2000年になる前は、ファッション誌にはデザイナーのインタビューがたびたび掲載され、デザインについて、女性像について、いろいろな視点から語られていました。
それがファストファッションの出現とともに、デザイナーのインタビューはぐっと減り、そのかわりに作る側ではなく、選ぶ側であるスタイリスト、エディター、バイヤーの声が大きくとりあげられるようになりました。
そこで語られていたのはデザインや女性像の話ではなく「カジュアルな定番がいい」という話。
カジュアル定番至上主義の出現とともに、街を行く人々の服装はカジュアル化し、
デザイン性の高いモードの人はぐっと減っていきました。
聞こえのいい「定番」ですが、特に女性誌を読むと
「毎年買い替えるよう」に書いてありました。
ジーンズ、Tシャツ、スニーカー、時にはバッグまで、毎年の買い替えが提案されていたのを記憶しています。
デザインは同じだけれども、細かいサイズ感を毎年更新するよう仕向けられる、
流行ったのはそんな定番でした。
ではデザイン性の高いモードはどうでしょうか。
デザイナーたちは、毎年の買い替えを促していたでしょうか。
そんなことはありません。
日本で「定番」が大流行しているその間に、
特に海外のデザイナーが率いるブランドは、
そのアーカイブ化を進めていました。
アーカイブ、つまりそれは発売以降も新鮮であり、十分着るに堪えうるデザインのものです。
例えばフィービー・ファイロのセリーヌです。
フィービーがセリーヌに在籍していたのは2008年から2018年。
初期のものは今から15年以上も前のデザインのものです。
その古いデザインのものが先日、バーニーズニューヨークの横浜店の店舗に
最新のマックスマーラとすぐ隣に、大々的に展示販売されていました。
フィービーは自分のデザインした服をアーカイブになるように扱っています。
それは毎年買い替えが必要な服ではなく、
積み重ねてワードローブを充実させる材料となる服です。
単なる定番と、実力のあるデザイナーがデザインした服の違いはここにあります。
定番の代表である、あるブランドのジーンズは定価が3万円程度します。
しかし、この3万円のジーンズも「定番」であるがゆえ、「買い替え」の対象です。
10年間1本のジーンズを毎年買い替えたら30万円。
その10年間、フィービーの同じ30万円のコートは買い替えられることもなく、
デザイン的にはまだ着られる状態です。
振り返ってみてわかるのは、結局お金がかからないのは、毎年買い替えを要求されるようなカジュアルな定番ではなく、デザイン性が高くとも、アーカイブになり得る服を持つほうでした。
よりお金を節約したいのなら、
oldと名付けられていまだにデザイン的に着られるモードな服について、取り入れることを考えてみるといいでしょう。
わかりやすい見本はフィービーのセリーヌです。
oldなゴルチエも、ヘルムートラングも、ヨウジヤマモトも、エルメスのマルジェラも、
いまだに高くセカンドハンドで売られています。
ワードローブをアーカイブで満たすこと。
そのほうが最初はお金がかかっても、結局はお金もかからず、
何よりも最後までおしゃれでいられるのです。
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