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2025年8月30日土曜日

手持ちのジュエリーを活用しましょう

 

さて、皆さんは金(ゴールド)の価格がどれだけ変わったか、御存知でしょうか。

2000年、1グラム当たり966円だったゴールドは
2010年には、1グラム当たり3,446円
2020年には、1グラム当たり6,070円
そして2025年8月現在では、1グラム当たり17,770円になっています。
2000年から見ると、金は17倍以上もの価格になりました。

※引用元はこちら https://ecodb.net/commodity/gold.html

 https://gold.tanaka.co.jp/index.php

一方、日本の可処分所得はこの30年で逆に減っていますから、
2000年前後なら、気軽に買えたゴールドのジュエリー、
今では大変高価なものとなってしまいました。 
特に2000年以降の5年間での値上がりが激しいのは、円安が原因です。
円の価値は下がりましたが、ゴールドの価値は上がり続けているのです。

さて、大人になればなるほど、装いにジュエリーを足したくなるもの。
それはジュエリーが地位の証でもあるのと同時に、
大人の肌にふさわしいからでしょう。

しかし、今からゴールドのジュエリーを買うのは大変です。
簡単に買える人は、どこぞのお金持ちです。

本物のゴールドの値上がりとともに、
金属にメッキしたアクセサリーの商品もふえてきました。
しかし、残念ながら、それらの輝きは長くは続きません。
使用すればメッキははがれます。

それではどうしたらいいでしょうか。

できることは2つあります。
まず一つは、既に持っているジュエリーのリフォームです。
ある程度の大人なら、若いころに買ったジュエリーが何かしらあるでしょう。
または、親世代から受け継いだものがあるかもしれません。
その中で使えそうなものをリメイクするのです。

簡単なのは、パールのネックレスのリフォームです。
上の写真のように、糸がえのときにバロックパールを足して、
留め具をマンテルにするだけで、
日常使いできるカジュアルなパールネックレスに変わります。
この程度のリフォームなら、
メッキのアクセサリーを買うよりも安くすみます。
そのほかのアイデアは、メゾンのコレクションを参考にするといいでしょう。 

もう一つは、
もう既に持っているジュエリーを売って、今風のジュエリーを買うことです。
残念ながら、ジュエリーデザインにも流行があります。
昔買ったもの、
あるいは、親世代から受け継いだものは古臭くて今では使えないかもしれません。

けれども、ゴールドやプラチナなら、今この価格で売ることができます。
プラチナも価格に変動がありますが、
ゴールドほど高価ではありません。
古いゴールドをいくつか売って、今から使えるデザインのものをかわりに買う
というのも一つの手です。

私も先日、90年代に買ったゴールドのジュエリーを全部売って、
そのお金で新たに今使えるジュエリーを買いました。

もちろんゴールドは持っていれば、その価値は続きます。
価格変動はあるでしょうけれども、
価値がなくなるということは、たぶんこれを読んでいる人が生きている間はないでしょう。

しかし、ただ持っているだけで使わないのなら、
使える形にしておくというのも、いい方法だと思います。
実際、私も新しく買ったジュエリーを日常的に着用しています。

大人であればあるほど、本物の輝きがふさわしくなります。
すぐに輝くなるメッキのアクセサリーでお茶を濁すのはやめて、
大事なお金は本物に使いましょう。

本物だけが、長い友達になれます。 
本物だけが、本物の人にふさわしいのです。

 

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2025年5月22日木曜日

ライフサイクル、流行サイクル

私たちが服、靴、バッグを買う場合、考えなければならない2つのサイクルがあります。
それがライフサイクルと流行サイクルです。

流行サイクルとは、流行の変遷です。
それは主にシルエットと色によって変化します。
タイトシルエット、ビッグシルエット、タイトとビッグの混合シルエット、
タイトでもビッグでもないバランスのとれたシルエット、
この繰り返しです。

それと一緒に色の流行があります。
黒、茶、白、ベージュなど洋服に使われるベーシックな色だけが流行る時代
ヴィヴィッドで、明度、彩度とも高い色が流行る時代、
天然にある色であるアースカラーが流行る時代、
最近まで続いた、すべてがグレイッシュな色の時代など、
その時代を表現する色があります。
どんな色が流行ったか知りたいときは、自分のアルバムを振り返ってみればわかります。
子供のころに着ていた服の色と今の服の色は違っていることが多いでしょう。

一方、そのサイクルとは別に個人のライフサイクルの変化もあります。
自分の稼いだお金で、自分自身の選択で服を買い、トライアルしていく20代
だんだんと自分の好みがわかってきて、取捨選択していく30代
それまで買わなかった、あるいは買えなかったクオリティの高いものを少しずつ貯めていく40代
徐々に流行に左右される分が減り、自分のスタイルが確立していく50代
これまで買い貯めたワードローブを中心に使って、
もうこれ以上ふやさないワードローブへとかえていく60代というように、
それぞれの年代でワードローブのテーマが変わっていきます。

また、一般的には、年齢が上がるほどクオリティが高いもの、
つまり価格(定価)が高いもののほうが似合うように服は作られているため、
年代によって使う予算も変わります。
20代以降ずっと同じように服、靴、バッグを買うというわけにはいきません。

自分のワードローブを構築するときは、
この2つのサイクルを考える必要があります。
流行サイクルがよくわからないまま新しいものを買ってしまうと、後々着なくなる可能性も出てきます。
例えば、もう次の流行はビッグシルエットだとなったときに、
タイトなシルエットの高価なトレンチコートを買ってしまった場合、
モノとしては何も傷んでいないのに、
そのコートが流行のシルエットではないために、
着て出かけるのがためらわれる場合もあるでしょう。

流行サイクルよりも大事なのは自分のライフサイクルです。
年代によって使える予算も違います。
また、着ることができる服も変わってきます。

この2つのサイクルのすり合わせに失敗すると、
年をとってからつらくなります。
日本の場合、年齢が上がるにつれ被服費に使える予算は少なくなっていきますので、
ふと気づいたときには着るものがないと同時に、
新しく買うことも困難になってしまうということが起こり得ます。
(実際に起こっている方を数名見かけました)

そうならないためにやるべきなのは、
ブランドのインスタやHP、店舗をチェックすることによる流行の定点観測、
そして、自分のワードローブプランを作ることです。

将来のことなど考えないでお買い物ができるのは20代まで。
それ以降、特に40代以降は、ただ買って捨ててを繰り返していたら、
50代以降、着るものがない、と感じる場面がふえていくでしょう。

どこに住んでいるのか、
どこの場面でおしゃれをしたいのか、
最終的にはどういう状態になりたいのか、
それを確認し、知ることができるのは自分自身だけです。

ずっと同じように買い物はできません。
自分自身も変わっていきます。
その変化を前提に、自分のワードローブを構築しましょう。
受け身ではなく、能動的に自分に必要なものを選択してください。
選択権を決して他人に渡さないように。

 

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また、「セカンドハンドはおしゃれ」に賛同したメンバーが
「♯セカンドハンド」というハッシュタグをつけて探してきたセカンドハンド品を
それぞれの楽天ROOMにアップしています。こちらもご参考にどうぞ。



 

2023年10月13日金曜日

それでもいいものを見たほうがいい理由

※展覧会を見に行くのもいいアイデアです。

2023年10月現在、日本の購買力は今から50年前の1970年代と同じだと言われています。
外国のブランドのものは「舶来品」と呼ばれたあのころ、
海外旅行は簡単に行けるものではなく、
行ったとしても、好きなだけお金を使うことができなかったあのころに、
今の日本は逆戻りです。

現在、多くのアパレル製品は輸入物です。
生地とその原材料、その他の付属品も含めるのなら、
100%日本製のものは、ほぼないと考えていいでしょう。
日本では、コットンもウールもシルクもほとんど生産されていません。
ましてや化学繊維の原料になる原油は日本では、製品を作るほどの採掘はできません。

購買力が50年前と同じになるということとは、
すなわち、多くの輸入物の価格が上がることを意味します。
海外のブランドから日本のブランドまで、すべての製品の価格は上がっていくでしょう。

そうなると、多くの人のファッションに対する関心は低下します。
得られるかもしれない可能性が断たれたものについては、
考えないほうが精神の安定を保てるからです。
特に、クオリティの高い高価なものほど、遠ざける人が出てくるでしょう。
そうするにつれて、多くの人のクローゼットは、
カットソーとポリエステル、ナイロン、アクリルといった化学繊維であふれかえります。
誰かがそれを「ウールライク」などと呼ぼうとも、
それは原油から生産された、自然繊維よりも安価な化学繊維には違いありません。
安価であるという理由で、彼らはそれを「ウールライク」として採用しているのです。

安価にするための工夫は素材選びだけではありません。
縫う箇所を1本でも少なくし、工賃を安くするためのデザインも数多く実行されます。
その例として挙げられるのがウエストゴム、そしてポケットの省略です。
これらは、製造工程を少なくするのにうってつけのデザインです。

