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2018年10月2日火曜日

永遠の星を目指して

また見つけたよ。
何を?
永遠だよ。
それはさ、
太陽と一緒になった海だよ。

このように、ランボーは「永遠」を見つけました。
しかし、ファッション界の住民はいまだに永遠を見つけられていないようです。
それはみずから輝く太陽にはほど遠く、
さしとて惑星にもなれず、せいぜいいいところ地球の衛星である月レベルです。
季節ごとに移り変わり、喜怒哀楽のようにめまぐるしく変化し、
感情のように忘れ去られます。
しかしそれはファッション、つまり流行の宿命です。
移り変わるゆえに、それはファッションと呼ばれるのです。

では実際のところどうでしょうか。
10代のころから、やれコレクションだ、ファッション雑誌だと観察してきたので、
今では多くのことが理解できます。
あのときあんなに流行ったあのバッグも、
誰もが称賛したあのデザイナーも、
数年もたてば、多くの人に忘れ去られます。
デザイナーの名前も、そのデザインも、その多くは
●●年代風というふうにひとくくりになって、
それは一人ではなく群像で、その名前を見つけられるのは『ファッション辞典』の中にある記述のみということも珍しくありません。
私たちが、2005年10月の地球の衛星である月の様子をエフェメリスを見ないでは思いだせないように、
そのときにだけ流行ったデザイナーも、そのデザインも、
その多くは記憶の層の深いところまでは届かないのです。

コレクションを見ていなくても、
ファッション雑誌など買うことがなくても、
過去の自分の写真を見ればわかるでしょう。
例えば20年前の友達とのスナップで、
なぜそんなにも不思議なセーターを選んで着ているのか、
なぜシャツの裾は出しているのか、
あるいは出していないのか、
なぜそんなにもパンツのウエストが低い位置にあるのか、
今では理解できないことばかりです。
それはそのときの一種の浮かれた熱で、一過性のものであり、
永続するものではありません。

しかしそれでも、ファッション界の住民は「永遠」を探します。
それはどこかにあるらしいのです。
彼らが永遠のアイコンと呼ぶ人たちの多くは、
昔の映画女優、アーチスト、作家たちです。
グレタ・ガルボやグレース・ケリーなど、美しい人もいます。
マレーネ・ディートリッヒのように、男装が有名な人もいます。
フリーダ・カ―ロのように民俗衣装をまとった人もいます。
ジョージア・オキーフのように、世捨て人のような人もいますし、
ジョセフィン・ベーカーのように奇抜な格好の人もいます。

地球の衛星の月のようなファッションを追いかけるファッション雑誌の中に、
彼女らは燦然とみずから輝く恒星のようにあらわれるのです。
そうして、私たちはそんな彼女たちをスターと呼びます。

鬼籍に入った方ではなく、今を生きている人ではどうでしょうか。
2018年10月に行われたパリコレクションで、
オノ・ヨーコの写真はジャンバティスタ・ヴァリのムードボードに貼られ、
コレクションにンスピレーションを与え、
節子・クロソフスカ・ド・ローラはキモノ姿のままで、
ハイダー・アッカーマンのフロントローに座りました。
なぜなら彼女たちは自ら輝く恒星だからです。

私はファッションについてではなく、おしゃれについて語っています。
ファッションは、地球の衛星である月のようですが、
おしゃれはみずから輝く恒星のようなものです。
私たちは、みずから輝かなければなりません。

そのためにやらなくてはならないのは、
自分で考え自分で選択し行動すること。
自分について知ること。
その結果、自分を表現すること。

シリウスも、ベガも、レグルスも、
ほかの星のようではありません。
あなたもあなただけの名前を持ち、ほかの誰かのようではありません。

月ばかり見ていないで、
恒星を見つめましょう。
人々の記憶の深い層にくさびを打つように、
永遠に輝く星になり、忘れられない人になりましょう。


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