婦人服の領域にメンズウエアがどんどん取り入れられ、
同時にカジュアル化が進んだ結果、
「女性らしさ」を表現する服を着る人が少なくなりました。
では、そもそも洋服において「女性らしさ」の表現とはどんなものなのでしょうか。
まず多くの人が思いつくフリルやレース、刺繍についてです。
ブルボン朝のルイ14世の衣装を見ればわかるように、
豪華な刺繍もフリルもレースも、そしてタイツやヒール靴でさえ、
男性が着用しています。
ではスカートはどうでしょうか。
スコットランドの民族衣装のキルトは、スカートと形状はほぼ同じで、
現在でも男性が着用しています。
では色で女性らしさを表現することは可能でしょうか。
今でこそ、パステルカラーの薄いピンクや水色は女性らしいと言われるものですが、
ロココ調の画家、ジャン・アントワーヌ・ヴァトーの絵画を見れば、
男性でも薄いピンクや水色の衣装を着ているとわかります。
要するに、細部や装飾、色は特別、女性らしいものではないのです。
それでもなお残る、西洋の衣服における「女性らしさ」の表現とは何なのでしょうか。
中世後期以降では、18世紀のエンパイアドレス、また19世紀以降の若干のストレートなドレスの流行を除き、
それは細いウエストです。
一時期はコルセットによって表現された細いウエストは、
コルセットをしなくなった現在でも、女性らしさの表現として使われます。
モノとしてのコルセットをつける機会は激減しましたが、
意識の上でのコルセットは、それが目に見えないとしても、存在しています。
なぜなら、洋服の歴史において、死守したい女性らしさとはウエストの細さだからです。
しかしそうはいっても、現代においてそれだけが女性らしさではないでしょう。
ざっくり考えれば、それは「ほとんどの男性が基本的に着用しないもの」と考えていいでしょう。
幾らスコットランドの男性がキルトをはくとはいえ、
ほかの地域でスカートをはく男性は少数派です。
また、現代の男性がフリルやレース、刺繍が使われた服を好んで着用するかといったら、
そんなことはありません。
ヒール靴も、ロックスターでもなければはくことはなし。
そんなふうにして、男性が着用しないものをどんどん排除していけば、
それで「女性らしさ」の表現はでき上がります。
その上で、細いウエストを付け足せば、間違いなく女性らしいスタイルは完成するでしょう。
大きく開いたデコルテの、ウエストがきゅっと絞られたドレスを着用するのは、
それを着る人が女であっても、男であっても、
女性らしさを表現したいときに限られて、その反対ではありません。
婦人服の歴史におけるメンズウエアの取り入れは、
着るものの選択肢の幅を広げ、自由を獲得するためのものでした。
しかしそれは決して、女性らしさの否定ではありません。
重要なのは、自分の意思でどちらでも選べるということ。
フェミニンにしたいときはフェミニンに、
マスキュリンな気分のときはマスキュリンに、
気分やシチュエーションによって着分けることができること。
そしてそれが選択可能なこと。
そのことが何よりも重要です。
この選択肢の自由は、
歴史の中で獲得してきたものでした。
ズボンをはくことを禁止された時代も、
女性らしい服装をすることを禁止された時代もありました。
選択の自由を謳歌しつつ、
それを手放さないようにすること。
それがきっと、今を生きる私たちがやらなければならない、
そしてやり続けなければならないことでしょう。
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