しかしそれでもなお、いいものを見たり、触り続けたほうがいいのです。
なぜなら、目、あるいは手の記憶によって、あなたの選択はなされるからです。

いいものをいくら見ても、もう忘れてしまったと思うでしょう。
しかし、一度インストールされたその情報はごみ箱の中に入っているだけで、
消去されたわけではないのです。
それは、気づかないうちに、まるで見張りのように、
私たちの日々の選択に影響を与えます。
見れば見るほど、その記憶は蓄積されていき、決して忘れ去ることはありません。
多くの人ができないのは、その情報を引き出すことなのです。

それはまるで見えないところで動き続けるアプリのように、
あなたの選択を監視します。
そして、どうでもいいもの、クオリティが低いもの、将来的に着なくなるであろうものから、あなたを遠ざけます。
気づいていなくても、それは正確に作動します。

限られた予算の中で、失敗の少ない買い物をするためには、
このアプリを入れておいたほうがいいのです。
予算が少なければ少ないほど、失敗は避けたい。
であるのならなおのこと、いいものを見続けて、
常にアプリを新しい状態に更新する必要があります。

私たちのほとんどの選択は、何かの影響によってなされます。
誰かの考えや言葉、誰かの姿、どこかで見た何かが、深く印象付けられて、
あれやこれやの選択をします。
選択を間違わないためにも、何がインストールされているのかが重要です。

もう以前のように、海外旅行もままならないし、
ラグジュアリーブランドのバッグを買うこともないかもしれません。
しかしどこかしらでクオリティの高いものを見続けるようにしましょう。

それは古着屋やセカンドハンドのお店かもしれません。
あるいはアウトレットや展覧会かもしれません。
または、知人が実際に着ているものや履いているものの可能性もあります。

クオリティの高いものの情報をインプットしておけば、自動的にいいものを選ぶようになります。
限られた予算の中からでも、なんらかの方法はあります。

カットソーと化学繊維まみれのクローゼットの沼で溺れないように、
今出来得ることを考えて、行動してみてください。
そうすれば将来、あなたは自分のクローゼットを見て、心底満足できるでしょう。
そして、いいものを見続けることをあきらめなかった自分に対して、
感謝の念をいただくでしょう。


2023年8月15日火曜日

要らなくなった服は回していこう!

 日本ではここ何年も「捨てる」や「片づけ」が流行っています。
「片づけ」の場合、それは必ずしも捨てることを意味していませんが、
「捨てる」の場合は文字通り廃棄であり、それは要するにゴミになるということ。
循環ではなく、一方通行(リニア)です。

それでよかった時代はとっくの昔に終わりました。
それはただ単に古いだけではなく、迷惑なのです。
それらが引き起こしているのが気候変動であり、
グローバルサウスへのゴミの押し付けです。

最先端のおしゃれな人たちは要らなくなった、
だけれどもまだ使える服、靴、バッグを捨てません。
回すのです。

回す方法は複数あります。
誰かにあげる、
フリマアプリを使って売る、
リサイクル店にもっていって売る、
リサイクルに回す、
です。

2019年の資料によると、
日本で手放された服がリユース、リサイクルされる率は合計で34%しかありません。
古着として再販される率は全体の11%です。
リサイクル、リユース以外はすべてごみとして廃棄になります。
(参考資料:サステナブルファッション 環境省)

おしゃれな人がやるのは、まだ着られる服ならば古着として売る、
そしてモノとして劣化あるいは破損で着られない服はリサイクルに出すか、
あるいは資源ごみとして出すことです。

劣化あるいは破損で着られない服は別として、
多くの人が、入らなくなった、あるいは着たくなくなったなど、
なんらかの理由で着なくなった服を持っているでしょう。
人間なので、ある程度そういった服が出るのは仕方のないことです。
問題なのはそれをどうするか、です。

あなたがおしゃれな人でありたい、あるいはなりたいのなら、
自分の周囲の人で欲しい人にあげる、
あるいは古着として、フリマアプやリサイクル店で売りましょう。

前述したように、古着として売られている服は要らなくなった服の11%にすぎません。
フリマアプリはスマートフォンがあれば利用できます。
また、それが嫌な場合でも、多くのリサイクル店が各地にあります。

おしゃれであればあるほど、その人の要らなくなった服、靴、バッグはすぐに売れます。
なかなか売れない、あるいは安くしか売れないのは大量生産の安い服です。
そんな服はリサイクル店に持っていっても、10円ぐらいにしかならないかもしれません。
フリマアプリでは売れないし、
リサイクル店に持っていっても10円にしかならないからといって、
行動パターンを変えずに、凝りもせず安いものを大量に買っては捨てるを繰り返していたら、その地獄から抜け出せません。

これを読んでいる方の中には、おしゃれになれると思って、
やみくもに持っている服を捨てた方はいらっしゃいませんか?
それで果たしておしゃれになれましたか?
ただ、捨てていたのではおしゃれにはなれません。
なぜなら、それでは自分の行動パターンを修正することができないからです。

フリマアプリですぐに、しかも高く売れるようなものを買ってこなかったのなら、
都度見直して、自分の購買パターンを変える必要があります。
どのように変えるのかといったら、要らなくなってもまたすぐに売れるものを買うように変えるのです。
そしてそんなものばかりが買える自分に変わったのなら、
つまりおしゃれな人に近づいたのなら、
たとえ失敗したとしても、安心して手放せます。
なぜなら、それは次に欲しい人がいて、簡単に売れるからです。

 フリマアプリを使ってみるとわかることですが、
世の中には、おしゃれな人が一度手にしたものを欲しいと思っている人はたくさんいます。
適切な値段設定であったなら、1日以内に売れてしまうなんてこともざらです。

これからは、特に高価な服については、
ずっと所有することにこだわらず、
一次的に預かっているもの、次の人に回していくものと考えましょう。

もう既に、過去に作られた服は膨大な量になっています。
新しいものをどんどん買っては捨てるという偽りのおしゃれから目を覚ましてください。
膨大な量の過去の服の中から選んで組み合わせることにより、十分におしゃれはできます。

新しい服をどんどん作る余裕は、この地球にはありません。
この夏の暑さがその証拠です。

最先端で、かつ偽物ではなく、本物のおしゃれな人になりたいのなら、
要らなくなった服は回していきましょう。
センスと賢さを駆使して、
罪悪感がなく、自己肯定できるおしゃれな人になりましょう。

 


2023年7月25日火曜日

新しい服を買わない時期を作ろう

インフレと円安で、服、靴、バッグの価格が上がってきました。
一方、日本人の可処分所得はこの30年間、減少しています。
モノやサービスの価格は上がっている。
昔と同じように働いているにもかかわらず、買えるものは減っている。
これを補うように、多くの人が1枚当たりの価格を下げて、買う量を維持してきました。

※ 参考資料 サステナブルファッション 環境省

しかしクオリティが低く、手軽に買える安い服は、大切に長く着る服にはなり得ません。
おのずとそれは買ってから短期間のうちに廃棄されます。
手放す、片づけるという言葉が流行り、それを実行した人も多かったでしょう。

しかしこのサイクルはもう既に限界です。
廃棄する場所も、もうありません。
それは環境に負荷をかけるばかりです。
同様に、新しい服をしまう場所もほとんど残っていないでしょう。
特に都会に住む方々は、服、靴、バッグのために家賃やローンを払い続けることになります。

そんなときは思い切って、
「新しいものを買わない月間」チャレンジをしてみたらいかがでしょうか。
別に誰かに向かって宣言する必要はありません。
自分でそう決めればいいだけです。

例えば日本の夏。
35度を超える猛暑日も多く、そうなると、おしゃれがどうとか言ってはいられません。
周囲の人も暑さをしのぐのに精いっぱいで、他人のことなどほとんど気にしていません。
(この傾向は、年を取れば取るほど強まります)

夏物はそうでなくてもバリエーションが少ないのです。
特に暑い地域での夏服はその傾向にあります。
暑くなればなるほど、洋服は不利な衣服です。

洋服の世界は、夏以外の季節のほうがおしゃれのしがいがあるようにできています。
コート、ジャケット、ブラウス、シャツ、セーターと重ねて着ることでおしゃれを作っていく洋服は、それができない夏には向いてはいないのです。

ではこの夏は、ある程度のものが揃っているならば、
もう新しいものは買わないと決めて過ごすのはどうでしょうか。
8月いっぱいまでと決めてもいいし、
猛暑日がなくなるまで、と決めてもいいでしょう。

それでも、もし何か新たに必要なものが出てきたならば、
リサイクルする、
リメイクする、
修理に出す、
誰かから借りる、
誰かと交換する、
それでもない場合は、新しいものではなくてセカンドハンドを買うという手段があります。

セカンドハンドを扱う店舗は全国に広がっています。
ロードサイドだけではなく、駅ビルにさえ古着を扱う店があるでしょう。
もちろんネットを通しても今では簡単に手に入れることができるので、
ほとんどの人が買える状況にあります。

