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2024年1月6日土曜日

脅しに屈するべからず、またはそんなことはできなくて当たり前

何の気なしにYouTubeやInstagramを見ていると、
多くの「お勧め動画」や「お勧め投稿」が出てきます。
そのほとんどはスルーするのですが、ほんのちょっとの好奇心で見てしまうと、
そこには地獄が待っています。

世界中にパーソナルスタイリストその他を名乗る多くの人たちが、
「ダメ出し」動画や投稿を作っています。
中身をのぞいてみると、
「グレーとベージュを合わせてはだめ」
「50代以上はペイズリーは着てはだめ。かわりにボーダーを」
「バッグを持つときは、身体の内側から腕を入れてはだめ。外側から入れなくてはいけない」
など、どうやって導き出したのかわからない謎のルールが勢ぞろい。
疑問に思ったときは、彼女たちのプロフィールを見るのですが、
どこで勉強したか、どの学校を出たかも、
どこで仕事をしていたのか、どの会社に所属していたか等の経歴は一切ありません。

確かに彼女たちの言い分には正しいものもあります。
色の組み合わせは「補色同士がベスト」など、セオリーどうりです。
しかしたとえそれがセオリーどおりだとしても、
紙の上の絵具ではない、布を染めた色で、そのセオリーどうりの色出しを、
様々なブランドで買った時期も違うものからなるワードローブでは、
作り出すことはできません。

面白いことに声高に他人に「ダメ出し」をしているのは、洋服を作る側の人たちではないということ。
私は作るための学校へ行き、作る側で働いていたのでよく知っていますが、
作る側の人たちは、こういうことは言わないのです。
なぜなら、セオリーどうりの色出しなど、生地屋からもう既に染めてある中から選んで製品を作るブランドにさえ、できるわけではないと重々承知しているから。
布は紙ではありません。
絵具で自由に色を使って絵をかくように、色を染めることは不可能です。

また多くの人が知っているように、流行色というものがあります。
それに沿って、生地屋は色を染めます。
そのため色には、70年代っぽい色、90年代っぽい色など生まれます。
すべてのいつでもどこでも世界堂の絵具売り場のウィンザー&ニュートンの絵具のように、
すべての色が常時揃っているわけではありません。
それに、これはコレクションを見ればわかることですが、
「赤に対して緑」のような補色を使って必ずルックを作るところなど、むしろ少数派でしょう。
プラダもセリーヌもサンローランも「赤に対して緑」の補色ルックは提案しません。

セオリーどうりの色出し、またカラーコーディネートができると思い込んでいる人たちは、
作る現場にいたことがないからこそ、こんな理想論で誰かに「ダメ出し」するのでしょう。

これらセオリーは確かにそのとおりですが、完璧にはできないのが現実です。
それができていないからといって、「ダメ出し」するほうがおかしいのです。

また中には、エトロ社やRATTI社を敵に回すような、
「50代以上はペイズリーを着てはだめ」などという、
謎の理論を振りかざすものもいます。
ほんとうにそう考えているのなら、エトロ社に行って、
50代には売らないように訴えてもらいたい。
エトロもRATTIも、大人のためのすばらしいペイズリーのプリントを作っています。
また、バッグの持ち方にいいも悪いもありません。

その人たちはなぜ「ダメ出し」をするのでしょうか。
その人たちの正体を見てください。
「ダメ出し」をしておいて、最終的には自分のサービスに誘導してはいませんか。
その「ダメ出し」の目的は、そこにあるのではないでしょうか。

疑ったら、まず経歴を見てみること。
きちんとした学校を出ていなかったり、アパレル業界で働いた経歴がないようなら、
その人は信用するに値しません。
なぜなら、専門的な教育を受けたり、実際の現場にいたことがないと、
正確な知識を身に着けることは不可能だからです。

誰かに「ダメ出し」をして、再生回数を稼いだり、アクセスをふやしたりしようとする人が一定数います。
浅はかでいい加減で浅い知識でこちらを脅してきます。
そして、そのいい加減な知識でこちらのいい気分を台無しにしていきます。
そんな脅しに屈する必要はありません。
「ダメ出し」を受け入れれば受け入れるほど、
私たちは「大量消費、大量廃棄」せざるを得なくなります。

