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2017年11月30日木曜日

古着の選び方、買い方

最近、私の周囲でもにわかに古着がブームです。
理由はいろいろ考えられますが、
推察するに、最近の似たようなデザインで、かつ決して高いとは言えないクオリティの服の氾濫と、それらに満足できない人たちの要望、そして古着を扱うショップの増加、ネットを通した古着の売買が可能になったことなどが考えられると思います。

しかし多くの人が漏らすのが、
古着選びの難しさです。
古着をどうやって選べばいいのか、そして買えばいいのか、
考えてみたいと思います。

かくいう私も、昔からヨーロッパへ行った折には、必ず古着屋をのぞいていました。
単純に古いものをいろいろ見るのが楽しいからではあるのですが、
いつも見ているだけで、ヨーロッパで古着を買ったことは一度もありませんでした。
理由は、選ぶのも買うのも難しいからです。
では、そんな選ぶのも買うのも難しい古着と向き合うにはどうしたらよいでしょうか。

まず古着を選ぶ際にはよいものを選ぶ鑑識眼と
衣服の素材、構造、ブランドなどに関する知識が必要です。
何の知識もなく古着を見ても、何がいいものなのか、自分で見分けることは困難でしょう。
最低限、素材の知識は持っておく必要があります。
大まかに言えば、それが自然由来の素材なのか、化学繊維なのかということです。
古着の場合、タグがない場合もありますので、
さわってみて、大体それが自然由来の素材なのか、化学繊維なのかがわかればベストです。

また、膨大な中から自分が探す1枚を見つけるためには、
自分はどんなものを探しているのか、
どういう基準をクリアしたら買うのかというポイントをはっきりさせておかないと
何も決断することができません。
自分が具体的にそのときに何を探しているのか、
例えばトレンチコートを探しているのか、アランニットを探しているのか、
色はネイビーなのかベージュなのかなど、
そしてどのレベル、つまり傷み具合はどれぐらいまでで、
価格は幾らまでなら買うということを細かに事前に決めておかないと、
結局は見ているだけで選べないことになります。
そうならないためにも、古着は目的を持って探したほうがよいでしょう。
ほとんどの古着を扱うショップでは膨大な量の衣服を販売していますから、
ただ漫然と一点ずつ見ていったのでは、いつまでたっても望みのものを見つけることができません。
ただ見て楽しむために古着屋へ行くのでなければ、
事前に自分が探しているもの、欲しいものの条件を決めておくとよいでしょう。

次はどこの古着屋で買うかについてです。
古着屋にも種類がいろいろあり、ヨーロッパのものを扱うところ、アメリカのものを扱うところ、日本の古着など地域ごとの違い、
また、60年代から70年代といったヴィンテージのものを扱うところと、
ごく直近の2000年代以降のものを扱うところなどさまざまです。
これも事前にショップの情報を調べて、自分が探しているものがありそうなところへ行くとよいでしょう。
傾向としては、特定のブランドのヴィンテージを扱うところは状態もよく、価格も高めです。
日本の古着については、80年代、90年代の日本の古着はクオリティが高い傾向にあります。理由はその時代の日本で売られていた服そのもののクオリティが今よりずっと高かったからです。ですから、これら80年代、90年代の日本の古着を扱うショップも価格は高めの傾向にあるでしょう。
一方、同じ日本でも2000年代以降を扱うショップの古着は、総じて全体のクオリティは低く、安い傾向にあります。そのようなショップはショッピングセンターなど、気軽に行けるところにありますが、あの中から掘り出し物を見つけるのは、かなり難しいでしょう。
例えば最初からヴィンテージのバーバリーのコートが欲しいのなら、
ネットで検索して、それらを扱っている店舗へ行くとよいでしょう。
そういったものはどこでも扱っているわけではありませんので、事前のリサーチが必要です。

鑑識眼はさておき、自分である程度の知識を身につけておく、
どういうものが欲しいのか決めておく、
行くショップを限定する、そこまでできたら実際にショップへ行きます。