新しい服を買わないことで得られることがあります。
買わなくていいという安堵感、
探さなくてもいいという解放感、
サーキュラーファッションを実行しているという自負、
お金が減ることを心配しなくていい安心感など、
実際にやってみればわかりますが、想像以上のメリットがあります。

もし他人が気になる場合は、実際に他人があなたに対してどのような態度をとったのか、
チャレンジをやり終わってみてから検証してみてください。
たぶん、あなたが思うよりも、他人はあなたのことを気にしてはいないでしょう。
この暑さですから、他人を気にする余裕がある人はほとんどいません。

またここで「新しいものを着ていないからおしゃれではない」と感じたなら、
新しいものを使わないおしゃれについて考えてみるといいでしょう。
それは工夫が必要ですが、できないわけではありません。
また新しい服ではなくても、髪型やメイク、ネイルに凝ってみたり、
いつもは使わないジュエリーを身に着けてみたりと、
新しい服なしでもできることはたくさんあります。

自分の過去10年を振り返ってみてください。
幾らを被服費に使ったでしょうか?
何枚買って、どれぐらいを手放して、どれぐらいが残っているでしょうか?
要らないのにお勧めされて買ってしまったものはありませんか?
本当に好きだったものは何でしたか?
これらを検証してみて、自分にとってのちょうどいいバランスを見つけましょう。
それはあなたの過去が現在のあなたに教えてくれます。

これからの時代、ファッションにおいて誇れるようになるのは、
ワードローブには、長く着続けているものがどれだけあるか、
そしてどれだけセカンドハンドを取り入れているか、です。

自分の精神の安定のためにも、
そしてこれ以上、環境破壊に加担しないためにも、
新しい服を買わない時期を作って、
いつも新しい服を買わないでもおしゃれでいられる
バージョンアップした自分を作り上げていきましょう。



 


2023年6月23日金曜日

一番新しいのはサーキュラーファッション

私の本やブログを読んでいるみんなはきっと、
基本的にいいものを買って、それを何年も大切に着て、
いリメイクしたり、誰かとシェアしたり、
古着やセカンドハンドを取り入れてワードローブを作っていると思うの。

だけれども、時々こう思うことがない?
「インスタでお勧めにすぐ上がってきちゃう、
あの新しいものばっかりのキラキラの人たちより
自分のやり方が劣っているんじゃないかな」って。

断言するわ。
それは勘違いよ。
なぜなら今一番新しく、そしてこれからもずっと続くのはサーキュラーファッションだから。

サーキュラーファッションとは循環型のファッションのこと。
サステナブルだけじゃ足りないの。
ファッションもどこまでもぐるぐる回り続けないといけないの。
一枚を長く大切に着て、
それを生分解で土に還して、またはリサイクルに回して新しい素材にかえて、
まだ着られるものはリサイクルやリメイクして、
決して一度の使用だけでは終わらせない、
それがサーキュラーファッション。

それに対して時代遅れなのはなんだと思う?
それは、つくって、買って、数回で捨てるファッション、
これがオールドスタイルのファッション。

これは何も私の意見じゃなくて、
最先端のファッション研究によって導かれた答え。
もう既に服は余り過ぎていて、多くが焼却処分されるか、
グローバルサウスに輸出されて、ゴミの山になっている。
それに世界の人口はまだ増えるから、資源が足りなくなるのはもうすぐそこに迫っている。
だからそんなやり方は、これからの世界には通用しないの。

最も新しいサーキュラーファッションで問われるのは?
何年着ている?
リサイクルできる?
古着かセカンドハンドで買った?
シェアしている?
環境に悪影響を与えない素材でできている?
こんなところ。

もちろん今の段階では、サーキュラーファッションはほとんど実現していない。
これは消費者だけではなく、リテーラーの問題でもあるから。
だけれども、消費者の意識が変わらないと、リテーラーも動かない。

確かにサーキュラーファッションでは、
ヘンプや藻、菌類からできた素材が推奨されるけれども、
まだまだそんな素材からできた服が簡単に手に入る状況でないというのが現実。
ならばできることは何かというと、
長く着る、
古着や中古品を取り入れる、
リメイクする、
リサイクルする、
シェアする、
借りる、
そして新しいものを買うときはサステナブルなものを買うようにすること。
これぐらい。
でもね、これが最先端のファッションなのよ。

だから、このブログをずっと読んできて、
あるいは過去を振り返って読んだり、私の本を読んだりして、
こういうことをやってきたみんなは自分を誇っていいわけ。
だって、世界最先端なんだから!
半年や1年で捨てるなんて、それは古臭いファッション感で、
もう時代遅れもいいところ。
それを忘れないでほしいわ。

これからはみんなが古いものを上手に取り入れていく世界。
きっと駅ビルに素敵なセカンドハンドのセレクトショップが誕生する日も近いでしょう。
そこからはセンスがものを言うから、
今からセンスを磨いておくのがいいよね。

高いものを買ってもいい。
だけれどもそれはずっと自分のところにあるってわけじゃない。
きっと誰かが着ていたもので、
次に誰かが着るであろう服。
もう「ずっと自分だけのもの」という考えにこだわらない。

インスタで、相も変わらず新しいものを1回着ただけで次々に着るのをやめている人を見たら、こう思うといいわよ。
「あら、この人、随分と時代遅れね」
今や世界の最先端の人々がこの意見に賛同するわ。

もう後戻りできないところまできたファッション業界。
これからはサーキュラーファッションを目指す以外、
生き残る道は残されていないの。
(マッキンゼー&カンパニーも2019年のリポートでそう言っている)

人間の欲望は無限だけれども、地球は有限。
その地球でフィジカルに生きる私たちの、それは責任。
一番新しく、かつこれからも続くサーキュラーファッション。
まだまだできることがあると感じたら、
ぜひ今すぐ実行して。
なぜなら、それが一番素敵で、おしゃれな人のやることだからよ!

★参考資料 state of fashion 2021  Mckinsey & Company

 


2023年1月21日土曜日

ファッションに関する新たな葛藤

実際は、今急に始まったことではありません。
それは徐々に、しかし確実に進んできました。
社会保障費や税金はふえるのに、
収入がふえないという状況が進んだ結果、
被服費は大幅に削られました。

そんなことはお構いなしに、
2000年より前の時代に比べて衣料全体の生産量はふえました。
単価の安いものが大幅にふえ、購入枚数も、
1枚の服を着る回数も減りました。
参考はこちら

もう一つ、2000年より前とは大きく変わったことがあります。
それは情報量です。
インターネットが一般にも広まる前は、
アパレル業界以外の人がファッションに関する情報を得るには、
店舗を見に行くか、雑誌を買うかのどちらかでした。
コレクションを見に行けるのは、バイヤーや得意客、ファッション誌の編集者ぐらいのもので、それ以外の人が見られるのは、テレビ番組で紹介されるほんの数秒程度のものでした。

また、知り合い以外のほかの人が何を着ているかについても、
雑誌の「読者モデル」や「ストリートスナップ」コーナーでしか知ることができませんでした。

しかし誰もがインターネットに接続できるようになった以降は、
誰もが無料でこれらの情報にアクセスできるようになりました。
望みさえすれば。
自分で探すならば。

使えるお金、
買えるものはどんどん減る一方、
売られているもの、それに関するあらゆる情報は増大しました。

情報は触れません。
それは頭の中でイメージや言葉として存在しています。
しかしその触れないもので頭の中がいっぱいになり、
いつ何時もそれから離れられなくなりました。

その結果、起きたのが葛藤です。
私たちの、その頭の中にある情報があらわす服、靴、バッグのほとんどは、
自分では買えないものです。
頭の中は、買えないけれども欲しいものの情報であふれます。
それが日に日にふえていきます。
この葛藤が私たちをどこへ連れていってくれるのでしょうか。

これがドラマであるのなら、
葛藤から始まったドラマは、解決へ向かってエンディングを迎えます。
葛藤は、人生を動かす重要な感情です。

しかし、この情報過多による欲望の刺激、そして満たされない渇望感によって
私たちは創造的な行動ができるようになったでしょうか。

答えは周囲を見渡せばわかります。
行き過ぎた満たされぬ欲望は、私たちに絶望をもたらし、
行動する力を奪いました。
簡単な言い方をすると「どうでもいい」状態になりました。

たくさんの情報、
どんどん生まれる新しいブランド、
誰かがインスタで見せつけるあの服やバッグ、
そのほとんどが手に入らないのなら、
服なんてもうどうでもいい、暑さ寒ささええしのげるならば。
情報でいっぱいの思考には、自分なりの選択をするという小さな行為すら、
難しいものとなりました。

その結果、台頭してきたのが誰かのお勧めを選ぶ、
または誰かと同じものを選ぶという行為でしょう。
多くのショップ、多くのブランド、多くの服が売られれば売られるほど、
人々の着るものが同じようになるという現象が生まれました。

