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2013年5月6日月曜日

スタイルを模索する

世界じゅうのおしゃれと呼ばれている人たちには、
それぞれ独自のスタイルがあります。
流行を取り入れつつも、自分のスタイルは貫き通す、
それがほんとうのおしゃれな人たちです。
流行のもので身を固め、いつも違うスタイルであらわれるのは、
単なる自己顕示欲のかたまりの強い、ファッション・ヴィクテムです。

ある程度、おしゃれの基礎がわかって、上達してきたら、
次の段階として、スタイルを模索することをお勧めします。


しかし、自分のスタイルを確立するためには、
一朝一夕にはいきません。
いろいろなスタイルにチャレンジし、
数多くのばかばかしい失敗をし、
何となく違う感じを修正し、
思ったとおりのものがなければ我慢して、
あきらめずにさがしつづける。
それを何年も繰り返して、やっと自分のスタイルを見つけることができます。

スタイルを確立するために必要なのは、
まず第一に自分自身をよく知ること。
それは自分の体型や肌の色といった、物理的な問題もそうですし、
好みや嗜好、目指す方向といった、
目に見えない部分もそうです。
自分自身を理解しないことには、自分のスタイルは確立しません。

無意識に選ぶ色、形、スタイルは、なぜそうなるのか、
そして逆に選ばないのはなぜなのか、
どんな格好をしているときがリラックスできて、自分らしくいられるのか、
または、なにを着るといらいらするのか、
居心地が悪くなるかなど、
一つ一つ自分に聞いて、チェックしていく必要があります。

その答えは、自分にしかわからないので、
誰かに聞くわけにはいきません。
どんなに人に勧められても、だめなものはだめです。
いつも着たいと思えないようなものばかり集めても、
自分のスタイルにはなりません。

これは、ときには自分にとってつらい場面もあるかもしれません。
否が応でも自分に向き合うことで、
自分の欠点にも気づくでしょうし、
見たくなかった面を見ざるを得なくもなるでしょう。
しかし、欠点を長所に、
見たくなかった面を新しい気づきとして受け入れることによって、
より新しい、自由な自分に出会えます。
そして、その自由な自分が、より自分らしく、自由でいられるためにスタイルを確立するのです。

ひとたび、これこそがわたしのスタイルだというものがわかったなら、
そのあとの洋服選びは簡単になります。
どんなに流行していても、自分のスタイルでないものは着ない、
心を動かされないと決めたなら、迷うことはありません。

ただし、同時に注意しておいてほしいことがあります。
何事も変化しないものはありません。
変化こそが、変わらぬ世の中の真理です。
自分の体型や容姿も変わるでしょう。
気持ちも変わるでしょう。
背景としての社会も変わるでしょう。
そして、もちろん流行も変わります。

スタイルの完成は、実は永遠にないのです。
それは、いつでも未完成であることによってしか、
変化には対応できないからです。

90パーセントはスタイルを確立しつつ、
常に10パーセントの余地を残しておく。
そうすることで、自分やファッションの変化に対応していく。
このバランスがちょうどいいところにとれたときに、
そのひとはスタイルがあり、かつ時代と合っているおしゃれな人になることができます。

柔軟性がないことは、やはりおしゃれではありません。
そこには好奇心のかけらが見えません。
変化し続けるものに対する好奇心と、
変わらぬものに対する自信、この2つが必要です。

いつでも変わる準備をしつつ、
永遠に完成しないスタイルを模索する、
かたいようで、しなやかに、
流れにのりつつ、流されず、
最終的な進化の地点まで、
あきらめずにさがし続ける、
そんな姿勢が、そのひとをおしゃれに見せるでしょう。
それはだれもが憧れる境地ではありますが、
たどりつけない場所ではありません。

その地点がはっきりと目に見えるなら、
必ずたどりつけます。

まずは、自分という地図の中をくまなく探検してください。
なによりも、それが最初の一歩です。
さがすのをやめないと決めればいいだけです。
決めさえすえば、実現します。