経済のグローバリゼーションが全世界に広がった結果、
企業は同じものを作るのなら、
より安い人件費を求めて世界じゅうを探し続けました。
その結果、勝ち残ったのは、もっとも安くモノを作れる企業であり、
これといって、付加価値やオリジナリティを付け加えられなかった、
その「同じもの」を作った企業は淘汰されていきました。
これは1つの競争の原理です。
同じように、ファッションでも、同じものを身につけたら、
そこに競争が生まれます。
例えば、10人が集まって、
その集まった10人すべてが一粒ダイヤモンドのペンダントをしていたのなら、
そこに競争が生まれます。
その競争で勝つのは、
より大きく、より高価なものを持つ者です。
例えば、10人が集まって、
すべての人が白いTシャツにジーンズであったなら、
比べられるのは、それを着る肉体です。
より若い者、よりスタイルのいい者の価値が高まります。
その両方を兼ね備えているのなら、
その者が勝者です。
誰もはっきり言いませんが、
同じものを身につけて並んだ瞬間に、
暗黙の競争が始まります。
競争させたければ、同じものを身につけさせればいいのです。
人は黙っていても、勝手に競争し始めます。
その原理を利用したのが制服です。
同じものを身につけることにより、
人は、何かほかのもので差をつけ、勝者を目指すか、
もしくは、何かするのをあきらめ脱落します。
しかし、その同じものを脱ぎすててしまえば、
その競争が、あまりにも無意味であったことに気づきます。
高価なダイヤモンドを身につけていたからといったって、
人生がよくなるわけではありません。
若さやスタイルは一時だけのものであり、
それだけに価値を見出すのなら、
見出したその本人が、いつかそれを失う恐怖に陥ります。
競争は、はかないです。
抜けてしまえば、その不毛に気づきます。
そして、そのはかなさ、ばかばかしさ、無意味さ、不毛さから抜け出した後のほうが、
より生き生きとしている自分を作れます。
本当に強い者は、誰かと競争する必要がありません。
そこに意味を見出さなかったら、
いつまでも自由でいられます。
ファッション業界は、何度も、巧妙に、
人々をこの不毛な競争に参加させるよう仕向けてきます。
のったら最後、一人を残してすべての人が負けです。
勝つのは一番お金のある者、
もしくは、若くスタイルのいい者です。
初めから、その勝ち目のないレースに参加しなければいいのです。
いつでもよりお金持ちがあらわれます。
いつでもより若い人が生まれてきます。
ファッションとは、自由で強いものではなかったでしょうか。
競争を鼻で笑う心意気のある者たちのものではなかったでしょうか。
制服はコスプレや作業のためだけで、
多様性や個性、オリジナリティを認めるためにあるものではなかったでしょうか。
同じもので競争してはいけません。
レースに誘われても、参加してはいけません。
彼らがあなたに与えたいのは敗北感と屈辱感という、
苦い褒美です。
なぜなら、それを与えられたものは、
より渇望感を抱き、意味のない消費へとかられるからです。
苦みと甘さを巧みに操れば、
必要もなく、似合いもしないドレスを人は喜んで買うということを、
彼らは知っているからです。
重要なのはオリジナリティと多様性を認めること、
雑誌のモデルのスタイルがすべての人の理想ではないということを知ることです。
同じものを買うように誘う言葉に注意してください。
彼らの本性は、消費者心理の知識を持った、
単に売りたいだけの詐欺師です。
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