情報過多による葛藤で私たちが失ったのは自分らしい選択をする力です。
選べないので動けなくなりました。
まるでそれは選択する権利があるのに、棄権しているかのようです。
自分で選ばなければ間違いはないと、多くの人が思っているのかもしれません。

それでもその選ばなかった責任をとるのは自分です。
あなたの人生をかわりに演じてくれる人はいません。
選択の結果は回収しなければなりません。

問題は行き過ぎた葛藤です。
私たちはまだ「葛藤」が提示されるドラマの第1回目にいます。
今の状態が嫌ならば、ドラマの最終回を考え、それに向かって行動しなければなりません。
最終回での解決方法はいろいろ考えられます。

別れる(情報を断つ)
宝の地図を手に入れる(自分らしいおしゃれをする方法を習得する)
練習して試合に勝つ(目利きになるための訓練をして、買い物で失敗しない)
自立すると決める(失敗を恐れず自分で選ぶようにする)
などなど。

そうはいっても、今までこうやってきたのだもの、
そう簡単に動けないと思う人もいるでしょう。

それではヒントを差し上げます。
それは感覚です。
服や靴を触ったとき、着てみたとき、着て動いてみたときの感覚です。
感覚が弱まると、思考を正しい方向にコントロールできなくなります。

頭の中であれやこれや考えているだけの人よりも、
自分が好きなものを実際に試着してみる人のほうが夢を実現できるのです。

手を動かせば動かすほど、使えば使うほど、感覚は強化され、
知恵を授けてくれるようになります。

ハッピーエンディングのための最もふさわしい解決方法は、
その感覚が教えてくれるでしょう。

 


2022年11月22日火曜日

再度、一軍の選手をそろえましょう。

2010年、ブログを書き始めた初期の時期、
私は記事を書くに当たって、
みんなが使っていない、面白いたとえは何かないかなと考えて、
「一軍の選手(服)をそろえましょう」というように、服を一軍選手という選手にたとえました。
このとき、自分の服をこのように一軍、二軍と表現している人はいませんでした。

今多くの人が服、コスメその他、「一軍」というたとえを使っていますが、
私がこのときに伝えたかった内容は、今「一軍」を使う人たちのそれとは少し違います。

言いたいのは、いざというときに使えないものばかり買いそろえないで、
最初から一軍になるものだけをそろえてください、ということでした。

そしてその一軍たちが、古くなったり、擦り切れたりしたときは二軍、三軍と落としていけばいいと。

そう提案した大きな理由は2つあります。

一つ目は、服というのは案外長もちするからです。

擦り切れる、破れる、色が褪せる、虫に食われるなど、
モノとして服が使えなくなるまでには、かなりの着用回数を必要とします。
2年や3年で、服はモノとしてだめになりません。
多少のシミや、目立たない箇所を虫に食われても、まだまだ着られます。
それらは、お出かけには適さないでしょう。
けれども、近所のスーパーへのお出かけや、家で着ている分には問題ありません。
もちろんドレスを普段着にするわけにはいきませんが、
ジャケットやコート、セーター、ブラウス、シャツは普段着として使えます。

二つ目は、多く買いすぎるため、1枚のクオリティが低いから。

2010年、とにかくたくさん買うという方がまだまだ多くいらっしゃいました。
そういう方たちの共通点は、1枚のクオリティが低いということです。
クオリティが低いものなので大事にしない、
そのため傷んでいなくても捨ててしまう。
ワードローブはどうでもいい、しかし捨てるに捨てられない服であふれる、
それなのに着るものがないと感じる、
そんな傾向の方がまだまだたくさんいました。

どうでもいいクオリティの低い服をたくさん持つよりも、
自分が気に入ったものをモノとして劣化するごとに着るシチュエーションをかえていったほうが、
結果的にお金も節約になるし、何よりも自分の満足度が高くなります。

例えば高価だけれども、とても気に入った、自分の好みのカシミヤのセーターを買います。
2,3年はそれをお出かけ用として着ます。
毛玉が出たり、少しシミがついたら、近所の買い物用に、
そして虫に食われてしまったら、家で部屋着として着る、
というように、着るシーンをかえていけば、
モノとしてもう着られないというときには心おきなく捨てることができます。

またもし、気に入ったし高かったけれども、結局着る機会がなかったというものは、
クオリティが高ければ、どこかで売ることができます。
それは、普段着にはなり得ないドレスでも同じことです。
いいものであればあるほど、次に欲しい人が必ずいます。

この10年余り、多くの人を悩ませたのは、
自分でも着たくない、
けれども捨てるに捨てられない、
売りに出しても売れない、
ただでも誰ももらってくれない、
どうでもいい服の存在です。

もうそんな服を買う余裕はないよね。
私たち、球団を運営しているわけじゃないから、
控えの選手なんて、要らないし。
だって、服は病気やケガをしないもの。

お金を使えなければ使えないほど、
セカンドハンドやセール品を買うにしても、
一軍の選手、つまり一軍の服をそろえましょう。

実力がないものも、二番目に好きなものも、
そんなものに付き合っている時間は、
私たちには、もうないのです。



2022年11月7日月曜日

大人になればなるほどおしゃれは難しい

大人になればなるほど、おしゃれをするのは難しくなります。
なぜなら、西洋の衣服というものは、若い肉体により似合うように作られているからです。
脚、そのほか肌の露出、
細いウエスト、
身体のラインがわかる薄い素材、
ヒールのある靴など、
若い肉体ならでは似合うデザインが多いのが西洋の衣服の特徴です。

街に出て、歩いている人を観察してみれば、
大人になればなるほど、洋服を着ておしゃれに見える人の割合がぐっと減るということに気づくでしょう。
若者と同じように脚を露出したり、
寒いのに肌の露出部分が多い服を着たり、
高いヒールをはいて歩くことが困難になってくると、
簡単におしゃれに見せるのが難しくなるのです。

また、よれよれのTシャツや、色あせたジーンズも若い肌であればこそ、
よりいっそうその肌の輝きが映えて、素敵に見えるものです。
しかし、大人になればなるほど肌は輝きを失っていくので、
素材のよれよれ、ダメージ、色あせは大人の肌の輝きのなさを強調するだけであり、
いい年の大人を魅力的に見せてくれるものではありません。

ファッション誌で年の若いモデルが着ているものと同じものを着てみても、
決して同じ結果は得られないのです。

若ければ若いほど、おしゃれに見せるのは簡単です。
若い肌としなやかな肉体が、よれよれでも、
変なデザインでも、
深いスリットや短い丈を受け入れて、かつその人を素敵に見せてくれます。
しかし、いい年の大人がそれと同じことをやったら、
同じように見えるどころか、それとはまったく逆の印象を他人に与えるのです。

大人になればなるほど、そのことに留意して着るものを選ばなければなりません。

その上でおしゃれになるように自分自身に服を着せなければならないのですから厄介です。
選択肢はぐっと狭まり、できることは限られる、つまり着られない服がふえてきます。

着られない服とは、
細すぎる服、
露出が多い服、
薄すぎたり、肌がかゆくなったりする素材の服です。
ヒールの高い靴で駅の階段をおりるのも恐ろしくなりますから、トータルで見ても、選択肢は狭まるのです。

早いうちにそのことに気づいて、
ワードローブに修正を加えていかなければ、
着られない服だらけ、つまり、
細すぎて着るとしわが出て、
よれよれで、
色あせて、
短すぎる丈の服ばかりということになってしまいます。

逆に言うと、大人には、
細すぎないで、
色あせがなく劣化していない素材で、
露出がほどほどで、
丈が短すぎることもなく、
身体の線を全部拾わずに、
肉体の欠点を修正するパターンでできた服が必要ということです。 

まずはこれらでワードローブを構築し、
その上でおしゃれに見える方法について思案する必要があります。

まずはいい素材(アイテム)を集めること、
そしてある程度、手をかけて構築すること、
これが大人のおしゃれには必須となります。

この問題は、新しく安いものを大量に買ったところで解決しません。
変えなければならないのは選択の基準です。
そして、適したものを集めるのには時間がかかります。

なんだかおしゃれに見えないと思ったら、ワードローブを点検して、
大人がおしゃれに見えないアイテムがどれらいあるかチェックしてみてください。
そしてそれがわかったら、大人に似合うアイテムへの転換のスケジュールを立てましょう。

気づきが早ければ早いほど、回復も早まります。
放置すればするほど、ダメージは大きくなります。

手遅れにならないうちに、不穏な予感がしたのなら、
それが「転換せよ」というサインです。

 


2022年10月14日金曜日

消耗品と長もちするものを見極めよ

衣服の中には消耗品と長もちするものがあります。

ざっくり言うと、洗濯回数が多く劣化が早く進むものが消耗品、
洗濯回数が少なく、手入れすれば長く着られる、履ける、身に着けられるものが長もちするものです。

衣服は洗濯によって劣化します。
よって、洗濯回数の多い下着、肌着類は消耗品であるものがほとんどです。
もちろん、シルクのキャミソールのように、例外はあります。

一方、着用回数が多くても、洗濯回数が少ないコート、ジャケット類は
消耗品ではなく、長もちするものに分類されます。

また、素材の面からも消耗品と長もちするものを分ける必要があります。

例えばシルクや麻(リネン、ヘンプ、ラミー)は、
丁寧に扱えば、洗濯に耐えて長もちします。
また、ポリエステルは洗濯に非常に強いので、
どんなアイテムであっても、洗濯を何回しても、相当に長もちします。

