ページ

2010年12月10日金曜日

ジュエリー


Dさんより、ジュエリーについて書いてくださいというリクエストをいただきました。
Dさん、ありがとうございます。

さて、私がジュエリーについて提案したいことは、3つです。
・ユニーク、つまり1つしかないものを探しましょう。
・普段から身につけましょう。
・そのジュエリーを誰がどういう気持ちで作ったか、使われている宝石は、どうやってやってきたか、そこまで想像してみましょう。

 ベーシックを基本とするコーディネートをしていると、やはり小物の存在が大きくなります。
 別にジュエリーでなくてもよいのですが、小物の選択にオリジナル性を出すと、よりその人の個性が際立ってきます。ジュエリーもそのために利用できる、最適なアイテムと言えます。
 そのジュエリーを選択するときには、より自分らしさを表現するために、誰が見ても、あ、あそこで売ってる、あのジュエリーねとわかってしまうようなものでなく、この世に1つしかないような、かつ自分にふさわしいものを探してほしいのです。それは、アンティークかもしれません。あるいはまた、おばあさまから受け継がれてきた指輪かもしれません。そして、作家がひとつひとつ丁寧に心をこめてつくった一点モノかもしれません。とにかく、根気よく探していけば、必ず出会うはずです。
 特に、狙い目はまだ若い作家たちの作品です。
 上の写真は、うちのすぐ近くのギャラリーで行われた、uiさんというジュエリー作家の展覧会です。
 もちろんすべてオリジナルで一点モノ。また若い作家さんの場合、値段も4000円ぐらいからと、非常に安いです。シルバーにスワロスキーがついた指輪で1万2000円ほどでした。
 私も、ずっとものづくりにかかわってきたのでわかるのですが、デザインを考えて、完成品にするまで、1日では決して終わりません。若い作家たちは、自分たちがかけてきた時間を、本当に安い価格で提供しています。そんな作家の方々を応援する意味でも、ぜひお近くのショップやギャラリーで、このような展覧会があったら、チェックして、買っていただきたいなと思います。それは有名ブランド品を買うより、ずっと意味のあることです。
 
 次の点ですが、みなさんも、死蔵している、たとえばダイヤモンドの指輪やネックレスがあるのではないかと思います。どうせ、持っているのだったら、普段からどんどん身につけてしまいましょうというのが私の提案です。
 住んでいる地域にもよると思いますが、やはり日本では、よほど特殊な職業の方か、もしくは都会に住んでいる方以外、そんなにパーティーや、それにふさわしいシチュエーションというのはなかなかないと思うのです。そうすると、パーティーのときだけとか、結婚式に出席するときなどと、決めていると、ほとんどの時間、そのジュエリーは宝石箱に寝ているだけです。
 やはりそれではもったいない。だれかのためではなく、自分の気分を盛り上げるために、身につけてしまいましょう。それで、近所へお買いものに行ってもいいと思いますし、もしそれが恋人や、旦那様からのプレゼントされたジュエリーだとしたら、贈ったほうも喜んでくれると思います。

 そして、最後に、そのジュエリーはだれが制作したか、そしてその石はどうやってあなたの手元まで運ばれてきたか、思いをはせてみましょう。
 イギリスの中世のアーサー王の物語をご存じでしょうか。
 この物語で、少年のアーサーは、石から剣を取り出したことにより、王だと認められます。
 これは、石、つまり地中から、剣、当時では鉄や金を取り出したものこそが王という権力者だと認められたということを物語っています。
 中世の昔から、地中から貴金属や貴石を採掘するという行為は、常に権力と絡んでいました。
 現在でも、アフリカのダイヤモンドや、コロンビアのエメラルドなど、高価な石は、不当な扱いを受ける労働者と、それを搾取する権力などと、切っても切り離せない関係です。
 高価な石ではなくても、クリスタルであってもしかりです。
 地球の石は有限です。その石が、あなたまで届けられたという奇跡を胸に、このクリスマス前に、宝石箱から、そっとジュエリーを取り出しましょう。
 今のあなたにできることは、そのジュエリーがあなたのもとまでやってきた長い旅を想像してみてみること、大切にそのジュエリーを扱うこと、そして身につけることなのだと思います。