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2011年3月25日金曜日

「うさと」という考え方

「うさと」というブランドがあります。
いわゆる普通のファッション雑誌では、一切、取り上げられないブランドです。
また、デパートや普通の流通では販売されていません。
デザイナーは、文化服装学院出身のうさぶろうさん。
「うさと」は、タイに本拠地を置き、
デザインこそ、うさぶろうさんによるものですが、その他、生産の一切をタイのとある村の人たちで担っています。
すべてオーガニックの素材で、布を織る、裁断、縫製、仕上げまで、ひとりの方が全部やります。
そして、驚いたことに、商品の仕上げまでの、納期はありません。
みな、農作業の合間を縫って作業しているそうです。
ですから、すべてが一点モノ。
同じ色でそろえることはできません。
オーガニックの素材と染料、手織り、そして一点モノであるにもかかわらず、
値段はワンピースで2万円前後、麻や綿のストールで5000円ほどと、驚くほど安いのです。
その理由は、中間の商社や問屋や流通が入っていないから。
そして多分、デザイナーさんだけが、儲けようとしていないから。
ですから、作る人、売る人、買う人、すべてひとしく幸せになれる形態です。
不当な搾取はありません。
これこそまさに、近い未来に主流となるであろう、ブランドの姿だと、私は思います。
そして、これから少しずつですが、こういった形のブランドは増えていくでしょう。

ただ、1つ、付け加えておくと、「うさと」の服のデザインは、
長年、欧米の価値観に支配されたファッション雑誌を読み続けてきた私には、すんなり取り入れられるようなものではありません。
連想してしまうのは、邪馬台国?それともナウシカ?みたいな感じです。
今まで買ったのは、友達のプレゼントのための、麻のストールぐらいです。
それでも、このデザインを「変」というつもりはありません。
なぜなら、私たちがよいと教え込まれてきた価値観のほうが、もしかしたら、異常かもしれないからです。
行きすぎた西欧への憧れは、いつか振り子のように、戻ってくるでしょう。
そのとき、「あのときの格好、馬鹿みたいだったよね」と言われるのは、こちらの側かもしれません。

うさと