ショップへ行ったら、まずは探している形のものだけを見ていきましょう。
ピーコートを探しているのなら、ピーコートだけをチェックします。
古着屋は、一般のショップと違って、扱う衣服の色も形もばらばらで、
一点一点すべて違うわけですから、 探しているものを見ていくのがベストです。
あまりほかのものに目移りしていると、集中力も途切れ、
何が欲しかったのか、どういうものがよいのかだんだん自分でもわからなくなりますから、
膨大な点数が並んでいたとしても、目当てのものだけをさっとチェックして、
買えそうなものがあれば即座に試着しましょう。
そして試着して少しでも納得いかない点があるなら、
次のショップへ行きましょう。
また、買うと決めてショップへ行ったとしても、必ずしも望みのものがあるとは限りません。気に入ったものがないのなら無理して買うのはやめましょう。
そこでぴんとくるかどうかは、自分の感覚だけが頼りとなります。
古着の場合、ほんの少しでも違和感があると、その後、着なくなる可能性が新品のものより高いです。
やはりそれは古着なので、よほど気に入ったものでなければ、外へ着ていくことはないでしょう。
ちょっとでも気に入らない、何か変だと感じたら、買わないに限ります。

古着を選ぶのも訓練です。
初めて行ったショップで、望みどおりの自分にぴったりの一着が見つかる確率は低いでしょう。
何となく違うと感じながらも、
あきらめず、根気良く見ていけば、
そのうち目が慣れてきて、膨大な中から必要な1枚が見つかるようになります。
それは新しい知覚の開発です。
今まで使っていなかった能力の一部です。
訓練して初めて使えるようになるものですので、
興味があるのでしたら、見る訓練を続けてください。

古着選びは、いわばテストみたいなものです。
今までどれだけ自分で鑑識眼を養ってきたか、
どれだけブランドや素材についての知識があるかが試されます。
またもう一方で、ぶれない自分があるのかどうかもそこでは要求されます。
誰かがお勧めしてくれるわけでも、
誰かがお墨付きを与えてくれるわけでもありません。
必要なのは、自分自身への信頼です。
信頼しないことには、何も選ぶことができません。

自分を信じて今まで育ててきた人は、
ぜひ古着屋をのぞいてみましょう。
あなたに選ばれるための素敵な一着が、
あなたとの出会いを待っていることでしょう。

2017年11月10日金曜日

シックとエレガント

文化出版局から出ている『ファッション辞典』によると、
シックとは、
「粋、伊達、瀟洒な風といった意味。受ける感じが上品であか抜けている、洗練されて神経が行きとどいている装いをいう。」とあります。
一方、エレガントとは、
「服装や作法などが上品、優雅、端麗なこと。男女ともに用いられるが、女性に対しては最高のほめ言葉と考えられている。誇張のない、ごく自然な柔らかい優しさがかもし出す、洗練された落ち着きのある女らしさをいう。」とあります。

どちらも上品で洗練されたという意味があり、実際には、
シックとエレガントはほぼ同義で使われます。

シックが粋であるならば、その反対は野暮なわけですが、
実際にシックとエレガントと対になって使われるのはカジュアルでしょう。

同じ『ファッション辞典』によると、
カジュアルは、
「<偶然の、無頓着な>などの意であるが、衣服の場合、略式の、ふだん着の意味になる。着やすくくつろいだ雰囲気、スポーティな要素の多いものをさし、気軽な感じの日常着を総称してカジュアル・ウエアという。」 とあります。

では、洋服の世界においてシックとエレガントとはどのような様子を指すのでしょうか。
多くの場合、それは全体のコーディネートが3色以内で、
スーツ、または同素材によるセットアップ、そしてワンピースなど、
素材や色が全身で統一されている様子を指します。

日本で言うところのこれは「きちんとしている」に近いものですが、
それ以上の意味がこのシックとエレガントにあります。
それはいわゆる「レディ」、つまり貴婦人や淑女のスタイルである、
ということです。

私たちがシックでエレガントなスタイルをすることによって得られるのは、
貴婦人や淑女のような扱いです。
つまり、その衣服が示すところのレディの性質によって、
敬われ、丁寧に、大事に扱われるということです。

もちろんどんな衣服を着ていても、
人としてこのような扱いを受けることもあります。
ですから、シック、エレガントな装いでないと敬われない、大事に扱われない、
というわけではありません。
しかし、素姓のわからない人に対してのふるまいは、
しばしばその装いにより決定されます。
どんなに高貴な者でも、だらしない格好をしていればぞんざいに扱われる可能性があり、
逆に、いやしい身分の者でも、シックとエレガントに装えば、
貴夫人や淑女のように扱われるということです。
オードリー・ヘップバーン主演の「マイ・フェア・レディ」はまさにそのことを扱った映画であり、
レディとして扱われるためにしゃべる言葉と着る衣服を変えれば、
下町娘も淑女のように扱われるようになると示してみせたのでした。

