今日はシルエットについてのレクチャーです。
流行にはいろいろな要素があります。
流行りの色、流行りのアイテム、流行りのブランドなど。
けれども、その中でも一番大きな要素はシルエットです。
その時代のシルエットというものがあり、
そこから外れると、流行遅れに見えます。
そして、そのシルエットは、色、アイテム、ブランドよりは長く続くものです。
流行のメインストリームと言えます。
さて、2012年になって、大きくシルエットが変わりました。
単に、ビッグシルエットと呼ばれていますが、
そんな簡単なものではありません。
ビッグシルエットというと、80年代から90年代に流行りましたが、
今年から始まったビッグシルエットは、それとは明らかに違います。
流行にはいろいろな要素があります。
流行りの色、流行りのアイテム、流行りのブランドなど。
けれども、その中でも一番大きな要素はシルエットです。
その時代のシルエットというものがあり、
そこから外れると、流行遅れに見えます。
そして、そのシルエットは、色、アイテム、ブランドよりは長く続くものです。
流行のメインストリームと言えます。
さて、2012年になって、大きくシルエットが変わりました。
単に、ビッグシルエットと呼ばれていますが、
そんな簡単なものではありません。
ビッグシルエットというと、80年代から90年代に流行りましたが、
今年から始まったビッグシルエットは、それとは明らかに違います。
そこで上の図をごらんください。
一番左が1984年~1998年ごろまでのシルエット。
真ん中が1999年~2011年までのシルエット。
そして、一番右が 2012年から、たぶん、2025年ごろまで続くであろうシルエットです。
まず、80年代中ごろから90年代にかけてのシルエットですが、
これが当時、ビッグシルエットと呼ばれたものです。
特徴は、とにかく全体のシルエットが四角くなること。
そのために肩パッドも入れましたし、コートはロングで、重く裾広がりでした。
全体の雰囲気はマスキュリン、つまり男性的です。
次は、1999年ごろから、去年までです。
シルエットは縦に長く細くのびていきました。
上半身も下半身もタイト。ぴちぴちのTシャツにスキニ―ジーンズ、スーパーハイヒールがこの時代の象徴的なスタイルでしょう。
ケイト・モスが注目され始めたのもこのころからです。
どちらかというと、男性でも女性でもない、中性的なイメージでした。
そして、2012年は一番右になります。
これからのビッグシルエットは、この絵のように楕円形です。
ビッグではあっても、上と下は小さく、丸くします。
そのために、いかつい肩パッドは抜きますし、
足もとをクロップトにしたり、ボトムのすそを短くします。
コートだったら、コクーンシルエットにしますし、
ポンチョやケープといった、体の真ん中あたりにボリュームが出るシルエットのものが流行ります。
全体の雰囲気はフェミニンでロマンチックです。
もう一度、図をごらんください。
左側に矢印を入れてあります。
これは、そのシルエットが指向する重心のポイントです。
80年代から 90年代は、全体の重心を下へ下へと持っていきました。
地上志向とでもいうのでしょうか。
目に見える、実質的な価値というものを大事にした時代です。
お金、キャリア、ブランドなどが重要視されました。
そのため、まさに地に足のついた感じのする、重厚な靴で全体のバランスをとりました。
黒くてごついメンズライクのフラットシューズがその代表です。
2000年代から去年まで、重心は、その前の流れの反動で、上と下に引っ張られました。
だから、ヒールはどんどん高くなっていきました。
上も同時に目指していましたので、髪の色が一気にブラウンになりました。
ブラックでは重すぎたのです。
金髪に近い髪の色とスーパーハイヒール、これがこの時代の特徴です。
ただし、全身のバランスの重心ポイントは分散されて、どこかを強調するということはありませんでした。
最後に2012年以降ですが、重心のポイントは上方向だけになります。
とにかく上を目指します。
それ以前の、上下に引っ張られて、重心のない、まっすぐなラインから、
どこか上の部分が強調されるような重心のポイントに変わります。
そのラインは体のほぼ真ん中、あるいはその上です。
そのために、フラットシューズをはくにしても、80年代のような地上志向の靴ではありません。
それは、まさにバレエシューズに代表される、
軽やかさを持ったフラットシューズということになります。
ちなみに、ここまでの分析は私がしたものです。
ほかの誰も言っていませんし、書いてもいません。
私がシルエットの推移を観察した結果、見つけたものです。
では、具体的にこの2012 年からの気分のシルエット、どうやって取り入れたらいいでしょうか。
まず、上の図にあるように、全体のシルエットを楕円形の卵型になるように作りましょう。
そのためには、いかつい肩パッドは抜く必要がありますし、
あまりに裾が重たく広がっているものも避けなければなりません。
足もとはボトムをクロップトにしてみたり、コクーンやバルーンにしたり、
軽く、小さくなるようにします。
そしてもう一つ、シルエット全体に軽やかさが必要です。
たとえば、同じ布の分量でも、黒と白では軽さが違います。
黒い、四角い、分量が多いだと80年代になりますが、
白い、丸い、分量が多いだったら、2012年以降の気分になります。
分量が多いとしても、オーガンジーやチュール、レース、
または明るい色だったら、大丈夫です。
そして、重心のポイントは体の真ん中より上になります。
だから、ミニのボトムが流行ります。
ボトムをミニにすれば、全体の重心は上がります。
黒いタイツと靴だとしても、ミニ丈ならば、重心を上にあげ、
軽く見せることができるからです。
また、さきに挙げた、ケープ、ポンチョ類、そしてテントシルエットなど、
体の真ん中部分を大きくして、そこに重心を持ってくるシルエットのアイテムは、
これからも続きます。
大判のストールをまく場合でも、下に広げないで、首元でまとめるのが今の気分です。
帽子も大き目になってくるかもしれません。
全体としてイメージがわかない人は、バレリーナの衣装を思い浮かべてください。
あのバランスこそ、今の時代の気分です。
地上ではなく、天上を目指します。
地を這うようには歩きません。
80年代から90年代にかけて、ワンランク上などの、強固なブランド志向がありました。
しかし、その後、ワンランク上の幻想は崩れ、ファーストで横並びの、皆同じファッションが主流となりました。
そして今、目に見えない、そしてお金では買えない価値観を追及する時代に入りました。
やさしさや思いやり、夢や希望など、
お金にはならない、食えないものであると同時に、
お金で買おうとしても買えません。
あなたのやさしさや思いやりは、お金にはならないかもしれないし、
効率も悪いし、全くの役立たずかもしれない。
けれども、人間は、それなしでは生きていけません。
これからのファッションは、それらのことを表現することになります。
もちろん、この天上志向も、行き過ぎた暁には戻ることになります。
せめてそれまでの間、今の気分を楽しみましょう。
お金にはならないと否定され続けたものを、再び生き返らせましょう。
そしてそのほとんどを担うのは、やはり人間のフェミニンの部分なのです。
笑顔も、あいさつも、気配りも、非効率も、
レースも、フリルも、オーガンジーも、何の役にも立ちませんし、お金に換算することはできません。
役には立たないものでも、力はあります。その力を、今、よみがえらせましょう。
世界は、もう既に、それなしでは成り立たなくなっているのですから。