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2012年5月21日月曜日

アクセサリーが大きくなってきました

2012年に入って、シルエットが大きく変わってきましたと、以前、記事に書きましたが、
その速度は予想以上に早く、2012年5月に発表された、シャネルのクルーズ・コレクションなどを見ても、服のシルエット、靴、メイク(特に眉が太い)、アクセサリーが大きく変化しています。
やはり本当に実力があり、長く活躍するデザイナーというのは、
自分だけの好みやスタイルに固執することなく、この流れの変化を敏感にキャッチし、それを自分のデザインに落とし込むことができる人だと思います。
カール・ラガフェルドや、ミウッチャ・プラダなどは、その代表格だと思いますが、
日本のデザイナーたちが失速していったのは、まさにこの点であるのでしょう。
つまり、自分の固い殻に閉じこもり、それを他人に押し付け、そこから外へ出ようとしなかった、
ということです。

それで、今日はアクセサリーについてですが、
洋服のシルエットが大きくなったのに伴って、アクセサリーも大きくなってきました。
ファッションというのは、いつもバランスです。
今までタイトでミニマムなデザインが主流だったため、
アクセサリーも、どちらかといえば、小ぶりで、目立たないものが主でした。
コスチュームジュエリーと言われるような、大き目で、それ自体、デザイン性をもったアクセサリーは、
もうかなり長い間、たぶん14年ぐらい、ずっとクローゼットの片隅に、
肩身が狭そうにして、押し込まれてきていました。
しかし、今、俄然、その大きなアクセサリーに注目が集まっています。

デザインの種類としては、まずトライバルとかエスニックとか呼ばれている民族調のもの、
または1920年代のアールデコ風のものがでてきていますが、
このバリエーションは今後も広がっていくと思われます。

これは体格のいい方々にはビッグニュースです。
当たり前の話ですが、首元に、大ぶりのモチーフのアクセサリーを持ってくれば、
それはもう、あなた、顔は小さく見えます。
ベルトだって、太いほうがウエストはしまって見えます。
ファッションとは、トータルのバランスなので、実寸は関係ないのです。

私も文化服装学院の学生時代に、何度かフィッターという、コレクションの裏方のアルバイトで(学校から派遣され、武道館の楽屋とか行きます。なぜかいつも私はフィッターリーダー)、
たくさんいろいろなモデルさんを見ましたが、中には結構なボリュームの方もいらっしゃるのです。
だけれども、うまいことバランスよく服を着れば、まったくそれは気になりません。

実際の寸法はただの数字、ファッションが作るのは、印象です。

これからは、ゆったりしたドレープや、すそが広がるパンツやスカートに大ぶりのアクセサリーという
ファッションが楽しめる時代です。
私の予想では、これから10年ぐらいは大丈夫です。
ですから、10年の着用を見越して、大ぶりのアクセサリーの購入を検討したらいいのではないかと思います。つまり、少し奮発して高いものを買っても、これから10年ずっと使えるということです。

とりあえず今年、一番簡単に取りいれられるのは幅広のバングルです。
シンプルなTシャツやタンクに、バングルを追加するだけで、もう新しい風が吹きます。
これが今年からの気分です。
1つ注意点は、大ぶりで、デザイン性のあるアクセサリーは、
柄物と組み合わせるのは大変難しいということ。
可能なのは、そのブランドが最初から提案している組み合わせぐらい、と考えたらいいでしょう。
(たとえば、今期のプラダは柄物に大きなラインストーンのコスチュームジュエリーです)

おしゃれに見えるかどうかは、こういうときの対応によって変わります。
自分を中心に据えつつ、ほんの少しのスパイスとして、今の時代の気分を取り入れる。
だから、全部取り換える必要はありませんが、瞬発力は必要です。

新しいものを取り入れるときには、今までの自分に小さなひびを入れなければいけません。
ひびを入れることは、少しばかり怖いようにも思えますが、
その小さなひびによって、
ひよこが卵の殻を割って外へ出てくるように、
蝶がさなぎから出て変身するように、
新しい世界へ出会える可能性が広がります。
本当は、そんな固い殻なんて、ないほうが自由なんです。

☆写真はティファニーのカフブレス。素敵すぎ!