さて、レディのように扱われるということは、いったいどういうことでしょうか。
レディでない存在、つまり野暮で粗野な存在とは子供であり、若者です。
騒がしい子供や、場をわきまえない若者はレディのようには扱われません。
ですから、子供や若者が「レディのようだ」と言われれば、
それは褒め言葉であり、大人として認められたということになります。

大人になるとは、レディとして扱われるようになるということであり、
そのための装いがシックとエレガントです。

貴族も侯爵夫人もいない日本で、レディとして扱われるとは、
例えばホテルのラウンジでいい席に通されたり、
高級なレストランで気分のよいサービスを受けたり、
ショップで丁寧に扱われるなど、そんなところでしょうか。
そんなふうに扱われるのは大人の特権であり、
それはカジュアルな装いだけをしていたのでは経験できないことです。

確かにどこの場へカジュアルなスタイルで行っても問題はありません。
けれども、それであなたがレディのように扱われるかといったら、
決してそんなことはありません。
ホテルのラウンジに、ジーンズにスニーカー姿の女性と、ワンピースに革靴の女性が2人並んでいたとしたら、
丁寧に扱われるのは、いつだってワンピースと革靴の女性です。
そのジーンズが3万円で、隣の女性のワンピースが2万円だとしても、
丁寧に扱われるのはワンピースの女性なのです。

洋服における成熟とは、
レディとして扱われたいと望むとき、シックとエレガントに装える能力を意味します。
それは大人になればなるほど要求され、
それができないのなら、レディとしては扱われません。
どんな場にもカジュアルなスタイルで登場するならば、
その人はいつでも子供のように、若者のようにぞんざいに扱われます。

おしゃれについて何かが足りない、何か違うような気がすると感じたら、
服装によって自分がどのような扱いを受けているのか、チェックしてみましょう。
あなたは自分の服装によって、
それを見る者を動かしたいはずです。
それはふるまいなのか、言葉なのか、気持ちなのか、どれかはわかりません。
足りないと思う、何かが違うというそれは、
その望む結果が得られないことにより起こります。

大人であるならば、レディとして扱われるように、
自分にとってのシックとエレガントなスタイルについて考えてみましょう。
レディとして扱われないのならば、
あなたはシックでも、エレガントでもないのです。
本当にそれでもいいのか、
いつまでも若者のように扱われてもいいのか、
現状維持なのか、このままでは嫌なので変えるのか、
自分で決めましょう。

2017年11月9日木曜日

2017年12月9日(土)グループファッションレッスン(基礎)のお知らせ

2017年12月9日(土)に、グループファッションレッスン(基礎)を開催いたします。
終了いたしました。

内容は、「わたし史上最高のおしゃれになる!」にあるメソッドについてのものを
グループレッスン用に再編集したものです。
でき上がったマップと、ワードローブ分類表について私がチェック、アドバイスします。

ワードローブ構築がわからない方、
被服費を減らしたい方、
おしゃれに見える方法を知りたい方、
「服はたくさんある、だけれども、着るものがない」方など、
ごく普通の人のための講座内容ですので、
お気軽にご参加くださいませ。

日時:2017年12月9日(土)
場所:神奈川県藤沢市、小田急江ノ島線湘南台駅付近
時間:10:30~16:30 
定員:10名
対象:どなたでも
参加費用:2万円(当日現金払い) 
主催 小林
注意事項:主要交通機関が止まるような天候等の場合、中止にいたします。
※当日、ご自分のワードローブの分類表を作ります。そのためご自分のもう既に持っていて、これからも着る予定のアイテムを撮影した写真が必要となります。

お申し込みは
fateshowthyforce@gmail.com
まで、
メールのタイトル「12月9日ファッション」

・お名前(本名)
・年齢(20歳代、30歳代、40歳代、50歳代など)
・ファッション誌で買うとしたら何かその雑誌名(ない場合は結構です) 
をご記入の上、お申し込みください。

定員に達しましたら締め切ります。