聞くべきなのは、
教育を受けた経験やアパレルのモノづくりの働いた経歴がある人たち、
あるいは洋服作りを知り尽くしている作る側の人たちの言葉です。
その点を間違わないようにね。



2023年11月23日木曜日

「かわいい」を作り出す

相変わらず、「かわいい」が人気です。
実際には「かわいい」が表現する範囲は広く、
普通はかわいいとは思えないようなものにまでかわいいは使われています。

今回は、ごく一般的に多くの人がかわいいと感じるような要素をどうやってルックに取り入れたらいいのか、考えていきます。

洋服の世界において「かわいい」を表現する際に使われるのは以下の要素です。

・ふんわりとやわらかい素材や細部
・パステルカラー、あるいは暖色系
・男性が着ないようなアイテムやデザイン

ふんわりとやわらかい素材とは、例えばシフォンやオーガンジーモヘア、また手法としてはギャザーやプリーツなどです。

色に関しては、パステル調のピンクや水色、レモンイエロー。または赤、黄色、オレンジといった暖色系もかわいい女の子の表現にはよく使われます。

男性が着ないようなアイテムやデザインとしては、スカートやワンピース、フリルやレース、または花柄などです。

ここまでだと、「女性らしさ」と重なる部分も多いです。
なぜなら、男性はあまり「かわいい」を採用しないからです。

洋服の世界でかわいいを表現するときには、これ以上のものがあります。
それは、子どもが身に着けるような「かわいい」デザインの大人への転用です。

それは以下のようなものになります。
・ウエストのくびれがなく、ハイウエスト気味
・身体のラインを出さない
・台襟がないフラットカラー
・ハイソックスにメリージェーンのような、子どもがよくする足元

子どもは寸胴なので、ウエストのくびれがありません。
ですから、スカートをはくには吊りひもが必要になり、若干ウエスト位置は高めの設定です。
また、首も短いので襟はフラットカラーです。
また形も丸くすれば、より一層かわいさを強調できます。
ハイソックスはスポーツで着用しますし、必ずしも子供用というわけではありませんが、これがメリージェーンと組み合わされると、少女っぽくなります。
子どものピアノの発表会でよく見るような組み合わせであり、大人はあまり使いません。

以上のような要素をいくつか取り入れれば、「かわいい」ルックは出来上がります。
ついでに、メイクに関しても血色感がある暖色系のカラーでまとめれば、顔も含めてかわいくなります。

実際にこれらの要素を取り入れるのはそれほど難しくはありません。
ただし、注意点はあります。
それは、子どものかわいいの大人への転用要素です。

日本では、大人向けでも、この子供服の要素を取り入れた服が多数売られています。
実際に大人向けの、ウエストがぶかぶかな吊りひもつきのスカートは売られています。

しかし西洋の衣服においては、大人の成熟は子供っぽい要素を取り入れるほうへは向かいません。
子どもっぽい細部は、せいぜい若者向きであり、
いい年の大人の女性が取り入れるべきものではないと考えられています。
それは毎年行われるコレクションを見れば明らかです。
大人は成熟したものであるとして扱われます。
西洋のファッションが追い続けるのは、いつでも自分のことは自分で決められる自立した女性像なのです。

いい年の大人になってからこの成熟とは反対方向の幼さが表現された衣服を着用すると、おしゃれからは遠ざかります。
それは確かに「かわいい」でしょう。
しかしもはやそれは、おしゃれであるとか、スタイリッシュであるとは別物になります。

かわいくて、かつおしゃれな装いを作りたいときには、
この点に注意しなければなりません。

かわいいだけじゃなく、おしゃれでスタイリッシュに見せたいのならば、
子ども要素は取り入れないほうがよいと覚えておいてください。

どちらの大人を自分が目指しているのか、あるいは目指していたのか、
再度ご確認ください。
答えが出たのなら、それに従えばよいでしょう。



2023年11月7日火曜日

たくさんあると、魅力がなくなる

流行は、少数のモノ、少数の人によって始められます。
最初はたくさんのものの中に一点、あるいは大勢の中の一人が、
徐々に点数をふやし、まだらになり、点在しながらふえていきます。

