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2012年7月2日月曜日

縦ストライプ


ここ何年か、ボーダーは継続的に流行していて、
常に新しいスタイルが提案され続けていましたが、
その一方、縦ストライプは、全くなくなったわけではないにせよ、
以前よりずっと存在感がなくなっていました。
しかし、その縦ストライプですが、今期より復活です。

これには理由があります。
特に2000年以降、服がタイトに、細くなり、
その細さを作るため、
使われるのはストレッチ素材、ストレッチではない場合は、ダーツを多く、または深くとり、
そのシルエットを作ってきました。
そして、服作りがそうなるにつれて、縦ストライプは消えていきました。
なぜかといいますと、
ダーツをたくさんとると、ストライプが崩れてしまうからなんです。
同様に、ストレッチ素材で、脇線だけぐーっと、内側にカーブを入れても、
縦のストライプは途中で切れることになり、
柄がおかしなことになります。
こうして縦ストライプ、特に太いストライプは使われなくなってしまいました。

しかし、ここへきてシルエットの変化です。
必要以上にタイトな服が、流行りではなくなります。
そうすると、縦ストライプの復活です。

縦ストライプのいい点は、
何といっても、縦線の強調。
ここのところ、着やせコーディネイトの特集をよく雑誌で見かけましたが、
あれはどうにも着やせの難しいアイテムばかりとなってしまった結果、
どうしたものかと、みんなが悩んだことから生まれた企画だったのですね。
だって、どう考えたって、ボーダーでは着やせしませんもの。

また、縦ストライプは、上の写真を見てもわかるように、
なぜか「はいから」に見えます。
ボーダーがカジュアルの代表ならば、
それを縦にしたストライプは、その上をいくおしゃれ感があります。
そんな復活した縦ストライプ、ワードローブに取りいれない手はありません。

さて、縦ストライプの着こなしですが、
太いほど、おしゃれ度は高くなります。
(ってことは、食いだおれ人形は相当のしゃれものかもよ)
また、縦線強調の効果も大きいです。
大柄な方は、特に太めのストライプがお勧め。
ゆったりしたリラックスパンツや、たっぷりしたギャザースカート、
そして、ボリューム感のあるワンピースもいいと思います。
ただ今の時点では、まだまだ市場にたくさんは出回っていません。
着やせコーディネートに悩むよりは、こちらを取り入れるほうが手っ取り早いです。

さて、おしゃれで、すっきり見える縦ストライプですが、
欠点があります。
それはとても印象的である、ということ。
ですから、こういう印象的なストライプは、他人の記憶にも残りやすいです。
他人の目が気になるという方は、ボトムだけに取りいれましょう。
そんなの気にしないわという方は、大胆な柄のワンピースなど挑戦してみてください。

最近、ボーダーを着ている人はもてないなどという都市伝説が聞かれますが、
実際はどうなんでしょうか。
もてるか、もてないかはわかりませんが、
ボーダーの作る印象が、ある一定方向に向かっていることは確かです。
それは、とりあえずボーダー着ておけばおしゃれに見えて安心という、その安心感でしょう。
でも、縦ストライプには、その安心感はありません。
そこに見えるのは冒険心です。
チャレンジする姿勢です。
縦ストライプの女性が、もてないはず、ありません!
(今思いだせる、縦ストライプのパンツの素敵だった人はマドンナとカヒミ・カリィさん。)
  
ファッションで冒険してみたところ、死ぬわけではありません。
日本人には、縦ストライプはなじみやすいと思います。
だって、着ものの柄で縦縞は多いでしょう?
あれだって、すごく粋な感じがします。

自分の体を呪ってないで、
おしゃれの冒険で、自分の体型がどうだったかなんて、忘れてしまいましょう。
人が最初にキャッチするのは、その人の体の周囲にある、見えない雰囲気です。
縦ストライプを着て、あ、自分のスタイルは素敵だって心底思えたら、
他人だって、あなたのことをそう見ます。
その逆だったら、そうなります。
他人が見ているのは、あなたの実際の実像の姿だけではないのです。
忘れないでください。
おしゃれは実際の体型やスタイルではないのです。
その印象です。

☆写真は1780年代のフランスのドレス。1989年の「華麗な革命 ロココと新古典の衣裳展」の図録より。これ、見に行ったんです。素敵だったわ。