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2014年8月25日月曜日

ワードローブに何を付け足すか

「クローゼットの見直しを」のコラムでは、
題名どおり、現在あるワードローブの点検、見直しを提案しました。
その中で、ワードローブのうちの大半は、
ほとんど着ていないという話を書きました。
ほとんど着ないようなものを買ってしまったということは、
つまり、失敗です。
ほとんど着ない服の数は、いわば負けの回数です。
しかし、失敗も悪くはありません。
失敗したのなら、そこから何かを学び、次は失敗しなければいいだけです。
では、失敗しないためにはどうしたらいいでしょうか。

クローゼットを見直しし、
現在持っているワードローブの全体像を把握したのなら、
何が必要なのか、わかるはずですなのですが、
実は、本当に必要なものが何なのかは、
多くの人が理解していません。
理解していないから、本当は必要でないものを買い足します。
その繰り返しにより、死蔵ワードローブができ上がります。

本当に必要なものとは、
クローゼットにかけられているだけではなく、
実際に着るもの、そしてその回数がそこそこ多いものです。
着る機会が多ければ、それは適度に劣化して、
やがて納得のいく形で捨てることができます。
服の一生を考えたとき、
デザインされて、生産されて、店頭に並んで、
買われて、誰かのクローゼットに入り、
何回も着られて、
擦り切れて、汚れて、破れて、
そして役目を果たして終わっていく、
このサイクルが確立すれば、問題はありません。
しかし、多くの服は、クローゼットに入り、
数回着てそのままそこに、という状態でサイクルを止めています。
そうではなくて、その先のサイクルまで進むもの、
何回も着て、納得いく形で捨てられるものが、本当に必要な買い足すべきアイテムです。

ここでは、クローゼットの整理が終わって、
全体を把握している状態であるという前提でお話しします。

まず、全体を把握したら、ワードローブ全体の構成のバランスを確認します。
枚数についての基本の考え方は、多い順に、
トップス(インナー)、
ボトムス、
ジャケット類、
コート類、
となります。
このバランスが崩れると、おのずと死蔵品がふえていきます。
たとえば、ジャケットを30枚持っていたとしても、
それらは万遍なくは着ていないはずです。
ジャケットは毎日取り換えるのに、インナーがいつも同じということもあり得ません。
そうして、あまり着なかったジャケットは、捨てるに捨てられず、
年がたつにつれて、どことなく時代遅れのシルエットとなり、
どうにもならない存在になります。
まずは、全体のアイテムの構成比率を整えましょう。

次に色です。
クローゼットを整理する際に、色別に分けるよう書きました。
色別に分ける理由は、コーディネイトを簡単にするためです。
3色ルールを実施するためにも、
色をそろえておくことは必須です。
色がそろったら、次はその中で何が足りないかを見てみます。
いつでも簡単にコーディネートを完成させるためには、
自分のいつも着る基本の色で、1色だけのコーディネートができるように、
アイテムをそろえておく必要があります。
たとえば、紺だったら、
紺のコートやジャケット、
紺のインナー(Tシャツ、シャツ、セーター)、
紺のボトム(パンツ、スカート)をそろえておき、
1色でコーディネートできるようにしておきます。
こうしておけば、インナーをほかの色に取り変えるだけで2色コーディネートに、
小物にさし色を足すだけで3色コーディネートになります。
自分の基本色が2色、3色とあるなら、その色の分だけアイテムをそろえます。
黒なら黒だけ、白なら白だけ、グレーならグレーだけでひとそろえを作ればいいということです。

また、自分が決めたさし色に使う色についても、
アイテムをそろえます。
赤をさし色にすると決めているのなら、
赤いバッグ、赤い靴、赤い靴下やタイツ、赤いストールなど、そろえます。

構成比を整えて、
1色コーディネートができるようにアイテムをそろえ、
さし色で小物を統一させる、
ここまでチェックの第一段階です。
ここで欠けているものが、次に買い足すべきものになります。