流行は、たくさんのもの、大人数によって終わります。
点在の密度が高まり、ほとんどそれが覆いつくすほどになると、流行は終わります。
ファッションでいえば、
お年寄りや小さな子供までが着たり、履いたりするようになるほど広がると、
流行は終わります。

流行が終わったのは、魅力的に見えなくなったことが理由です。
私たちはどうやら、たくさん同じものを見ると、そこに魅力を感じないようにできているらしいのです。

例えば鳥です。
(最近、バードウォッチングを始めたので、鳥でたとえます)

雀やカラス、ムクドリなどは街でたくさん見かけます。
私たちは、もはや雀、カラス、ムクドリに特別な魅力は感じません。
魅力を感じないので、それを探してみたり、わざわざ見に行こうとはしません。

しかし、コウノトリやライチョウのように、絶滅危惧種に指定されているほど数が少ない鳥に対しては、非常に大きな魅力を感じます。
これら絶滅危惧種を見たり、出会ったりすることは非常に魅力的なことになります。
私たちは、絶滅危惧種を見ることを切望します。
また、それを見た人たちはうらやましがられます。
それはすなわち、数が少ない絶滅危惧種の鳥たちは人間にとって非常に魅力的であるということです。

たくさん見ると私たちは飽きます。
しかし、飽きるまでもなく、たくさん存在するというだけで、私たちは魅力を感じないようにできています。

ファッションも同じことです。
みんなが持っている、よく売れている、これらのものは飽和すれば、
それはありふれたどうでもいい、特別魅力を感じないものになります。

その魅力を感じない主体には他人ばかりでなく、自分自身も入ります。
自分自身にとっても、たくさんあるものはどうでもいいものになります。
見慣れたもの、たくさんあるものは、自分自身でさえ魅力を感じないため、
それを着用するのが嫌になるのです。

であるならば、最初からその「たくさん」のものを選ばなければいいのではないでしょうか。
わざわざみずから、雀やカラス、ムクドリのような見た目を作る必要はないのでは?
1980年代、90年代の黒ずくめのカラスルックの流行は、
それが街全体にまん延して終わりました。

どんなに一羽一羽がかわいくても、いつもそこにいる、何も珍しくない存在となれば、それは魅力を感じないものになります。

いっそ私たち自身も絶滅危惧種になるぐらいでちょうどいいのです。
それは誰もが見たがるでしょう。
それは誰もが探し続けるでしょう。
なかなか見ることができない魅力的なもの、
そちらを選ぶほうが、ずっと珍重され、憧れ続けられるのです。

 


2023年10月13日金曜日

それでもいいものを見たほうがいい理由

※展覧会を見に行くのもいいアイデアです。

2023年10月現在、日本の購買力は今から50年前の1970年代と同じだと言われています。
外国のブランドのものは「舶来品」と呼ばれたあのころ、
海外旅行は簡単に行けるものではなく、
行ったとしても、好きなだけお金を使うことができなかったあのころに、
今の日本は逆戻りです。

現在、多くのアパレル製品は輸入物です。
生地とその原材料、その他の付属品も含めるのなら、
100%日本製のものは、ほぼないと考えていいでしょう。
日本では、コットンもウールもシルクもほとんど生産されていません。
ましてや化学繊維の原料になる原油は日本では、製品を作るほどの採掘はできません。

購買力が50年前と同じになるということとは、
すなわち、多くの輸入物の価格が上がることを意味します。
海外のブランドから日本のブランドまで、すべての製品の価格は上がっていくでしょう。

そうなると、多くの人のファッションに対する関心は低下します。
得られるかもしれない可能性が断たれたものについては、
考えないほうが精神の安定を保てるからです。
特に、クオリティの高い高価なものほど、遠ざける人が出てくるでしょう。
そうするにつれて、多くの人のクローゼットは、
カットソーとポリエステル、ナイロン、アクリルといった化学繊維であふれかえります。
誰かがそれを「ウールライク」などと呼ぼうとも、
それは原油から生産された、自然繊維よりも安価な化学繊維には違いありません。
安価であるという理由で、彼らはそれを「ウールライク」として採用しているのです。

