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2013年5月13日月曜日

柄物ボトムは印象に残る

今年になって、柄物のボトム、特に柄物のパンツが大ブレイクしています。
これはかなりの勢いで広がりそうです。
柄物のスカートを持っている方は多いと思いますが、
自分のワードローブに柄物のパンツがある人は少ないでしょう。
だからこそ、今年、新たに柄物パンツを足してみたくなるのもうなずけます。

ところで、衣服は寒さ暑さを防ぐために身につけるものでもありますが、
同時に、情報の伝達手段としても存在しています。
そのひとがどんなものをどのように着ているかによって、
自分以外の人々に多くの情報を伝達しているのです。
そして、受け取る側も、その人の服装から、ある程度のことを判断します。

わかりやすい例は制服です。
同じ衣服を身につけることによって、学生の場合はどこの学校かがわかり、
働いている人の場合は、どんな仕事なのかがわかります。
制服は、単に動きよいとか、寒さ暑さを防ぐとか、機能や安全のために身につけるわけではなく、
そのひとの帰属をあらわし、それを他人に情報としてつたえる役目を持っています。

特に意識しなくても、小さいころからの習慣で、
私たちは、他人を着ているもので判断します。
蓄積された情報から、その人がどんな人なのか導きだします。
これはほとんど無意識に行われます。

人間の脳は、たぶんほとんどのことを記憶する力を持っています。
パソコンと同じように、誰かを一目見て、情報をダウンロードします。
けれども、それをすべて引きだす能力はありません。
脳の中に情報としての蓄積はあっても、
引きだされるのはもうすでに処理された情報です。

私たちが、他人の情報を衣服から読み取ろうとするとき、
実は全身をチェックしているわけではありません。
重要なポイントのみ引きだし、それに基づいて判断します。
大体、思い出されるのは顔に近い部分の衣服、
持っていたバッグ、靴などです。
ついで、つけているとしたらアクセサリーとなるでしょう。

特に、顔に近い部分の衣服は重要です。
色、襟の形、あき具合など、覚えている場合が多いです。
それは、人と人がコミュニケーションをとるとき、
おもに見ているのは顔と、その周辺だからです。
私たちは、おなかより下を見ながら、コミュニケーションをとりません。
そのせいもあって、ボトムというのは、他人の印象に残ることが少ないのです。

しかしそれとは別に、人は、何か変わったもの、印象が強いものを覚えているという傾向があります。
ボトムであっても、ものすごく短いスカートや、破けているもの、
目立つ柄などの場合、人はそこに注目し、覚えていることが多いです。
柄物のボトムを選ぶということは、相手に与える印象を1つふやすということにつながります。
柄物ボトムを選ぶリスクは、そこにあります。
そして、そのリスクのため、選び方は難しくなります。

まず第一に、下半身が目立ちます。
ですから、下半身をあまり見てほしくない、または印象に残したくない場合は、
避けたほうが無難です。

今年の柄物パンツの流行は、小さい子供から高い年代層まで、
かなり広範囲です。
これからたくさんの人が柄物パンツをはくだろうと予想されます。
そうすると、おしゃれには見えなくなります。

ここで何回か書いていますが、
おしゃれに見える1つの条件として、あまり人が着ていないものを着るというものがあります。
ある程度以上の人が着ると、それは飽和状態になり、
見慣れてしまうことによって、あまりおしゃれには感じなくなります。
もうそうなると、流行は最終段階にきてしまうのです。
流行がおしゃれに見えるのはごく初期だけ、
そのあとにつづくフォロワーがふえればふれるほど、おしゃれの密度は薄くなります。

次に難しい点として、、
柄物というのは、そのよしあしが分かりにくいものということがあります。
とてもおしゃれな柄とそうでない柄は、特に素人目にはわかりづらいです。
リバティやエミリオ・プッチ、エトロといった、特徴のある柄以外は、
その他大勢という感じで、どの柄だったらおしゃれなのか、
あるいはそうでないのか、なかなか判断できません。

また、印象に残りやすいということは、着まわしに向かないということです。
なぜなら、柄物パンツを繰り返しはくことによって、
同じものばかり着ているという印象を他人に与えてしまうからです。

ここまで考えると、
おしゃれに柄物パンツを着こなすのは、かなり高難度ということになります。
印象に残りやすいので何回も着られない、
下半身が目立つ、
柄のよしあしは他人には理解してもらえない、
街に出ると多くの人が、しかも子供までもが着ている。
ざっと挙げただけでも、これだけ取り入れにくい要素があります。

では、柄物パンツはやめましょうと言ってしまったら、芸がないですので、
それでもなお、柄物パンツを取り入れたい場合、どうしたらよいか考えてみましょう。

まず、全体のコーディネイトの中で浮かない柄を選ぶこと。
2色、もしくは3色以内で構成されたプリントを選び、
全体のコーディネイトも3色ルールをきっちり守る。
こうすることで、柄が悪目立ちしませんし、シックに見えます。

あまり大きな柄は選ばない。
柄が大きいというだけで、印象に強く残ります。
大きなひまわりの絵などは、それだけで強い印象ですので、避けたほうがいいでしょう。

意味のある絵の柄は避ける。
何か具体的なものが描かれているプリントより、抽象的な柄のほうが印象には残りにくいです。
たとえば、亀の柄だとしたら、すぐに覚えられてしまいますが、
なんとなくグリーンの丸模様だったら、はっきりとは覚えられません。

柄の面積を小さくする。
ワイドパンツよりは、タイトなもののほうが印象は薄いです。

最後に、どうしても柄物パンツでおしゃれに見せたい場合は、
他人と同じようなコーディネイトはしない。
私が予想するに、ことしの夏は、ふわっとしたチュニックやビッグシャツに、
タイトな柄物パンツという姿の人があふれると思います。
しかし、大多数と同じコーディネイトをしたら、もう特別おしゃれには見えません。
だから、あえてそこは避ける。
避けてどうするか。
それはいろいろあると思いますが、きちんとしたジャケットと柄物パンツをあわせるとか、
革のジャケットに白いTシャツ、そこに柄物パンツをあわせるとか、
ワンピースの下に同色の柄物パンツをあわせるとか、
とにかくそこは工夫と努力をします。

印象とは、相手に対するあなたという人の情報のプレゼントです。
もしかして、相手はずっとそれを持ち続けるかもしれません。
初対面の相手だとしたらなおさら、それを変えるのは難しいのです。
でも、その情報は簡単に操作できるものです。
服装で情報を操作するのは、難しいことではありません。


他人の目を気にすると言うと、もうすでに主導権はその他人に渡っています。
だけれども、そうではなくて、他人の目に与える情報を操作する主導権は、
いつでもこちらにあります。
そのためには、受け身ではなく、こちらから仕掛けていくという姿勢が必要です。
柄物パンツに踊らされないで、
柄物パンツをはいて踊ってください。
こちらから仕掛けていけば、それは可能です。