セカンドハンドを扱うリサイクルショップを見ていると、
安く売られているごく最近の服と、
古いにもかかわらず、いまだに高く売られている服がある
ということがわかります。
前者の代表的なものはファストファッションやセレクトショップのオリジナル商品、
あるいは有名人による、いわゆる「コラボ」商品です。
一方、10年以上前のものなのに、いまだに高額で売られているものは、
エルメスやシャネル、
バーバリーのトレンチコート、
フィービー・ファイロのセリーヌ、
エディ・スリマンのサンローラン、
トム・フォードのグッチ、
ミウッチャ・プラダのプラダ、
90年代のゴルチエやヨウジヤマモトなど、
いわゆる「メゾン」と呼ばれる、
自社の中にデザインとパターンを行うチームが社員として所属し、
外注に出さずとも、サンプルチェックまですることができるブランドです。
前者のセカンドハンドは安く売られ、
後者のセカンドハンドは高く売られている。
この違いはどこから生まれるのでしょうか。
大きな違いは、デザインとパターンチームが何を目的に服を作っているか、です。
前者の主な目的は、短期的な利益の追求のための服作りです。
彼らの作る服の命は、最初から短く設計されています。
まるで、春にだけあらわれるモンシロチョウや、
冬にあらわれる冬夜蛾のように。
一方、後者の目的は、デザインが永遠に生き延びることです。
今見ても、1年後でも、10年後でも、
そして最終的には美術館の展示室で何十年ものあいだ、
それを見る人々を魅了するような、
そんな服を目指して作っているのが後者です。
最初の意図が違うのですから、当然、結果も違います。
前者はおのずと短命に、
後者は予言どおり、長く生き続けます。
その結果、セカンドハンドになったとき、
前者はごく新しいものでも安く売られ、
後者は古いにもかかわらず、高価で取引されます。
なぜなら、多くの人が本当に欲しいのは、
ヴィクトリア&アルバート美術館に展示されるような、
白い手袋をはめた手で白い紙に包まれ、大切に保存され、
長い間、それを見る人々を魅了し続ける服だからです。
もちろん、そんな服のすべてが博物館に入るわけではありません。
中には、無名だけれども、長く続く価値を持つ服もあります。
では、それはどこで見分けたらいいでしょうか。
服を見分ける識別力がなかったら、
どのように長く生き続ける服を見つけたらいいのでしょうか。
その一つの方法は、
その服の作り手の言葉を聞くことによって判別できます。
もしもその作り手が、自分が作った服について、
「去年の服はもう古い。流行遅れだから着られない」
という趣旨のことを言うような人ならば、
その人の作る服は、
あらかじめ短命であることを意図して作られていると考えていいでしょう。
長く生き続ける服を作る人は、決してそのようなことは言いません。
私は、長く続くデザインを考えるデザイナーが、
そのようなことを言うのを読んだことも、聞いたこともありません。
そうして近くのセカンドハンドを扱うリサイクルショップへ行って、
そんな短命の服が安価で売られている現場を確認してください。
それらの服が放つ、あの独特の退屈さに、
あなたは耐えられないに違いありません。
毎日着る作業服のような消耗品であるならば、短命な服を選んでも構いません。
しかし、長く大切に着たい服ならば、
長く生き残るように最初から設計された服を選びましょう。
そんな服は長い時間、見る人を魅了し続けます。
そんな服を着た人もまた、他人の視線をくぎ付けにすることもまた、
間違いないことなのです。
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