2007年にお亡くなりになりました、山口小夜子さん。
日本的な美しさを追求した、最初で最後のモデル。
この方の後には、真にオリジナルの美を表現している日本人モデルは出現していません。
同時に、山口さんを積極的にコレクションのモデルとして登用していたデザイナーがいた時代は、
まだデザイナーの心の中にも、新しい日本的な美の追求という野心がありましたが、
今では、そういうデザイナーもいなくなりました。
もちろんお若いときも美しいのですが、私はお亡くなりになるちょっと前に出演したテレビでの映像が忘れられません。
若くなくても、日本人で、こんなに美しくいることができるのだと、大変感動したのを覚えています。
そのころは、自分でデザインなさった洋服を着ていらっしゃったように思います。
晩年、雑誌やコレクションのモデル活動は、ほとんどしていらっしゃいませんでした。
およびがかからなかったのか、ご自分で拒否されたのか、どちらかはわかりません。
ダンスの舞台などには出演していらっしゃったので、人前に出なくなったわけではありませんでした。
洋服を着た日本人が、どうやったら美しく見えるのか、ずっと考えていらっしゃったんだろうと思います。
山口さんがこの世を去った今、私たちの美の羅針盤は、どこにも見当たりません。
たくさんの情報やモノという大海の中で、ただただ迷うばかりです。