安価にするための工夫は素材選びだけではありません。
縫う箇所を1本でも少なくし、工賃を安くするためのデザインも数多く実行されます。
その例として挙げられるのがウエストゴム、そしてポケットの省略です。
これらは、製造工程を少なくするのにうってつけのデザインです。

しかしそれでもなお、いいものを見たり、触り続けたほうがいいのです。
なぜなら、目、あるいは手の記憶によって、あなたの選択はなされるからです。

いいものをいくら見ても、もう忘れてしまったと思うでしょう。
しかし、一度インストールされたその情報はごみ箱の中に入っているだけで、
消去されたわけではないのです。
それは、気づかないうちに、まるで見張りのように、
私たちの日々の選択に影響を与えます。
見れば見るほど、その記憶は蓄積されていき、決して忘れ去ることはありません。
多くの人ができないのは、その情報を引き出すことなのです。

それはまるで見えないところで動き続けるアプリのように、
あなたの選択を監視します。
そして、どうでもいいもの、クオリティが低いもの、将来的に着なくなるであろうものから、あなたを遠ざけます。
気づいていなくても、それは正確に作動します。

限られた予算の中で、失敗の少ない買い物をするためには、
このアプリを入れておいたほうがいいのです。
予算が少なければ少ないほど、失敗は避けたい。
であるのならなおのこと、いいものを見続けて、
常にアプリを新しい状態に更新する必要があります。

私たちのほとんどの選択は、何かの影響によってなされます。
誰かの考えや言葉、誰かの姿、どこかで見た何かが、深く印象付けられて、
あれやこれやの選択をします。
選択を間違わないためにも、何がインストールされているのかが重要です。

もう以前のように、海外旅行もままならないし、
ラグジュアリーブランドのバッグを買うこともないかもしれません。
しかしどこかしらでクオリティの高いものを見続けるようにしましょう。

それは古着屋やセカンドハンドのお店かもしれません。
あるいはアウトレットや展覧会かもしれません。
または、知人が実際に着ているものや履いているものの可能性もあります。

クオリティの高いものの情報をインプットしておけば、自動的にいいものを選ぶようになります。
限られた予算の中からでも、なんらかの方法はあります。

カットソーと化学繊維まみれのクローゼットの沼で溺れないように、
今出来得ることを考えて、行動してみてください。
そうすれば将来、あなたは自分のクローゼットを見て、心底満足できるでしょう。
そして、いいものを見続けることをあきらめなかった自分に対して、
感謝の念をいただくでしょう。


2023年10月3日火曜日

第7回川端龍子絵画鑑賞会「東京ハーピー」2023年11月3日 募集開始

 

                   ※チラシより画像をお借りしました。

2023年11月3日文化の日に、龍子記念館において絵画鑑賞会「東京ハ―ピー」を開催します。

 今年も小林と、龍子直系の曾孫に当たるアベユリコさんの二人でナビゲートします。
(※「東京ハ―ピー」とは龍子発行の雑誌名です。)

今回で7回目になる川端龍子絵画鑑賞会。
今年は、「 川端龍子プラスワン 濱田樹里・谷保玲奈 色彩は踊り、共鳴する」の展示の鑑賞がメインです。
展示を見る前に、ユリコさんからは、川端龍子が日本美術史において、いかに独創的で、オリジナリティがあったかについてのお話、
そして小林から川端龍子の「オリジナリティ」にちなんで、
美と革新的オリジナリティということで、来年にやってくる牡牛座での天王星木星0度という、ラッキーチャンスの時期についての解説、
そしてその美とオリジナリティにふさわしい自家製のアロマミスト(5ml)のプレゼント。
※神奈川県西湘の柑橘類(シトラス)を自家蒸留して作った精油のブレンドです。
このアロマと星を使っての、美とオリジナリティの発揮の仕方を伝授します!

