため、その試みはいずれかの時点で失敗する運命でしかないのです。

であるならばこそ、
自分を喜ばせるためにおしゃれをしてはどうでしょうか。
自分がいいと思うもの、好きだと感じること、着ると喜びが溢れる、
そんなものを身に着ける。
他人がどう思うか気になるのなら、
自分の家の中だけでそれを楽しむ。
それで自分が喜ぶのなら、それでいいのではないでしょうか。

他人の評価を求めたり、
褒めてもらおうとしたりして努力しても、
がっかりすることになるでしょう。
自分以外の他人がすべて同じ意見、同じ感想を持つことはありません。

他人の気分ではなく、自分の気分をよくするために
おしゃれを使うほうがよほど意味のあることだと思うのです。
なぜなら自分の気分をよくすることは、自分の幸せにつながることだから。
人生の究極の目的は幸せでいることでしょう?

自分を喜ばすために必要なのは、
自分がどうしたら気分がよくなるか、
自分が何が好きで、何を着たら喜ぶのか、
それを知ることです。

もしかしてそれは他人から見たら、ちっともおしゃれではないかもしれません。
けれども、他人はあなたの感情にも幸せにも責任をとってはくれません。

他人の意見ばかり重視して、
顔色をうかがう人生を長く続けると、
自分の好きを忘れてしまいます。
そうであるならば、また最初からやり直しです。
自分の好きを見つける旅に出ればいい。

誰かに見せてもおしゃれとは思われないかもしれない、
だけれどもそれを着ると自分が喜びにあふれるもの。
そんなものをワードローブに1枚か2枚、加えてください。

それは全く実用的でないかもしれません。
洗濯ができなかったり、着ていく場所もないかもしれません。
それでもそれを見たり、触ったり、着たりしたら、
自分が喜ぶのであるならば、それはあなたにとって必要なものです。

他人を喜ばすためのだけでも、
実用的な必要な衣服だけでも、
きっと幸せにはなれません。

自分を喜ばせる力を持っているのは自分だけです。
自分の人生を他人に明け渡さないためにも、
その力を発揮しましょう。


2024年6月20日木曜日

ミニマリストになりたいときは

 服、靴、バッグの数を最小限にするミニマリストになりたい場合は、
服の色の数を制限するのが最も効果的です。
極端な場合は、「すべてのものを黒にする」のように
1色でそろえてしまえば簡単ですが、
そうでない場合は、服の色にかぎっては3色以内にするといいでしょう。
なぜ3色かというと、服の世界には3色ルールという、
「全身を3色以内におさめるのがシックである」というルールがあるからです。
※くわしくは拙著「わたし史上最高におしゃれになる!」参照ください。

極めたい方は、服、靴、バッグまですべてを3色以内でそろえるといいでしょう。

さて、3色といった場合、どんな色が適しているのでしょうか。
実際、売られている色で多いものをそろえるのが簡単です。
微妙な色、あまり売られていない色ではこの計画は破綻するので、
市場に多く出回っている色で決めていくといいでしょう。

するとその色とは、
黒、白、ネイビー、ベージュ、この4色が基本となります。
特に黒と白は洋服の基本の色なので、この2色、あるいはどちらかは入れて3色以内にするといいでしょう。

例えば全身黒です。
これは流行っている時期、流行っていない時期があります。
また住んでいるエリアによっても、全身黒でいいエリア、全身黒はよくないエリアが存在します。
例えば、都会生活者なら全身黒だけでそろえたワードローブでも大丈夫ですが、
スズメバチに襲われる心配のある森林が近いエリアでは、全身黒はできません。
何色を選ぶかは、自分の好みとライフスタイル、そして住んでいるエリアを参考にして決めるといいでしょう。

ここで私のお勧めを少し紹介します。
例えば都会生活者の場合、コンクリートとガラスの建築物と似合うのはなんといっても白と黒。
白と黒ですべてそろえていけば、それだけで事足りると思います。
また、これだけでは物足りない場合は、
白からグレー、黒へと明度のグラデーションの範囲内でアイテムを選んでいくようにすればいいでしょう。
このグラデーション内でしたら、何色と合わせてもよく合いますので、
色合わせの失敗がありません。

デザインに関しては、オーソドックスでシンプルなもの、
あるいは、好きなデザイナーまたはブランドを決めて、
そのテイストのものだけを集めていけばいいでしょう。
ここでデザインもいろいろ入れると、アイテム同士の不協和が生まれますし、
ルックを作るのが難しくなりますので、デザイン性は統一しましょう。
統一されているのであれば、それがモードだろうと、トラッドだろうと、
あるいはエスニックだろうと問題ありません。

