「クローゼットの見直しを」のコラムでは、
題名どおり、現在あるワードローブの点検、見直しを提案しました。
その中で、ワードローブのうちの大半は、
ほとんど着ていないという話を書きました。
ほとんど着ないようなものを買ってしまったということは、
つまり、失敗です。
ほとんど着ない服の数は、いわば負けの回数です。
しかし、失敗も悪くはありません。
失敗したのなら、そこから何かを学び、次は失敗しなければいいだけです。
では、失敗しないためにはどうしたらいいでしょうか。
クローゼットを見直しし、
現在持っているワードローブの全体像を把握したのなら、
何が必要なのか、わかるはずですなのですが、
実は、本当に必要なものが何なのかは、
多くの人が理解していません。
理解していないから、本当は必要でないものを買い足します。
その繰り返しにより、死蔵ワードローブができ上がります。
本当に必要なものとは、
クローゼットにかけられているだけではなく、
実際に着るもの、そしてその回数がそこそこ多いものです。
着る機会が多ければ、それは適度に劣化して、
やがて納得のいく形で捨てることができます。
服の一生を考えたとき、
デザインされて、生産されて、店頭に並んで、
買われて、誰かのクローゼットに入り、
何回も着られて、
擦り切れて、汚れて、破れて、
そして役目を果たして終わっていく、
このサイクルが確立すれば、問題はありません。
しかし、多くの服は、クローゼットに入り、
数回着てそのままそこに、という状態でサイクルを止めています。
そうではなくて、その先のサイクルまで進むもの、
何回も着て、納得いく形で捨てられるものが、本当に必要な買い足すべきアイテムです。
ここでは、クローゼットの整理が終わって、
全体を把握している状態であるという前提でお話しします。
まず、全体を把握したら、ワードローブ全体の構成のバランスを確認します。
枚数についての基本の考え方は、多い順に、
トップス(インナー)、
ボトムス、
ジャケット類、
コート類、
となります。
このバランスが崩れると、おのずと死蔵品がふえていきます。
たとえば、ジャケットを30枚持っていたとしても、
それらは万遍なくは着ていないはずです。
ジャケットは毎日取り換えるのに、インナーがいつも同じということもあり得ません。
そうして、あまり着なかったジャケットは、捨てるに捨てられず、
年がたつにつれて、どことなく時代遅れのシルエットとなり、
どうにもならない存在になります。
まずは、全体のアイテムの構成比率を整えましょう。
次に色です。
クローゼットを整理する際に、色別に分けるよう書きました。
色別に分ける理由は、コーディネイトを簡単にするためです。
3色ルールを実施するためにも、
色をそろえておくことは必須です。
色がそろったら、次はその中で何が足りないかを見てみます。
いつでも簡単にコーディネートを完成させるためには、
自分のいつも着る基本の色で、1色だけのコーディネートができるように、
アイテムをそろえておく必要があります。
たとえば、紺だったら、
紺のコートやジャケット、
紺のインナー(Tシャツ、シャツ、セーター)、
紺のボトム(パンツ、スカート)をそろえておき、
1色でコーディネートできるようにしておきます。
こうしておけば、インナーをほかの色に取り変えるだけで2色コーディネートに、
小物にさし色を足すだけで3色コーディネートになります。
自分の基本色が2色、3色とあるなら、その色の分だけアイテムをそろえます。
黒なら黒だけ、白なら白だけ、グレーならグレーだけでひとそろえを作ればいいということです。
また、自分が決めたさし色に使う色についても、
アイテムをそろえます。
赤をさし色にすると決めているのなら、
赤いバッグ、赤い靴、赤い靴下やタイツ、赤いストールなど、そろえます。
構成比を整えて、
1色コーディネートができるようにアイテムをそろえ、
さし色で小物を統一させる、
ここまでチェックの第一段階です。
ここで欠けているものが、次に買い足すべきものになります。
では、最後に最も重要なポイントです。
次に買い足すべきものは、
いつでも、どんな状況でも、
自分が最も好きなものであるべきです。
クローゼットを見直したときの状況を思いだしてみてください。
ほとんど着ていないものとは、
結局、たいして好きでもない、どうでもいいものではないでしょうか。
それに比べて、いつも着ているものとは、
とにかく自分が好きなもの、
着ていて心地いいもの、
自分らしいと感じられるものではなかったですか。
もちろん、予算もありますし、必要なものというのもあります。
それでもなお、もう二度と失敗したくないのなら、
自分が最も好きと思えるもの以外は、買うべきではありません。
失敗の理由は、その中途半端な好意です。
もう中途半端な好きなものを買い続けるのはやめましょう。
ほとんど着なかった服たちが、それは失敗なのだと教えてくれたはず。
本当に好きなものがなかったら、出会うまで我慢して、
今持っているものを使って、何とかしのぎましょう。
本当に好きなものとは、いつもなぜか着てしまう、
着用回数の多い、その服です。
それ以外は、すべてどうでもいいもの。
どうでもいいものを寄せ集めて作った、
つぎはぎだらけのワードローブは、もう要りません。
端から端まですべて大好きなものだけで、
クローゼットを埋めましょう。
不思議なことに、
中途半端に好きになったものは、
自分でいろいろ理屈を考えて、頭で好きになったものだけれども、
本当に好きになったものは、理屈などなく、
心が選んだものです。
心が選んだものは、自分が選んだというよりは、
選ばされたもの。
心はそれしか選べない。
それは自分の頭脳を超えて、
もっと違うところからの呼びかけにハートがこたえて選んだものです。
そんなものだけが並んだクローゼットなら、
もう二度と死蔵品は出ないはず。
選んだものではなく、
選ばされたもの。
それを貫き通せば、クローゼットをあけるたびにうれしくなります。
なぜならそれはすべてが生きているワードローブだから。
生きているワードローブと一緒に生きていけば、
それだけでハッピーになるでしょう。
★ こちらのブログ及びメールにて個人的なファッションのご相談、ご質問は受け付けておりません。