100年前のスペイン風邪以来初めての、世界中を襲う新型コロナウィルスによる疫病によって、世界は様変わりしました。
外出自粛は余儀なくされ、人々の行動範囲はぐっと狭まり、仕事は自宅へ持ち込まれ、出会う人も限られたものになりました。
そうなってくると、おのずと着るものも変わってきます。
たくさんの華やいだお出かけは消失し、狭い範囲の中での繰り返しの日常の中で、より自分が快適でいられる服を欲するようになったことでしょう。
変化するのは着る側だけではありません。
着る側が変わるのと同時に、作る側も変化せざるを得なくなります。
多くのブランドでは処理しきれないほどの在庫を抱え、セール時期は早まるばかりではなく、セールをしても簡単には売れなくなります。
この変化に対応できないブランドや企業は市場から退場していくことになるでしょう。
しかしこれは必然のことです。
そもそもこうなる前に、アパレル製品は過剰に作られ過ぎていました。
この過剰生産の傾向が強まったのはファストファッションが流行り始めた2000年ごろからです。
今では全世界のアパレル生産量は1990年代の約二倍だと言われています。
しかし、全世界の人口が2倍にまで膨れ上がったわけではありませんから、どう考えても生産過剰なのです。
過剰になりすぎたものが淘汰されていくのは、必定と言うほかありません。
そしてこの増える在庫と捨てられた衣類の責任は、消費者側にもあります。
買う側が支持しなければ、こんなことにはなりませんでした。
さて、コロナ後の世界を見据えて、それでも何か買い足すとすれば、何がいいのでしょうか。
まずは、カルマの回収です。
つまり増えた在庫と捨てられた衣類を回収すること。そのためにも、古着やセカンドハンド品(中古品)を次に買うものの選択肢に入れましょう。
古着や中古品といっても、恐れることはありません。
今はクオリティの高い、特に中古品がたくさん出回っています。
そしてそれらは、今新しく売られているファストファッションの商品よりも、デザイン、品質とも高いものも多いのです。
それらを選べば、ファストファッションよりも安価で、クオリティも高く、長き着られるものを手に入れることができます。
次にお勧めなのは、機能性の高いスポーツウエア及びアウトドアウエアです。
スポーツウエア及びアウトドアウエアのよいところは、そのデザインがほとんど変わらない、ということです。
変わるのは大きいものを着たらいいか、小さいものを着たらいいかという、そのときのはやりのシルエットのみ。
デザインのデティールはほとんど変化がありません。
フーディーはいつでもフーディーであり、ポロシャツはいつでも同じポロシャツです。
スポーツウエアやアウトドアウエアは機能性が高い素材のものが多いので、台風や大雪、または真夏の暑さにも対応できます。
また、スポーツウエアやアウトドアウエアは、その機能によりデザインされているため、着る人の性別や年齢を選びません。
それだけではなく、これは私の予想ですが、スポーツウエアやアウトドアウエアを日常着として着るというトレンドは、今後10年以上は続きます。
田舎の生活者だけではなく、都会の生活者にとっても、スポーツウエアやアウトドアウエアのテイストを取り込むことが、今後10年続くファッショナブルなことであるのです。
デザイン的にすたれることが少なく、長もちし、機能性が高くファッショナブルであるというスポーツウエアやアウトドアウエアはこれから買い足すアイテムとして一番のお勧めです。
皮肉なことに、これだけ利点のあるスポーツウエアやアウトドアウエアですが、消費者にリーチする能力が低いため、有名なノースフェイスやパタゴニア等を除いては、汎用性の高いいいデザインやいいブランドがあまり知られていないという現状があります。
※ちなみに、私が最近いいと思ったブランドは以下のとおりです。
ヘリーハンセン、コロンビアブラックレーベル、チャンピオンブラックエディション、
ミズノスポーツスタイル、オニツカタイガー(ウエアを含む)、リーボックコラボレーションコレクション
最後にお勧めなのはクオリティが高く、サステナビリティに配慮され、かつ長もちするものです。
皆さんはメルカリをご覧になったことがあるでしょうか。
クオリティが高い商品は、それが10年前のものであっても高値で取引されています。
例を挙げるとしたら、エディ・スリマン時代のサンローランは、今から10年近く前のものであっても、いまだに高値で売られています。
確かに最初に買うときは高いでしょう。けれども、もともとクオリティが高いものであったら、売ることができますし、欲しいと思う人がいます。
例えばアンダーウエアのような、完全に最後までだめになるまで着るとわかっているもの以外は、なるべくクオリティの高いものを買って、ぼろぼろになるまで着るか、要らなくなったら捨てるのではなく売るという選択をしましょう。
以上が、ポストコロナへ向けてお勧めのものとなりますが、消耗品でないものについては、ポリウレタンの含有率に注意してください。
ポリウレタンが10パーセントも含まれるものは、いくら高いものであったとしても、長もちしません。
ただ現在、完全にポリウレタンを避けるのは難しいので、私の場合は、3パーセントまでは許容範囲にしています。
まだまだ収束がいつになるかわからない新型コロナウィルス感染症ですが、
これが終わった後も人生は続き、私たちは服を着ます。
世界がよりよくなるためにも、自分ができるいい選択をしていきましょう。