一方、都会ではなく、カントリーサイドにお住まいで、
もう少しナチュラルなテイストが好みの場合は、
ベージュからダークブラウンの明度のグラデーションを作っていくのもいいでしょう。
ただし、ベージュの色合いはブランドによってかなり差がありますので、
この場合もいろいろなブランドのものを混ぜないようにしましょう。

どちらも、少し退屈だと感じるのなら、
靴、バッグ、そしてマフラー、帽子、手袋などを差し色として、
もう一色集めていくといいでしょう。
例としては、白、グレー、黒を集める場合は赤、
ベージュからダークブラウンを集める場合はオレンジ、あるいはブルーという具合です。

色数を徹底させること、
デザインを統一することによって、
全体のアイテム数を限りなく少なくすることができます。

数を少なくすることで、
一枚にかける予算もふえますし、
枚数が少なくなれば、それを置くスペースも最小限ですみます。
そして、メンテナンスにかける時間と労力も減ります。

人生をおしゃれという名の美しい欲望に浸食されたくない方は、
ミニマリストになりましょう。
時間、エネルギー、お金は限られていて、無限ではありません。
特に時間に関しては、ふえることはありません。
人生で最も大事なことがあるならば、
時間、エネルギー、お金はそのために使いましょう。



2024年6月18日火曜日

バッグや靴もセカンドハンドで大丈夫

円安の進行と相まって、ここへきて服、靴、バッグの価格が上がってきました。
特にバッグと靴の値上がり幅が大きいです。
10年ぐらい前、20万円台だったバッグが今では40万円台と、
2倍あるいは、それ以上にまで上がっています。

ファッションをトータルで考えると、ジュエリー以外で高価なのは靴、バッグ、コートでしょう。
特に皮革製品の靴、バッグは高額です。

しかし定価で買うと高額の靴やバッグも、セカンドハンドなら買えるものも出てきます。

また、もし仮に買える範囲のものがかなりくたびれて傷んでいるものしかないとしても、リペアすることができます。

写真がなくて申し訳ありませんが、先日、私の家族が10年ほど前に買った、あるブランドのバッグをリペアに出しました。

リペアから戻ってきたものは、新品のものを少し使ったぐらいのきれいさでした。
今、リペアの技術も大変進んでいるので、例えば安く買ったバッグを修理に出して使うということも可能になりました。

靴に関しても同様です。
セカンドハンドのショップをのぞけば、新品同様の中古品を売っている場合もありますし、少し修理すればまだまだ履けそうな、いい状態の革靴も売っています。

また、例えばJ.M.WESTONでは、リペアサービスもあります。
それだけではなく、ヴィンテージとして修理済のセカンドハンドのシューズも売っています。

靴でさえ、今ではセカンドハンドを利用する時代なのです。
しかも堂々と。
むしろ自慢げに。

西洋式の生活をする国の人々、すべてにいきわたるほどの靴やバッグは、もう既に製造されて、誰かの手に渡っています。
そしてその誰かの家には、靴やバッグが過剰にあふれています。
いちどのお出かけで持っていくバッグの数は限られています。
また、靴はいちどに一足しか履けません。
もちろん中には壊れて使えなくなったものもあるでしょう。
けれども、まだ使えるにもかかわらず、使わなくなった靴、バッグも同じぐらいたくさんあります。

新品にこだわる必要はありません。
「一度人の手に渡った」ら、もう新品ではありませんし、
他人は、そのバッグが新品かどうかなど、気にしてはいません。
素敵かどうかは、新品であるかどうかとは関係のない問題です。

選べるものがあるときは、バッグも靴もセカンドハンドを選びましょう。
それはあなたのためになります。
また、その他の人のためでもあります。
そして何より、それは地球環境を改善するのに、必要な行動なのです。

 


2024年6月5日水曜日

センスを身に着ける方法

さて、セカンドハンドから服、靴、バッグを選ぶ際に必要なもの、それはお金と、そしてセンスです。
セカンドハンド品のほとんどは古いもの。
もちろん中には新しいモデルが中古品として売られていることもありますが、それは例外です。
中には10年、20年以上前のものもあるでしょう。

そこから自分に必要なもので、かつ素敵なものを選び出すにはセンスが必要となります。
雑誌で組まれる「古着屋」特集は、ごくたまにしかありませんから、
店舗情報以外には、参考になりません。

また、セカンドハンド品は、ラルフローレンのボタンダウンシャツやパタゴニアのダウンジャケットなど、有名なアイテムを除いては、ほとんど一点しかないものなので、誰かのお勧めがあるわけでもありません。

そこでセンスです。
さて、センスとはなんでしょうか。
ここでは、いいものを見分け、判断する力としましょう。
服、靴、バッグにおけるセンスで言うと、
そのもののデザイン、素材、パターン、仕様を理解し、雑多に集められたものの中からいいものを選ぶ力です。