レクチャーの後は、記念館へ移動し、
お庭とアトリエの見学、作品鑑賞となります。

レクチャーの場所は換気のいい和室を予約しました。
日本美術に興味があるけれども見たことがない方、
アロマとアストロロジーに興味がある方、
なんだかわからないけれども参加してみたい方、
どんな方でも歓迎です。
おしゃれしてきても、おしゃれでなくても大丈夫です!

毎年、いいお天気になる11月3日文化の日、日本美術を鑑賞いたしましょう!

日時:2023年11月3日(祝日)
時間:13:30~16:30
場所:大田区立龍子記念館、その他・集合場所は東京都大田区内
定員:8名
参加費:2500円(記念館入場料・アロマミスト5ml込み)※別途、池上梅園入場料が100円必要になります。
主催:小林直子

参加ご希望の方は、
・お名前(本名)
・参加人数をご記入の上、
メールの件名「東京ハ―ピー」として、
fateshowthyforce@gmail.com
小林までご連絡ください。

よろしくお願いいたします!

2023年9月7日木曜日

「素肌」をジュエリーのかわりに

 「露出」とか「セクシー」という言葉で、その魅力の本当のところがうやむやにされている「素肌」には、その存在自体に魅力があります。

「露出」と思われるほど、
「セクシー」と形容されるほどに見せる必要はないのです。
それは手首や首元、足首と、
本当に少ない面で構わないのです。

覆えば覆うほどに、その対比によって、
「素肌」は光り輝きます。

一時期、真夏にもかかわらず、黒いマットなトレンカをはく人が出現しました。
あれも一種の流行なのでしょうけれども、
今ではさっぱり見なくなりました。
もちろん、真夏にあのトレンカが暑すぎるという問題もあるでしょう。
黒いトレンカを捨て、
クロップシャツを選択して、お腹の肌を少しだけ見せることを選んだのは、
多くの人が、素肌の魅力に気づいているからに違いありません。

ジュエリーは高価です。
ゴールドの価格はどんどん上がっています。
今では、おいそれとは買えない価格になりました。

しかしそのゴールドに勝るとも劣らない魅力が「素肌」にはあります。
なぜかように魅力的かというと、
素肌はイキモノであり、
水を含んだ細胞のひとつひとつが輝いているからでしょう。

では水着姿が一番光って見えるのかといえば、
それはそのとおりなのですが、
隠れている部分と、素肌が見える部分、
その対比こそが、この輝きをより一層際立たせるので、
ほとんど素肌が見えている水着では、同じような魅力を感じにくいのです。

洋服の世界では、この素肌の魅力をよくわかっているため、
スリット、スラッシュ、レース、シースルーなど、
見える素肌と隠す布地の工夫が施されたものも多くあります。

しかし、そんなものを利用しなくとも、
前開きのボタンをいつもより一つ多くはずすだけ、
また、手首や足首をまくってほんの少し見せるだけで、
同じ効果は得られます。

自分の中に対比を作ればいいのです。
他人と自分の問題ではありません。
その素肌と布地の境目こそが、最も魅力のある域です。
その境界線に私たちは惹かれます。
生き生きとした素肌と、死んだ物質である素材との、
その境界線こそが、私たちに想像の余地を与えるものだからです。

もう何もかも高くてジュエリーが買えないと、
そう嘆くのなら、
ジュエリー以上の価値のある「素肌」を光らせてみてはいかがでしょうか。

腕をまくる、
前開きのボタンを一つはずす、
スリットのあるスカートをはくときはマットなタイツはやめる、
そんなちょっとしたことで、
ジュエリー以上の効果がすぐに手に入ります。

問題なのは、
やるかやらないか、それだけです。

 


2023年8月23日水曜日

「新しい秋」の服

昔、そうそれは2000年になる前のこと。
夏というものは大体8月いっぱいまでで、
9月になって学校が始まると(地域によりますが)、たまに暑い日があっても、
それは秋の日の気まぐれにすぎなくて、
朝、家を出るときの空は青く、
お昼に天頂を見上げれば、太陽はもう既に少しばかり傾いて、
朝夕に吹く風は涼しく、誰でも秋を感じることができました。