一方、ポリウレタンは、どんなに丁寧に扱っても、
水、光、熱に弱いので、洗濯をしなくても、長もちさせることはできません。

そして貴金属のジュエリーや、革のベルト、皮のバッグなど、
皮革製品も手入れをすれば長もちします。

これらのことを考慮せずに、長もちしないものにお金をかけ、
長もちするものにお金をかけないでいると、
結局、どちらも長く使えないことになるでしょう。
その結果、ワードローブは貧弱になり、毎年何かしら買い足しても、
そのワードローブは砂の城のように脆弱で、
足もとから崩れ落ちていくような経験を、何度も繰り返すことでしょう。
渚近くの砂の城は、大きな波がやってきたら、瞬時に崩壊します。

長もちするアイテムは、ワードローブの基盤です。
しっかりした基盤の上でないと、立派なお城は完成しません。
幾らお金をかけたとしても、選択が間違っていれば、元の木阿弥です。

災害が起きたとき、守ってくれるのは基盤がしっかりしたお城です。
ぐらぐらで、すぐにも倒れてしまうような、やわなお城では役に立ちません。
あなたがクイーンやキングなら、災害に強いお城に住まないとね。

知らないままに買い物をすると、
2年後には崩壊してしまう高価な消耗品を買ってしまうことになりかねません。

この世は高価な消耗品であふれています。
気を付けないとね。

 何が長もちするのか、しないのか、見極める必要があります。
誰のため?
自分のためです。
何のため?
売る人よりも長く、美しくいるためです。


2022年8月20日土曜日

あるものは使おう(ジュエリーリフォーム)



 

ないないと言っても、多くの人のクローゼットや引き出しには、それなりに何かが残っているでしょう。

問題なのは、残っている何かをそのままでは使う気がしないこと。
理由は、流行遅れだから、サイズが合わなくなったから、嫌いになったなど、いろいろでしょう。

しかしその着ないもの、使わないものたちも、視点を変えてみたら、再び使える可能性があるかもしれません。

そのための手法がリメイク、リフォーム、リデザインです。
要するに、あるものをそのまま使わないで、形やデザインを変えて再度利用すること。

今回はその中でもジュエリーのリフォームの勧めです。

皆さんご存知のとおり、金の値段が高騰しています。
20年前に買えたものが、今ではもう何倍もの価格になっています。
気軽にジュエリーを買う時代は終わってしまいました。

しかし持っているものは何かしらあると思うのです。
それは必ずしも自分で買ったものではないかもしれません。
誰かから譲ってもらったもの、または贈り物かもしれません。
持っている、けれども使わないジュエリーがある方は多いと思います。

服や靴と同じように、ジュエリーにも流行があります。
素材のゴールドの価値はどんどん上がっていったのに対して、
デザイン的な価値は下がってしまったものが多いです。
そしてそれが、古いジュエリーを使わなくなってしまう理由の一つになっています。

ならばリフォーム、あるいはリデザインしてはどうでしょうか。
そのヒントは、ジュエリーブランドのインスタグラムを探せば見つけられます。
ここで無理して、自分でデザインを考える必要はありません。
ジュエリー業界にでもいない限り、ジュエリーの流行について多くは知らないものです。
だから、自分では考えないほうがいいのです。

まずはお好みのブランドを見つけましょう。
ハイブランドのジュエリーよりも、
新しいブランドのジュエリーのほうがヒントになるデザインは豊富です。

好みのブランドをいくつか見つけたら、
深く考えずに、自分がいいと思えるデザインのものをどんどんピックアップしていきます。
ある程度集まったら、それを並べてみて、
自分がもう既に持っているジュエリーを同じようにリフォームすることができるかどうか検討します。

一部、留め具をかえたり、何かを足したりすることによって、
それが可能なものもあるでしょう。

それができるとわかったら、
予算を決めて、親切そうなジュエリーショップへいって、
リフォームの相談をしてみましょう。
最初に予算を決めておくこと、参考になる画像を持参することがポイントです。

もちろん不可能なもの、予算オーバーでできないものもあります。
しかし、簡単にしかも予算以内でできるものもあるでしょう。

できるなら、リフォームして今あるジュエリーは使いましょう。
大事なことは、しまっておかないで使うこと、です。

しまったままのジュエリーは、使われない才能みたいなもの。
それは宝の持ち腐れ。
毎日使えるようなデザインにするか、
または使う機会を自分で作るか、
どちらかによって、そのジュエリーは出番を与えられます。

ないないと嘆く前に、あるものを使いましょう。
才能が磨かれて初めて光るように、
ジュエリーも身に着けるたびに光るようになってきます。

眠らせないで、腐らせないで、
手に取って、愛でて、身に着けて。
あなた自身とジュエリーの両方の才能を生かして。
今あるものと今できることで、
あなたとジュエリーを、その暗闇から救いだしましょう。

※画像:上段 リフォーム前

    下段 リフォーム後 留め金をかえ、バロックパールを入れてリフォーム
       前の留め金(K14)はジュエリー店で売却。
       糸替え、リフォーム代金は留め金の売却価格の範囲内でおさまりました。


★zoomを使ってのファッションレッスンを始めました!
・たくさん持っているのに着るものがない、おしゃれに見えないと感じる方
・被服費を節約したい方
・簡単におしゃれに見える方法を知りたい方
・服の枚数を減らしたい方、
・過去の自分に決別したい方
こんな方々に最適です。

 これまでファッションレッスンを受けた方々の感想としては、
・毎日のスタイリングが楽になった。
・被服費が減った。
・いろいろ値上がりしている中、本当に助かっている。
・おしゃれな人認定された。
・もっと早く知っておけば被服費が節約できたのにと後悔。
などです。

 詳細はこちらにあります。



2022年8月19日金曜日

備えあれば憂いなし

被服費として使えるお金が少なくなると、
おのずとおしゃれに関する関心は薄れ、
だんだんどうでもよくなってくるのが人間の心理でしょう。

感覚として感じていたおしゃれに関する関心の低下は、
家計調査によって、被服費の大幅な減少という数字の上でも明らかにされています。
(一方、美容にかけるお金はふえています)

私は2010年よりファッションレッスンというオリジナルメソッドによるレッスンを教えています。
その中で、洋服はいつだって未来の自分が着るために買うものだから、
未来を想像して買ってください、
そして長もちする服と消耗品とをきちんと分けて、
長もちする服はお金をかけるようにしてください、
と伝えています。

それを実践してくださった生徒の皆さんに、今どんな状況か聞いてみました。
聞いてみた方全員、習ったときに買い方を変えておいてよかった、
長もちするものはクオリティが高く、長く着られるものを選んでおいたので、
今、新しいものを買えなくても大丈夫、おしゃれができるという答えをいただきました。

刹那的に、今そのときだけの気分で買っていると、
そのシーズンはいいけれども、結局捨てることになるものばかりがふえます。
また、同じような買い方が続けられなくなったとき、
いきなり着るものがなくなり、困ってしまいます。

だけれども、備えておけば大丈夫。
お金をたくさん使えないときでも、今あるものを使っておしゃれをすることは可能。
それにプラスして、リフォームしたりリメイクしたり、
シェアしたり、交換したりすれば、
お金をかけずとも、新しい気分も取り入れられます。

過去のやり方がよくなかったなら、
今からやり方を変えればいいだけ。

どんどん成長してサイズアウトしていく子供以外の人にとっては、
下着やカットソー以外の服は消耗品ではなく、耐久消費財。
それを消耗品として扱ったこと、
そしてその方法が最上だと信じたことがそもそもの間違いの原因です。
多くの人が服を消耗品として、そして情報として消費しました。
その結果もたらされたのが今の現状、
つまり、おしゃれがどうでもよくなった、
またはおしゃれができない大人がふえてしまったということです。
(まあ、その方法は既に破綻していたのに、誰も教えてくれなかったからやめられなかったわけなので、自分を責めないでもよし)

今からでも遅くないので、
将来に備えたお買い物の仕方に変えて、
備えがあるワードローブを構築しましょう。

備えておくべきなのは、裏切りではなく、将来にわたって信頼できるチーム、
そして、一生あなたの役に立つ基本的な知識と知恵と工夫です。

2022年5月29日日曜日

あなたが買えなくなったときは

日本語では、生活全般についてあらわすときに「衣食住」という言葉を使います。
衣は衣服の衣、
食は食べ物の食、
住は、家全体を含めた住環境の住です。

この言葉を聞くと、衣食住の中では衣服の衣が最も重要性があるように思えますが、
実際に、そんなことはありません。
たぶん多くの人にとって、衣は生活の中で最も大事なもの、価値があるもの、お金をかけるべきものではないでしょう。