ということは、センスを磨くためには、いいもの、つまり
デザイン、素材、パターン、仕様のうち優れたものを知ることが大切ということになります。
まずは、この4つの要素の優れたものの基準を知ることが重要です。

デザインに関しては、インターネットを通してさまざまな媒体に触れることができます。
以前は雑誌や新聞でしか知り得なかった各都市のコレクションの情報、スナップまで、ネット環境さえあれば簡単に手に入ります。
二次元の情報であれば、家にいながらでもチェックできます。
例えば、自分が好きなハイブランドのコレクションをチェックし、繰り返し見ているだけでも、服、靴、バッグのデザインや、全体のシルエットなどわかるようになります。

このように二次元の情報ならどこにいても手に入る現在ですが、問題なのは三次元の優れたものです。
残念ながら、いい素材、パターン、仕様とも、写真で見ているだけではわかりません。
これらはさわってみたり、着てみたりしなければ知り得ないものです。
そうしてこれらは常日頃から、安い素材、いい加減なパターン、簡単な仕様のものばかりに触れていると、センスが育たない分野でもあります。

例えば都会の住民で、デパートやセレクトショップが近くにあるならば、それらへ出向いて、試着してみれば、それなりにわかってくるでしょう。
では、デパートやセレクトショップなどめったにお目にかかれない地方に住んでいたらどうしたらいいのか、です。
私のお勧めは、一点でいいので、自分が好きなコレクションに出ているレベルのブランドのセカンドハンド品を手に入れる方法です。
フリマアプリで検索すれば、1万円以下で買えるものが何かしら出てくると思います。
また、ハイブランドといっても、エルメスやシャネルなどではなく、
パリ、ロンドン、ミラノ、NYコレクションに出ているレベルのものであれば、セカンドハンド品ならもっと安く手に入れることができます。
シャツ1枚で構いません。
自分が出せる金額のものを1枚、手に入れてみてください。
気に入らなければまた売りに出せばいいでしょう。
それがコットンのシャツであったとしても、素材、パターン、仕様の、どれをとってもいいものとしての印があります。
その印を記憶します。

服、靴、バッグ、どれについてもこれらを繰り返しましょう。
そのうちにセンスは磨かれていきます。

またこれと同時に、優れたデザインのもの、美しいものに接することも大切です。
美しい絵画、建築やインテリア、器、花や庭園など、その他、生活空間に存在する美しいものを意識して見る機会をふやすといいでしょう。
地方であれば、その地方の歴史的建造物や工芸品でも構いません。

これらはどこにでもある一定数は存在しています。
重要なのは、これらを意識して見るか見ないかです。

服、靴、バッグだけを追いかけているだけでは、非常に底の浅いセンスになってしまいます。
そうならないためには、文化的な重しが必要です。
美しく、優れたものには必ず歴史があります。
その歴史の時間軸が、センスに深みを与え、
センスを単なる感覚ではなく、時代の変化に対応でき得る創造力へと変えるでしょう。

これらを若いころから始めるのが望ましいですし、簡単ですが、
何歳になってから始めても遅くはありません。
今からでも始めましょう。

このように深いセンスが身についた暁に待っているのは、
お金をかけずとも、新しい服を着なくとも、
おしゃれで、かつ知的なあなたです。


2024年5月8日水曜日

セカンドハンドは宝の山


既製服と呼ばれる大量生産品が作られるようになったのは1960年代です。
60年代から70年代にかけて、日本ではアパレル産業が発展しました。
それにより、家庭で、あるいはオーダーにより、個人のために一点ずつ作られていた洋服は、同じものが大量に作られる、いわゆる大量生産品となっていきました。
参照資料はこちら

セカンドハンドとして手に入れられるものは、
主にこれらの既製服、あるいは大量生産品の靴やバッグとなります。

言うまでもないことですが、年数がたてばたつほど、
セカンドハンド品はふえていきます。
1980年代に、セカンドハンドの古着を買おうとしても、
それほどたくさんの中からは選べなかったでしょう。
また、古着屋といえば、アメリカやヨーロッパから輸入した古着を扱う店がほとんどでした。
しかし2020年代、状況はすっかり変わりました。
日本国内に古着を買い取る店舗もふえ、
手放す人も多くなりました。
その結果、膨大な量のセカンドハンドが売られるようになりました。

古着、あるいはセカンドハンドと聞いて、
それは単に誰かが着たお古であり、
くたくたで、着るのがやっとなほどのものばかりと考えている人も多いかもしれません。
しかし、実際はそんなことはありません。
古着、あるいはセカンドハンドの服や靴、バッグは、
必ずしも、今現在売られている新品のものよりもクオリティが劣っている、
というわけではないのです。

