あなたが毎日チェックする、
その人の社会的なつながりに関するサービスにアップされた、
あなたが素敵だと一瞬思ったドレスは、
まるでうたかたのドレスです。
あなたが毎日チェックするその人は、
いったいそのドレスを過去に何度着ていたのでしょうか?
たぶん着ていたことがなかったか、
あっても1度、もしくは2度程度。
それが素敵に見えたのは、
あなたが初めて見たものだから、
あなたにはよく見えないから、
あなたにはさわれないから。
あなたが今どうしてもそれを欲しくなってしまうのは、
あなたには手が届きそうにないから、
あなたには着られないだろうから、
あなたはきっと、見ているだけだろうから。
明日も、相も変わらずに。
そんな泡沫のドレスに、あなたは毎夜、悩まされ続けます。
もしかして手に入れることができるかもしれないと、
そのための算段をいろいろ考え始めます。
そのため、思いあまって、
「そのドレス、どこのブランドのものですか?」などと、
ほとんど返事がもらえる可能性のない質問を、
自分の名前を隠して、その人にはわからないような小さな隠喩で作られた名前で、
聞いてしまったりするでしょう。
そんなことを聞いて、万が一、返事があったとしても、
あなたはそれを手に入れるわけではないのです。
ただそのドレスを自分が着てみる可能性を、
数秒ほど考えてみただけ。
その数秒を、いらぬ空想に奪われただけ。
そんな繰り返しの毎日は、あなたを幸せにしたでしょうか?
あなたはそのうたかたのドレスを見るたびに、
あの、得も言われぬ、宇宙に偏在する愛のネットワークに触れる、
そんな感覚を得られたでしょうか。
得られると言うのなら、それを続ければよいでしょう。
うたかたのドレスを夢見続ければいいでしょう。
けれども、もしそうでないと言うのなら、
そんなうたかたのドレスに恋するのはやめることです。
あなたを幸せにするドレスは、そんなところには存在しないのです。
それはもっと身近な、
触れられるところにあるのです。
少なくとも確実に返事があるような、そんなところに。
幸せになりたいのなら、
泡のようにはかなく消えない、あなたの手に届くドレスを選んでください。
そしてそのドレスを着て、空想ではない、実在の道を歩いてみること。
そのドレスの素肌に触れる感触こそがあなたを幸せにするものだと、
きっとあなたは気付くでしょう。