生活に最低限必要なのは、衣や食だけではなく、水道やガス、電気といったエネルギー、
そして移動のためのガソリン代や交通にかかる費用などがあります。

食べるものや、水道や電気、ガス、そして交通費は削りたくても削れないものであり、
それなしには生きていけません。

生活費が家計を圧迫するとき、手っ取り早く削ることができるのは被服費でしょう。
理由は、赤ちゃんでもない限り、もう既にある程度の服、靴、バッグを持っているからです。

さて、私は今まで書籍その他を通じて、お金をかけないおしゃれの方法についてシェアしてきました。

具体的にできることは以下のとおりです。

・セカンドハンドや古着を買う。
・誰かと服、靴、バッグをシェアする。
・誰かと服を交換する。
・リメイクする。

さまざまなモノの値段が値上がり、
可処分所得がふえないのなら、私たちは何か対処しなければなりません。
しかもかなりの本気具合で。

ここで浮上してくるのが「買わない」という選択肢です。
誰かから借りる、交換する、リメイクするの3点がそれに当たります。

同じものをいつも着ていると飽きてしまうのは人間の性なので仕方ありません。
飽きるあなたを誰も責めることはできません。
以前はその飽きを新しく何か購入することで解消してきた人も多いでしょう。
しかし、それができなくなった今、ほかの方法を考える必要があります。

誰かから借りる、あるいは交換するためには、
それができる相手が必要になります。
多くは家族、あるいは仲のいい友達がその相手になり得るでしょう。
サイズや好みが同じで、シェア、あるいは交換できそうな相手がいる場合、
まずは自分から提案してみてはいかがでしょうか。

もう一つのリメイクは、例えば丈を短くする、あるいは何か付け足すなど、
いろいろ考えられますが、普段から縫物をしない方にとっては、
少々ハードルが高いものになります。
それでも、家庭科の時間を思い出して、できる範囲で何かしらしてみるのは価値があることです。
幸い、洋裁に必要な道具も、材料も通販で簡単に手に入りますから、
どうせ捨てるしかないものがあるのなら、
長袖を半袖にとか、ワンピースをスカートになど、
長かったものを短くする、のように、
簡単なリメイクを試してみるといいでしょう。
短くするだけなら、接着テープで貼るだけでもできるので、縫物が苦手でもできます。

そうする過程で、多くの人が気づくでしょう。
たくさんあるように見えた服なのに、
新しいものを買えなくなったとき、何も着るものがないと感じるようになるのか、と。

それは、新しさだけに価値がある、
生鮮食料品のようなものを買い続けてきたからです。
トマトやりんご、お刺身は数日たてば、腐って「食べられない」ものになります。
それと同じように、新しさだけに価値がある服、靴、バッグは、
ほんの半年、あるいは1年で、鮮度がなくなり、
気分的に「着られない」ものになります。

結局のところ、
最もお金がかからないのは、
長く着られるいいものです。

いいものとは素材、縫製、パターンがよく、
年月に耐えることができるデザインのものです。
それは雑誌に載っている「今年のマストアイテム」のように、新しさにだけ価値があるようなものではありません。

何回もの洗濯に耐え、
着ていてほつれることなく、中から見ても丁寧な始末がされていて、
着ていると、自分のスタイルがよくなったのかと錯覚するほどのパターンで、
もう何年も着ているのに古臭さを感じないデザインのもの、
そういうものを常日頃から探し出して、集めていくこと。
そういったあなたのチームのような服、靴、バッグがあれば、
買えない時期も乗り越えることができます。

いいものは、買う当初は少々お値段が高い可能性はありますが、
最終的には、こちらのほうがお金がかからないのは、
私が長年、観察をしてわかった結論です。
この結論は、それに気づいて何年もたった今でも変わりません。

同じ失敗を繰り返さないために今できるのは、
工夫をして、買えない時期を乗り越えつつ、
未来の自分のために、
 困ったときにあなたを助けてくれる、信頼できるバディのような、ワードローブを構築することです。

※お金をかけないでおしゃれをする詳しい方法については拙著『お金をかけずにシックなおしゃれ 21世紀のチープシック』KADOKAWAをごらんください。

2022年1月2日日曜日

チープシックを加速して

 『お金をかけずにシックなおしゃれ 21世紀のチープシック』(KADOKAWA)を出したのは2018年のこと。
この本はそれまで私が言ってきたことに加えて、お買い物の仕方についても言及したものでした。

2017年、2018年ごろは、まだまだチープシックを実践している人は少数派。
ワンシーズンにファストファッションのアイテムを何枚も買って、そのシーズンで捨てるという人もたくさんいました。

けれども、もうそんなことをやっている場合ではないでしょう。
2010年ごろから転げ落ちるように、日本の購買力は低下。
今では1970年代と変わらないほどになってしまいました。
それは、アメリカやヨーロッパへ旅行したり、海外通販で何か買おうとしたときに実感できると思います。

円安が進んだため、輸入に頼っている日本のアパレル製品も、これから値上がりしていくでしょう。
しかし実質賃金はこの30年間ほとんど上がっていません。

もう一つ、サステナビリティの問題があります。
世界的なパンデミックの期間を経て、サステナビリティに配慮した消費行動が強く意識されるようになりました。
気候変動に対する危機感も高まっています。
アパレル産業は気候変動へのインパクトが高い産業であり、企業のみならず、消費者の行動が問われるようになってきました。
(参照:BBC「ファストファッションの末路」こちら

では簡単にチープシック的な行動をまとめてみましょう。

1 less is more。いいものを少なく持ち、長く着る。
これがすべての基準です。人間の身体はひとつ、1日は24時間です。それほどたくさんの服、靴、バッグは必要ありません。着ているものだけでワードローブを満たす。
まずはここが出発点です。

2 古着、中古品を利用する。
いいものの値段が上がっています。定価で手に入れるのはますます困難になりました。
定価では買えなくても、古着や中古なら買えるものも多くあります。
何か新しく付け足すときには、古着や中古も探してみましょう。
サステナビリティの観点からも、これは重要です。

3 リメイク、リデザインする。
着られなくなったものは、どこかしらリメイク、リデザインできないか検討してみましょう。
ジュエリーをリメイクして使うのもいいでしょう。

4 シェアする。レンタルする。
自分が持っていないけれども、たまに着たいと思うものは誰かとシェアするか、借りましょう。
服やバッグも使ってこそ、その存在に意味があります。
使っていない誰かのものは、積極的に頼んで借りましょう。

5 長もちさせるために自分でメンテナンスする。
自分で洗えるものは洗いましょう。
また洗いすぎると、服は劣化するので、洗いすぎにも注意しましょう。
また最近では洗濯によるマイクロプラスチックの海への流出が大問題となっています。
マイクロプラスチックが出そうな素材については、あまり洗わない、洗濯ネットに入れるなど、洗い方に注意するようにしましょう。

6 要らなくなったら売れるものを買う。
買い物に失敗はつきものです。
しかし、失敗しても誰かが買ってくれるようなものを買っておけば、その打撃は最小限に抑えられます。
チープな大量生産品はセカンドハンドショップで大量に売れ残っています。
そういうものではなく、すぐに売れてしまうような、誰か欲しい人がいるものを買うようにして、要らなくなったら売りましょう。

7 ポリウレタンに注意。
消費期限が3年と言われているポリウレタン含有素材に注意しましょう。
目安は5%です。
5%を超えてくると、3年経過したころから劣化が目立つようになります。
劣化するとべたべたしてくるポリウレタンコーティングのバッグも注意です。
高価でもポリウレタン含有素材のものもあるので注意しましょう。

8 自分で作る。
自分で作ったものはそれだけで愛着があり、長く使うことになります。
作れる人はクリエイティビティを発揮して、何か手作りしましょう。

9 作家のもの、一点ものを買う。
作家のもの、または一点ものも大事にするものの一つです。
作家をサポートする意味もありますので、好きな作家がいたら、
その人の作品を買って、大事に使いましょう。

10 オーガニック、リサイクル素材を取り入れる。
オーガニックコットンや、健全に育てられた羊からとられる羊毛、またリサイクルポリエステルなど、環境に配慮して作られた素材をなるべく選ぶようにしましょう。
すべてオーガニックにするのはまだまだ難しい状況ですが、選べるならば、オーガニックやリサイクル繊維を選びましょう。

こんな感じでしょうか。

実は、安いからといって、ファストファッション製品を何枚も買うよりも、
いいものを少なく持って、長く着るほうがお金はかかりません。
目先の利益にとらわれて買い物をすると、結局損するのは自分です。

サステナブルな生産や消費の世界的な傾向は、もう止まりません。
チープシック的なお買い物は、同時にサステナビリティを配慮したものになります。

今までできていなかった人は、気づいたときがスタートです。
遅いということは全くありません。
そして、今までもチープシックを実践できていた人は、それを強化して。
オーガニック素材を取り入れたり、生産背景がわかるものを買うなど、
サステナビリティと倫理に配慮した買い物ができるようになりましょう。

あなたが世界に投げかけたものは、いずれあなたに戻ってきます。
人生を、そして世界をよりよくするためにも、
チープシックを加速させましょう。

※詳しく知りたい方は『お金をかけずにシックなおしゃれ 21世紀のチープシック』
小林直子 KADOKAWA をお読みください!