環境省が発表したこのグラフによると、
1990年代、日本では衣服1枚当たりの価格が6,848円だったのに対して、
2021年には2,785円になっています。
一方、2010年以降の供給量は1990年代の1.5倍から2倍です。
これが意味するところは、
ひとり当たりの年間購買枚数はふえているもの、1枚の単価は下がっているということ。
衣服はサービスではなくモノですから、
原材料や工賃その他がかかります。
原材料を下げて、クオリティだけを上げるということは、まずありえません。
クオリティが高いものを作るにはそれに見合った原価が必要です。
このことが意味するのは、今の人たちが買う1枚のクオリティは、
1990年代のそれよりもずっと下がっているということです。

特に下げてきたのは素材です。
1990年代は豊富にあったウール、コットン、リネン、シルクといった天然素材の衣服が、2000年以降、急速にポリエステル、ナイロン、アクリルといった化学繊維にとってかわりました。
化学繊維の素材であれば安く、品質が悪いとは一概に言えません。
もちろん中にはクオリティが高く、高価な化学繊維もあります。
しかし、単価が安く大量に生産される衣服のほとんどは品質の低い化学繊維で作られています。

1990年代の若者は、今よりもずっと単価も高く、かつクオリティの高い服を着ていました。
実はこの傾向は世界的なもので、日本だけのものではありません。
世界的に低いクオリティのアパレル製品が大量に出回っていったのがこの20年余りの出来事です。

しかしだからといって、クオリティの高いアパレル製品が存在しなかったのかといったら、
そんなことはありません。
それらは実際、存在し、売られていました。
しかし徐々にそれらの価格は上がり、
クオリティの低い安い製品との価格差が大きくなっていきました。
例えば、10万円台で買えたトレンチコートが、今では100万円近くになっています。

さて、ここでセカンドハンドです。
現在、出回っているセカンドハンド品は、古いものでは1970年代から、
新しいものでは、それこそ前年のものまでさまざまです。
また、大量に売られたものが大量に出回りますから、
セカンドハンド店によっては、ここ20年ばかりに大量に作られたクオリティの低いアパレル製品ばかりのところもあるでしょう。
私たちが探すべきなのは、そんなクオリティの低いものではありません。

セカンドハンドとして流通しているものの中には、
高価であったもの、大事に着られていたものが多く含まれます。
高かったものほど大事に扱うのは、世界中どこの人も同じです。
これら、そこそこ高価で、大事に扱われていた、クオリティの高いセカンドハンド品こそ、私たちが手に入れるべきものです。
理由は、現在、同じ価格ではそのクオリティのものを手に入れることはできないからです。

それはまさに玉石混交です。
私たちには、玉を見つける識別能力が必要になります。
素材やパターンで見分けるのが基本ですが、
それができないのなら、ブランドタグで識別してしまえばいいでしょう。
現に世界じゅうで、オールドセリーヌを探している人がいるぐらいです。
また、例えばフィービー・ファイロの時代のセリーヌであるとか、
マルタン・マルジェラ時代のエルメスなどというように、
デザイナーのアーカイブを探している人もいます。

セカンドハンドから何か選ぶときに問題があるとすれば、
それが現在のトレンドと離れすぎて、
古臭く見えるのではないか、という点でしょう。

それを克服するには2つの方法があります。
ひとつは、自分のスタイルを確立して、
トレンドとは関係なく、それを貫き、
自分のスタイルに合致したものを選ぶこと。

ふたつ目は、定点観測によりトレンドを把握し、
今のトレンドと変わらぬシルエットを持つアイテムを選ぶことです。
面白いことに、流行は繰り返されます。
定期的に70年代風、90年代風というときがやってきます。
観察していれば、トレンドがどこへ向かうのかわかってきますから、
そのトレンドに沿ったものをセカンドハンドの中から見つけ出せばいいでしょう。

セカンドハンド品だけを身に着けていたら、
誰かに古臭いと思われはしないかと心配している方もいるかもしれません。
古臭く感じるのは、主にシルエットと色の問題なので、
常に今の気分を把握しているか、
あるいは自分のスタイルを貫いていれば、その心配杞憂に終わります。

それよりも、セカンドハンドの中から素材、デザイン、パターン、縫製とも、
クオリティが高いものを着ているほうが、驚くほどに素敵に見えるのです。
これがいかほどのものなのかは、やってみた者でないとわからないでしょう。

まずは、よさそうなものが売っているセカンドハンド店を見つけましょう。
それがないのなら、自分が好きなブランドをフリマアプリなどを通して探してみましょう。

クオリティの低い、けれども価格が高いものにお金を使うぐらいなら、
同じ金額でセカンドハンドから最高のものを選ぶほうが、
ずっとおしゃれで素敵なルックが作れるのが今の時代です。

お金もかからず、サステナビリティに配慮したサーキュラーファッションの実践にもなる。
これほど最高なことはほかにないとは思いませんか?

 ※写真:1970年代のものと思われるイタリア製のランバンのコート。セカンドストリートで1700円でした。