では、最後に最も重要なポイントです。
次に買い足すべきものは、
いつでも、どんな状況でも、
自分が最も好きなものであるべきです。
クローゼットを見直したときの状況を思いだしてみてください。
ほとんど着ていないものとは、
結局、たいして好きでもない、どうでもいいものではないでしょうか。
それに比べて、いつも着ているものとは、
とにかく自分が好きなもの、
着ていて心地いいもの、
自分らしいと感じられるものではなかったですか。

もちろん、予算もありますし、必要なものというのもあります。
それでもなお、もう二度と失敗したくないのなら、
自分が最も好きと思えるもの以外は、買うべきではありません。
失敗の理由は、その中途半端な好意です。

もう中途半端な好きなものを買い続けるのはやめましょう。
ほとんど着なかった服たちが、それは失敗なのだと教えてくれたはず。
本当に好きなものがなかったら、出会うまで我慢して、
今持っているものを使って、何とかしのぎましょう。
本当に好きなものとは、いつもなぜか着てしまう、
着用回数の多い、その服です。
それ以外は、すべてどうでもいいもの。

どうでもいいものを寄せ集めて作った、
つぎはぎだらけのワードローブは、もう要りません。
端から端まですべて大好きなものだけで、
クローゼットを埋めましょう。

不思議なことに、
中途半端に好きになったものは、
自分でいろいろ理屈を考えて、頭で好きになったものだけれども、
本当に好きになったものは、理屈などなく、
心が選んだものです。
心が選んだものは、自分が選んだというよりは、
選ばされたもの。
心はそれしか選べない。
それは自分の頭脳を超えて、
もっと違うところからの呼びかけにハートがこたえて選んだものです。
そんなものだけが並んだクローゼットなら、
もう二度と死蔵品は出ないはず。
選んだものではなく、
選ばされたもの。
それを貫き通せば、クローゼットをあけるたびにうれしくなります。
なぜならそれはすべてが生きているワードローブだから。
生きているワードローブと一緒に生きていけば、
それだけでハッピーになるはずです。


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2014年8月18日月曜日

コスト意識を持って服を買う

不景気です。
しかも、状況はよい方向へは向かっていません。
そんな中、何でも好きに買える人は少数派です。
ほとんどの人はそんな状況にないはず。
服の値段なんて気にしないで、
思いつき、ひとめぼれで服を買う時代は終わりました。
それぞれが、それぞれの基準でコスト意識を持たなければなりません。

まず、これは基本ですが、被服費の年間予算を立てましょう。
話を聞いていると、家計簿をつけていない人も数多くいます。
せめて、被服費に関してだけでも予算を立てて、
1年間、幾ら使っていいか、そして何に幾ら使ったのか、帳簿をつけましょう。

予算を立てるということは、その前に年間の購買計画が必要になります。
今年は何を買うのか、コートなのか、ジャケットなのか、
それともバッグなのか、消耗品は年間でどれぐらいかけるのか、
大枠を決めて、それに沿ってお金を使います。
コートやバッグは、思いつきで買うようなものではありませんから、
1年間を通して、探しつつ、吟味していけば、納得のいく、
失敗の少ない買い物になるでしょう。

消耗品のようなTシャツからコートまで、
被服費には価格にかなりの幅があります。
価格の低いものは、大量に購入しなければ、
それほど価格を気にする必要はありませんが、
高額なコートやバッグなどは、慎重にならざるを得ません。
そんなとき、目安になる考え方を紹介します。

まず1つ目。
減価償却の考え方で、そのアイテムを買ったら、1度着るたびにコストとしてはいくらになるか計算してみます。
たとえば、10万円のコートを5年間着る予定として、年間このコートを20回着るなら、
1回につき1000円です。
この1000円という額をどう判断するかは、それぞれの価値観によります。
その1000円を、11月から3月、平均1カ月に4回、コートを着ることに使うのか、
ケーキとお茶に使うのか、本を買うのか、それぞれ考え方が違うでしょう。