 

2021年9月19日日曜日

服、靴、バッグが片付かない理由

 服や靴、バッグが片付かないという方がまだまだいらっしゃいます。
いろいろな片付け方法を試してみた。それでもまだ片付かないとおっしゃる皆さん。

では、服や靴、バッグが片付かない理由はなんでしょうか?

それはいろいろな意味において、服、靴、バッグがその人自身のコントロールする能力を超えたからです。

まず、収納の問題。
どういうところに住んでいるかによって、どれぐらい収納できるかが変わってきます。
狭い都会のマンションに住む人もいれば、田舎の広い一軒家に住む人もいます。

狭ければ狭いなりの収納スペースしかないでしょう。
そのスペースに収納できる量を超えたら、もうそれはコントロールできていないということです。
入らないものができたとき、それは片付かない理由となるでしょう。

次に、案外見落とされているなと思うのが、
人のコントロールできるものの量についてです。
たくさんのものを管理できる人は少数です。

多くのものを管理し、コントロールするにはその人のエネルギーと時間が必要です。
能力はあっても、時間がないなら、やはりそれは無理になります。
服、靴、バッグが多ければ多いほど、管理することは難しくなり、
難しくなればなるほど片付きません。

もちろん人によって、管理して、コントロールできる量は違います。
けれども、ほとんどの人は少ない量であればあるほど管理しやすくなり、
その結果、片付けも簡単になります。

片付かない理由は、その人の管理、コントロールできる以上の量の服、靴、バッグを所持しているからです。

場所、そして人の管理能力、これらは両方とも限界があります。
場所、時間、エネルギー、すべて有限で、無限にあるものではありません。

そしてこの有限を超えれば超えるほど、片づけることは難しくなっていきます。

好き、嫌いといった感情だけで所持する量を決めるのではなく、
場所、時間、エネルギーといった物理的な問題について、
客観的に判断する必要があります。

狭い収納スペースしかないところに住んでいて、片づける時間もないのなら、
それに見合った少ない量のものを持つしかありません。

最初に所持できる限度の量を決めて、その範囲内に常におさめていることが重要です。

感情と欲望が、もっともっととあなたを急き立てるかもしれません。
そんなあなたを肯定的にとらえる人たちもたくさんいます。
けれども、理性的にならないでいたら、最終的に困るのは自分自身です。

無限の欲望の言うことだけを聞いていたら、時間もお金もかかります。
片付かない状態が毎日のストレスの原因になります。
その眼に見えないストレスが日々重なって、あなたはなんとなく不調を感じるようになるでしょう。

まずは客観的かつ理性的に自分の状態を判断しましょう。
そしてどれぐらいまでなら自分が管理、コントロールできるか見極めて。
今がうまくいっていないのなら、それは持ちすぎているという証拠です。
どこまでなら自分が管理、コントロールできるかわからないのなら、
全体量を減らしつつ、自分ができる量がどこまでなのか見つけましょう。

それがどこなのかを知っているのは自分だけです。

自分の管理、コントロールできる量がわかり、
すっかり片付いた暁には、あなたは心底安堵することでしょう。

限界を超えてたくさん持つことは、幸せにはつながらない。
もっともっととあおった人たちの嘘が、あなたにもきっとわかる日が来るでしょう。

 




2021年8月29日日曜日

好きと過剰

雑誌や、あるいはブランドのヴィジュアルでは、細部にわたって気を配った、
完ぺきなコーディネートが提示されます。
着ているものも、靴もバッグも、
アクセサリーや、そしてメイクはヘアスタイルも完璧で、
手を抜いているところはありません。

一方、私たちの日常生活において、すべてを完璧に整える機会は、
そう多くはないでしょう。
家で過ごしたり、仕事をしたりするときには、
アクセサリーやジュエリーはつけないかもしれませんし、
誰かに見られないのなら、なおさらのこと、
すべてを完璧にする必要性はありません。

このように必ずしも完璧に装う必要がないときに、意識せずともあらわれてくるのは、
その人の好き、つまり趣味嗜好でしょう。

誰でも好きなものに対しては過剰になるものです。

例えばTシャツが好きな人はTシャツが、
ジーンズが好きな人はジーンズが、
ピアスが好きな人にとってはピアスが重要な意味を持ち、
抜かしてはならないものになるとともに、
所持する数においても、過剰な傾向になるでしょう。

過剰があれば、その反対に不足気味のものもあるわけで、
Tシャツ好きは布帛のシャツについてはこだわりも薄く、枚数も少な目かもしれませんし、
ジーンズ好きはスカートのことなど念頭にないかもしれません。
またピアス好きに至っては、服よりもジュエリーのほうが重要かもしれません。

私が考えるに、これはごく普通のことであり、
全く問題のないことです。

雑誌やブランドの広告ヴィジュアルは彼らの目的のために完璧なルックを作っているのであって、それは私たちの目的とは違います。

私たちの目的はそれぞれ違うでしょう。
けれども、大方は、毎日が気分よく過ごせるように、
あるいは、快適に過ごせるようにと、
自分のポジティブな感情を維持するために身に着けるものを選んでいるのではないでしょうか。

自分の感情をポジティブに維持するのは自分の問題であり、
自分がその責任者です。
ですから、その責任を果たすためにも、好きなものについては多少、過剰気味であったとしても、誰からも文句を言われる筋合いはありません。

服好きはジュエリーにはそれほど興味がないかもしれないし、
靴好きは、服にはそれほど力を入れないかもしれません。

皆それぞれ何が好きかは違います。
そして自分の好きなことについて、誰かが強要することはできません。

自分の好きと過剰について、自分に許すということは、
その人が自分の感情についてきちんと責任をとるということです。

私たちの好きについては、私たち自身が任されました。
詳しい事情について知っているのも私たち自身です。
その事情は他人にはわかり得ないものです。

好きと過剰があなたのスタイルを作り上げます。

自分の好きと、その過剰さは大事にしましょう。
なぜなら、そういうものこそが、これから先もずっと、
私たちの気持ちに寄り添ってくれるものだからです。

 



2021年7月8日木曜日

大人こそ、セカンドハンドを取り入れて

 政府の家計調査によると、この20年間で被服費は約半分になっています。
また、服1枚の単価も2000年の約6000円から2019年の3202円とこれも半額程度になっています。
こちら

西洋の衣服というものは、大人になればなるほどクオリティの高いものを着るように設計されています。

2000年から2020年にかけて、誰でも大人になったでしょう。
そして中には、いい年の大人になった方も多いと思います。

しかし、20年前よりも半分程度になった被服費では、大人にふさわしい服は何かしら工夫を凝らさないと手に入れることはできません。

その工夫の一つはセカンドハンド(中古品)を取り入れることです。

セカンドハンド、その名のとおり、誰かの手に一度わたった中古品は現在、市場にあふれています。

ロードサイドのリサイクルショップ、駅ビルの中の古着屋、そしてメルカリを始めとするフリマアプリの利用により、以前にもまして中古品は身近なものになりました。

それだけではありません。セカンドハンドをワードローブに取り入れることは、世界のファッションの潮流にもなっています。

サステナビリティを意識した人たちは、当たり前のようにセカンドハンドを取り入れたルックを披露しています。
インスタグラムを見てみれば、「old celine」や「old prada」が散見され、それはむしろ誇れることになっています。

別にハイブランドのセカンドハンドを買う必要はありません。
けれども、もし好きなブランドがあるならば、メルカリを探してみてください。
セカンドハンドのものが安い値段で出品されているのがわかるでしょう。
また、数は少ないですが、街のリサイクルショップにも有名なブランドの中古品は売られています。

ただいいものを探しているのは皆同じです。
クオリティが高く、値段が安いものはすぐに売れてしまいます。
ですから、何か探しているのなら、定期的な検索が必要になりますし、
常に目星をつけておかなければなりません。

ある程度の年齢になったら、服は将来の財産になります。
年齢が上がれば上がるほど、ワードローブの新陳代謝もゆるやかなものになり、
今あるものを着ることになる人がほとんどです。

自分の好きなブランドのセカンドハンドを少しずつ買い足していけば、
立派なワードローブができ上がります。
それは将来、必ずや役に立ちます。

将来の財産となるようなセカンドハンドをぜひ探してみてください。
好きなブランドがあれば大丈夫です。
それについていけばよい。

ついていく相手を間違えると、簡単に迷子になります。
そこを間違えないようにして、将来にわたって着られる服を集めていきましょう。



2020年7月8日水曜日

本当に自慢できるもの

本当のおしゃれな人が何を自慢するか知っていますか?
最新のものでしょうか? 
違います。
ものすごく高価なものでしょうか?
それも違います。
たくさん持っているということでしょうか?
同じく違います。

