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2022年6月17日金曜日

失われた30年に生まれた若者のみんなにお勧めするワードローブの作り方

若いみんな、元気?
若いみんなっていうのは、そうね、20代から30代前半ぐらいよね。
この世代どういう世代かというと、日本がどんどん下り坂になっていって、
いいときを経験したことがない世代だよね。
どんどん下り坂を下っていく大きな列車に乗っていて、
外の景色はだんだんみすぼらしいものになっていくのにさ、
夢を持てとか、好きなものを見つけろって言われたって、
そんなの無理じゃない?
とりあえず、借金しないでやっていくだけで精一杯で、
人によっては奨学金という名前の借金があって、
生きているだけで褒めてくれって、感じよね。
私もそう思うわ。

私が20代だったころの1990年代の日本の若者たちのおしゃれ状況と、
今って、全然違うもの。
今でも覚えているわ、1990年代の表参道の様子。
この前、パリコレで発表されたばっかりのルックを、上から下まで全部そのままの、
20代から30代がぞろぞろ歩いていたわよ。
そうよ、あのマックスマーラの交差点のあたりよ。
私らの定番の待ち合わせ場所はスパイラルの2階の行く途中の椅子のところだったので、
あそこら辺はよく歩いていたわけよ。
仕事場も近かったしね。

何が違うかって、あのころは夢があったわ。
私も、30歳になったらきっと、好きな服を好きなだけ買えるんだわ!
働いてさえいれば!
って純粋に信じていたわ。
(ところがそんな夢はその後、はかなく砕けるんだけどね)
でも、今はそんな夢、持てないよね。

さて、そんな夢なんて持てない、
お金も大してない、
時間も足りない、
だけれどもなんか着なくちゃいけない、
しかもちょっとおしゃれに見せたい。
そんなみんなにお勧めなワードローブの作り方があるわよ。

それは、最初に決めてしまうことよ。
決めるのは以下のこと。
・買う場所
・買うブランド
・色
・枚数

もうこれを最初から決めちゃうのよ。
まずは買う場所。
いろいろなところで買うと、結構時間もかかるのよ。
行くにしても交通費がかかるし。
だから、買いに行く場所を2,3か所に限定して、もうそこだけで買うと決める。
もちろんほかにもあるかもしれないけれども、そこのところは潔くあきらめる。
探し出したらきりがないからね。
時間がもったいない人は、特にこれを先に決めておくといいよ。

次、買うブランドを決める。
もうさ、いつも同じブランドのものを買うって決めるの。
そうすれば、色合わせも、デザインも、サイズ感も、
いろいろブランドが違うたびに考えないですむから。
一つのブランドじゃなくてもいいけれども、少なければ少ないほど労力は少なくてすむ。
同じブランドものだけ買えば、ほとんどどんなものも組み合わせてOKよ。
「コーデ」とか言って、悩む必要がなくなるわ。
それだけじゃない。
情報を集めるときも便利だよね。
そのブランドのセールの情報だけ追っていけばいいんだから。
(そうそう、大したお金もないのに定価で買うことないよ。
無理しないでね)
ブランドを決めたら、そこの中古を買ったっていいわけよ。
メルカリで探せるよね。
サイズもわかっているし、買うのは簡単だよ。

次に、色を決める。
基本的に、西洋の衣服って3色以内で着ておけばOKというルールがあるわけ。
もうこれは現にあるので、文句言っても仕方ないの。
だから、自分が着る色を最初に決めちゃうの。
特に基本の色は、黒、ネイビー、ベージュだから、
ここら辺を基本に、あとは何色を着るか決めて、自分のワードローブもその色だけで統一しちゃうの。
ちなみに、私は基本の3色+2色を推奨してるけれど、
これでも多いかもね。
少なければ少ないほど、毎日のコーディネートは簡単よ。
これでブランドも同じなら、毎日考えるのは今日は暑いか、寒いかとか、
雨とか雪とか、そんな天気の問題になるからね。

最後に、枚数を決める。
自分が持っていていい枚数を最初に決めておこうよ。
少ないほうがメンテナンスが楽だよ。
基本、1週間分のコーディネートができればOK。
大体、他人なんて、それほど人の服なんて気にしちゃいない。
みんな、それぞれ自分の悩み事で忙しいからね。
みんなだって、そうでしょ?
お隣に座ってた人がおととい何着てたかなんて、大抵覚えてないよ。
まあ、そんなもん。

枚数を数えるのが面倒なら、自分のタンスに入る分だけという、
体積で決めたらいいよね。
とにかく、しまえないほど持たないこと。
よほど大きい家にでも住んでない限り、入れるところは限られるだろうから、
何百枚なんてことにはならないと思うよ。
(もちろん大きな家に住んでる人は別だよ)

今の日本は夏と冬が長いから、そのシーズンのものはちょっと多め。
だけれども、春と秋は短いから、
春だけとか秋だけにしか着られないものは買わないほうがいいよ。
あと、例えばジーンズばっかり買う人もいるけれども、
他人から見たら、いつもジーンズの人に見えるだけだから、
同じものばかりたくさん持つのもお勧めできないな。

こんなふうに自分のワードローブを作ってみてほしいな。
最初の1年はちょっと面倒で、大変かもしれないけれども、
2年目、3年目以降は、ものすごく楽になるよ。
何がって? 
まず毎日あれこれ何を着たらいいか考えなくていいってこと。
それから買うのが楽ちんということ。
それから、これは選んだブランドにもよるけれども、
いろいろなところで買うよりも、たぶん使うお金は減ってるよ。
あとたぶんこれでおしゃれにも見えてるよ。
(別にいつもおしゃれである必要なんかないよ。
だってそれは、趣味の問題だからね)

ブランドを選ぶときは、「使い捨て」が前提で服を作っているところは避けてね。
そんな「使い捨て」に付き合ってるほど、我々も地球も余裕はないからね。
そして、要らなくなったら、メルカリで売れるようなブランドを選んで。
ああ、そうね、そんなこと、今の20代ならわかってるね!

あと、そうだな。
アドバイスがあるとしたら、
あれこれ自分の買ったものを自慢しているインスタやYouTubeはあんまり見ないほうがいいよ。
あれはメンタルヘルスによくないよ。
どうせ実生活では会わないんだから、関係ない人だし。

こんなふうにして、
余裕ができたお金と時間、そして気持ちは、
何か有意義なことに使ってほしいな。
今有意義なことに使ったお金と時間は、
後々にとても役に立つってことは、私が保証するよ。
私だって、20代のときに習ったファッションや料理、哲学、
そして見に行った美術展やライブやダンスのおかげで、今こうやって文章をみんなに読んでもらえるようになったからね。
(具体的に言うとさ、文化服装学院で勉強したり、お料理をコルドンブルーで習ったり、
ピナ・バウシュのダンスを見たり、デヴィッド・ボウイのライブに行ったり、
マンレイの写真展に行ったりとか、そういうことよ)

それは誰にも奪えない自分だけの宝物になるから。
そんな自分だけの宝物作りのために、
時間とお金と体力と気力を使ってね。

将来のあなたを助けてくれるのはさ、
どうでもいい今シーズンだけ着られる服や、
なんとなくながめていたインスタやYouTubeの中の誰かじゃないよ。
自分で行ったところ、やったこと、習ったこと、知ったこと、勉強したこと、
こういうものから作られた目には見えない宝物だよ。

そのことを忘れないでね!

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