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2010年11月5日金曜日

スタイリストの時代

長い間、デザイナー、もしくはブランドの時代が続いていましたが、
ここへきて、スタイリストの時代がきたように感じています。
私が学生だったときから、数多くのデザイナーがデビューしましたが、
ずっと同じスタンスで活動できている人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
中には、倒産してしまったブランドさえあります。
それに引き換え、スタイリストさんの寿命はずっと長いようです。
私が20代だったころから活躍している方で、まだまだ現役で人気がある方は数多くいらっしゃいます。
あの当時、まさか、こんな時代がくるとは思っていませんでした。

1人のデザイナー、もしく1つのはブランドのものだけで身を固めていればおしゃれに見える時代は、
とうの昔に終わってしまいました。
今、そういう格好をしている人を見ると、どこかのお店の販売員さんのように見えてしまいます。
もちろんシャネルやルイ・ヴィトンなど、ハイエンドブランドはまだまだ健在ですが、
それとて、すべてそのブランドなどというのは一部のお金持ちだけですから、
普通に生活している私(たち)には、あまり関係のないこと。
今、断然おしゃれに見えるのは、いろいろなものをうまくスタイリングできている人なのです。
同時に、そういう着こなしの提案ができるスタイリストさんが人気なのも、大いにうなづける話です。

いろいろなものをスタイリングするためには、1つのアイテムが必要以上に目立ってはいけません。
ですから、自分の主張ばかりが目立つデザイナーの服は、使えないアイテムになってしまいました。
だれかが一目見て、ぱっと覚えてしまうような服は、スタイリングの邪魔なのです。
ベーシックな服を、いかに自分らしく、普通でなく見せるか、この点が問われています。
ということはつまり、むかしよりずっとおしゃれの難易度が上がったということ。
もうデザイナーが提案するルックスをそのまま着ていればおしゃれなんて、だれも思ってません。
ベーシックなアイテムをひとつずつ見直し、選択し、常に自分はどういうスタイルでいたいかを自分自身に問いかけていく、そういった地道な作業こそ、今の時代、おしゃれに見えるための早道なのだと思います。