本当におしゃれな人が自慢するのは、
どれだけ長くそれを着ているか、あるいは持ち続けているか、ということです。

なぜ長く着ている、あるいは持ち続けていることが自慢になるのでしょうか?
理由は2つあります。

まず1つは、それをとても大事に扱ってきたということ。
丁寧な洗濯とメンテナンスで汚れないように、
傷まないように長い間、着続けてきたということは、
ものを大切にするという精神のあらわれであり、
それだけでも自慢できることです。
20年、30年と1枚の服をメンテナンスして着続けることは、
なかなかできることではありません。

そしてもう一つは、
実はこれが最も重要なポイントなのですが、
その人がそれを買った当時から、目利きであったということです。
それは2つの意味で目が利いています。
一つは、自分がずっと好きでいられるものを見つけて手に入れたということ、
そしてもう一つは、
それが何年たってもすたれないクオリティとデザインであったと見抜いた、
ということです。

どんなに新しいものを買っても、
自分がずっと好きでいられないものであっては将来的に手放すことになるでしょう。
また、同様にどんなに高価なものを買っても、
2年もすれば、すたれたデザインになり、見るからに時代遅れになるものなら、
長く着続けることはできません。

本当におしゃれな人たちは、
自分の好みをよく知っています。
つまり、体型の癖や自分の趣味嗜好といった自分自身の特性をよく理解しています。
またそれだけではなく、よいものを見たり、さわったりする訓練を通して、
例えばヴィクトリア&アルバート美術館に飾ってある、
ディオールのニュールックのように、
50年以上たってもいまだに人々の心をとらえるデザインとはどんなものか、
深く理解し、美術館に飾られる前にそれを見抜く能力を持っています。

あたらしいものをたくさん買うことも、
高価なものを手に入れることも、
財力があれば簡単に解決できますが、
自分を知り、将来にわたって生き残るデザインを見抜く力は、
他人から借りることはできこそすれ、
財力があっても得ることはできませんし、
持っている人から奪うこともできません。

本当におしゃれな人が自慢するのは、
そのお金で買えない力なのです。

新しいものを買うときは、
それがどれぐらい長く着られるか、
モノとして、またデザインとして、
どれだけ長く持ち続けられるか考えてみるといいでしょう。
10年、20年、30年たってもデザイン的に優れているもの、
へたれないで着られるもの、
そんなものを集めましょう。
そうしてそれが集まった暁には、ちょっとだけ自慢しましょう。
「もう20年も着ているんだ!」という自慢話を聞いて嫌味を言うのは、
よほどの偏屈ぐらいなものです。
ほとんどの人は、あなたが10年、20年、30年と
素晴らしいクオリティとデザインを兼ね備えた服を持ち続けていると聞いて、
感嘆の声をあげるでしょう。






2020年4月2日木曜日

おしゃれな人は服を捨てない!

British Vogueの4月号からサステナビリティのエディターとして参加する
スーパーモデルのアンバー・ヴァレッタはこのように言っています。

〝 リデュース、リフォーム、リサイクル

ファッション業界は年間平均1000億着の服を生産していますが、地球上には77億人しかいません。消費量を減らしましょう:短期的なトレンドではなく、長期的なスタイルを求めて購入し、ダメージを補修し、ヴィンテージ品を購入しましょう。最後に、衣類をゴミ箱に捨てないことです。寄付をするか、指定された繊維リサイクルボックスを利用しましょう。”

原文こちら

これは今始まったことではありませんし、
アンバーだけが言っていることでもありません。
ステラ・マッカートニーを始めファッションの最先端にいる人たちが、
もう何年も前から同じことを繰り返し言っています。
3,4回着てそのシーズンのうちに捨てるようなやり方は、
おしゃれな人のやることではありません。

アンバーはこう言っています。
〝自分の選択がもたらす影響には、責任があります。私たちが購入するほとんどすべてのものには、環境面や人的側面のコストが隠れています。私たちの力は、財布に手を伸ばす前に、一度立ち止まることにあります。”

大量に買って大量に消費することは環境に負荷をかけ、
人権をおびやかします。
これは何年も前から明白な事実です。

本当におしゃれな人とは、そのことについて何も考えていない人ではありません。
そしてそのことについて考えているからには、
その考えがおのずと消費行動に反映されます。
本当におしゃれな人かどうかは、その人の行動としてあらわれます。

たくさん買って、どんどん捨てていく人は今の時代、
おしゃれな人ではありません。

おしゃれとは知的であることです。
自分の望みの結果を得られるように、
考えて、努力して、工夫して、
クリエイティビティを発揮することがおしゃれであることです。
傷んだものを補修するのも、
古着屋で自分にぴったりの1枚を見つけるのも、
あれこれ着崩してみたりするのも、
自分で考えて実行するなら、それはクリエイティブな行為です。

多くの人が勘違いしてきました。
けれども、もうそろそろ目覚めましょう。
わからなくなったら、アンバーやステラについていけばいいでしょう。

本当におしゃれになりたかったら、ついていく人を間違えないで。
間違った人についていってしまったと気づいたなら、
今から引き返してください。
大丈夫です。
「捨てない」チームは皆さまの参加を心から歓迎します!




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※メールにての個人的なご質問、ご相談は受け付けておりません。








2020年3月26日木曜日

買い物の失敗を繰り返さないためには

何もできない時期というものが人生には数回あります。
病気になったとき、失業したとき、
周囲の環境が騒然としているとき。

今はまさに、周囲の環境が騒然としているときで、
これから起こる未来のことについて、あれこれ楽しく想像することができないでしょう。

未来について考えることができないときは、
自分の過去について見直してみるのもいいのではないでしょうか。

新しく自分の望みのワードローブを作る方法は、
もう既にご紹介しました。
こちら
では過去は?
過去もう既に買ってしまったものはどうしたらいいのか。

真っ白なキャンバスに、買ったばかりの全色そろった絵具を使って
思い通りの絵を描くのは、
もう何か描かれているキャンバスに、全部そろったとは言えない道具を使って
何かを描くより、相当骨が折れる仕事です。
直すよりも、新しく作るほうが簡単な場合が多いのです。
ですから、自分の過去を見直す作業は、
新しく何かを作るよりも大変だと考えていいでしょう。

けれども、残念なことに、それなしでは新しくはなれません。
いつだって、過去を終わらせて清算しなければ、
本当の意味での新しい出発にはなりません。

では、過去の自分、つまりこれまでのワードローブについて、
今回は特に自分でも失敗と思えるような過去の買い物について
見直してみましょう。

世間一般に勧められているのは、
「捨てればいい」ということです。
過去の失敗については、要るか、要らないかだけ判断して、
捨てればいいと。
けれども、これではまた同じ失敗を繰り返してしまいます。
あなたの目的はなんでしょう?
同じサーキットをくるくる回り続けて、
同じポイントで前回と同じように転ぶことでしょうか?
もしそうでないと言うのなら、過去の失敗を振り返って、
修正する必要があります。

そのために、失敗したな、必要なかったなと思うアイテム一つ一つについて、
それによって得られたものと、失ったものについて考えてみてください。
人間の行動は、報酬が多いものへと促されます。
得られたものと、失ったもので、
失ったものがあまりに大きい場合、脳はその行動を回避しようとします。
つまり、失敗するような行動を避けるようになります。

例えば、雑誌に「お勧め」として書いてあったスカートを買ったけれども、
それは要らないもの、つまり失敗だったとします。
それによって得られたものはなんでしょうか?
買い物をしたときの快感? 新しいものを手に入れたという一瞬の喜び?
そんなもの?
では、失ったもの、失敗だと感じるものはなんでしょうか?
お金? 
買い物に使った時間?
誰かが褒めてくれるかもしれないという期待?
自分が持っている服とどうやって合わせていいかわからなくて考えているだけの時間?
そんなところでしょうか?

この作業は、少しだけあなたを嫌な気分にさせ、心を痛ませます。
けれども、 痛みや嫌な気分がなかったら、
あなたは危険を察知し、避けることができません。
危険と嫌悪をそのまま放置し、
ただ捨てているだけでは、次回もまた同じ過ちを犯すことになります。
それを避けたいのなら、あなたは十分に失敗の痛みを感じとる必要があります。

自分の買い物は失敗が多いなという人は、
この痛みを十分に感じ取ってください。
あなたの脳は次回、その痛みを回避するよう指示を出し、
あなたは違った行動をとるようになります。
そうして、それを繰り返せば繰り返すほど、
あなたの成功の確率は高まります。

失敗から学ばず、その痛みを放置すれば、
あなたはまた同じように無駄な浪費を繰り返すでしょう。
そうならないためにも、
人間にもとから備わっている痛みを感じるという
その機能を使って、失敗してはただ捨てるという、
永遠のループから抜け出しましょう。



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