しかしここ2,3年でしょうか。
8月が終わっても一向に秋の気温にはならず。
真昼の太陽が傾きを増しても、
そして昼と夜の長さが同じになってもなお、
夏のように暑い日々が10月を過ぎても続くようになりました。
こうなると、2000年になる前のようには、
秋の服を着ることはできません。
それは暑すぎてもう無理なのです。

気候変動の影響のこの傾向は、今後も続くと予想されます。
場合によっては、今年が最後の涼しい夏の可能性すらあります。

このブログを書き始めた2010年ごろは、
それでも、長く暑い夏なので、形とデザインは夏と同じで色だけ秋色に変えましょう、
と提案しました。

もちろんこのアイデアは今でも使えます。
しかし、いまだ名前のない「新しい秋」とも呼べるシーズンを過ごすには、
これだけでは物足りない。

なぜ物足りないのかというと、
長い夏のかわりに秋がとても短くなったので、
西洋の衣服がその魅力を最も発揮する秋の服を楽しめないからです。

色を変えるだけではなく、
もう少し何かないかと考えたとき、
いいものがあるではないか、と気づきました。
それは、素材は冬っぽいのに、全く暖かくないあのものたち、
みんなにあまり好かれていないので、持っていない人も多い、あのものたちです。

素材は冬っぽいのに全く暖かくない素材とは、
コーデュロイ、別珍、ベルベットです。
これら、素材はコットンやレーヨンであることがほとんどなので、
着てみても、暖かいということはありません。
ただ、陰が深く出る起毛素材のため、私たちはなんとなくそこに秋や冬を感じるのです。

確かにコーデュロイ、別珍、ベルベットの中にはそれなりに厚みがあり、
暖かく感じられるものもあります。
しかし、それは真冬に対応するほどの暖かさではありません。
それゆえに、多くの人にこの素材は好まれませんでした。
しかし今こそ、これらを選ぶときなのです。

選び方のポイントは、まず薄いものを選ぶこと。
幾ら起毛していても、それは単なるコットンやレーヨンです。
薄ければ、着て暑すぎるということはありません。
気温が高い秋でも、薄手のコーデュロイのシャツなら、それほど暑くはないでしょう。

また次のポイントは、
デザイン的には夏と同じものを選ぶこと。
これは実際にそういうものがあれば、ということですが、
ノースリーブや半袖、ネックが広く開いたものを選べば、
より一層涼しく過ごせます。

最後のポイントは自宅で洗えるものを選ぶことです。
まだまだ暑い日が続くということは、汗をかく日が多いということ。
洗えない素材だと困ります。
インナーやトップスであったら、少なくとも手洗い可能なものを選びましょう。

このほかにもまだ考えられるのは、
コットンやシルクのニットです。
日本の場合、コットンやシルクのセーターは、真夏には暑すぎる場合が多く、
買っても着る機会が少ないアイテムの代表でした。
しかし、真夏ほどではない暑さでしたら、これらのニットは快適です。
コットンの場合は家で洗えます。シルクも選べば手洗い可のものもあります。

またその他のものとしては、
シースルー素材やフロッキープリントが施された素材、
薄いウールのもの、サマーウールと呼ばれている梳毛のウールも、
「新しい秋」には着られるでしょう。

これらの素材で作られたアイテムを9月以降、適宜追加していけば、
暑く汗ばむ秋という「新しい秋」のワードローブは完成すると思います。

足元も、秋らしい色や、また秋冬に多用されるエナメルやスエード、フェイクファーを使えば、
たとえサンダル履きであったとしても、「新しい秋」に対応できるでしょう。

残念ですけれども、
もう昔のような秋は戻ってきません。
あの頃の秋は思い出の中だけです。

庭に植える植物の種類も変わりました。
同じように、「新しい秋」に着るワードローブも変えなくてはいけません。

今までの「秋」という概念は捨て去って、
「新しい秋」を新たにインストールして、
この新しい季節を快適に過ごしたり、飽きないためにも、
ワードローブを新しく作り変えていきましょう。