次にそれをクリアしたら、
もし、その高額なアイテムがいらなくなったら、
リサイクルショップで買い取ってもらえるか考えます。
リサイクルショップの査定はシビアです。
どんなに高額でも、人気のない、無名ブランドのジャケットなど、
二束三文でしか引き取ってくれません。
また、高額な真珠のネックレスも、1度誰かの手に渡ったら、
質屋では買い取ってさえくれません。
 ファッション・アイテムには、ほかのものとは違う価値観があって、
1年前の本物の真珠より、10年前のイミテーションのシャネルのパールのネックレスのほうが、価値が高いのです。
要らなくなったとき、リサイクル・ショップで納得のいく値段で買い取ってもらえるか、これは1つの指標です。

そして最後に、それを買うのと同じ額を稼ぐのにどれだけ労働したか考えます。
そして、それはその労働に見合うものか。
これこそ、人によって全く違います。
その判断は、それぞれが、それぞれの胸のうちに聞くしかありません。

これは私が考えた3つのクリアすべき項目ですが、
ほかにもまだ考えられる指標があるかもしれません。
とにかく、自分なりの判断基準を設定して、
それをクリアしたなら、高額なものを買う許可を自分に出しましょう。

予算を立てて、
自分なりの判断基準を持って、
あとは買い方です。
相変わらず、服や、その他のファッション・アイテムの
市場における需要と供給のバランスは、
完全なる供給過多です。
売りだされたその時点での価格の半分は、
「新しさ」の値段です。
しかも、その「新しさ」はせいぜい3カ月から半年のもの。
その「新しさ」が欲しい、必要なら、それを買えばよいですが、
そうでない場合、「新しさ」は必要ありません。
優れたデザインのものは、3カ月や半年で腐ったり、
劣化するものではありません。
売り切れてなくなるものは、ほんのわずかです。
多くのものは、半年たってもまだ、余っています。
それが今の現実です。
コレクションで発表されたものと同じドレスも、
1年半もたてば、3分の1の価格まで落ちます。

ワードローブを賢く構築して、
予算を立て、コスト意識を持って買い物すれば、
被服費の無駄はなくなります。
着ないものは、その結果、買えないか、
買わないか、そのどちらかになります。

私たちが削るべきでない出費は、ほかにたくさんあります。
命にかかわるものは、削るべきではありません。
服のために、命が削られるのなら、
それはおかしい。

これまで服を買う基準は、
かわいい、欲しいなど、
感情と欲望からなされたものでした。
しかし、これからは、
そのときだけの感情、欲望の言うままではなく、
もっと遠くから、全体を把握する、
思考の力が必要です。

もちろん時代は変わります。
この不景気も、いつかは終わるでしょう。
しかしそれまで、とにかく私たちは、
自分の欲望から自分を守らなければなりません。

コスト意識を持って服を買うことは、
そのための1つの方法です。
それは、自分を守るためにもっとも適した、
そして、もっとも賢い方法です。
欲望は黙るでしょう。
その結果、あなたは欲望との戦いに勝ち、
そして助かるでしょう。


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2014年8月4日月曜日

リゾートのシーンでの衣装

ある程度の長いお休みがとれたなら、
どこかリゾートへ旅行する方も多いだろうと思います。
リゾートであるからには、普段の日常の見慣れた風景とは違う場所に立つことになります。
つまり、シーンがいつもとは違うのです。
シナリオ風に書けば、こんなふうになります。

○夏の海辺のリゾート地・海に面したバルコニーのあるホテルのロビー・午後
   白い壁のロビー。
   南国らしい色鮮やかな花が飾ってある。
   夏らしいドレスで着飾った女性やジャケットを着た男性が談笑している。
   華やかな雰囲気。
   あけ放たれたドアから、ボストンバッグを持った主人公が入ってくる。

さて、このシーンをイメージできるでしょうか。
これは、たとえば海辺のリゾートですが、高原の場合も、湖のほとりの場合もあります。
そして訪れるのは少し高級なホテルの場合もあれば、山小屋や民宿の場合もあります。
とにかく背景が違います。
背景が変わってくると、似合う衣装も変わります。
リゾートでの衣装を考えるときに必要なのは、その背景に似合う衣装を選ぶということです。

まず、海か山かで違います。
ホテルならヒールのサンダルが似合いますが、
気軽な民宿ならビーチサンダルが似合います。
山小屋だったら、登山用のウエアですし、
高原のホテルだったら、日差しを避けるためのつば広の麦わら帽子が似合います。

考慮するのは、風景だけではありません。
ほかの登場人物とのバランスも大切です。
高級なホテルに、Tシャツ、ショートパンツ、ビーチサンダルでチェックインしたら、
それはやはり似合いません。
夏の緑の美しい高原のホテルに、黒ずくめで入っていくのも似合いません。
まわりの人たちが、きれいな格好で来るようなところでしたら、
やはりそれに合わせる必要がありますし、
もっとくだけた民宿のような、夏の普段着の延長でも大丈夫なところでしたら、
それに合わせたほうがやはりよいです。

合わせるのはまず色合い。
そしてスタイルです。

色もスタイルも、自分の顔やスタイルに合うかどうかだけで決めるのではありません。
もっと引いて見るのです。
1枚の写真のように、
ドラマの1シーンのように、
鏡の中だけではなく、もっと大きな絵の中で、
想像力を働かせて、これから行くシーンの中で、
主人公が何色の、どんなスタイルだったら引き立つのか、
それを考えます。

夕食はどこでとるのか。
ホテル内のレストランだったら、和食なのか、洋食なのか、
どんなインテリアで、どんな照明なのか、
ほかにはどんな人が食事をしているのか、
キャンプ場に行ったなら、どんなスタイルで、どんな食事をするのかと、
すべて想像してみます。
そして、その中で似合う色とスタイルは何なのか、
自分なりに考えてみます。

ここで気にするべきなのは他人の目ではありません。
1枚の写真を撮るときのフォトグラファーの視点、
またはドラマの1シーンを撮るときの映画監督の視点を持った、
自分の目です。

服を買うときは、それは近視眼的に選んだほうがいい。
けれども、いつもとは違う背景に身を置くときは、
もっと引いた視点を持つといいのです。
そうなると、重要なのは、それがどこのブランド品か、
そのパールは本物か偽者か、ということではありません。
あくまでも、その大きな絵の中にふさわしいかどうかということのほうが重要です。
誰も近くに寄ってきて、あなたの服やジュエリーをしげしげと品定めする人はいません。
リゾートで出会うのは、毎日顔を見る相手ではありませんから、
あなたの普段着など知りません。
判断の基準は、その場に合っているかいないかだけです。

ホテルのロビーのゆったりしたソファに座っている自分の姿の写真を撮ってみてください。
そのホテルの雰囲気にその色は、そのスタイルは合っていたでしょうか。
キャンプ場のバンガローの前で写真を撮ってみてください。
選んだその帽子と靴下は、その風景にお似合いだったでしょうか。

舞台はリゾート地。
それは日常から離れた場所。
普段あらわれない自分と出会うのも、そんな場所でしょう。
普段とは違う色とスタイルで、普段はしないような振る舞いで、
自分の知らなかった自分に出会う。
自分が主役のドラマにふさわしい、
リゾートのシーンの衣装とは、主人公の違う一面を見せるためのもの。
いつもと同じだったら、ドラマにはなりません。
旅行に行った前と後では日常が変わるような、
新しい自分に出会えるような、
後から、あの素晴らしい出来事が起こった日にはこんなドレスを着ていたと思いだせるような、
そんな印象的な人生の1シーンにふさわしい衣装を選びましょう。

主人公である私たちは、それを決める権利を持っています。
その権利を行使するのみです。
美しいドレスを着た、その思い出のシーンのイメージは、
生涯を通して、私たちを励まします。
それだけが奪えないもの。
それだけが永遠に輝きを失わない、
死んでからもなお持っていける、私たちの本当の財産です。


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